二塁打

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二塁打(にるいだ)とは、野球ソフトボール打者が打った安打のうち、打者走者が一度に二塁まで進んだ場合を指す。

概要[編集]

ツーベース(ヒット)とも呼ばれる。なお、アメリカの「Official Baseball Rules」(日本でいう公認野球規則にあたる)での表記は"two-base hit"だが、一般的には"double"という呼称が定着している。日本ではスライディングせずに二塁へ到達する、余裕のある二塁打のことを「スタンディングダブル」と表現することがあるが、これは和製英語であり、本来の英語では"stand-up double"と言う。

打球がグラウンド(フェアゾーン)に一旦落ちてからフェンスを超えるなどして野手がこれ以上追うことができない場所に出た場合(ファウルゾーンに面した客席に入った場合や、フェンスの隙間に挟まった場合も含む)には、ボールデッド(一時中断)となって打者走者を含む全ての走者に2個の安全進塁権が与えられる。この場合、打者には二塁打が記録され、これを日本ではエンタイトルツーベース(英語圏では"ground rule double")と呼んでいる。ただし、三塁走者がサヨナラの得点者となった場合には単打となるほか、サヨナラエンタイトル二塁打となる場面でも打者自身が二塁に到達しなければ単打となる[1]。また、打者走者が三塁への進塁(三塁打)を試みて三塁ベース到達前に刺殺でアウトになった場合でも打者には二塁打が記録され、凡打扱いにはならない。

なお、打者が二塁まで進むことができても、その進塁に野手の失策野手選択によるものが含まれていた(と記録員が判断した)場合は二塁打ではなく、単打と失策(野手選択)による進塁と記録される。

日本プロ野球[編集]

個人通算記録[編集]

順位 選手名 二塁打
1 立浪和義 487
2 福本豊 449
3 山内一弘 448
4 坂本勇人 445
5 金本知憲 440
6 稲葉篤紀 429
7 王貞治 422
8 張本勲 420
9 長嶋茂雄 418
10 松井稼頭央 411
順位 選手名 二塁打
11 榎本喜八 409
福留孝介
13 川上哲治 408
14 松原誠 405
15 栗山巧 399
16 野村克也 397
17 広瀬叔功 394
田中幸雄
19 谷繁元信 393
20 福浦和也 388
  • 記録は2023年シーズン終了時点[2]

シーズン記録[編集]

個人[編集]

順位 選手名 所属球団 二塁打 記録年 備考
1 谷佳知[3] オリックス・ブルーウェーブ 52[3] 2001年[3] パ・リーグ記録
2 福浦和也 千葉ロッテマリーンズ 50 2003年 左打者記録
3 P.クラーク 近鉄バファローズ 48 1998年
C.マギー 読売ジャイアンツ 2017年 セ・リーグ記録
5 山内一弘 毎日オリオンズ 47 1956年
福留孝介 中日ドラゴンズ 2006年 セ・リーグ左打者記録
7 松井稼頭央 西武ライオンズ 46 2002年 両打者記録
8 大沢清 大洋ホエールズ 45 1950年
松原誠 大洋ホエールズ 1978年
森野将彦 中日ドラゴンズ 2010年
  • 記録は2023年シーズン終了時点[4]

チーム[編集]

順位 チーム 二塁打 記録年
1 北海道日本ハムファイターズ 290 2009年
2 千葉ロッテマリーンズ 283 2003年
3 千葉ロッテマリーンズ 280 2008年
4 千葉ロッテマリーンズ 278 2004年
千葉ロッテマリーンズ 2005年
6 福岡ソフトバンクホークス 276 2003年
7 埼玉西武ライオンズ 270 2008年
8 千葉ロッテマリーンズ 260 2014年
9 大洋ホエールズ 258 1950年
オリックス・バファローズ 2008年

その他の記録[編集]

個人[編集]

記録 選手名 所属球団 記録年月日
連続シーズン二塁打 27年 谷繁元信 中日ドラゴンズ 1989年 - 2015年
連続試合二塁打 7試合 金子誠 北海道日本ハムファイターズ 2009年4月7日 - 4月15日
近藤健介 北海道日本ハムファイターズ 2021年9月30日 - 10月7日
連続打席二塁打 5打席 牧秀悟 横浜DeNAベイスターズ 2021年10月23日 - 10月26日
月間最多二塁打 16本 W.クロマティ 読売ジャイアンツ 1985年5月
1試合最多二塁打 4本 門前眞佐人 大阪タイガース 1937年6月13日
藤井勇 大洋ホエールズ 1951年8月5日
基満男 大洋ホエールズ 1979年5月9日
渡辺進 ヤクルトスワローズ 1981年9月24日
高沢秀昭 ロッテオリオンズ 1984年5月30日
大野久 福岡ダイエーホークス 1992年7月5日
イチロー オリックス・ブルーウェーブ 1994年9月11日
柴原洋 福岡ダイエーホークス 2001年4月29日
井口資仁 福岡ダイエーホークス 2003年7月26日
糸井嘉男 北海道日本ハムファイターズ 2010年6月15日
岩村明憲 東京ヤクルトスワローズ 2014年6月14日
雄平 東京ヤクルトスワローズ 2017年5月7日
近藤健介 北海道日本ハムファイターズ 2020年10月15日
1イニング最多二塁打 2本 記録多数
最年長二塁打 46歳8か月 浜崎真二 阪急ブレーブス 1948年8月17日

チーム[編集]

記録 チーム 記録年月日
連続打者二塁打 5打者 広島東洋カープ 1986年6月3日
1試合最多二塁打 11本 読売ジャイアンツ 1948年10月16日
東北楽天ゴールデンイーグルス 2013年8月4日
1イニング最多二塁打 7本 東北楽天ゴールデンイーグルス 2013年8月4日

メジャーリーグベースボール[編集]

個人通算記録[編集]

  • 記録は2023年シーズン終了時点[5]

個人シーズン記録[編集]

順位 選手名 所属球団 二塁打 記録年 備考
1 アール・ウェッブ ボストン・レッドソックス 67 1931年 ア・リーグ記録
2 ジョージ・バーンズ クリーブランド・インディアンス 64 1926年 右打者記録
ジョー・メドウィック セントルイス・カージナルス 1936年 ナ・リーグ記録
4 ハンク・グリーンバーグ デトロイト・タイガース 63 1934年
5 ポール・ウェイナー ピッツバーグ・パイレーツ 62 1932年 ナ・リーグ左打者記録
6 チャーリー・ゲーリンジャー デトロイト・タイガース 60 1936年
7 トリス・スピーカー クリーブランド・インディアンス 59 1923年
チャック・クライン フィラデルフィア・フィリーズ 1930年
トッド・ヘルトン コロラド・ロッキーズ 2000年
フレディ・フリーマン ロサンゼルス・ドジャース 2023年

脚注[編集]

  1. ^ 【記録員コラム】エンタイトル二塁打なのに・・・ - NPB(日本野球機構)公式サイト
  2. ^ 歴代最高記録 二塁打【通算記録】 - NPB.jp 日本野球機構
  3. ^ a b c “与えたい「打席での勇気」 6年ぶりの現場復帰、谷佳知氏が伝えたい打撃の真髄”. full-count. (2021年2月18日). https://full-count.jp/2021/02/18/post1052258/2/ 2021年10月7日閲覧。 
  4. ^ 歴代最高記録 二塁打【シーズン記録】 - NPB.jp 日本野球機構
  5. ^ baseball-reference - 通算成績の詳細(メジャーリーグ)(英語)
  6. ^ baseball-reference - シーズン記録の詳細(メジャーリーグ)(英語)

関連項目[編集]