ドクターヘリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ドクターヘリとは、救急医療用の医療機器等を装備したヘリコプターであって、救急医療の専門医及び看護師が同乗し救急現場等に向かい、現場等から医療機関に搬送するまでの間、患者に救命医療を行うことができる専用ヘリコプターをいう。救急医療用ヘリコプターとも言う。その救急現場出動の内容も含めて記載するものとする。「航空救急医療活動」、「ヘリコプター救急医療活動」、「ヘリコプター救急」ともいう。

日本[編集]

概要[編集]

日本では「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」(以下、ドクターヘリ法と略す)が制定されている。(平成19年6月27日法律第103号)。ドクターヘリを用いた救急医療が傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性にかんがみ、ドクターヘリを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別の措置を講ずることにより、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与し、もって国民の健康の保持及び安心して暮らすことのできる社会の実現に資することを目的としている。「救急医療用ヘリコプター」(ドクターヘリ)とは、救急医療に必要な機器を装備し、及び医薬品を搭載し、救急医療に係る高度の医療を提供している病院の施設として、その敷地内その他の当該病院の医師が直ちに搭乗することのできる場所に配備されている航空機を指す。ドクターヘリを用いた救急医療の確保に関する施策は、医師がドクターヘリに搭乗して速やかに傷病者の現在する場所に行き、当該ドクターヘリに装備した機器又は搭載した医薬品を用いて当該傷病者に対し当該場所又は当該ドクターヘリの機内において必要な治療を行いつつ、当該傷病者を速やかに医療機関その他の場所に搬送することのできる態勢を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標とするものとする。

経済的条件や地形的・気象的条件、場外離着陸場の確保の制約などから1990年代に至るまで、離島・僻地・船舶からの急患移送は行われていたものの、ドクターヘリなど機内や事故現場での治療はあまり行われてこなかった。しかし、1990年代から実験が行われ、その有効性が確かめられてからは、各地域での導入が進められている。日本に先んじて導入されたドイツでは、国内に73機配備されており、国内何処にでも要請から15分以内に到着できる。ドクターヘリ導入後、交通事故の死亡者が1/3に激減したと言われている。

東海大学病院常駐のドクターヘリ

2001年岡山県でドクターヘリ導入促進事業が始まって以来、ドクターヘリへの理解が進んで来ているが、ドイツ国内は73機配備しているのに対し2010年の日本は1道1府15県21機(2010年1月現在[1])の運用にとどまっていたのが実情である。最大の問題は、年間2億円近い運航費用の負担であり、昨今の地方自治体の財政事情で導入を躊躇しているところが多い。

また基地病院内や病院間の横の連携、十分な数の医師の確保、乗員の養成システム、ヘリポートの不足、運用時間が日中に限られ、夜間離発着ができない事や、着陸する場所がまだ少ないなどといった、解決しなければならない課題が多い。ドクターヘリ事業者らは、「ドクターヘリが真に必要な地方ほどドクターヘリの導入が遅れている」とし、さらなる導入促進のために、運行経費を医療保険から補助するよう求める提言を行っている。これらに対して与党はドクターヘリ全国配備のため国会に新法案を議員立法で提出し2007年の通常国会にて可決、成立した。

運用[編集]

運航調整委員会
ドクターヘリ事業を円滑かつ効果的に実施するために関係機関との連絡調整を図るため、各都道府県が設置要綱を決め、それに基づいて運航調整委員会が設置されている。その委員会において関係者が話し合い、「ドクターヘリ運航要領」「ランデブーポイント一覧表」が決められる。ドクターヘリ法6条において、出動のための病院に対する傷病者の状態等の連絡に関する基準と出動に係る消防機関等と病院との連絡体制に関する基準について話しあうように決められている。地域の実情に応じ、1.傷病者の医療機関その他の場所への搬送に関し、必要に応じて消防機関、海上保安庁その他の関係機関との連携及び協力が適切に図られること 2.へき地における救急医療の確保に寄与すること 3.都道府県の区域を超えた連携及び協力の体制が整備されることを留意して行われるものとする。
ランデブーポイント
救急隊とドクターヘリが合流する緊急離着陸場である。上記の運航調整委員会にて、学校グラウンドや駐車場などに事前に決められており、その一覧から運航管理担当者と消防機関が離着陸地点を決める。ドクターヘリが安全に着陸出来る場所の確保をできるように、ドクターヘリ法7条で関係機関の協力が求められており、例えば砂が舞いやすい土地に離発着する場合は消防隊が先回りして水をまいたり、一般市民を安全な場所に誘導したりサポートを行っている。但し、緊急時には、消防機関や警察機関が着陸場所を確保したうえで災害現場直近に降りることもある。消防機関が着陸場所を着陸可能な状態にしてから、患者の負担にならないよう救急車から少し離れた場所に着陸し、医師と看護師が救急車に向かい、救急車車内で初期治療を開始する。
運航基地と出動基準
拠点となる基地病院の構内や病院の隣接地にヘリポートを設置[2] して、離陸可能な状態でヘリを常時待機させている。搬送協定を締結した市町村消防署や広域市町村圏消防本部、警察からの出動要請を、病院内の救急救命センターが受けると出動する。ちなみに搬送費用は無料であり、治療費のほかに往診料等が請求されるだけである。
地元消防機関および警察、役場等その他のドクターヘリ要請機関は、(1)119番通報を受けた時点(2)出動要請を受けた救急隊員の判断(3)救急患者発生現場のいずれの場合でもドクターヘリ出動の必要性が認められたときや、各地域地域における救急医療機関が、そこに収容した救急患者を高次の救急医療機関(救命救急センター等)に緊急搬送する必要があると判断した場合に出動要請可能で、一般人が直接呼ぶことはできない。
ドクターヘリの必要性がある患者としては、1.生命の危険が切迫しているか、その可能性のある患者、2.長時間搬送が予想される重症患者、3.特殊救急疾患の患者(重症熱傷、多発外傷、指肢切断等)、4.救急現場で緊急診断処置に医師を必要とする患者などが挙げられる。
運用経費
自治体や厚生労働相から補助金を受け、医療機関がヘリコプターを運航する民間航空会社と運航契約を結び行われている。補助金は、厚生労働省と都道府県の折半か、都道府県単独で支出されている。しかしながら、補助金を超える運航経費に関しては、人件費や燃料費を支出する医療機関かヘリコプター運航会社の“持ち出し”負担となっている。そのため、2010年度より補助金が増額されている。国庫補助金の対象外となる機内の医療資器材や個人のフライトスーツなどの装備品・消耗品の購入費は医療機関の重い負担となっているが、一部医療機関においてはドクターヘリに企業広告を出し、その収入で負担を軽減しようという試みも行われている。ドクターヘリ事業の認知が進むにつれて、民間企業やNPO法人等からドクターヘリ事業を支援しようという流れができつつある。
運航時間
ドクターヘリは日中時間に限られており、現在日没後に運航している医療機関はない。埼玉県では、防災ヘリに医療機器を搭載して、ドクターヘリ的運航を行っている。

特色がある運用[編集]

広域連携・運用
都道府県の枠にとらわれずにドクターヘリ事業を実施できるよう、複数の都道府県で協議することも可能である(ドクターヘリ法5条2項)。
実施地域
福岡県の久留米大学病院の事業では、佐賀県東部と大分県での共同運用が実施されている。
長崎県の長崎医療センターの事業では、佐賀県西部での共同運用が実施されている。
神奈川県の東海大学医学部付属病院の事業では、協定を結び山梨県の一部(富士吉田市、都留市、大月市、上野原市、道志村、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町、:小菅村、丹波山村、甲府市の一部(旧上九一色村地区))で実施されている。[3]
沖縄県の浦添総合病院の事業では、協定を結び鹿児島県の南部(徳之島・沖永良部島・与論島)まで出動している。
北関東3県(栃木、茨城、群馬)のドクターヘリを相互に乗り入れ、救急医療体制の強化を図ることが模索されている。埼玉県も参加を検討している。2011年4月より開始予定。
北東北3県(青森、岩手、秋田)のドクターヘリが災害などで自県のヘリが出動できない場合、他県に出動要請できる。2013年2月末にも試験的に開始する。出動範囲は基地病院の半:径100キロ圏内。費用は出動したヘリを運航する県側が負担する。出動要件は、大規模な事故・災害・重複要請・気象条件などで自県のヘリが対応できない場合とした。開始後半年を:めどに課題を検証し、正式な協定を結ぶ[4]
関西広域連合
2010年12月1日より近畿地方の府県が連携して関西広域連合が発足しているが、その広域行政の対象7事業の1つに「広域医療」という分野があり、今後ドクターヘリの配置・運航:や救急医療連携計画の策定されることになっている。徳島県に広域医療局が設置されている。2011年度より、兵庫県・京都府・鳥取県が共同運航していた公立豊岡病院のドクターヘリ事業が関西広域連合に移管されている。これは全国でも初めての試みである。今後も、大阪府や和歌山県のドクターヘリ事業が移管される予定である。なお、構成団体である自治体で積:極的に広域連携が図られている。
大阪府のドクターヘリ事業は、奈良県と滋賀県(2011年予定)で共同運用が実施されている。
和歌山県のドクターヘリ事業は、三重県と奈良県で共同運用が実施されている。
大阪府・和歌山県のドクターヘリ事業と徳島県の防災ヘリのドクターヘリ的運航事業が相互乗り入れの共同運用が実施されている。
民間救急ヘリ
1999年4月から浜松救急医学会が日本で初めて民間救急ヘリ運用を行い、それ以前に岡山県川崎医大病院も実験運航を行うが短期間で終了している。
現在運航されている都道府県は、沖縄県と福岡県の2医療機関および東京都の社団法人である。
ホワイトバード
目的:離島やへき地など医療過疎地の救急医療態勢に貢献する
事業主体:医療法人財団池友会(福岡)、福岡和白病院、福岡新水巻病院、新小文字病院、新行橋病院
MESH
支援組織:MESHサポート
北部地区医師会病院名護市
AMSAD
一般社団法人 防災医療航空支援の会
東京ヘリポートを本拠地として、一般の民間ヘリを使って活動している
医師、看護師などの医療スタッフを災害現場へ搬送、状況に応じて被災者を搬送する活動を行っている
消防・防災ヘリのドクターヘリ的運航
自治体によっては、消防防災ヘリコプターをドクターヘリ的運航させている場合もある。救急業務を担う防災ヘリにドクターヘリと同等の救急医療装備(EMS装備)を搭載し、基地より提携病院に飛び、医師をピックアップ後ランデブーポイントに向かう。
現在運航されている都道府県・指定都市は、東京、埼玉、鳥取、山口、広島、愛媛、徳島、香川、高知、岐阜、兵庫、岡山、熊本、鹿児島 各県、札幌市、仙台市、岡山市、広島市、北九州市など
埼玉県の事例
埼玉県では、秩父地方などの山間地などが第三次救急医療機関から遠く、また道路事情が悪く、昔から救急車が長時間かけて患者を搬送していた。2005年(平成17年)8月1日より県の防災ヘリで救急医療を実施してきたが、出動要請を受けた埼玉医科大学総合医療センター(川越市)の医療スタッフが、川島町の県防災航空センターに待機する防災ヘリに駆け付け離陸するまでに約25分を要することや、大型のヘリのため着陸できる場所が限られるなどの理由で、これまでの出動件数はわずかに37件であったため、2007年(平成19年)10月26日に、ドクターヘリ導入に踏み切った。しかしながら、ドクターヘリ専用機は太陽が出ている日中時間しか運航することができず、夜間は旧来通り救急車で搬送することもあった。そこで再び、埼玉県は防災ヘリを活用することを決め、埼玉医大国際医療センターと連携し、専用機が出動できない夜間にドクターヘリ的運航をすることにした。これによって、日中時間しか運航できない専用機と運航基地からピックアップに時間のかかる防災ヘリのドクターヘリ的運航の欠点を相殺することができ、県内全域で24時間ドクターヘリのサービスを提供できるようになった。

歴史[編集]

ヘリコプターを所持する機関や団体が増え、医療機器の小型化(除細動器(デフブリレーター)、高速道路わきの発着専用場所(学校の校庭など含め)の増設により、事故によるが病院へ運ぶより医師が駆けつけた方が早いという要望にそえれるようになった。特に医療器の除細動器はさらに小型化されAEDとなって身近に設置、一般人が心臓発作で倒れた急病人を救う事がある。後述の阪神・淡路大震災では多くの道路が破壊され、使える道路に自家用車が殺到し大渋滞となりドクターカー等の使用が困難だったため、ドクターヘリが大きく活躍することとなった。

  • 1995年1月17日 - 兵庫県南部地震が発生それにともなう阪神・淡路大震災がドクターヘリ誕生のきっかけになる
  • 1999年10月~2000年3月 - 厚生省の事業として、岡山県の川崎医科大学付属病院高度救命救急センターと神奈川県の東海大学医学部附属病院救急センターの2ヶ所で「ドクターヘリ試行的事業」を実施する。
  • 2001年
    • 10月1日 - 日本医科大学付属千葉北総病院にて、千葉県ドクターヘリ事業開始。
    • 10月 - 聖隷三方原病院にて、静岡県ドクターヘリ事業開始。主に県西部向け。
    • 12月22日 - 特定非営利活動法人 救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-NET)設立。理事長は、國松孝次。ヘリコプターによる救急医療システムの普及促進を目的として活動をしており、ドクターヘリに関わる各種事業のための基金や助成金を支出している。
  • 2002年
    • 1月 - 愛知医科大学病院にて、愛知県ドクターヘリ事業開始。
    • 2月1日 - 久留米大学病院にて、福岡県ドクターヘリ事業開始。
    • 7月 - 東海大学医学部附属病院にて、神奈川県ドクターヘリ事業開始。
  • 2003年
    • 1月 - 和歌山県立医科大学附属病院にて、和歌山県ドクターヘリ事業開始。
  • 2004年
    • 3月15日 - 順天堂大学医学部附属静岡病院にて、静岡県ドクターヘリ事業開始。主に県東部向け。静岡県として2機目
    • 10月23日 - 新潟県中越地震が発生
  • 2005年
    • 4月 - 厚生労働省によって、大規模災害や事故に出動する災害派遣医療チーム(DMAT)が正式に発足。
    • 4月 - 手稲渓仁会病院にて、北海道ドクターヘリ事業開始。主に道央向け。全国で9番目
    • 7月 - 佐久総合病院にて、長野県ドクターヘリ事業開始。
    • 7月 - 浦添総合病院にて、民間救急ヘリ事業開始。
  • 2006年
    • 12月 - 国立病院機構長崎医療センターにて、長崎県ドクターヘリ事業開始
  • 2007年
    • 6月27日 - 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(ドクターヘリ法)が公布される。
    • 7月16日 - 新潟県中越沖地震が発生
    • 10月26日 - 埼玉医科大学総合医療センターにて、埼玉県ドクターヘリ事業開始。
  • 2008年
  • 2009年
    • 1月 - 浦添総合病院にて行われていた民間救急ヘリを正式にドクターヘリ事業として開始。
    • 1月5日 - 君津中央病院にて、千葉県ドクターヘリ事業開始。千葉県においては2機目となる
    • 2月17日 - 前橋赤十字病院にて、群馬県ドクターヘリ事業開始。
    • 3月25日 - 八戸市立市民病院にて、青森県ドクターヘリ事業開始。
    • 7月28日 - 埼玉医科大学国際医療センターを拠点に、埼玉県防災ヘリのドクターヘリ的運航を再開。専用機と併用し24時間患者搬送体制確立。
    • 10月5日 - 市立釧路総合病院と釧路孝仁会記念病院にて、北海道ドクターヘリ事業開始。主に道東向け。北海道において2機目
    • 10月12日 - 旭川赤十字病院にて、北海道ドクターヘリ事業開始。主に道北向け。北海道において3機目
  • 2010年
    • 1月20日 - 獨協医科大学病院にて、栃木県ドクターヘリ事業開始。
    • 4月14日 - 鳥取大学医学部附属病院を拠点に、鳥取県防災ヘリのドクターヘリ的運航を開始。
    • 4月17日 - 公立豊岡病院にて、兵庫県・京都府・鳥取県共同でドクターヘリ事業開始。
    • 7月1日 - 国立病院機構水戸医療センターと水戸済生会総合病院にて、茨城県ドクターヘリ事業開始。曜日によって拠点が変わる。
  • 2011年
    • 1月21日 - 山口大学医学部附属病院にて、山口県ドクターヘリ事業開始。
    • 2月9日 - 岐阜大学医学部附属病院にて、岐阜県ドクターヘリ事業開始。
    • 3月11日 - 東北地方太平洋沖地震発生。それに伴う東日本大震災のため、全国のDMATとドクターヘリが花巻空港霞目駐屯地等を広域拠点にし災害医療活動に従事。また、津波被害によって福島第一原子力発電所事故も発生し、その復旧に関わっていた作業員をドクターヘリが搬送している。
    • 3月14日 - 高知医療センターにて、高知県ドクターヘリ事業開始。
    • 4月1日 - 兵庫県・京都府・鳥取県で共同運航されていた公立豊岡病院ドクターヘリ事業が関西広域連合に移管される。
    • 4月27日 - 大阪大学医学部附属病院における大阪府ドクターヘリ事業に、滋賀県が共同利用開始。
    • 6月1日 - 青森県立中央病院にて、青森県ドクターヘリ事業が正式に開始され、それまで暫定運用されていた八戸市立市民病院との共同運航が分担形式で開始される。
    • 6月13日 - 島根県立中央病院にて、島根県ドクターヘリ事業開始。
    • 10月1日 - 信州大学医学部附属病院にて、長野県2機目のドクターヘリ事業開始。
    • 12月26日 - 鹿児島市立病院にて、鹿児島県のドクターヘリ事業開始。
  • 2012年
    • 1月16日 - 熊本赤十字病院にて、熊本県のドクターヘリ事業開始。
    • 1月23日 - 秋田赤十字病院にて、秋田県のドクターヘリ事業開始
    • 4月1日 - 宮崎大学医学部附属病院にて、宮崎県のドクターヘリ事業開始。
    • 4月1日 - 山梨県立中央病院にて、山梨県のドクターヘリ事業開始。
    • 10月1日 - 青森県2機目のドクターヘリ事業開始、基地病院は青森県立中央病院・八戸市立市民病院で二機相互協力運航に。[5][6]
    • 10月30日 - 新潟大学医歯学総合病院にて、新潟県のドクターヘリ事業開始。[7]
    • 11月15日 - 山形県立中央病院にて山形県ドクターヘリ事業開始。

活躍と問題[編集]

高速道路上の事故負傷者の搬送
今まで、高速道路上で起きた事故に対してのドクターヘリの出動は、愛知県と静岡県内の東名高速道路で発生した2件の多重衝突事故において、旧日本道路公団が道路上の着陸を拒否して救急救命活動が遅れた騒動等で、ヘリの着陸にいわゆる行政の壁が浮き上がっていた。2005年10月、日本道路公団が民営化され「行政の壁」が取り除かれたことにより、以降建設している高速道路等でドクターヘリの着陸訓練を活発化させている。西日本高速道路株式会社は、2006年10月から九州自動車道太宰府インターチェンジから久留米インターチェンジ間で、ドクターヘリを使用した高速道路上での救命・救急活動を実施している。なお、2007年6月28日に九州自動車道本線上に着陸し、救急活動を実施したことについて、マスコミが全国初のドクターヘリの高速道路本線上への着陸と報道したが、すでに2005年6月18日に静岡県のドクターヘリが東名高速道路本線上に着陸し、救急活動を実施している。
幼い命を救ったドクターヘリ
2008年(平成20年)1月2日愛知県東部の町で当時3歳の男児が誤ってに転落し、息子がいないことに気付いた父親が救出した時にはすでに心肺停止状態だったという事故が発生した。男児の伯母救急車を呼び、それまでの間、家族は消防本部からの指示で心肺蘇生を施していた。やがて救急車が到着し、深刻な症状に陥っていることを察した救急隊員消防本部に対してドクターヘリの出動を要請したが、愛知県内のドクターヘリは別の患者の発生により出動しており要請できなかったため、消防本部が静岡県聖隷三方原病院にドクターヘリの出動を要請した。男児は救急車に乗せられて、ドクターヘリとの合流地点であるランデブーポイントからドクターヘリに収容された後、静岡市県立こども病院へ搬送され、一命を取り留めた[8]。大抵は管轄内への派遣で基地病院への搬送のケースが多いが、これは「他県」に派遣して「基地病院ではない病院」に搬送して、命のバトンの受け渡しに成功し人命を救った貴重なケースである。
大規模災害・事件
事前に予測されていない短時間で大量の負傷者が発生する大規模災害や事件において、予め指定されている医療機関から医師や看護師、事務職員などで混成される災害医療チームDMATが出動しトリアージや災害医療を行うことになるが、その際ドクターヘリもDMATの装備として使用することもある[9]
東日本大震災
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、全国からDMATとドクターヘリが花巻空港に設けられた広域拠点に集まり、そこを拠点にして3ヶ月間にわたって広大な被災地より患者搬送を行った。津波や地震によって幹線道路が寸断されていた被災地にあっては、空から機動に患者搬送できる手段として活躍した。しかしながら、警察や消防ヘリとは違い、公的な補助金を得ながらも民間航空会社が運航受託している事業であるため、現場では臨機応変な対応がされたものの、経由地である飛行場での燃料補給が優先されない、燃料費は誰が負担するべきなのか等の今後議論しなければならない課題が浮き彫りになった。
鳥類との衝突
2009年(平成21年)3月18日浜松市の遊園地「浜名湖パルパル」駐車場にドクターヘリが緊急着陸するという事態が発生した。副操縦席側の風防アクリル製)が直径約30cm破損したが、乗員5人(機長整備士2人、医師看護師各1人)に負傷者はなかった。ヘリは中日本航空所有で、聖隷三方原病院のヘリポートを飛び立って、市内の90歳代の男性を搬送するために現地へ向かう途中だった。副操縦席にいた整備士の話では、風防を突き破った鳥は体長約40cmのノスリだったという。なお、男性は救急車で病院に搬送された。中日本航空では「ヘリと鳥が衝突して風防に穴が開き、緊急着陸するのは国内初ではないか?」とコメントしている[10]

運航受託会社[編集]

救急医療専用ヘリコプター、操縦士、整備士および運航管理者等を運航会社との委託契約により配備される。運航を受託する会社は、トラブルや整備時のために代替機を確保するように努めなければならない。

神奈川、千葉×2、埼玉、群馬、茨城、北海道(道北)
静岡(西部)、愛知、長野、福島、青森×2、北海道(道央)、北海道(道東)、広島、沖縄(MESH
栃木、(山梨-ジャネットとヒラタ学園と共同)
岡山、静岡(東部)、島根、岐阜
沖縄(公)、長崎、福岡(ホワイトバード)、和歌山、兵庫、大阪、徳島 (山梨-ジャネットと本田航空と共同)
福岡(公)、高知-四国航空と共同、(宮崎)、(熊本)、(鹿児島-鹿児島国際航空と共同)
高知-西日本空輸と共同
(鹿児島-西日本空輸と共同)
(山梨-ヒラタ学園と本田航空と共同)
山形

機体[編集]

使用機材[編集]

MD902EC135BK117、ベル429、AW109SPグランドニュー

装備[編集]

運航する医療機関[編集]

地域別事情は、

専用機運航[編集]

2014年1月現在、専用機を運用しているのは、36箇所の43磯である。北海道は3機、青森県、千葉県、静岡県、長野県、兵庫県では2機が運航されている。

兵庫県、京都府、鳥取県の3府県が共同運航していた公立豊岡病院の事業は、2011年4月より3府県が参加する関西広域連合に移管された。

以上の記載ため、以下の略語を利用した。

  • (補)・・補助主体となる自治体
  • (運)・・運航を受託するヘリコプター会社。
  • (相)・・自治体間の相互乗り入れ。
  • (共)・・自治体間の共同利用・運航。
  • (ドクターヘリ的運航)・・ドクターヘリ的に運航してる消防・防災ヘリを指す

消防・防災ヘリのドクターヘリ的運航[編集]

消防・防災ヘリコプターの任務には救急搬送も含まれているため、下記以外の航空隊でも急患搬送は行っている。

民間救急ヘリ[編集]

情報発信[編集]

ドクターヘリ事業のスタッフによって情報発信が行われている。

導入予定・検討・計画中[編集]

2011年度導入済
島根、鹿児島(本土)、長野(中南信部)[23]、秋田、三重、熊本
2012年度導入済
青森、岩手、山形、新潟、山梨、徳島、大分、宮崎
2013年度導入済
広島、兵庫、佐賀
2014年度導入予定
鹿児島(奄美)*県立大島病院(奄美市)、導入のために地域救命救急センターを整備するとしている。

その他[編集]

他のカタカナ語同様に、ドクターヘリも日本における造語であり英語圏では通じない名称なので注意が必要である。 ドクターは医師(人)を指す単語であって医療(行為)を指すものではないので、医療行為や医療施設など全般に対してドクターという単語を使う事は無く、ヘリコプターをヘリと省略するのも日本独自の省略語で英語でのHeliには本来全く別の意味がある。

英語圏では主に、Air Ambulance(固定翼・回転翼両方)、 Medical Helicopter(回転翼のみ) などと呼ばれ、同乗するのはドクター(医師)ではなく、主にParamedic(救急医療治療士)やEMT(Emergency Medical Technician)である。 航空緊急搬送を通称でAir Lift、Air Liftedと表すが、吊って搬送するわけではなく着陸して担架で運び入れる場合も同様に表す。 例:disaster victims were air lifted to local hospital.

米国の救急搬送は自治体の救急車であっても有料なので、官民共にAir Ambulanceも有料であり、多くは基本料金150万円前後+1マイル(1.6 km)に付き1万円前後+機内の医療処置料の料金体系を取っている。 状況により多くの場合は医療保険の適用範囲である。

ロンドン[編集]

en:London Air Ambulance 1990年から運航開始された。ロンドン市内は電線が地中化されているため、一般道に発着することもある。

関連書籍[編集]

  • 稲継裕昭編著 『大規模災害に強い自治体間連携 ― 現場からの報告と提言』 早稲田大学出版部〈早稲田大学ブックレット<「震災後」に考える>〉、2012年。ISBN 9784657123046

脚注[編集]

  1. ^ 「救命率向上へ始動:ドクターヘリ県内20分以内で到着」『毎日新聞』2010年1月21日、栃木版、19面。
  2. ^ 例外として、鹿児島県では基地病院となる鹿児島市立病院周辺にヘリポートが設置できず、病院から3キロほど離れた場所にヘリポートを確保している。ただし、同病院は移転予定であり、移転先の新病院にはヘリポートが設置される予定
  3. ^ ドクターヘリ:推進事業について
  4. ^ ドクターヘリ隣県出動 青森・岩手・秋田、覚書締結
  5. ^ ドクターへリ2機目 12年度実現へ 東奥日報 2011年12月24日
  6. ^ クリスマスプレゼント ドクターへリ8機目、計40機に、 12年度実現へ 青森県ドクターヘリ スタッフブログ 2011年12月25日
  7. ^ 県ドクターヘリ運航スタート 新潟日報 2012年10月30日
  8. ^ 同年9月23日テレビ朝日系列で放送された学べる!!ニュースショー!より。
  9. ^ a b 千葉県ドクターヘリ岩手宮城地震活動報告(2008.6.29) (PDF)
  10. ^ 静岡新聞」 31p 2009年3月19日発刊。
  11. ^ 防災ヘリ救急搬送、4割減 ドクターヘリ就航で負担軽減 群馬
  12. ^ 新潟県中越沖地震におけるドクターヘリの災害派遣
  13. ^ 救命活動に強い味方 県ドクターヘリが9日運航開始 2011年2月9日 中部新聞社
  14. ^ ドクターヘリが就航、さっそく出動、京都など3府県が共同運用 2010年04月17日 京都新聞
  15. ^ ドクターヘリ、島根県立中央病院を基地 島根大との連携視野 中国新聞 2010年1月6日
  16. ^ ドクターヘリ運航会社の決定について 医療政策課 平成22年6月1日
  17. ^ 遠隔地等の救急患者を搬送するため、県防災ヘリコプターを活用し、香川大学医学部附属病院の医師が同乗するドクターヘリを運行しています。 (PDF)
  18. ^ 消防防災ヘリ「きび」津山中央病院と協定
  19. ^ 消防防災ヘリをドクターヘリにも 岡山大病院などと県が協定 山陽新聞 2010年3月4日
  20. ^ 救急ヘリ 1)運用:9時から17時まで。兵庫県・神戸市消防防災ヘリ の協力により行われている。 兵庫県災害医療センターホームページ
  21. ^ 県消防防災用で西部カバー 3府県共同運航ドクターヘリ 日本海新聞 2009年10月09日
  22. ^ 県、消防防災ヘリを活用し運航スタート /鳥取 毎日新聞 2010年4月15日 地方版
  23. ^ ドクターヘリ、中南信の4病院が応募 来月に候補選定 信濃毎日新聞 2010年12月18日
  24. ^ 熊本県ドクターヘリ運航業者に係る入札結果 熊本赤十字病院のホームページより
  25. ^ 三重県のドクターヘリの基地病院について
  26. ^ 山梨県立中央病院ドクターヘリ運航業務委託に係る公募型プロポーザルの結果について 山梨県立病院機構 2011年5月24日
  27. ^ ドクターヘリ、新潟大病院に常駐へ 12年度運用目指す 朝日新聞 2010年7月11日
  28. ^ 来年12月、ドクターヘリ運用開始 県が方針 山形新聞 2011年06月14日
  29. ^ 最新情報一覧 ヒラタ学園 2012年10月9日
  30. ^ 兵庫県南部ドクターヘリ就航記念講演会へ行ってきました 但馬救命救急センターブログ 2013年11月29日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]