りゅうおうのおしごと!
りゅうおうのおしごと! | |||
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ジャンル | 将棋、コメディ | ||
小説 | |||
著者 | 白鳥士郎 | ||
イラスト | しらび | ||
出版社 | SBクリエイティブ | ||
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レーベル | GA文庫 | ||
刊行期間 | 2015年 - | ||
巻数 | 既刊9巻(2018年8月現在) | ||
漫画 | |||
原作・原案など | 白鳥士郎(原作) カズキ(構成) | ||
作画 | こげたおこげ | ||
出版社 | スクウェア・エニックス | ||
掲載誌 | ヤングガンガン | ||
レーベル | ヤングガンガンコミックス | ||
発表号 | 2015年20号 - | ||
発表期間 | 2015年10月2日 - | ||
巻数 | 既刊8巻(2018年8月現在) | ||
アニメ | |||
原作 | 白鳥士郎 | ||
監督 | 柳伸亮 | ||
シリーズ構成 | 志茂文彦 | ||
キャラクターデザイン | 矢野茜 | ||
音楽 | 川井憲次 | ||
アニメーション制作 | project No.9 | ||
製作 | りゅうおうのおしごと! 製作委員会 | ||
放送局 | TOKYO MXほか | ||
放送期間 | 2018年1月 - 3月 | ||
話数 | 全12話 | ||
テンプレート - ノート | |||
プロジェクト | ライトノベル・漫画・アニメ | ||
ポータル | 文学・漫画・アニメ |
『りゅうおうのおしごと!』は、白鳥士郎による日本のライトノベル。イラストはしらびが担当している。GA文庫(SBクリエイティブ)より2015年9月から刊行されている。
概要
GA文庫(SBクリエイティブ)10周年記念プロジェクト第6弾[1]。当初よりメディアミックスを想定したプロジェクトとして企画されており、ライトノベルの発売開始と同時に漫画の連載、ドラマCD化が並行で進められている。
作者によれば、題材に将棋を選んだのは「高校時代の同級生である加藤幸男[注 1]の影響」だという[2]。また主人公を竜王に設定したのは「名人と違って、制度上1年で獲得できる」ことが大きいとのこと[3]。
本作は西遊棋(日本将棋連盟関西支部の若手棋士によるプロジェクト)の監修や、『将棋世界』誌の協力[2]などを受けている。
作中では竜王戦やマイナビ女子オープンなど一部の棋戦が実名で登場するが、大半の棋戦は架空の名称が用いられている。また、作中に登場する棋士については複数の実在する棋士の要素を混ぜており、例えば八一については「プロフィールは糸谷哲郎、棋風は山崎隆之、考え方は渡辺明」という形になっている[4]。
現実世界と同様の経緯で女流棋士制度が設けられたことが説明されており、実際に女流棋士は多数登場するものの、LPSAについては言及されていない。
エピソード
作者は当初、本作品の題名を『あいがかり』にするつもりだったが、担当の編集者に大反対された[5]。雛鶴あいと夜叉神天衣の名前の読みがいずれも「あい」であるうえ、あいの得意戦法が相掛かりになったのは、その名残である。また、『りゅうおうのおしごと!』という題名は、編集者によって名付けられた[5]。
第1巻の発売当初は売れ行きが芳しくなかったため、作者は「第5巻で打ち切り」を考え、編集者も一度は同意した[6]。しかし、その後は将棋ペンクラブ大賞受賞などにより売上が伸びて打ち切りの方針は撤回され、シリーズ継続に至っている。
作者は2017年に結婚していたが、本作品のテレビアニメ化に集中したいため、妻には2018年5月12日まで挙式や発表を待ってもらっていたという[7]。
あらすじ
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
第1巻 - 第5巻
- 第1巻
- 主人公の九頭竜八一は、16歳の若さで棋界の2大タイトルの1つである「竜王」を奪取したものの、その後大スランプに陥り、公式戦において11回連続の敗北を喫していた。そんな3月のある日、自宅に帰った八一は、なぜか女子小学生の出迎えを受ける。小学生・雛鶴あいは、竜王戦で八一と交わした約束から、彼の内弟子としての弟子入りを希望する。これまで弟子を取ることなど考えもしていなかった八一だったが、あいが非常に高い将棋の才能を持つことに気づき、そのまま弟子として彼女を育ることに決める。しかし、世間的にみると師弟が一つ屋根の下で生活する内弟子制度は時代錯誤であり、あいの将棋界入りに反対する両親が娘を連れ戻しにやってくるといった騒動に八一は巻き込まれるが、あいの将棋に対する姿勢は八一の奮起の大きなきっかけとなる。
- 第2巻
- ある日、将棋連盟会長に呼び出された八一は、女子小学生、夜叉神天衣を新たに弟子に取るように依頼される。あいの才能を伸ばすためには同世代のライバルが必要であり、天衣のもつ才能があいと比べて遜色ないと判断すると、彼女をあいのライバルとして鍛え上げることに決める。しかし、偶然天衣との指導現場を目撃したことであいを傷付けてしまった八一は、彼女に詫びるために訪れた師匠邸で、師匠が現在の自分と同じように、弟子を育てるときにどのように悩み考えていたのかを知る。
- 第3巻
- プロ棋士となって初めて迎えた公式戦で負けて以降、連敗を重ねている山刀伐尽八段に勝利するため、八一は振り飛車を学ぶべく、あいとともに≪捌きの巨匠≫生石充玉将の下で修行を始める。一方、研修会生としての年齢制限が目前に迫り、後には引けない状況に追い込まれていた清滝桂香は同門の姉弟子である空銀子に研究会を依頼する。そしてその頃、あいは自分が勝つことで相手が傷つく事を知り、才能を持つがゆえの苦しみを感じ始める。
- 第4巻
- 夏休み、あい達は最大の女流棋戦『マイナビ女子オープン将棋トーナメント』に出場するため東京を目指していた。女流棋士やアマチュア強豪が参加する中、あいと天衣は才能を遺憾なく発揮し、順調にトーナメントを駆け上がって行く。一方、その師匠八一は、弟子に隠れて美人女流棋士と将棋番組でイチャイチャしたかと思えば、その翌日は女の子と原宿で手繋ぎデートを楽しんでいた。そして、第30期竜王戦挑戦者決定戦では八一のライバル神鍋歩夢と、永世七冠を狙う名人との対局がはじまる。
- 第5巻
- 遂に始まった八一の竜王としての初防衛戦。挑戦者となった最強の名人と戦うべくハワイを訪れた八一だったが、なぜか弟子や師匠までついて来ることになり、雰囲気はまるで一門(かぞく)旅行のよう。そして迎えた対局1局目、自分が優勢と思っていた盤面が、実は劣勢であることを悟った八一は、自身の積み上げてきた将棋観を根底から覆されるような絶望感に支配されてしまう。さらにあいと天衣、桂香のマイナビ本戦も始まり、戦いに次ぐ戦いの日々。誰もが傷つき、疲れ果て、将棋で繋がった絆は将棋のせいでバラバラになりかける。八一の3連敗で迎えたあいの実家「ひな鶴」で開催の第4局、八一と名人の対局は思わぬ方向へと進んでいく…。
第6巻 - 第9巻
- 第6巻
- 竜王防衛を果たし、史上最年少で九段へと昇段した八一。また、あいと天衣も女流棋士となり、八一達は順調に新年を迎えたかのように思えたが、それも束の間、さまざまな問題が発生する。そんな中、銀子は女性初の奨励会三段になるための大一番を迎える。
- 第7巻
- 清滝一門の祝賀会でのふとした発言から八一は、師匠である清滝鋼介九段から激しい怒りを向けられてしまう。順位戦――名人へと続く階段で、昇級のチャンスを迎えた八一と、降級の危機にある清滝。師匠の苦しみを理解しつつも八一は己の研究を信じて破竹の進撃を続ける。一方、C級1組への降級の瀬戸際に立たされ、自分が棋力のみならず将棋への熱をも失いかけていたことに気づいた清滝が選んだ選択とは。
- 第8巻
- 順位戦が終わり、春休みに突入した八一はあいとともに京都を訪れる。その目的とは、女流六大タイトルの一つ、『山城桜花戦』を巡る挑戦者月夜見坂燎とタイトル保持者供御飯万智の戦いを見守るためだった。
- 第9巻
- 女王のタイトル挑戦者となった夜叉神天衣は、両親の墓の前でタイトル獲得を誓う。それは時間とともに失われていく両親との思い出を繋ぎ止めるための悲愴な決意だった。女流棋士たちに「HPが減らないラスボス」とまで言わしめる空銀子の隔絶した棋力と、普段ならばあり得ないミスで一局目を失い自暴自棄となりかける天衣に、八一は、そして特例で観戦記者となったあいはそれぞれのやり方で一門の家族に激励を贈る。
- 父が自分に遺したモノ、そして一門(かぞく)の真の想いを理解する時、天衣は胸の内に宿る初めての感情に気付いていく。
登場人物
登場人物節はあらすじを詳細に書いていく場所ではありません。あらすじの要素はあらすじ節へ書くようにして下さい。 |
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
※声優は、ドラマCD、テレビアニメ共通。
清滝一門
- 九頭竜 八一(くずりゅう やいち)
- 声 - 内田雄馬
- 本作の主人公。福井県大野市出身。2000年8月1日生まれ[8]、第1巻時点では16歳。段位は第1巻時点で八段、第5巻で竜王位を防衛(竜王2期獲得)したことにより史上最年少の17歳で九段に昇段。順位戦はC級2組から1組に昇級(第7巻)。
- 家族構成は両親と兄が一人、弟が一人。
- 6歳で清滝九段の内弟子として修行を開始し、小学校3年生のときに小学生名人戦で当時の史上最年少優勝者となる。このとき準決勝で神鍋歩夢を、決勝で月夜見坂燎を破り、さらに供御飯万智と知り合っている。彼らとはそれ以来ずっと交友が続いている。その後奨励会に入り、中学校3年生のときに15歳2か月で史上4人目の中学生棋士としてプロ入り。16歳1か月で竜王に挑戦し、フルセットにまでもつれ込みながら奪取、16歳4か月で史上最年少のタイトル保持者。他にも帝位戦リーグ入りを果たすなど順調にキャリアを積み上げてきたが、竜王奪取後から大スランプに陥り、公式戦11連敗を喫する。そんな矢先に雛鶴あいと再会し、紆余曲折を経てあいを内弟子として育てることになる。
- 少年のころから極めて優れた才能を見せており、関係者からは期待されていた。その例の一つとして、奨励会入会直後の6級のときに月光聖市とアマ名人の記念対局の記録係を務めたが、感想戦で両対局者が気付かなかった23手の即詰みを指摘して一同を驚嘆させている。銀子からは将棋の歴史の中で五本の指に入る才能を持っていると評価されている。
- あいの育て方について悩んでいた際、師匠の清滝と同じ道を歩めていたことを知って嬉しさのあまり涙を流すなど清滝のことを心から尊敬している。
- 中学在学中にプロ入りし、もともと勉学が得意でなかったことから、高校には進学せずに関西将棋会館近くのアパート(2DK)に住んでいる(当初は一人暮らしだったが、あいが同居してからは二人暮らし)。あいが内弟子になる以前は、研究仲間が頻繁に立ち寄ることに加え、盗まれて困るようなものもない[注 2]などの理由から部屋に鍵はかけないことが多かった。
- 居飛車党で相掛かりや一手損角換わりなど、力戦調の棋風を得意とする。プロデビュー戦では頓死して以降[注 3]、三連敗を重ねている山刀伐八段に勝つため、第3巻では生石の指導を仰ぎゴキ中など振り飛車系の戦型に挑戦しオールラウンダーへの棋風改造を図る。二週間ほどの特訓で付け焼刃ではあったが振り飛車を体得し、「三連続限定合駒」を見切ることにより山刀伐から奇跡的な勝利を挙げて改めて自身の天才性を示す。名人が挑戦者となった竜王戦七番勝負ではハワイでの開幕局で敗れて以降3連敗を喫し、精神的に追い込まれたことで周囲との関係に亀裂が入りかけるが、あいやその他の周囲の人々の励ましによって立ち直り、最後の審判問題が絡んで差し直しとなった第四局の大熱戦を制してからは、その勢いで4連勝して防衛に成功する。
- 女心に疎い一面があり、しばしば致命的とも言える失言をしてしまう。シャルロットに対する「師匠にはなれないけどお嫁さんにしてあげる」発言(第2巻)などが代表例。自らに好意を寄せるあいや銀子に対してもあくまで将棋仲間としての意識しか持っておらず、そのせいで騒動に巻き込まれることも多い。
- 数多くの女子小学生に囲まれているという境遇に置かれていることから、周囲からしばしば「ロリコン」と揶揄される。本人はそう言われるたびに否定しているものの、弁解が難しい行動も見られる。しかし本人は桂香に惚れており関係を発展させたがっているが、桂香からは弟扱いしかされない。ニコニコ生放送で解説を担当した際には、聞き手の鹿路庭珠代の胸に視線が釘付けになり、それをコメントで指摘されて全国に恥をさらす。終いには月夜見坂・供御飯の前で「おっぱいしか見てませんから!!」と叫び、自ら巨乳好きであることをカミングアウトしてしまう[9]。
- 竜王防衛後は棋力がさらに高みに上ったと評されるが、本人は頭の中の将棋盤が目の前に現実感を伴って出現してなかなか消えないという症状に苦しんでいる(その症状の影響でまともに熟睡できないほど)。7巻では自身の読みの力と将棋ソフトの演算力を組み合わせた効率重視の将棋で順位戦において連勝を重ねていくが、かねてより引退を表明していた将棋界の重鎮、蔵王九段との対局で将棋ソフトの根本的な弱点を突かれ敗北し、C級1組への昇級も厳しくなってしまう。しかし同時刻に行われていた八一以外のC級2組棋士の対局結果により、繰り上がりでC級1組に昇級することが決定する。
- 雛鶴 あい(ひなつる あい)
- 声 - 日高里菜
- 本作のヒロイン。2007年10月7日生まれ[10]、第1巻時点では9歳(小学3年生)[10]。好きな戦法は相掛かり。
- 石川県七尾市にある和倉温泉の旅館『ひな鶴』[注 4]を経営する夫妻の一人娘。前年に『ひな鶴』で行われた竜王戦第7局で、勝利への重圧から廊下に倒れていた八一に水を差し出したことで八一と知り合う。
- 元々祖父が将棋好きだった影響で家に将棋盤や棋書などが一通り揃っていたこともあり、八一の将棋を見たことを機に将棋を始めたところ、わずか3ヶ月で『将棋図巧』の詰将棋を全問解くほどの棋力を身につける。しかし両親(特に母親)は将棋が嫌いで[注 5]、将棋を続けることを反対されたため、学校が春休みに入ったのを機に大阪に向かい、面識のある八一の家に押しかけた。紆余曲折はあったものの最終的に内弟子としての弟子入りが認められたため、春休みが終わると同時に正式に八一の家に引っ越し、学校も大阪の小学校に転校している。後に研修会D1(第3巻)→C1(第5巻)に昇級、さらにマイナビ女子オープン本戦入りも果たし、第6巻時点では女流2級となっている。本戦では1回戦で月夜見坂燎に敗れる。銀子と天衣が対局した五番勝負では観戦記者デビューを果たす。
- 元々将来的に温泉旅館を継ぐ前提で両親からの教育を受けており、9歳ながら家事は一通りこなせる。特に料理は「佃煮を海苔から自作する」「あいの作った金沢カレーを食べた八一が、あまりの旨さに意識を飛ばす」などかなりの腕前。
- 八一が隠し事をしている時は自白剤を本気で購入しようと考えたり、嘘をついていた八一から「どうしたら信じてくれるの?」と聞かれた際に「拷問します」と返答するなど、ヤンデレの気質が有る(作者曰く「実は作中で一番ヤバい子」[12])。また、順位戦の聞き手という公の場で八一の巨乳好き疑惑について糾弾したり、親しい女性を全員リストアップして提出しろと八一に迫ったりと、かなり嫉妬深い一面がある。とはいえ八一の一番弟子として八一に献身的に尽くしており、普段から家事を完璧にこなすだけでなくタイトル戦でも八一の精神的支えとなり、竜王防衛に大きな貢献をした。研修会や女流棋戦において数多くの大人たちとの真剣勝負を繰り広げていることから、小学生とは思えないほどの凄まじい気迫も併せ持つ[注 6]。また、アニメ版では対局の際に目の瞳孔が変わる。
- 感情が昂ると金沢弁が出る癖があり、特に八一が他の女性に対して好意を示した際に「ししょーのだら!」、恋と将棋双方のライバルである銀子に対して「だらぶち」と出る[注 7]。
- 空 銀子(そら ぎんこ)
- 声 - 金元寿子
- 本作のもう1人のヒロイン。八一の姉弟子(ただし弟子入りの時期は2週間しか違わない)。大阪府出身。2002年9月9日生まれ[13]。第1巻時点では14歳(中学2年生)で奨励会二段、女流二冠(女王、女流玉座)だったが、その後15歳で女性として史上初の三段への昇段を果たす。第9巻では、マイナビ女子オープンの女王戦五番勝負で挑戦者となった天衣と激突。第二局までは力の差を見せつけて圧勝するが、第三局で女流棋士相手に初めて千日手となり、指し直し局では天衣の奇策に一時は投了寸前まで追い詰められる。だが、唯一の打開・逆転手を読み切って3連勝し女王の座を防衛、連続5期獲得により永世称号である永世女王を獲得した。
- 2歳で将棋の駒の動かし方を覚え、4歳で清滝九段の内弟子になる。小学校2年生で小学生名人戦で優勝し、八一の最年少記録を塗り替える。11歳で奨励会在籍のまま女流二冠となる。女流棋士との対局では公式戦58戦無敗(第9巻時点)という圧倒的な強さを誇る(後述の「白雪姫」も、実は「黒星がついたことがない、すなわち降り積もる白星一色である」ことに由来している)。13歳のときにテレビの取材を受けた際に付けられた『浪速の白雪姫』というキャッチフレーズが一般にも定着しており、街を歩いているとサインを求められることも多い。
- 髪にはいつも、八一から贈られた雪の結晶デザインの髪飾りをつけている(『白雪姫』=『雪』という単純な連想から)。タイトル戦で和装する際にも外さないほどで、本人もまんざらではないようだが、八一は「髪飾りをつけているのは自分への嫌がらせ」と本気で思い込んでいる[14]。将棋界では多くの人間から「八一の(将来の)嫁」として認識されているものの、八一と面と向かう際には基本的にその好意を表に出さないこと(いわゆるクーデレ)、さらに八一が女心に疎いことから、八一からは「単なる姉弟子」として扱われている。
- 性格はかなり頑固で極度の人見知り。また料理が大の苦手。食事の際はソースを大量に使う癖があり、お好み焼きを食べる際も表面を真っ黒にするほど。また、14歳という年齢ながらも、あい曰く「つるつる」らしい[15]。
- あいに対しては悪感情をあからさまにしており、あいを弟子に取ることについても一門の中で最後まで反対していた。
- 趣味はサッカー観戦。特に監督の指示やゴールキーパーのコーチング、サポーターの応援が選手(特にメンタル面)に与える影響などに注目して観戦することが多い[16]。
- 幼少のときは八一より将棋が強かったが、ほどなくして八一に追い抜かれ、引き離される一方となる。それでも、八一に自分だけを見てもらえる場である公式戦での対局を目指し、女性初の正棋士となるため努力を続ける。女流棋戦では無敵だが、奨励会では必ずしも勝ち続けているわけではなく、自分の才能に限界を感じていた。三段への昇段が壁となっていたが、6巻で幸運に恵まれて昇段できたものの、その先に待ち受ける三段リーグの恐ろしさに圧倒されそうになる。そして、孤独に潰されそうになりながら野田駅で降りたところを八一に出迎えられ、彼と同じ場所に立ちたいという願いを胸に抱く。そして「四段に上がれるのなら死んだって構わない」という壮絶な覚悟を決めた。
- 将棋の実力は、八一については「将棋の歴史の中で間違いなく5本の指に入る」と評価する一方で、自らの才能については「女の将棋指しの中では史上最強かもしれないが、男性棋士を含めたら上位千人にも入らない」と自己分析している。
- 生まれつき将棋の才能に恵まれた棋士(八一やあい)を「将棋星人」、そうでない棋士(自分や桂香)を「地球人」と呼んでいる。
- 清滝 鋼介(きよたき こうすけ)
- 声 - 関俊彦
- 八一・銀子の師匠。1966年11月1日生まれ[17]、第1巻時点では50歳。段位は九段で、順位戦はC級1組(7巻でB級2組から降格)竜王戦は2組。タイトル獲得経験はない。
- 順位戦では苦労しており、C級2組で9勝1敗という成績でありながら順位の差のいわゆる「頭はね」で昇級できなかったことが複数回ある。さらにC級1組、B級2組、B級1組でも頭はねを経験し、その後A級へ昇級するも、4勝5敗の成績でまたしても順位の差で降級の憂き目に遭う。しかしその後再びA級に上がり、名人へ2回挑戦した。
- 娘の桂香が幼いころに妻を亡くし、その後自身の母も死去してからは娘と二人暮らしだったが、4歳の銀子と6歳の八一を内弟子に取る。
- 弟子である八一と銀子を実の子供のように大切に思っており、二人からの信頼も非常に厚い。また孫弟子にあたるあいのことも非常に可愛がっており、家出期間後に八一があいを引き取りに来た際には泣き崩れて拒否していた。
- 将棋大会の指導対局で角落ちの将棋をしたことが八一との出会いで、大人相手にも勝ちまくっていた八一を相手に、接戦を演出しつつ勝利するというプロの技術を見せて八一の憧れの存在となった。それ以後八一は清滝の指導対局ばかり受けるようになりそのまま弟子入りするが、清滝自身は最初から八一の持つ巨大な才能に気づいていたため自分が八一を育てることに気後れし、月光に弟子入りさせようと考えていたことを後に八一に明かす[注 8]。しかし、竜王戦で名人と激戦を繰り広げる八一を見ながら、月光に「今でも私に彼を預けようと思いますか?」と尋ねられた際には「自慢の息子です。誰にも渡すわけがない」と返している。
- 普段は割と常識人なのだが、将棋に関しては「八一との対局に負けた腹いせで、関西将棋会館の窓から放尿」「八一の竜王奪取記念で、旅館のロビーで裸踊り」「立会人であるにもかかわらず対局開始直前になってトイレに行き、その間に対局が始まってしまった挙句『走れメロス』のような半裸の格好で飛び込んできて即座につまみ出される」など、変人的な行動が目立つ。あいのことは孫のように可愛がっている。ソーシャルゲームにはまり、課金を重ねる一面もある[20]。
- 7巻にて、年齢による棋力の衰えを自覚したことでこれまでの将棋に対する姿勢を一新し、奨励会員からプロ棋士、さらにはJS研までといった幅広い人間を集めた革新的な研究会「清滝道場」を立ち上げている。
- 揮毫の文字は「俺の全盛期は明日[注 9]」。坂井十三九段を師に持ち、月光は兄弟子にあたる。
- 清滝 桂香(きよたき けいか)
- 声 - 茅野愛衣
- 清滝九段の一人娘。大阪府出身。名前の由来は桂馬と香車から。1991年11月9日生まれで第1巻時点では25歳で[21][22]、研修会C2クラスに在籍していた。
- 師匠の娘という立場もあって、八一・銀子が普段から何かと世話になっており、銀子が唯一心を開く人物(銀子曰く「銀は桂と香のとなりにいるから」[23])。八一曰く「隠れ巨乳」(スリーサイズは上から95・62・92)で、八一は何度となく男女の仲を目指してアプローチしているが、桂香からは弟扱いでまるで相手してもらえていない。
- 子供の頃に父から将棋を教えられたものの、一度将棋を嫌いになってやめ、将棋を本格的に始めたのが高校3年生からのため、弟子としては八一・銀子の妹弟子となる。今では初恋の相手が将棋であると語るほど、女流棋士となるため真摯に将棋に向き合っているが、成果を出せずに苦しむときもあった。
- 女流3級の資格を得られるC1クラスへの昇級がなかなか実現できず、そうこうしているうちに研修会の年齢制限が近づいてきていることに焦りを感じていた。マイナビ女子オープンチャレンジマッチでは1回戦で焙烙に惨敗。誰もが勝つことは不可能と思う中で敗者復活戦に臨んだが、奇跡的な連勝により決勝に進出。その決勝では粥新田に投了寸前まで追い詰められるが、そこで粥新田がありえないような反則を犯し[注 10]、ほとんどラッキーパンチで一斉予選進出を決めた。予選決勝で研修会で親しかった香酔千と対戦し、泣きながら彼女の夢を断ち切ると共に自らの夢の実現に近づく。本戦1回戦の釈迦堂里奈との戦いでは、竜王戦の3連敗で精神的に追い詰められた八一に自分が対局する姿を見てほしいと語って臨み、凄絶な勝利を収めて八一に大きな感動と勇気を与えた。マイナビ女子オープンのベスト8入りしたことで女流棋士としての申請を行っており、第6巻時点では女流3級。[注 11]
- 作者自ら「私の全てを背負ってもらいました」と語るほど[24]思い入れの深いキャラ。モデルは女流棋士の飯野愛であることが明らかにされている[25]。
- 夜叉神 天衣(やしゃじん あい)
- 声 - 佐倉綾音
- 第2巻より登場する「もう一人のあい」。2007年12月10日生まれで初登場時点では9歳[26]。神戸市の豪邸に祖父の弘天(元博徒で現在は実業家)と暮らしている。JS研のメンバーからは(あいとの区別のため)「天ちゃん(てんちゃん)」と呼ばれている[27]。
- 父親は元アマチュア名人、母親も大学時代将棋部に在籍しており、将棋が縁で結婚したという家庭のため幼少時から将棋に親しんできた。その両親が事故で亡くなり祖父の元に引き取られたが、祖父に甘やかされて育ったため、典型的な「高飛車なお嬢様」キャラとなってしまった。
- 元々は月光の門下だったが、月光から「研修会に入会するまで」という条件で八一に預けられ、最終的に八一自ら弟子に取ることを決意する。実は元々八一とも浅からぬ縁があったことが後に判明する。棋風は徹底的な受け将棋。好きな戦法は後手番一手損角換わりで、研修会で桂香に指された時は逆上してしまうほど思い入れがある。
- マイナビ女子オープンでは鹿路庭などの女流棋士多数を撃破して本戦ベスト8に進出、桂香と共に女流3級の申請資格を得たが、この時点では申請は行わず。後に研修会C1クラスに上がり、あいに若干遅れて女流2級でプロ入りした。とはいえ、誕生日の関係で史上最年少女流棋士の記録はあい(10歳1か月)ではなく天衣(10歳0か月)のものとなった。メディアからは「神戸のシンデレラ」の異名で呼ばれている。第8巻では本戦トーナメント決勝(挑戦者決定戦)に進出し、女流初段に昇段した。さらに決勝で供御飯万智を破り、女王挑戦者となったことで女流二段に昇段した。銀子との五番勝負では3連敗でタイトル獲得はならなかったものの、人間的に大きく成長する結果となった。
- 普段の言動はお嬢様そのものだが、その言動の裏には八一や清滝一門への思いやりが非常にこもっている。しかし、それを指摘されると恥ずかしがって否定する(いわゆるツンデレ)。女流棋士デビュー後は、指導対局や聞き手の仕事において、大人のプロ棋士・女流棋士にも引けを取らない力をみせる(その際、「お嬢様」な言動はおくびにも出さない)。
- 祖父により、「天衣が悲しい顔をするから」と、父親の使っていた将棋盤・駒、父親の書いた棋譜などを死後全て処分されてしまっていたが、鏡州らの伝手を使って探し出した父親の筆跡(棋譜)を使った将棋駒を八一からプレゼントされると、それまで内に秘めていた父親への想いが弾け号泣してしまった。
- いわゆる歴女の一面があり、人間将棋企画の下見のため関ヶ原古戦場跡を訪れたときは大谷吉継好きであることが判明した。また徳川家康については、島津に打ち倒されれば良いと思うほど嫌い[28]。
JS研
八一のアパートに集まる女子小学生たちによる研究会。第2巻特装版のドラマCDでは、「JS将棋アイドルユニット」の結成を将棋連盟の上層部から命じられ、「なにわ筋将棋通り」のグループ名でイベント等に登場している。
- 雛鶴 あい(ひなつる あい)
- #雛鶴あい参照。
- 水越 澪(みずこし みお)
- 声 - 久保ユリカ
- あいが初めて棋友となった、元気いっぱいでショートヘアの女の子。2007年8月24日生まれ[29]。あいが大阪に転校してきてからは小学校も同じクラスとなった。JS研ではリーダー格。親が薬品関係の仕事をしている模様。
- 研修会E1クラス在籍。暮坂七段の門下生であり、戦型は居飛車、振り飛車ともにこなすオールラウンダー[30]。
- やや舌足らずな所があり、自分の名前を「みじゅこし」や、九頭竜を「くずぬー」、九頭竜八一を「くじゅりゅー」と発音してしまう。夏休みに自転車で琵琶湖を一周したことが自慢。
- あいと天衣がそろって女流棋士になったことを機に、自らも女流棋士を目指すことを八一に告げた。
- 貞任 綾乃(さだとう あやの)
- 声 - 橋本ちなみ
- 京都府京都市出身のお嬢様風のキャラでJS研では参謀格。2007年12月3日生まれ[31]。シャルロットの保護者役。
- 研修会F1クラス在籍。加悦奥大成七段の門下生であり、供御飯万智の妹弟子にあたる。
- あいの研修会入会試験で一番手に平手で戦い、34手という短手数で詰まされる。
- 姉弟子の供御飯から腐女子属性を仕込まれたらしく、特別編では薄い本を関ヶ原に持ち込み、大谷吉継と石田三成の関係について天衣と激論となった[32]。
- シャルロット・イゾアール
- 声 - 小倉唯
- 第1巻時点では6歳。京都のフランス人学校に通っている。漫画『NARUTO』を読んで将棋に興味を持ち、京都市内で加悦奥七段が開く将棋教室に通うようになった(実際のところ、最初は単なる迷子だったらしい[27])。朝食は納豆派。まだ研修会には入会しておらず、腕前はアマチュア1級[27]。
- まだ幼いせいか舌足らずで、八一のことを「ちちょ(師匠)」と呼ぶほか、自分の名前も「しゃうおっとぃずぁーう」としか発音できない。一人称は「しゃう」で、周囲からは「シャルちゃん」と呼ばれている。八一への弟子入りを希望したところ、「棋力不足」と判断され弟子入りを認められず泣きそうになったが、シャルロットを傷つけないように配慮したつもりの八一から「弟子の代わりにお嫁さんにしてあげる」と言われ、一転して喜んだ。この「八一のお嫁さん」設定はその後も生きているようで、一緒にお風呂に入ろうとしたりニコニコ生放送で八一の頬にキスをしたり結婚式では着物を着たいと述べたりと、幼いなりに八一の奥さんらしいことをしたがっている。さらには「新婚旅行として二人でユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に行く約束をした」ことを語っている[27][注 12]
- 特別編では関ヶ原で忍者姿の現地職員を見て「ねおしゃいたまでおーがにっくすしたべゆんだよ」と発言しており、『ニンジャスレイヤー』も好きである模様[32]。
棋士
- 神鍋 歩夢(かんなべ あゆむ)
- 声 - 岡本信彦
- 関東所属の将棋棋士。1998年6月6日生まれで第1巻時点では18歳[33]。段位は六段。竜王戦は6組、順位戦はB級2組。
- 八一とは幼少時からのライバルかつ親友と呼べる存在で、八一が小学生名人戦で優勝した時の準決勝で八一と対局した。棋士になってからはネットを通して八一と頻繁に研究会をしている。
- 初登場時は「帝位戦リーグ入り、年度の連勝賞と勝率一位賞が既に確定」など、八一とは対照的に好調を維持したまま、帝位戦紅白リーグの八一との対局に乗り込んできた。
- 中二病気質があり、自らを「ゴッドコルドレン」[注 13]、昼食によく注文する親子丼を「不死鳥(フェニックス)と聖卵(イースターエッグ)の混沌(ケイオス)」など、独特の用語で呼ぶ。対局中もその調子で喋りまくる。マントを身に着けて対局するなど、ファッションセンスも独特である。実家が葛飾区の豆腐屋で、かつつい最近まで高校生だったこともあり、夜になると眠くなりやすいため長時間の対局に弱い。上述の八一との対局では勝利を目前にしながらも泥臭く粘られ、結果としてこの弱点を突かれる形で負けたが、402手という戦後最長手数記録を八一と共に手にすることになった。
- 師匠は釈迦堂里奈女流名跡[注 14]。男性のプロ棋士が女流棋士を師匠に持つ珍しいパターンで、本人も「(師匠が)理想の女性」と公言している[34]。
- 棋士になってから3年目の竜王戦で、6組で優勝(5組昇級)後、挑戦者決定戦三番勝負まで進出するも、名人の巧みな将棋の前に二連敗し、惜しくも敗退する。初戦で敗れたときは、リップクリームを塗って身支度を整えてから投了したことが話題となった。その後の竜王戦の第4局では、ニコニコ生放送で解説を担当しながら立場を忘れて八一に声援を送る。
- 竜王にはなったものの順位戦ではなかなか昇級できていない八一とは対照的に、C級2組、C級1組ともに全勝で昇級しており、八一同様将来の名人候補と目されている。その成績の原動力は、順位戦のクラスが現代よりも重要視されていた時代をよく知る、師匠の指導方針によるものである。
- B級2組においても、9戦全勝をキープしたまま最終戦に臨む。しかしながら、その対局相手である清滝が見せた「オッサン流」の指し回しに翻弄され、順位戦における初黒星を喫したが、競争相手が敗れたことからB級1組へ昇級し、七段となった[注 15]。
- 久留野 義経(くるの よしつね)
- 声 - 間島淳司
- 研修会幹事のプロ棋士で、段位は七段。順位戦はB級1組。
- ≪久留野ワールド≫と呼ばれる独特の感性を持ち、他の棋士から怖れられる。本気の際はマイナスイオン発生装置など「対局七つ道具」と呼ばれる道具を用いる。
- あいの研修会入会試験で二番手として二枚落ちで指し、「この子の才能は研修会のレベルではない」と実力を認め投了。
- 月光 聖市(つきみつ せいいち)
- 声 - 速水奨
- 日本将棋連盟会長で、段位は九段。1967年4月4日生まれで第2巻時点で50歳[35]。史上2人目の中学生棋士。兵庫県神戸市出身。坂井十三九段を師に持ち、清滝鋼介にとっては兄弟子である。
- 十七世名人の有資格者、竜王戦1組以上22期、順位戦A級以上32期(第2巻現在も在籍中)、タイトル獲得計27期、一般棋戦優勝22回、という超一流棋士。20代で大病を患い失明したにも関わらず、50歳という年齢まで順位戦A級の地位などを維持している。将棋盤に駒を並べることが困難なため、対局の際は秘書がサポートにつく。また、著名な詰将棋作家でもあり、あいの誕生日には詰将棋を模したケーキを贈っている。
- 現名人が初の七冠を達成した前年、六冠を達成していた名人をフルセットの末に下して七冠達成を一年遅らせ、当時発生した阪神淡路大震災によって打ちひしがれた関西の人々に希望を与えた。かつて名人だったときに、アマ名人だった天衣の父親と角落ちの記念対局をしており、彼の実力を高く評価した。
- 通常は常識人として振る舞っているが、「『ひな鶴』での竜王戦の前夜祭を疑似結婚披露宴にすることを認める」「八一の竜王就位式で、あい・天衣・銀子の3人からの花束贈呈を用意し、八一に一人を選ばせようとする」など、八一が絡む案件について裏で仕掛け人となるようないたずら好きな面もある。
- 生石 充(おいし みつる)
- 声 - 興津和幸
- 段位は九段。1979年4月29日生まれで[36]、3巻時点で38歳[37]。現役のタイトルホルダー(玉将[注 14])で、順位戦A級在籍12期(在籍中)、竜王戦1組、タイトル獲得計6期というトップ棋士の一人。大の振り飛車党で、将棋界では「振り飛車党総裁」「捌きの巨匠(マエストロ)」の異名で知られる。
- 大阪・京橋で将棋道場を併設した銭湯『ゴキゲンの湯』を経営しているが、店を空けて護摩行などに出かけることが多く、店の運営は基本的に一人娘の飛鳥(あすか)に任せっ切り。
- 関西将棋会館に対局以外で顔を出さない一匹狼として知られていたが、銀子を高く評価しており共に研究会を行っている。さらに八一に振り飛車の「捌き」を教えた後は改めて八一の才能に驚嘆し、八一も研究会に誘うようになる。玉将戦の挑戦者となった於鬼頭曜の対策に悩んでいたところ、八一から研究の効率を上げるためソフトを使うことを勧められるが、コンピューターに詳しくないため渋っていた。ソフトを活用するようになってからは、振り飛車のみならず、居飛車も指すようになり、勝率も上がった。とはいえ、玉将は結局於鬼頭に奪取された。
- 山刀伐 尽(なたぎり じん)
- 声 - 津田健次郎
- 段位は八段。山形県出身。1978年7月17日生まれで[38]、3巻時点で38歳[37]。順位戦はA級、竜王戦は1組。八一のデビュー戦の相手で、結果は八一の負けとなった。
- デビュー戦での黒歴史級の敗北を含め2連敗を喫したことや、後述のオネエ疑惑からいろいろな意味で八一の苦手人物。
- 棋風はオールラウンダーで、異名は『両刀使い』。生石とは同世代で、生石曰く「俺達の世代じゃめちゃめちゃ弱かった」「あんな才能の無い奴」という遅咲きの棋士だが、徹底的な研究で現名人の研究パートナーとなり、トップ棋士の一人に上り詰めた。
- 対局中、急にオネエ口調になることがあるため、八一からは「そっちの意味でも『両刀使い』なのでは」と性癖を疑われている。家事全般が得意。
- 地方での出張将棋教室で鹿路庭珠代と出会い、一から将棋を教える。鹿路庭の上京の際も面倒を見ており、現在はマンションの隣同士の部屋に住んでいる(元々山刀伐が研究用に借りていた部屋に鹿路庭が住み着いた形)。鹿路庭が住み着いていることについては困っており、生石にも「関西の若手棋士で彼女を引き取ってくれそうな子はいないかい?」と相談している[39]。鹿路庭からは「ジンジン」と呼ばれている。
- 師匠は鬼首寿九段。
- 篠窪 大志(しのくぼ たいし)
- 段位は七段。初登場時点で23歳。
- 慶應大学を首席で卒業、テレビのニュース番組でもコメンテーターを務め、ファンの間では「王太子」の愛称で呼ばれるイケメンエリート。22歳で初タイトルとなる棋帝[注 14]を奪取するが、翌年の棋帝戦で名人に3連敗し奪われた。
- 名人と歩夢が対決した竜王戦挑戦者決定戦第1局では、ニコニコ生放送で解説を務めた。
- 名人
- 声 - 井上和彦
- タイトル獲得99期・永世六冠(共に第4巻時点)を誇り、棋士から「神」と呼ばれるほどの最強棋士。史上3人目の中学生棋士。山刀伐を研究パートナーとしている。
- 名人・玉座[注 14]・盤王[注 14]の3タイトルに加え、第4巻で棋帝を奪取し四冠を保持中。さらに竜王戦挑戦者決定三番勝負で歩夢を下し、タイトル100期・永世七冠を賭けて八一とのタイトル戦に駒を進めてきた。その竜王戦では当初3連勝と八一を圧倒するが、第四局の千日手指し直し局で敗北したのを期に4連敗を喫し、タイトル奪取に失敗している。
- 持ち時間の長い将棋では盤上真理を追究しようとする人物であり、そのため相手が悪手を指すと、自分が有利になるにもかかわらず露骨に落胆して苛立ちを見せる。
- 第5巻時点で未だ氏名並びに素顔は明らかにされていないが、「白髪交じりの中年男」「八王子の新興住宅地育ち」「娘が二人いる」[40]などの描写がある。
- アニメでは最終話で素顔が明らかになっており、指が震える描写も見られる。キャラクター原案のしらびによると「わざと資料を見ないで描き」[41]「似せるつもりはなかった」が「羽生みには勝てなかった」[42]という。
- 蔵王 達雄(ざおう たつお)
- 段位は九段。1937年11月15日生まれで[43]、第6巻時点で80歳という現役最年長棋士。タイトル獲得4期。日本将棋連盟関西本部総裁(蔵王のために作られた終身名誉職)を務める。順位戦はC級2組だが、高齢による棋力・体力の低下のため今期限りで現役を引退することを明らかにしている。『ナニワの帝王(ドン)』の異名を持ち、非常に酒に強い(指し初め式で清滝鋼介を潰すほど)。
- 詰将棋作家でもあり、さらには歌手デビューしたりプロレスの解説者をしたりと、多芸多才な人物。順位戦の最終局で八一と対局した際には八一の知らない古い定跡を巧みに使いこなし勝利し、未だ実力に衰えがない様子を見せた。
- 於鬼頭 曜(おきと よう)
- 帝位[注 14]のタイトルを持つ。順位戦はA級、竜王戦は1組。無口。2月13日生まれ[44]。北海道稚内市出身。
- 「コンピュータ将棋に負けた初めてのプロ棋士」として有名で、当時は将棋ファンから非常に叩かれた[45]。
- 過去に何らかの事件に巻き込まれたことが示唆されており、それによりタイトルもA級の地位も失い、プロ棋士としてのプライドも信用も失い命すらも失いかけたとされる。しかし多くの物を失った事で以前よりも遥かに強くなってA級の座に戻って来た。
- 転落後からは将棋ソフトのみを研究対象とし、復帰後の生石との順位戦ではコンピューターのような正確さで生石の変則手をたたきつぶした。
- 玉将戦で挑戦者となり、生石と七番勝負を戦い、奪取に成功する。ただ、生石の粘りが他の棋戦に影響しており、名人戦は挑戦権を獲得できず、それ以外のタイトル戦でも勝率が下がっている。
女流棋士
- 月夜見坂 燎(つきよみざか りょう)
- 声 - Machico[46]
- 女流玉将[注 14]。東京都調布市出身。1998年5月13日生まれ[47]。八一より2歳年長で、供御飯と同年である。
- 小学校5年生のときに小学生名人戦の決勝で八一に敗北し準優勝する。表彰式後、悔しさのあまり八一を殴っている。八一との再戦を期すが、八一が奨励会に入ったために叶わなかった。その後、女流棋士となるが、女流棋戦を休会して八一を追いかけるように中学2年生で奨励会5級となるも、翌年6級で退会。以後は女流棋士に復帰してタイトルも取るなど活躍しつつ、今も八一と公式戦で対局することを目指している。
- 防御不要の速攻を得意とし、通称「攻める大天使」。しゃべり方はヤンキー口調で、実際「単車は高校時代から乗っていた」が、当時運転免許を持っていなかった疑惑がある(少なくとも「今は持っている」とのこと)。なお、四輪の免許は持っていないと明言している。尾崎豊が好きで、自らの得意戦法の横歩取りを尾崎の歌に例えたりもしている[48]。
- 第2巻ではマイナビ女子オープンにて銀子に挑戦するが、3連敗で挑戦に失敗し、その結果八一に八つ当たりする。
- 第4巻のマイナビ女子オープンでは、前回挑戦者だったためシードで本戦出場し、一回戦であいと対局して才能の差を見せつける形で勝利する。その際、あいをこき下ろすだけでなく八一を侮辱するようなことを言うが、これは八一と対局できない鬱憤を八一の弟子にぶつけたもので、後に反省している。
- 八一の竜王防衛戦第4局の棋譜中継を見て、自分が八一に絶対に追いつけないことを自覚して涙する。
- 関東所属だが、用もないのに関西将棋会館の棋士室にいることが多く、単行本のエピローグは八一と月夜見坂・供御飯の3人の絡みとなるのが恒例。とはいえ、さすがに供御飯との対局が近づくと交流は控える。
- 供御飯 万智(くぐい まち)
- 声 - 千本木彩花
- 山城桜花[注 16]のタイトルホルダー。1998年4月17日生まれ[49]。京都府京都市出身。巨乳。
- 小学校5年生の時に小学生名人戦で準決勝に進むが、月夜見坂燎に敗れ涙を流す。しかし、八一に決勝を見るように誘われ、直後の決勝戦で八一が見せた独創的な将棋に魅了されるも、八一のような正棋士になる才能は自分にはないと自覚したため、女流棋士かつ観戦記者として少しでも八一の近くで彼の将棋を理解できる立場を目指した。第8巻での山城桜花タイトル防衛戦では挑戦者の月夜見坂に二勝一敗で勝ち越し、通算5期獲得により、永世称号であるクイーン山城桜花を獲得した。
- 戦型は穴熊囲いなどを得意とし、通称「嬲り殺しの万智」と呼ばれる。実家が京都の公家というお嬢様で、普段から京都弁丸出しのおっとりとした口調だが、一方で第2巻では「将棋盤の星の有無」を巡る口喧嘩で購入したばかりの新車を賭けるなど、勝負師としての大胆さを持ち合わせる。腐女子でもあるらしく、妹弟子の綾乃に薄い本を渡したりしている[32]。現役女子大生で文学部に在学中[50]。
- 八一をからかうような言動の裏には、小学生名人戦以来抱いている八一に対する強い執着があり、小悪魔的に八一を惑わしたり、観戦記者として八一の将棋を眺めていることが多い。天衣からは7巻で「八一の追っかけ」と評されている。あいの母の亜希奈は6巻で供御飯について「(八一に対して)執念のようなものを感じる」と述べており、娘にとって八一との関係で大きな障害になりえるとみなしている。
- 子供のころからのライバルである月夜見坂とは今も仲が良いが、月夜見坂とは違い奨励会に挑戦しなかったことに若干のコンプレックスを抱いている。
- 師匠は加悦奥大成七段。
- 鵠(くぐい)
- 供御飯が将棋の観戦記者を務める際のペンネーム。本格的に作中に登場するのは第4巻からだが、実は第1巻で既に登場している(八一対歩夢の帝位戦の観戦記)。本編で明言されたのは5巻であり、それまでは名前に読みもふられず、妹弟子のことなどから示唆されながらも同一人物と簡単には分からないように描かれた。関西では「鵠=供御飯」であることが知られているが、関東ではあまり浸透しておらず、 月夜見坂もそれを知った際に驚いていた[51]。観戦記者モードの際は普段の京都弁は鳴りを潜め、標準語で会話をすることが多い。
- マイナビ女子オープンのチャレンジマッチでは八一を隣に座らせ解説を依頼しながら「指し手の解説は自分でできるので」として、八一のコメントを省略・捏造[注 17]していた。
- 9巻では、「同門縛り[注 18]」によりマイナビ女子オープン五番勝負の聞き手になれなかったために観戦記者となったあいの師匠的存在となる。
- 釈迦堂 里奈(しゃかんど りな)
- 声 - 大原さやか
- 女流六段でタイトル獲得51期を誇る。神鍋歩夢の師匠。神奈川県鎌倉市出身。年齢不詳。
- 約20年間、女流名跡[注 14]のタイトルを保持している。女流四タイトルの永世位を獲得し、一時は全冠独占も達成したことから「永遠の女王“エターナルクイーン”」と呼ばれている。
- 一方で「シュネーヴィットヒェン(ドイツ語で『白雪姫』)」という独自のファッションブランドを率いており、原宿の通称『ブラームスの小径』沿いに、結婚式場やスタジオとしても使えるブティックを構える。生まれつき片足が不自由。
- 女流棋士会の会長を務めている。女流棋界を自ら育ててきたという自負を持つが、男性プロ棋士と比較して女流棋士が弱い現状を踏まえ、だからこそ心の強さが必要だと説く。銀子とはしばしば研究会を共にしており、彼女が女性初のプロ棋士になることを期待している。銀子に触発されて女性のプロ棋士が増えれば、結果として自身が心血を注いできた女流棋士制度が無くなっても構わないとすら思っており、「実力のない女流棋士は不要」とも発言している。
- 5巻で行われたマイナビ女子オープン本戦では初戦で桂香と対局。終盤までは圧倒的優位であったが、桂香の泥臭く凄絶な粘りによって逆転を許し敗北。投了の際、女流3級の申請資格を獲得した彼女を祝福した。
- 祭神 雷(さいのかみ いか)
- 声 - 戸松遥
- 女流帝位[注 14]のタイトルを持つ。岩手県奥州市出身。2000年4月9日生まれ[52]、4巻時点で17歳。通称「捌きのイカヅチ」。その異名通り、得意戦型は振り飛車。
- 自らの求めるもののためなら手段を選ばないエゴイストで、釈迦堂からは「魔物」と呼ばれその存在を疎まれている。
- 将棋の才覚には特筆すべきものがあり、女流枠で出場したテレビ棋戦では、僅か46手でベテランプロ棋士を撃破したのをはじめ並み居るプロ棋士から勝利を挙げるなど、才能だけなら空銀子すら上回ると自他ともに認める実力の持ち主[注 19]。女流棋戦に満足できなくなり、女性初のプロ棋士になると明言している。
- 八一とはネット将棋で知り合い、後に東京で会ったときに将棋を指すようになる。八一も彼女の才能は認めているが、強くなることにこだわるあまり自分とだけ将棋を指すように強要するなどの偏執狂的な言動[注 20]に恐れを感じ、距離を置くようになった。さらにはストーカーのような行動をするようになったため、将棋連盟の理事会が介入し八一との接触を差し止められたが、マイナビ女子オープンチャレンジマッチの日に再び八一の前に姿を現わす。
- その後、一斉予選決勝であいと対戦。常に八一のそばにいて将棋を指せるあいに対し私怨剥きだしの盤外戦術などで追い込んでいくが、あいの才能に上回られた末に形勢逆転を許し、敗北した。
- 鹿路庭 珠代(ろくろば たまよ)
- 声 - M・A・O
- 関東所属の女流二段。静岡県沼津市出身。1997年2月14日生まれで4巻時点で20歳[53]。通称は「たまよん」。
- 現役の女子大生でルックスもよく、かつ巨乳であることから、ニコニコ生放送では「彼女が聞き手を務めると視聴者数が10万人増える」と言われるほどで、現役の女流棋士では銀子に次ぐ人気を誇る。一方で彼女が参加した研究会が長続きしないことから、棋士の間では「研究会クラッシャー」と呼ばれている。前述の通り山刀伐と隣同士の部屋に住んでおり、家事はほぼ山刀伐に任せっきりで山刀伐を「ジンジン」と呼ぶほど親しい仲ながらも、それを知った八一から「結婚しそう」と言われた際には、二人そろって即座に素のリアクションで否定しているという友人のような間柄。
- 明るく前向きな言動を心掛けているが怒ると棘のある口調に代わるなど裏表の激しい性格の持ち主でもある。一方で本来の彼女は勝気でプライドは高いものの、大切なことのために本気で頑張れる女性であり、特に将棋に対する思いは本物である。
- 彼女なりに女流棋士の活動に誠意をもって携わっており、プロ棋士の研究会に参加するのも強くなりたいという思いからだが、その恵まれた容姿ゆえに逆にその努力がなかなか理解されないことに不満を持っている。棋士の世界に入るまでは将棋の強さで地元でも有名人扱いであり彼女自身も自分は神に選ばれた才能の持ち主だと自負していたが、棋士の世界では自分は大したことがないと自覚させられてしまう。常人であれば挫ける状況の中、ただの客寄せの女性扱いされたくないという思いから多くの強者と練習するため数多くの研究会に参加しているが、勝負の際は珠代の巨乳が丸見えに近い状態であるため相手が勝負に専念できないことが災いし、最終的には数多くの研究会を崩壊させてしまう結果となってしまった[注 21]。相手がプロであっても物怖じせず教えを請うなど彼女なりに本気の努力を費やしているが、周囲からは婚活状態にしか映らないなど将棋の世界独特の価値観に甘んじない姿勢が周囲から孤立する原因となっている。
- 棋帝戦のニコニコ生放送で八一の聞き手を務め、八一とも研究会がしたいと申し出る。あいは鹿路庭の言動が八一を誘惑していると解釈し、強い不快感を持った。
- マイナビ女子オープンの予選決勝で天衣と対局する。当初は自分を軽んじる天衣の態度に憤りを隠さなかったが、対局後は天衣の裏表のない言葉にむしろ好感を抱いた。
- 師匠はブルーノ・レドモンド九段。
- 花立 薊(はなだち あざみ)
- 女流五段。茨城県出身。理論と勝負勘を掛け合わせた合理的な戦術で感想戦は殆ど行わない事と、嘗てあった何者も寄せ付けない雰囲気及び出身地から、現在はそう呼ばれる事はあまりないが「茨姫」の異名で呼ばれていた。
- マイナビ女子オープンが創設されたその年に優勝し、初代女王となる。その後女流玉座も獲得し、釈迦堂の後に女流棋界を引っ張る存在と嘱望されたが、後に当時11歳の銀子にストレート(3連敗)で敗れてどちらも奪取され、無冠となる。その後は銀子に勝つ事を目指し、彼女のスタイルや外見を真似ていたが、それで体と心の均衡を崩し、師匠に止められる。それでも「銀子になる事」を止められなかったが、後に夫となるプロ棋士に「たとえ将棋をしていなくても、僕は君自身が好きだ」と言われて自分の過ちに気付く。その後は出産と育児の為に長期休場を繰り返しているが、その生活の中で新たなスタイルを開花し、5巻で行われた女流玉座戦では挑戦者となる。やはり銀子にはストレートで敗れ、挑戦失敗したが、一時的に銀子を追い込み焦らせる事には成功し、「以前よりは良い将棋をさせた」と満足していた。スランプに陥った天衣を見た八一が彼女を紹介し、自身の経験を踏まえて天衣にアドバイスを送る。
- 嘗ては「姫」の異名に相応しくスレンダーな体型だったが、現在は二人の子をもうけて外見も「肝っ玉母さん」に相応しい、ややふくよかなものになっている。
- 焙烙 和美(ほうらく かずみ)
- 声 - 渡邉佳美
- 女流三段。群馬県出身。将棋は荒く、勝つときはすごい勢いで勝つが、負けるときはすごい勢いで自爆することから「群馬の爆弾」「自爆女」と呼ばれている。A級八段のプロ棋士にも勝利したことがある。マイナビ女子オープンチャレンジマッチ一回戦で桂香と対局する。
- 一斉予選1回戦で雷と対局。遅刻して時間を減らされた上に初手にムダ手を指すという雷の態度に激昂するも、その圧倒的優位の立場にもかかわらず敗北。ショックのあまり、その場で泣き崩れた。
- 杓子 巴(しゃくし ともえ)
- 女流二段。高知県出身。三十代。マイナビ女子オープンチャレンジマッチ一回戦であいと対局する。
- 左右口 翠(うばぐち みどり)
- 女流三段。山梨県出身。34歳。居飛車党である。マイナビ女子オープン一回戦で天衣と対局する。
- 粥新田 麗(かゆにた れい)
- 女流三段。タイトル挑戦経験もある。マイナビ女子オープンチャレンジマッチ四回戦で天衣と、敗者復活最終戦では桂香と対局する。
- 旗立 朝日(はたたち あさひ)
- 女流1級。現役東大生で将棋を始めたのは高校からと晩学派である。マイナビ女子オープン予選一回戦であいと対局する。
- 鞨鼓林 すゞ(かっこばやし すず)
- 女流五段。67歳。マイナビ女子オープン出場者では最年長。予選一回戦で天衣と対局する。ベテランゆえに投げっぷりがよい。
- 香酔 千(こうずい せん)
- 女流3級。奈良県出身で27歳。桂香のかつての修行仲間であるが、女流3級になると同時に関東に移籍した。しかし移籍後は敗戦続きで、女流2級への昇級が果たせないまま2年間の期限が切れようとしていた。
- マイナビ女子オープン予選決勝で桂香と対局するが、同じ立場の桂香に勝利する為に自分の戦法を曲げてまで打った一手が結果的に敗着となった。対局後、桂香に自分の夢を託して女流棋士を引退[注 22]。その後は指導棋士の資格を取って故郷で子供達に将棋を教えている。
奨励会員
- 鏡州 飛馬(かがみず ひうま)
- 第6巻時点で29歳。奨励会三段。奨励会員ながら新人戦[注 23]で優勝した経験がある。
- 三段になったのは八一よりも早かったものの、未だに三段リーグを抜けられていない。奨励会の年齢制限(26歳)を超過しているが、「勝ち越し延長」で残留している。
- 八一曰く「奨励会で一番お世話になった人」で、関西将棋会館でのルールは全て鏡州に教わったという。
- 長年奨励会にいる関係で、アマチュア棋戦にも多く関わっており、天衣の父親とも親しかった。天衣に贈られた天衣の父親の書体の駒は、鏡州が苦労して集めた生前の手書きの棋譜から書体を起こしたものである。
- 椚 創多(くぬぎ そうた)
- 第6巻時点で11歳(小学5年生)。2006年7月19日生まれ[54]。第4巻では奨励会初段、6巻では二段、7巻では三段。奈良県生駒市出身。
- 昇段が驚異的に速く、史上5人目の中学生棋士どころか、史上初の小学生棋士になる可能性すらあると言われ、傲岸不遜な天衣をして「化け物」と言わしめた恐るべき才能の持ち主。あいが八一と同居する前に八一のアパートをたまり場にしていた若手の一人で、八一のことを非常に尊敬し慕っている。
- 年相応に可愛らしい顔つきをしているが、天衣との対局ではそこからは想像できないような毒を吐いたほか、対局前の誘導尋問で、本来ミスとしか思われず警戒される「初手3八金」をただの挑発に見せかけるなど、小学生とは思えない狡猾さを見せる。
- 第6巻では互いの昇段をかけ銀子と対局する。創多が勝てば史上初の「小学生の奨励会三段」、銀子が勝てばやはり史上初の「女性の奨励会三段」が誕生する注目の一戦で、終始優位に対局を進めたのは創多だったが、苦し紛れに指した銀子の一手により逆転負けを喫した。しかしその後昇段を果たし小学生にして三段となる。
- マイナビ女子オープン五番勝負の第三局では記録係を務めたが、検分の時にマスコミに対し、「次は銀子に普通に勝てる」と銀子が近くにいるにもかかわらず言い放っている。「頭の中に将棋盤が浮かばない」「読み筋が符号で浮かぶ」など、まるでコンピューターそのものであるかのような人物。銀子との対戦の後にそう発言し、勝利した銀子を恐怖のどん底に陥れた。
- セリフにハートマークが多い(特に八一に対し)。
- 辛香 将司(からこ しょうじ)
- 元奨励会三段。生石とは奨励会の同期で、14歳にして三段まで昇段したものの、三段リーグを抜けられず退会した。
- その後アマチュア三冠を達成し、奨励会編入試験の資格を得る。銀子が試験官となったその対局に勝利し、再び奨励会三段に復帰した。
- 奨励会退会時に贈られた「退会駒」をアマチュアの間ずっと使い続け、編入試験の時にも使いたいと申し出た。
- 登龍 花蓮(のぼりょう かれん)
- 関東所属の女性奨励会員で、第5巻では2級、第9巻では1級。高校生。一人称は「僕」。八一の視点では「健康的な美少女」である。東京都八丈島出身。
- マイナビ女子オープン本戦1回戦で天衣と対局するも、奨励会員にまともに挑むのは不利と見た天衣が敢えて上座に座るという挑発を試みたことに気分を害し、「僕の席がありません」と不満をあらわにする。結局天衣の思惑通り挑発に乗って平静を失い、実力を発揮できずに敗れる。しかしその後すぐに奨励会で昇級し、女性としては銀子以来二人目の奨励会1級となる。マイナビ女子オープン五番勝負第二局では志願して記録係を務め、第三局は自宅で観戦していた。
- 女流棋士ではなく奨励会を選んだのは、2歳年下の銀子の後を追ったからである。銀子のことは「空先生」と呼び心から尊敬している一方、女流棋士のことは「しょせんはアマチュア」と見下している。
その他
- 雛鶴 亜希奈(ひなつる あきな)
- 声 - 堀江美都子
- あいの母親で、温泉旅館『ひな鶴』の女将。第5巻時点で33歳。あいを八一の内弟子とすることに猛反対し、あいが将棋の修業を続ける条件として「研修会の入会試験で、対局に3連勝する」という厳しい条件を突きつけた。最終的に弟子入りを認めた後も、あいが中学卒業までに女流タイトルを取れなかったら「あいが女流棋士になっていても引退させ、女将としての教育を再開」+「八一が『ひな鶴』に婿入りして旅館の経営を学ぶ」という条件を出すなど、とにかく『ひな鶴』の経営が第一という姿勢を崩さない人物。
- 高校生の時に『ひな鶴』に一時的に派遣されて過労で倒れた隆を看病し、直後に結婚を申し込む。隆に断られると高校を中退して家出し、隆を追って大阪に向かい、押しかける形で同居して最終的に結婚する。あいはこの経緯を聞いて非常に感動しており、あいの行動力と押しの強さを形成する上で亜希奈の影響が極めて大きいことが伺える。
- 当初は将棋を嫌っており、あいが女流棋士を目指すことにも反対していたが、許した後は将棋について理解を深めるようになり、対局に使われていた『ひな鶴』の一室をより対局と中継に適した部屋に改修するなど、娘のみならず将棋界にも協力的な姿勢を示すようになる。
- 第5巻では、あいと八一を確実にくっつける目的で八一の父親や兄を『ひな鶴』で雇い入れていることが判明するなど、搦手からの策も立案・実行する策士の一面が明らかになった。また第6巻では、あいとのSkypeにおいて、母親という立場ながらあいにいろいろ危ないアドバイスをしている。
- 雛鶴 隆(ひなつる たかし)
- 声 - 水木一郎
- あいの父親。『ひな鶴』では板前を務めている。妻の亜希奈は8歳年下だが、婿養子であることに加え亜希奈の性格のゆえに頭が上がらない。八一にあいを預ける際には「棋士になれなくてもいい。将棋を学んで人生の名人になりなさい」とあいを諭すなど、性格は温和な常識人。
- 元々は大阪(法善寺横丁)の割烹料亭で板前の修行を積んでいたが、25歳のときに当時板前不足に悩まされていた『ひな鶴』から板前の派遣要請を受け、半年限りの約束で『ひな鶴』に移る。ところが、あまりの人手不足で初日からいきなり板長を任せられてしまうほどの状況であり、数ヶ月後に過労で倒れてしまう。上記の通り亜希奈の介抱を受け(隆曰く「捕まった」)、なんとか契約期間を勤め上げ大阪に戻るものの、結局は亜希奈に押しかけられ結婚に至った。現在も修行時にお世話になった料亭に助っ人に駆けつけることがあり、第7巻では法善寺横丁で泥酔した清滝九段にたまたま出くわし介抱する一幕もあった。
- プロフィールによると、好きなものは妻と娘だが、苦手なものも妻と娘である。
- 男鹿 ささり(おが ささり)
- 声 - 伊藤美来
- 元女流棋士(女流初段)で、現在は月光の秘書。第5巻時点で23歳。盲目の月光を補助すべく、連盟会長として処理すべき書類を代わりに処理しているため、将棋界のあらゆる事情に精通しており、付いたあだ名が『裏番長』。月光に恋愛感情を抱いており、月光が盲目なのをいいことにハワイではペアルックを着せたこともあるが、当の月光は「良い相手を探してあげなければなりませんね」と語るなど恋愛相手としては見ていない。
- 女流棋士デビューは中学1年生とかなり早かったが、学業とプロ棋士の両立がうまく行かず、現役生活わずか6年で引退(引退直前は女流1級)。引退に伴い女流初段となり、そのまま連盟に就職した経緯がある。
- 京都出身で、第8巻では地元開催である山城桜花戦(第2・3局)で記録係を務めた。元々祖父が京都のアマ棋界の重鎮で月光の後援会長も務めており、その縁でささりが生まれる際にも月光が出産に立ち会っていた。本人曰く「産湯の温度は忘れても、あの方の腕の温もりは決して忘れることはありません」「ああ…私はこの人に抱かれるために、この世に生を受けたのだな♡」とのこと(それを聞いた八一は、ささりを「生まれつきの変態」と評した)[55]。
- 夜叉神 弘天(やしゃじん こうてん)
- 声 - 津田英三
- 天衣の父方の祖父。
- 元は神戸を拠点にした博徒で、現在は引退しているが多方面に渡り事業を展開する資産家。
- 息子と嫁を交通事故で一度に失い、残された孫の天衣を引き取る。
- 天衣のことは溺愛しているが、それゆえにどうしても甘やかしてしまい、自身も将棋に詳しくないため天衣をどのように指導すべきか分からず、紆余曲折を経て八一に天衣を託すことになる。
- 池田 晶(いけだ あきら)
- 声 - 諏訪彩花
- 天衣のお付の女性。第2巻時点で20歳。基本的にいつも黒スーツ姿で、天衣の外出時にはほぼ必ず同行する。
- 登場当初は将棋の駒の動かし方を覚えられなかった。特に銀の動きが覚えられず、作中でも幼稚園児相手に銀を真後ろに動かして反則負けを喫している。
- とにかく天衣が第一という姿勢から、天衣が女流棋士デビューすると本人に内緒で応援団を作っており、関西将棋会館の将棋道場にいる男性陣を勝手に集めている。
- 弘天の経営する会社の社員でもあり、平日昼間(天衣が小学校に通っている間)など天衣に付き添えない時間はそちらで働いている。特別編では、グループ会社で主にスマホゲームを扱う「YMMオンライン」に勤務しており(主に「約束を守らせたり資金を回収したり」する担当)、八一とともに天衣の幼少期を元ネタとしたゲーム『天衣ドルマスター(仮)』を開発した(が、天衣のダメ出しでリリース前にお蔵入りとなってしまった)[56]。
- 生石 飛鳥(おいし あすか)
- 声 - 篠田みなみ
- 生石充の娘で、家業の銭湯を手伝っている。第3巻時点で17歳。八一と同年齢のため、幼女以外で八一が敬語を使わない、作中で数少ない女性の一人。普段は体操着で、前髪で目が隠れている。巨乳。
- 引っ込み思案な性格なのか無口だが、男女混浴の年齢基準に話が及ぶと饒舌になるという一面もある。『ゴキゲンの湯』で入浴中の八一に将棋の教えを乞うたときには、背中を流すという大胆な行動に出る。
- 父と同様に将棋に関わる仕事をしたいと志していたが、生石は飛鳥に才能がないと判断したため、飛鳥に将棋の勉強をさせなかった。しかし『ゴキゲンの湯』の客たちから密かに中飛車について学んでおり、父に自分の願いを打ち明けたところ、八一と一緒に振り飛車の修行をしているあいに将棋で勝ったら許すと言われる。あいとの対局では中飛車に対する自分の情熱を表現する熱い戦いを見せ、あいがまだ振り飛車に慣れていないこともあったが勝利を収め、父から将棋の勉強をすることを認められた。
- 八一の竜王防衛戦第四局では、深夜に父と共に現地の大盤解説会場に姿を見せる。
- 本因坊 秀埋(ほんいんぼう しゅうまい)
- 囲碁棋士。本名は天辻埋(てんつじ うず)。女性ながら二十代で本因坊のタイトルを獲得しており(「本因坊秀埋」は本因坊としての雅号)、『シューマイ先生』の愛称で人気があるが、一方で非常に酒乱で、酔うと放送禁止用語を連発する困った一面がある。中国の国家主席との面会でも泥酔しており、卑猥な質問をして問題になったとされている。
- 将棋盤や碁盤を作る職人(盤師)でもあり、盤に線を引く際に日本刀を用いる「太刀盛り」と呼ばれる技法の使い手。普段は「テレビ棋戦の対局中ですら酔ったまま」というぐらい常時酒を飲んでいるが、太刀盛りを行うときだけはさすがに酒を抜く。
- 銀子に対し、身体的に不利な女性が強くなることの重要性を力説するが、泥酔しながらであったため、強くなるためには異性との肉体関係が必要だ、という趣旨のとんでもないことを口走り、銀子にショックを与える。
- 酒を飲んでいないときは上品な淑女で、言葉遣いも丁寧であるが、泥酔時の自身の言動についての記憶も忘れるらしく、上記の主張を八一に問われたときは「バカバカしい」とあっさり否定しており、外ならぬ自分の発言であることを全く覚えていなかった。
- 第9巻で行われたマイナビ女子オープンの女王戦五番勝負では、銀子と天衣の対決になった事を聞き、自身が丹精込めて作った将棋盤を贈る。これが第一局で使用されるが、皮肉にもそれが天衣のスランプの遠因となってしまう。
- 竹内 美羽(たけうち みはね)[注 24]
- 声 - 原田彩楓
- あいと澪のクラスメートで、原作では苗字は不明。
- 小学生ながらませた考えの持ち主で、クラス内では発言力がある。
- あいに隠し事をしている八一について「女を作っている」と決めつけてあいを苛立たせ、あいの強烈な眼光に恐怖して失禁する。
- しかし後にあいと親交を深め、八一に対し自分から積極的な行動を起こせないと悩むあいに、八一がロリコンという前提で対応策が載っている雑誌を紹介する。あいがその策を実行したことは、八一に少なからぬ影響を及ぼした。
- 「男はみんな子供」と断言し、自身も大学生の家庭教師と交際していると主張するが、実際にはその相手はただの家庭教師でしかなく、完全に子ども扱いされている。
- 鬼沢 談(おにざわ だん)
- 官能小説作家。SM小説の巨匠で、アマチュア棋士でもある。
- 元は小学校の教員だったが、作家として成功してからは愛棋家として棋士や奨励会員を支援しており、頻繁に指導対局を依頼している。
- そのため、駒落ち将棋の下手として長年経験を積んでおり、「上手殺しの鬼」と呼ばれている。
- 指導対局のため自邸に八一とあいを招き、あいの才能を高く評価するも、成長のためにはライバルの存在が必要だと八一に指摘する。
- 天衣の祖父・弘天とも親交がある。
書誌情報
小説
西遊棋が監修としてクレジットされている。
- 『りゅうおうのおしごと! 1』 2015年9月12日発売、ISBN 978-4-7973-8484-0
- 『りゅうおうのおしごと! 2』 2016年1月15日発売、ISBN 978-4-7973-8676-9
- 『りゅうおうのおしごと! 2 ドラマCD付き特装版』 2016年1月15日発売、ISBN 978-4-7973-8490-1
- 『りゅうおうのおしごと! 3』 2016年5月14日発売、ISBN 978-4-7973-8817-6
- 『りゅうおうのおしごと! 4』 2016年9月15日発売、ISBN 978-4-7973-8676-9
- 『りゅうおうのおしごと! 4 ドラマCD付き特装版』 2016年9月15日発売、ISBN 978-4-7973-8819-0
- 『りゅうおうのおしごと! 5』 2017年2月13日発売、ISBN 978-4-7973-9009-4
- 『りゅうおうのおしごと! 5 小冊子付き特装版』 2017年2月13日発売、ISBN 978-4-7973-9010-0
- 『りゅうおうのおしごと! 6』 2017年7月14日発売、ISBN 978-4-7973-9189-3
- 『りゅうおうのおしごと! 6 ドラマCD付き限定特装版』 2017年7月14日発売、ISBN 978-4-7973-9190-9
- 『りゅうおうのおしごと! 7』 2018年1月15日発売、ISBN 978-4-7973-9550-1
- 『りゅうおうのおしごと! 7 ドラマCD付き限定特装版』 2018年1月15日発売、ISBN 978-4-7973-9429-0
- 『りゅうおうのおしごと!8』 2018年3月15日発売、ISBN 978-4-7973-9592-1
- 『りゅうおうのおしごと!9』 2018年8月10日発売、ISBN 978-4-7973-9627-0
- 『りゅうおうのおしごと! 9 ドラマCD付き限定特装版』 2018年8月10日発売、ISBN 978-4-7973-9626-3
漫画
『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)2015年20号より、漫画版の連載が開始されている。構成:カズキ、作画:こげたおこげ。同誌の『ガンガンONLINE』でも第1話と最新話が閲覧可能。
- 2016年1月13日発売、ISBN 978-4-7575-4856-5
- 2016年5月12日発売、ISBN 978-4-7575-4992-0
- 2016年9月13日発売、ISBN 978-4-7575-5071-1
- 2017年2月13日発売、ISBN 978-4-7575-5243-2
- 2017年7月13日発売、ISBN 978-4-7575-5400-9
- 2017年12月25日発売、ISBN 978-4-7575-5562-4
- 2018年3月13日発売、ISBN 978-4-7575-5652-2
- 2018年8月8日発売、ISBN 978-4-7575-5802-1
外国語版
- 中国語版
- 台湾の東立出版社が2016年6月より『龍王的工作!』の題名で中国語版を出版している[57]。2018年5月現在原作は第5巻まで発売されているほか、漫画版も第2巻が刊行されている。
- 韓国語版
- 韓国では『용왕이 하는 일!』(竜王がする仕事)の題名で、ノベルエンジンが2017年5月より韓国語版を出版している。
- 英語版
- KADOKAWA系の電子書籍サービス『BOOK☆WALKER』の英語版サイト『BookWalker Global』が、2017年7月に英語版の独占出版権を獲得したことを発表した[58]。英語版のタイトルは『The Ryuo’s Work is Never Done!』で[58]、2017年10月25日に第1巻が発売された。
- タイ語版
- 2017年12月に発売がアナウンスされ[59]、2018年3月に第1巻が発売された[60]。
社会的評価
- 『このライトノベルがすごい!』では、2016年版で総合26位(新作部門8位)にランクインし、2017年版・2018年版と文庫部門2連覇を達成している。
- 2016年7月には第28回将棋ペンクラブ大賞で文芸部門優秀賞を受賞した[61]。
- 累計部数は2016年5月に15万部[62]、2016年11月には30万部を突破[63][64][65]。2017年7月には累計50万部以上[66]、2017年12月には100万部突破が発表された[67]。
- アニメ化の影響もあり、オリコンの2018年上半期本ランキングではライトノベル部門3位[68]、BOOK☆WALKERの2018年上半期電子書籍総合ランキングでは9位にランクインした[69]。
テレビアニメ
2017年7月11日にテレビアニメ化されることが報じられ[70]、2018年1月から同年3月まで放送された[71]。原作第5巻までのエピソードを全12話でアニメ化しているが、一部は省略されている。
スタッフ
- 原作 - 白鳥士郎[71]
- キャラクター原案 - しらび[71]
- 監督 - 柳伸亮[71]
- シリーズ構成 - 志茂文彦[71]
- キャラクターデザイン - 矢野茜[71]
- プロップデザイン - 北山景子
- アクション監修 - 松原一之
- 美術監督 - 里見篤[71]
- 美術設定 - 袈裟丸絵美
- 色彩設計 - 鈴木ようこ
- CGラインディレクター - 斎藤威志
- 撮影監督 - 川田哲矢[71]
- 編集 - 渡邊千波
- 音響監督 - 本山哲[71]
- 音響制作 - マジックカプセル
- 音楽 - 川井憲次[71]
- 音楽制作 - 日本コロムビア[71]
- 音楽プロデューサー - 穴井健太郎
- チーフプロデューサー - 八木仁、宮崎誠司、轟豊太
- プロデューサー - 山崎史紀、佐藤文和、飯塚彩、塩谷佳之、小澤文啓、大森慎司、國光聡一郎
- アニメーションプロデューサー - 糀谷智司
- プロデュース - DREAM SHIFT
- アニメーション制作 - project No.9[71]
- アニメ将棋監修 - 野月浩貴[72]
- 製作 - りゅうおうのおしごと!製作委員会
主題歌
- オープニングテーマ「コレカラ」[71]
- 作詞 - 森由里子 / 作曲・編曲 - 馬渕直純 / 歌 - Machico
- 第1話・第12話ではエンディング位置で使用。第3話ではオープニングとエンディングで使用。
- エンディングテーマ
-
- 「守りたいもののために」(第2話、第4話 - 第6話、第8話 - 第11話)[71]
- 作詞・作曲 - 金子麻友美 / 編曲 - 水口浩次 / 歌 - 伊藤美来
- 「あの日の夢」(第7話)
- 作詞・作曲 - 金子麻友美 / 編曲 - 水口浩次 / 歌 - 伊藤美来
各話リスト
話数 | サブタイトル | シナリオ | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|
第一局 | 押しかけ弟子 | 志茂文彦 | 柳伸亮 | 朝倉カイト |
| 矢野茜 |
第二局 | 弟子のいる日常 | 朝倉カイト | 篠崎康行 |
| 谷口元浩 | |
第三局 | 研修会試験 | 金子祐介 | おくむらよしあき | 伊藤浩 |
| 矢野茜 |
第四局 | もう一人のあい | 志茂文彦 | 島津裕行 | 松本マサユキ |
| 谷口元浩 |
第五局 | 天衣無縫 | 朝倉カイト | しぎのあきら |
| 矢野茜 | |
第六局 | オールラウンダー | 福島利規 | 篠崎康行 |
| 谷口元浩 | |
第七局 | 十才のわたしへ | 朝倉カイト |
| 矢野茜 | ||
第八局 | はじめての大会 | 島津裕行 | しぎのあきら |
|
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第九局 | 八月一日 | 杉澤悟 | 佐藤篤志 |
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第十局 | スピニングドラゴン | 志茂文彦 | いわたかずや | 羽多野浩平 |
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第十一局 | 寿 | おくむらよしあき | 佐々木純人 |
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第十二局 | 最後の審判 | 朝倉カイト | 松本マサユキ |
| 矢野茜 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [74] | 備考 |
---|---|---|---|---|
2018年1月8日 - 3月26日 | 月曜 22:00 - 22:30 | AT-X | 日本全域 | CS放送 / リピート放送あり |
2018年1月9日 - 3月27日 | 火曜 0:30 - 1:00(月曜深夜) | TOKYO MX | 東京都 | |
KBS京都 | 京都府 | |||
サンテレビ | 兵庫県 | |||
BSフジ | 日本全域 | BS放送 / 『アニメギルド』枠 | ||
火曜 0:35 - 1:05(月曜深夜) | 三重テレビ | 三重県 |
配信期間 | 配信時間 | 配信サイト |
---|---|---|
2018年1月9日- 3月27日 | 火曜 0:30 - 1:00(月曜深夜) | AbemaTV |
2018年1月10日 - 3月28日 | 水曜 12:00 更新 |
|
水曜 23:00 - 23:30 | ニコニコ生放送 | |
2018年1月11日 - 3月28日 | 水曜 12:00(第1話は木曜) 更新 | バンダイチャンネル |
2018年1月11日 - 3月29日 | 木曜 0:00 更新 | |
2018年1月17日 - 4月4日 | 水曜 12:00 更新 | HAPPY!動画 |
BD
巻 | 発売日[75] | 収録話 | 規格品番 |
---|---|---|---|
1 | 2018年3月28日 | 第1話 - 第3話 | COXC-1221 |
2 | 2018年4月25日 | 第4話 - 第6話 | COXC-1222 |
3 | 2018年5月30日 | 第7話 - 第9話 | COXC-1223 |
4 | 2018年6月27日 | 第10話 - 第12話 | COXC-1224 |
関連番組
ラジオ番組『内田雄馬と日高里菜のラジオでもりゅうおうのおしごと!』が、2018年1月5日から3月30日までラジオ大阪にて毎週金曜22時30分に放送された[76]。パーソナリティは内田雄馬と日高里菜。
将棋バラエティー番組『りゅうおうのおしごと!〜かんそうせん〜』が、同年1月9日よりTOKYO MXにて毎週火曜1時(月曜深夜)に放送された[77]。MCは日高里菜、解説は日本将棋連盟所属の女流棋士、香川愛生が担当する。AT-Xでも初回放送以外で放送される。BDには、映像特典として『りゅうおうのおしごと! 〜かんそうせん〜完全版』が各巻3話づつ収録されている。
話数 | 今回のテーマ |
---|---|
第1話 | 「竜王」について学ぶ |
第2話 | 「将棋盤・駒」について学ぶ |
第3話 | 東京・将棋会館をリポート |
第4話 | 日高里菜×女流棋士・香川愛生のクロストーク |
第5話 | 将棋のタイトルについて |
第6話 | 将棋の戦法について |
第7話 | 将棋の戦法について(2) |
第8話 | これを知っていたら将棋通 〜将棋用語について〜 |
第9話 | 東京・将棋会館をリポート Part.2 |
第10話 | ゴロゴロ将棋 対局 |
第11話 | 将棋界ゆかりの鳩森八幡神社にお参り |
第12話 | 「りゅうおうのおしごと!〜かんそうせん〜」を振り返る |
ラジオ大阪 金曜22:30 - 23:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
?
|
内田雄馬と日高里菜のラジオでもりゅうおうのおしごと!
|
News Tonight いいおとな
※30分延長 |
イメージソングCD
- りゅうおうのおしごと〜音盤戦五番勝負〜(制作:MOSAIC.WAV、2017年2月15日発売)
- 収録内容
- Over The Top(楽曲制作:yksb・Iygo(VerAll)・大川みずき・MOSAIC.WAV、ボーカル:み〜こ)
- あいさえあれば☆盤上没我(楽曲制作:yksb・MOSAIC.WAV、ボーカル:み〜こ)
- 天衣無縫 GROWING UP(楽曲制作:yksb・まふまふ・MOSAIC.WAV、ボーカル:み〜こ)
- Shirayuki(楽曲制作:yksb・MOSAIC.WAV、ボーカル:み〜こ)
- かしまし?うるわし!JS研☆(楽曲制作:狐夢想(COOL&CREATE)・ARM(IOSYS)、ボーカル:み〜こ)
- 収録内容
謎解きイベント
- りゅうおうのおしごと!〜秋葉原謎人戦!〜(謎制作:よだかのレコード、2017年2月10日 - 2月19日開催)
脚注
注釈
- ^ 後の第17回アマチュア竜王、第29期・第30期朝日アマ名人。
- ^ 八一曰く『駒を合わせると新車が買える』位の値段がする将棋盤があるが、重くて運べないだろうと判断している。
- ^ そのときの悔しさのあまり千駄ヶ谷の将棋会館から茅ヶ崎まで走り続けて海に飛び込もうとし、数日後に銀子に見つかって連れ戻されるという経験がある。
- ^ モデルは加賀屋である[11]。
- ^ 『ひな鶴』が傾きかけた原因が祖父が「たかが」将棋に散財したことであると思っていたためである。
- ^ 八一の女性関係で煽ってきた同級生が、恐怖のあまり失禁するほど
- ^ 「だら」は金沢弁で「馬鹿」「阿呆」に相当する罵倒表現であり、「だらぶち」はその強調である。詳細は金沢弁#た行参照。
- ^ 八一が清滝に弟子入りする経緯は、畠山鎮と斎藤慎太郎の師弟のエピソードが元になっている[18]。斎藤は少年時代にいつも畠山の指導対局ばかり受け、やがて手紙で弟子入りを志願した。畠山には斎藤を指導する自信がなかったため、谷川浩司に相談したところ、師匠を引き受けるよう励まされたという[19]。
- ^ これは畠山鎮の言葉で、この揮毫が表示されるアニメ版では使用に当たり畠山の許可を取ったという[18]。
- ^ 既に竜王となっていた駒を移動させる際、間違えて裏返し、飛車に戻してしまった。粥新田はこの日天衣に惨敗しており、「一日にアマチュアに二度も負けられない」という気負いがこのミスを生んだと八一は分析している。
- ^ 女流3級という階級は2018年度の規定変更をもって廃止された。(詳しくは女流棋士を参照)なお、新規定における女流2級(プロ入り)の条件の一つに『マイナビ女子オープン ベスト8以上進出(ただし、資格獲得時点で27歳未満であることが条件)』があるため、現行の規定を適用した場合、桂香は正式な女流棋士となる。
- ^ 当然ながらあいは激怒し、暫くの間、八一に料理を作ってあげなかった。
- ^ 姓の神鍋より、神→God、鍋→Cauldron(ただしこの語は日本語の釜に近い)
- ^ a b c d e f g h i 架空のタイトル。
- ^ 競争相手が先に敗れたためこの時点で結果に関係なく昇級・昇段は決まっていた。ただし、他の対局者を考慮して静かに対局室を去る、感想戦を他の場所で行ったりする、第三者が競争相手の対局の結果を終局まで伝えないなどの配慮を行うのが将棋界での不文律になっている。
- ^ 架空のタイトル。タイトル戦の開催時期は春(倉敷藤花戦は秋)、第2局・第3局の対局会場は京都市となっており、初代大橋宗桂を顕彰した棋戦という設定になっている。
- ^ 「俺がいろいろと(戦法を)教えましたが〜この戦型には敏感ですよ」→「あいは俺が色々と開発しました。敏感ですよ」など、誤解を招くような省略や、名前を「クズ竜竜王」と変換するなど。
- ^ 不正防止の為、対局者と同じ師匠を持つ者は立会人・記録係になれないというルール。ただし、双方の対局者が同門者であれば例外としてなれる。
- ^ 銀子からは「見えている」「将棋星人」という最上級の評価を下されている。また、銀子と対戦した際に、先を読みすぎたあまり取った駒を相手の駒台に置くという形で数手先を盤上に出現させて(銀子はこの手を読めていなかった)、反則負けを喫したこともある。
- ^ 「八一と将棋が指せればあとは何もいらない」という意思を示すために持ち物全てを近くの池に投げ捨てたり、八一の家に押しかけて全裸で将棋盤の前に待機しているなど、その行動は常軌を逸している。
- ^ 自身が巨乳であることは自覚しているが、丸見えに近い状態であることは故意ではない模様。
- ^ タイトル戦で一定の成績を上げれば、当時アマチュアでも女流棋士の申請は出来るが、要件を満たした時に満27歳未満でなければならず、この時点で27歳の彼女はこの方法では女流棋士になれない。
- ^ 架空の一般棋戦。
- ^ 原作では苗字が明らかではなかったが、テレビアニメ版第4話に登場した際に、エンドクレジットの役名で明かされた。
出典
- ^ 白鳥士郎新作「りゅうおうのおしごと!」9月に発売です!! - GA文庫ブログ・2015年7月31日
- ^ a b 第1巻あとがき。
- ^ 【コラム】GA文庫新作「アームドウェイカー」&白鳥士郎先生“将棋”インタビュー! - アキバBlog・2015年9月8日
- ^ 『このライトノベルがすごい! 2017』p.49
- ^ a b @nankagunの2016年11月23日のツイート、2018年5月14日閲覧。
- ^ 第5巻あとがきより。
- ^ “「りゅうおうのおしごと!」原作・白鳥士郎氏が書店員女性と結婚「夢を語り合ってます」”. スポニチアネックス (スポーツニッポン). (2018年5月13日) 2018年5月14日閲覧。
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- ^ “新番組「りゅうおうのおしごと!〜かんそうせん〜」”. TVアニメ「りゅうおうのおしごと!」公式サイト. 2017年12月19日閲覧。
外部リンク
- りゅうおうのおしごと! 特設ページ - GA文庫
- りゅうおうのおしごと! - ガンガンONLINE
- TVアニメ「りゅうおうのおしごと!」公式サイト
- 「りゅうおうのおしごと!」公式 (@Ryuoshi_PR) - X(旧Twitter)
- The Ryuo's Work is Never Done! - BookWalker Global