豪雪地帯

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乗用車の高さを大きく超える雪が積もった十日町市市役所。2006年1月。
赤色:全域が豪雪地帯の道県、黄色:豪雪地帯を含む府県

豪雪地帯(ごうせつちたい)とはに大量の積雪がある地域のことで、日本においては特に豪雪地帯対策特別措置法に基づき指定された地域を指す。

定義

豪雪地帯対策特別措置法は、「積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域」(第1条)のうち、「国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣」が「前条に規定する地域について、積雪の度その他の事情を勘案して政令で定める基準に従い、かつ、国土審議会の意見を聴いて、道府県の区域の全部又は一部を豪雪地帯として指定する。」(第2条第1項)と定義している。

さらに同法は、「国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣」は、豪雪地帯のうち「積雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著しい支障を生ずる地域」について「国土審議会の議決を経て国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣が定める基準に従つて、豪雪地帯として指定された道府県の区域の一部を特別豪雪地帯として指定する。」(第2条第2項)としている。

これらの指定において、同法では「国土交通大臣総務大臣及び農林水産大臣は、豪雪地帯又は特別豪雪地帯の指定をしたときは、これを公示しなければならない。」(第2条第3項)としている。

本法により豪雪地帯(および特別豪雪地帯)の指定を受けた地域においては、道府県豪雪地帯対策基本計画が策定、適用され、交通通信、農林業、義務教育、医療などにおいて、積雪期のこれら機能の維持対策が施行される。

豪雪地帯(および特別豪雪地帯)の指定基準

「豪雪地帯対策特別措置法」に基づく「豪雪地帯」あるいは「特別豪雪地帯」の地域指定については、それぞれ、同法の下位政令である「豪雪地帯の指定基準に関する政令」に定める基準(以上、豪雪地帯の指定)あるいは同法第2条第2項に基づき国土審議会の議決を受けた「特別豪雪地帯の指定基準」(以上、特別豪雪地帯の指定)に基づいて行われる。

豪雪地帯の指定基準に関する政令

本政令では、豪雪地帯の指定基準について以下のように規定している。

  • 豪雪地帯対策特別措置法第二条第一項の指定は、国土交通省令・総務省令・農林水産省令で定める期間における累年平均積雪積算値が五千センチメートル日以上の地域(以下「豪雪地域」という。)の存する道府県又は市町村で次の各号のいずれかに該当するものの区域について行うものとする。
  1. その区域の三分の二以上が豪雪地域である道府県又は市町村
  2. その区域の二分の一以上が豪雪地域であり、かつ、当該道府県の道府県庁が所在する市の区域の全部又は一部が豪雪地域である道府県
  3. 当該市町村の市役所若しくは町村役場又は当該市町村の区域内に存する施設で国土交通省令・総務省令・農林水産省令で定めるものが豪雪地域内にある市町村
  4. その区域の二分の一以上が豪雪地域であり、かつ、当該市町村の境界線の延長の三分の二以上が前三号の一に該当する道府県又は市町村に接している市町村

特別豪雪地帯指定基準

1971年、国土審議会は「豪雪地帯対策特別措置法」に基づき特別豪雪地帯指定基準を議決した。その後1979年には基準判定に用いる気象統計情報の観測年数・時期等を修正する改定を議決した。本基準は、第一号要件「積雪の度の要件」と第二号要件「積雪による住民の生活の支障の要件」から成る。

豪雪地帯(および特別豪雪地帯)の指定地域

2007年3月31日時点において、日本の国土の約半分である約19万平方キロメートル、自治体数にして24道府県546市町村(全国の約31%)、人口約2千万人(日本の全人口の約16%)が豪雪地帯の指定を受けており、その範囲は北海道北東北日本海沿岸部および本州を縦断する山地部に亘る。中国地方西部(島根県)においては、山地部のみが豪雪地帯指定を受け日本海沿岸部はその指定地域外となっている。

これら豪雪地帯のうち、特別豪雪地帯指定を受けている地域は、国土の約20%である約7.5万平方キロメートル、自治体数にして202市町村(全国の約11%)、人口約338万人(日本の全人口の約2.6%)となっている。

豪雪地帯・特別豪雪地帯に指定された地域には除雪や交通・通信の確保、地域の振興などのための豪雪地帯対策基本計画が定められ、行財政上の特別の配慮が行われる。

全域が豪雪地帯に指定されている道県

北海道

青森県

岩手県

秋田県

山形県

新潟県

富山県

石川県

福井県

鳥取県

  • 特別豪雪地帯:なし(県内豪雪地帯のみ)
  • 豪雪地帯
    • 県内全域

一部が豪雪地帯に指定されている府県

宮城県

福島県

栃木県

群馬県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

滋賀県

京都府

兵庫県

島根県

岡山県

広島県

世界の豪雪地帯

世界の豪雪地帯としては、カナダブリティッシュコロンビア州からワシントン州オレゴン州カリフォルニア州にかけてのロッキー山脈西部 、アメリカ五大湖エリー湖南岸、ロシアカムチャッカ半島チリアンデス山脈ノルウェーの西海岸、トルコからグルジアにかけての黒海南東岸山岳地帯、イラン西部の高地、天山山脈西部などがあげられる。また、中東では突発的な豪雪になることがあり、イスラエルエルサレム[1]でも1920年1月9~11日には1m以上の積雪記録が残っているほか、ヨルダンアンマンシリア北部、イラク北部なども積雪量が多くなる。

北アメリカの豪雪地帯

日本と世界各都市における降雪量の比較

出典:気象庁・気象統計情報Environment Canada

 地点 
年平均降雪量
(cm)
最深積雪記録
(cm)
起日
日本の旗札幌 630 169 1939年2月13日
日本の旗岩見沢 794 180 1970年3月22日
日本の旗旭川 756 138 1987年3月4日
日本の旗幌加内 1451 269 1988年3月10日
日本の旗稚内 697 199 1970年2月9日
日本の旗網走 373 143 2004年2月23日
日本の旗根室 235 92 1933年3月29日
日本の旗釧路 187 123 1939年3月9日
日本の旗帯広 214 177 1970年3月17日
日本の旗倶知安 1135 312 1970年3月25日
日本の旗小樽 722 173 1945年2月19日
日本の旗函館 398 91 1985年2月10日
日本の旗青森 774 209 1945年2月21日
日本の旗八戸 318 92 1977年2月16日
日本の旗盛岡 351 81 1938年2月19日
日本の旗宮古 186 101 1944年3月12日
日本の旗秋田 409 117 1974年2月10日
日本の旗新庄 878 236 1974年2月13日
日本の旗酒田 375 100 1940年2月3日
日本の旗山形 491 113 1981年1月8日
日本の旗肘折 1741 414 2005年2月28日
日本の旗仙台 90 41 1936年2月9日
日本の旗福島 235 80 1936年2月9日
日本の旗若松 537 115 2010年12月26日
日本の旗新潟 255 120 1961年1月18日
日本の旗長岡 682 212 1981年1月21日
日本の旗高田 746 377 1945年2月25日
日本の旗津南 1300 416 2006年2月5日
日本の旗入広瀬 1397 463 1981年2月9日
日本の旗東京 13 46 1883年2月8日
日本の旗長野 283 80 1946年12月11日
日本の旗高山 511 128 1981年1月8日
日本の旗名古屋 13 49 1945年12月19日
日本の旗富山 433 208 1940年1月30日
日本の旗金沢 360 181 1963年1月27日
日本の旗福井 350 213 1963年1月31日
日本の旗敦賀 288 196 1981年1月15日
日本の旗彦根 131 93 1918年1月9日
日本の旗伊吹山 - 1182 1927年2月14日
日本の旗舞鶴 249 83 1984年2月10日
日本の旗大阪 3 18 1907年2月11日
日本の旗豊岡 372 186 1936年2月3日
日本の旗鳥取 263 129 1947年2月22日
日本の旗米子 167 89 2011年1月1日
日本の旗 124 94 1963年2月2日
日本の旗大山 1102 299 1984年2月9日
日本の旗松江 111 100 1971年2月4日
日本の旗上長田 550 137 2011年1月17日
日本の旗高野 552 166 2005年12月24日
日本の旗福岡 5 30 1917年12月30日
日本の旗阿蘇山 139 123 1963年2月4日
日本の旗鹿児島 5 29 1959年1月17日
大韓民国の旗ソウル 26 2010年1月4日
大韓民国の旗鬱陵島 151 1955年1月20日
カナダの旗モントリオール 218 102 1971年3月12日
カナダの旗ケベックシティ 316 165 1976年2月23日
カナダの旗オタワ 236 135 1993年3月14日
カナダの旗トロント 133 65 1999年1月15日
カナダの旗バンクーバー 48 61 1971年1月15日
カナダの旗セントジョンズ 322 180 2001年2月9日
カナダの旗シェルブルック 294 135 1971年3月12日
カナダの旗ベーコモー 362 226 1969年1月10日
カナダの旗シャーロットタウン 312 156 1956年2月13日
アメリカ合衆国の旗シラキューズ 308 120 1958年2月19日
アメリカ合衆国の旗バッファロー 242 114 2001年12月30日
アメリカ合衆国の旗ロチェスター 243 114 2001年12月30日
アメリカ合衆国の旗アンカレッジ 151 119
アメリカ合衆国の旗ニューヨーク 56 67 1947年12月27日
アメリカ合衆国の旗ボストン 106 81 1996年1月10日
アメリカ合衆国の旗フィラデルフィア 49 71 1996年1月8日
アメリカ合衆国の旗ピッツバーグ 102 66 1978年1月22日
アメリカ合衆国の旗ボルティモア 46 76 1899年2月13日
アメリカ合衆国の旗ワシントンD.C. 37 87 1899年2月14日
アメリカ合衆国の旗トラッキー 504
アメリカ合衆国の旗デンバー 154 83
アメリカ合衆国の旗シカゴ 110 74
アメリカ合衆国の旗ソルトレイクシティ 155 66

関連項目

外部リンク

脚注

  1. ^ 「世界気候誌.1(アジアの気候)」p118 倉嶋厚
  2. ^ NOAA: Mt. Baker snowfall record sticks
  3. ^ アメリカの年間降雪量分布図