国内専用車
この記事はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。(2016年2月) |
国内専用車(こくないせんようしゃ)または国内専用モデル(こくないせんようモデル)とは、各国の国内マーケットでのみ販売されている自動車の種類のことであり、言い換えれば自生産国外へ輸出および販売がされない車種である。
本稿では主に日本の自動車メーカーが日本国内のみで販売している車種について述べる。
概要
法や行政上の区分から来た言葉ではなく、大手自動車メーカーの販売戦略上の位置づけから来た言葉。世界マーケットを対象に輸出・販売されている車種を意味する「世界戦略車・グローバルモデル」という言葉と対置される。
例えば日本市場の国内専用車であれば、日本国内のみで販売される自動車の種類のことを意味する。軽自動車は、そのほとんどが日本の国内市場での販売のみを前提した国内専用車種となっている。日本国外へ輸出していない純粋な日本国内専用車は2006年時点で、トヨタで乗用車51車種中17車種、日産自動車で乗用車26車種中5車種ほどである[1]。
市場のグローバル化を受け、メーカー各社は規模の経済の追求から、世界各国で販売可能なモデルの生産へとシフトを行っているが、それと同時に各国の内部市場特有のニーズを掬い上げるためのモデルの生産も維持されている。国内専用車とは、主にこうした各国特有の市場ニーズに答えるかたちで生産・開発されている車種のことを表す。
市場ニーズが各国特有の様相を呈する背景にはさまざまな要因があるが、もっとも単純には左側通行・右側通行といった交通法規の違いや、移動距離や道路事情、駐車スペースなどと関わる地理的特性の違い、課税のシステムや交通事故発生時の責任の定めと関わる法律の違いなどがある。
とはいえ実際にはいわゆる並行輸出というかたちでシンガポール・マレーシア・香港・マカオなどの東南アジア、ニュージーランド・オーストラリアのオセアニア地方、ケニアなどのアフリカといった左側通行の地域、またロシアのように右側通行でも右ハンドル車を許可している国に輸出されるもの[2]、また国によっては右ハンドルから左ハンドルへ改造した上で使用される場合もある。
なお、英語「ドメスティックカー (Domestic Car)」の対訳は「国産車・自国製の車」であり、「専用の」という意味はない。
現在製造・販売中の日本国内専用車(順不同)
※2016年3月現在。OEM、および発売が予定されている車種を含む。国内市場専用のネーミングが冠されている車種(ホンダ・グレイス、マツダ・デミオなど)は純粋な国内専用車ではないため除く。☆印が付与された車種は軽自動車。★印が付与された車種は現在、在庫販売のみ行っている車種。△印が付与された車種は近日、発売が予定されている車種。▲印が付与された車種は既存の市販車をベースにボディ外板・フレーム等のパーツを手作業で製作・改造したパイクカー系車種。
センチュリーロイヤル、センチュリー[3]、クラウン(現行・ハイブリッド含む)、クラウンセダン[4]、クラウン マジェスタ[5]、SAI、ハリアー(現行)[6]、プレミオ、コンフォート、アイシス、ポルテ[7]、ラッシュ、エスクァイア、プロボックス、サクシード、パッソ、bB(現行)[8]、カローラアクシオ(現行、1.3Lのガソリン車全般、および1.5Lのガソリン車の4WD仕様)[9]、カローラフィールダー(現行、ハイブリッド車全般、および1.5Lのガソリン車の4WD仕様と1.8Lのガソリン車全般)[10]、ピクシススペース☆、ピクシストラック☆、ピクシスバン☆、ピクシスエポック☆、ピクシスメガ☆
- レクサス
- HS[11]
- 日産
- AD、バネット、ラフェスタ ハイウェイスター、デイズ/デイズ ハイウェイスター☆、モコ☆、NV100クリッパー/NV100クリッパーリオ/NT100クリッパー☆、デイズルークス/デイズルークス ハイウェイスター☆
- ホンダ
- フリードスパイク(ハイブリッド含む)、シャトル、バモス/バモスホビオ☆、N BOX/N-BOX SLASH☆、N-ONE☆、アクティ☆、N-WGN☆、S660☆
- 三菱自工
- プラウディア(現行)、ディグニティ(現行)、デリカD:2、デリカD:3、ランサーカーゴ、eKワゴン/eKカスタム☆、ミニキャブMiEV☆、ミニキャブ(660ccモデル全般)☆、eKスペース/eKスペースカスタム☆
- マツダ
- アクセラハイブリッド、ファミリアバン、キャロル☆、スクラム☆、フレア☆、AZ-オフロード☆、フレアワゴン☆、フレアクロスオーバー☆
- 富士重工(スバル)
- プレオ☆、プレオプラス☆、ステラ☆、サンバー☆、ディアスワゴン☆
- スズキ
- ランディ、アルトセダン(660ccモデル全般)/アルトバン☆、アルトラパン☆、MRワゴン/MRワゴンエコ☆、スペーシア/スペーシアカスタム☆、ソリオバンディット、キャリイ☆、ジムニー(660ccモデル全般)☆、ハスラー☆
- ダイハツ
- アルティス、メビウス、ブーン(現行)、ムーヴコンテ/ムーヴコンテカスタム☆、ムーヴ/ムーヴカスタム☆、タント/タントカスタム☆、ミラ/ミラバン☆[12]、ミラココア☆、ミライース☆、アトレーワゴン☆、ハイゼット☆、コペンローブ/コペンエクスプレイ/コペンセロ☆[13]、ウェイク☆、キャストアクティバ/キャストスタイル/キャストスポーツ☆
- いすゞ
- コモ
- 光岡(認定中古車、およびミニカー除く)
- リューギ/リューギワゴン▲、ビュート/ビュートなでしこ▲
過去の日本国内専用車(順不同・一部抜粋)
※2015年8月現在。OEMを含む。☆印が付与された車種は軽自動車。
- トヨタ
- トヨペット・SA型、トヨペット・マスター、トヨペット・マスターラインバン、ミニエース、クラウンバン、コロナバン、コロナクーペ、コロナエクシヴ、カリーナED、カレン、カローラセレス、スプリンターマリノ、プログレ、ブレビス、オリジン、セラ、チェイサー、クレスタ、カムリ(4代目・5代目)、ビスタ、コルサ、カローラII、パブリカバン、スターレットバン、カリーナバン、カローラバン、スプリンターバン、デュエット、キャミ、スパーキー、ヴェロッサ、ガイア、ナディア、ラウム、Opa、WiLL Vi、WiLL VS、WiLLサイファ、パッソセッテ、クルーガーハイブリッド、カルディナ(3代目)、カルディナバン、ブレイド、カローラアクシオ(初代全般、および2代目前期型のハイブリッド車)、カローラフィールダー(1.5L 2WDモデルの5MT車を除く2代目)、ラクティス(初代)、ハリアーハイブリッド、ノア(初代)、ヴォクシー(初代)、マークXジオ
- 日産
- ローレルスピリット、Be-1、パオ、エスカルゴ、フィガロ、ラシーン[14]、リベルタビラ、サニー(9代目セダン)、パルサーS-RV、ルキノハッチ(S-RV含む)、サニーバン(サニーADバン名義含む)、チェリーバン、パルサーバン(パルサーADバン名義含む)、ダットサンADバン、AD MAXバン、ブルーバードバン、バイオレットバン、アベニールカーゴ、エキスパート、ピノ☆、クリッパーリオ☆、キックス☆、ルークス☆、オッティ☆
- ホンダ
- S500、L700/800、P700/800、T360☆、T500、N360☆、TN360☆、ライフステップバン/ピックアップ☆、トゥデイ☆、ストリート☆、ビート☆、シティプロ、S-MX、エリシオン、インテグラSJ、アヴァンシア、キャパ、Z(2代目)☆、オルティア、トルネオ、ザッツ☆、モビリオ(初代)/モビリオスパイク、シビックバン、エアウェイブ、パートナー、ゼスト☆、ライフ☆、フィットシャトル(ハイブリッド含む)
- 三菱自工(旧・三菱重工名義含む)
- レオ☆、360☆、ミニカ☆、ミニカスキッパー☆、ミニカウォークスルーバン☆、ギャランバン、エテルナSAVA、ミニカトッポ☆、ブラボー☆、ピスタチオ、アスパイア、ディオン、トッポBJ☆、トッポBJワイド、タウンボックス☆、パジェロミニ☆、eKアクティブ☆、eKクラッシィ☆、ekスポーツ☆、トッポ☆、i☆
- マツダ(旧・東洋工業名義含む)
- R360クーペ☆、B360☆、シャンテ☆、ポーター/ポーターキャブ☆、オートザム・AZ-1☆、エチュード、ペルソナ、オートザム・クレフ、ベリーサ、ラピュタ☆、マツダ・スピアーノ☆、AZ-ワゴン☆、キャロルエコ☆
- 富士重工(スバル)
- 360☆、1000バン、ff-1 1300Gバン、レオーネバン、R1☆、DEX、ルクラ☆★
- スズキ
- スズライト☆、フロンテ☆、フロンテ800、フロンテクーペ☆、フロンテハッチ☆、マイティボーイ☆、アルトウォークスルーバン☆、アルトハッスル☆、アルトワークス☆、キャラ☆、アルトエコ☆
- ダイハツ
- Bee、ニューライン/ニューラインキャブ、フェロー/フェローMAX☆、フェローバギィ☆、リーザ☆、ミラウォークスルーバン☆、ミラミチート☆、ミラモデルノ☆、ミゼットII☆、オプティ☆、ミラジーノ1000、ネイキッド☆、MAX☆、ソニカ☆、エッセ☆、ムーヴラテ☆、ミラアヴィ☆、テリオスキッド☆、ミラカスタム☆、タントエグゼ/タントエグゼカスタム☆、
- いすゞ
- ジェミネット、ジェミネットII、アスカ(2代目以降)、ジェミニ(4代目以降)
- 光岡(認定中古車、およびミニカー除く)
- ラセード▲、ゼロワン、ガリュー(ガリュー2-04含む)▲、リョーガ▲、レイ▲☆[15]、ユーガ▲、ライク▲、ヌエラ(ヌエラ6-02含む)▲
脚注
- ^ 『世界企業 国内に“死角”』 以下抜粋 「最近は国内市場だけの「国内専用車」が減っている。輸出をしていない純粋な国内専用車は現在、トヨタで乗用車51車種中17車種、日産自動車も乗用車26車種中5車種ほどだ。」 読売新聞 2006年12月11日(2009年2月22日 閲覧)
- ^ ロシアへは1990年代後半から2008年秋季まで車種・タイプ問わず比較的経年の浅い車両が年間40万台以上の規模で大量に輸出されていた。現在も少ないながらも輸出は続けられている
- ^ 極一部在外日本公館用として左ハンドル車が存在する。
- ^ ただし、当車種のベースとなったクラウンコンフォートは中華圏特別行政区(香港・マカオ)に輸出されている。
- ^ 中国向けのクラウンはS200型マジェスタの車体を現地生産というかたちで販売されている。
- ^ 初代ならびに2代目はレクサス・RXとして輸出されていた。
- ^ ただし姉妹車種のスペイドは発売当初はポルテ同様、完全な国内専用車だったがポルテと異なり2015年8月より香港とマカオ(いずれも中華圏特別行政区)に輸出されている。
- ^ ただし、初代はサイオンブランドのxB(初代)としてアメリカに輸出されていた。また兄弟車のダイハツ・クーは欧州に輸出(現地名・マテリア)されていた。
- ^ ただし1.5Lのガソリン車の2WD仕様(CVT、5MT)とハイブリッド車全般(後期型以降)は香港とマカオにそれぞれ輸出されている。
- ^ ただし、1.5Lのガソリン車の2WD仕様はCVT、5MTに関わらずオセアニア(ニュージーランド)に輸出(現地名・カローラワゴン)されている。
- ^ 発売当初は北米、およびハワイでも販売されていたが、思いのほか販売が不振だったため、いずれも2012年度中に販売打ち切りとなり、レクサスとしては初の国内専用車となった。
- ^ ただし2013年1月以前は欧州向けとしてクオーレ名義で輸出されていた。
- ^ ただし先代(初代・無印コペン)モデルはイギリスやオーストラリアにも輸出されていた(当初はエンジンの総排気量が660ccのままだったが、のちに輸出専用として総排気量が1,300ccのエンジンに換装された)。
- ^ ただし、派生モデルのラシーン・フォルザは国外にも輸出されていた。
- ^ 当車種は基本的に軽自動車だが、オーバーライダーを装着したモデルは小型普通車登録扱いとなっていた。