トヨタ・セラ
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セラ(Sera)は、トヨタ自動車が1990年に発表した1,500ccの3ドアクーペ。
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[編集] 概要
1987年に開催された第27回東京モーターショーに出展された「AXV-II」の市販化モデルである。同社の小型車スターレット(P70型)をベースにしているが、その特徴は上半分ほぼ全てがガラスで占められていること(グラスキャノピー・グラストップ)と、それを実現するために採用されたガルウイングドア(厳密には異なる)である。
ガルウイングドアといえばメルセデス・ベンツ 300SLやランボルギーニ・カウンタックに代表される超高級スポーツカーの専売特許であったが、一般レベルで日本で初めて採用したのがこのセラである。走行性能を求めるのではなく、あくまで雰囲気を楽しむというコンセプトの自動車であった。
登場まもなくの間はオーダーから納車まで数ヶ月を要したが、これはオーダーが殺到したというよりも、特殊な製法や部品の調達などにより月に千台程度しか製造できなかったため。 生産はMR2等の生産を行っていたトヨタ系列のセントラル自動車が行っていた。同社はカルディナやカリーナ等の一般大衆車だけでなく、(結果的に)少量生産となったWillシリーズ等も生産していた。
[編集] ガルウイング
ガルウイングと言っても、車両によって採用する理由が様々であるが、セラの場合は安価な小型量産車で設計販売を企画し、トヨタの企業イメージをアピールするのが主な理由である。この構造を可能にする為に用いられた生産技術や構造はハイレベルなものである。通常のハッチゲート等に用いられるダンパーは季節によって作動に大きく差が出てしまう。これは、ダンパーには通常オイルが封入されているため、オイルが気温によって夏は軟らかく、冬は固くなってしまう。故に夏はドアが勝手に落ちてくる、冬はドアが開きにくくなると言うものである。セラのドアでは、温度に関係なく一定のダンパー性能を発揮させる為に、通常のドアダンパーに加えて温度補償ダンパーを組み込み、季節による変化を最小限に抑えている。
また、単にガルウイングとは言っても、ディアブロやカウンタックの様な「斜め開き・一点支持タイプ」ではドア自体の強度が不足してしまう。また300SLやオートザム・AZ-1、デロリアンの様な「真上開き・二点支持タイプ」では真横に開く為にスペースを取ったり、それを回避すべくドアを短くするとサイドシルを高くすると言った対策を取るしかない。これをセラでは、ルーフ上で1点、通常のドアヒンジ部に1点の合計2点留めとする事で強度を稼いでいる。この開き方を採用したのはトヨタが初めてであり、後に同様の開き方としてマクラーレンF1やフェラーリのエンツォ・フェラーリ等が採用している事からも、強度の点で問題ない手法といえる。
ガルウイングドアの構造上、乗降時には周辺のスペースが相当必要な感じを受ける。実際、高さは車体全高(屋根)を越えてしまうが、ミニバンクラスの高さではなく、横への振り出しも43cmと、通常のドアの全開時よりは遙かに小さい。タワーパーキング等の狭い場所でも通常のドアに比べて乗降性は良いと言える。また、ドア開放時にはルーフが無くなるので後席からの乗降性も良く、子供を後席のチャイルドシートに座らせる場合でも不便は無いと言える。これらの事から、多くのシーンで利便性は上とも言える。
また、開閉動作については、室内からの開閉には一般的なドアのようにノブを引いて横へ押しても開閉しにくく、やや斜め上へ肘で押し上げて開ける必要がある。これもダンパーの補助もあって、コツをつかめば通常のドアよりも開閉はしやすい。ただし、経年変化によりダンパーの力が弱くなると、ドアの重さが大きく影響し、開け閉めが大変になる。長期間乗るためには、ダンパー交換費用(工賃込みで片側4~5万円程度、ダンパー単体1本2万円程度)も留意する必要がある。
しかし、ルーフ部分をもガラスエリアとしたこの車独自の弱点が露呈している部分もある。それは、ボディ上半分がほぼ全てガラス張りなため温室のようになってしまい、室内温度が非常に高くなる事である。この対処として、開発初期段階から冷房能力の強化を計るべく、マークIIクラスのエアコンを搭載した。また直接日照を遮るためグラストップ及びリヤハッチガラスの上部にSERAロゴの入ったスモークフィルムや、リヤハッチガラス上部に取り付けるサンバイザーがディーラオプションで用意されており、マイナーチェンジ後のグラストップ部には開放感をスポイルしない程度の薄いスモークガラスが採用された。
屋根部分はTバールーフ状になっており、ほとんどオープンカーのような構造であるため、一般公道を走行していても、同クラスの小型車と比べると車体剛性が若干不足していると言える。その為、Aピラー及びBピラーは、(現在では多く見られるが)当時としては太い形状を使用し、ドアも含めて車体剛性確保を狙うべく、グラストップのガラスには通常の窓ガラスの2倍はある厚みの物を使用している。これが功を奏し、フェアレディZやMR2等のTバールーフ仕様などのような、Tバールーフを外して山岳路を走行した後は車体が歪み、しばらくの間は元のように取り付けられないと言う症状が出た車種と比べ、専用に作られただけ有って車体上部の剛性はそれなりに確保されており、きしみ音等は少ないレベルに収まっている。
[編集] 車体・外装
全長 3860mm、全幅 1650mm、全高 1265mm、車両重量 890kg(5速マニュアル)・930kg(4速オートマチック)
ガルウイングドアを採用した上にグラストップの為、重心が少々高い。その為、ロール角を減らす対策として、特にリヤ廻りのロールセンターが引き上げられている。足廻りはベースとなったEP82スターレットとほぼ同じく、フロントがスタビライザー付きのマクファーソンストラット、リヤがトレーリングアーム+ラテラルロッドとなる。その為、ショックアブソーバーやスプリングをはじめ、サスペンションマウントブッシュやスタビライザー、ラテラルロッド等、EP82向けの社外品が流用可能である。ブレーキもEP82と同様で、フロントは浮動式シングルピストンのベンチレーテッドディスク、リヤはリーディング・トレーリング式ドラムである。なお、メーカーオプションとして4輪ABSが装着可能であり、このときはリアがソリッドディスクとなる。
丸みを帯びたエクステリアのデザインはそこそこ人目を惹くものの、ドアやグラストップ以外にはこれと言った特徴が無かった事や、室内は狭く夏は暑いと言った現実もあり、セールス面では失敗作とも言える。バブル景気という時代背景の中で生まれたセラは「名車」でありまた「迷車」であった。いろいろな意味で歴史に残る1台といえる。
また、剛性を保つために各所が補強されているため、同レベルの排気量やボディサイズを持つ他車と比べると多少重かった。これが、重量税が高くなると言う誤解を生み、販売不振に繋がったと言う意見もある。実際には上記の通り車両重量が1000kgを超えることはなく、自動車重量税等級はベースモデルのスターレットと同じであった。ちなみに現在では、同クラスの車両でも衝突安全性を高めていった結果、重量が増し殆どが1000kgを超えている。
ボディーカラーは当初はメタリック系統のみであったが、マイナーチェンジで黒や赤と言ったソリッドカラーも追加された。他にもそのマイナーチェンジでは、濃いグレーのウレタン樹脂製だったリヤスポイラーが、形状の変更とともにボディー同色のグラスファイバー製となり、ハイマウントストップランプも内蔵された。
あまり多くは出回らなかったようだが、フェンダーミラーがメーカーオプションで選択可能であった。その外観はツノが生えたようであり、一層独特の雰囲気を持っている[1][2]。
[編集] パワートレーン
トランスミッション(トランスアクスル)等も同様にベースのスターレットとほぼ同じ物が使われているが、スターレットターボの物とは違い、むしろスターレットNAの物が使用される。(マニュアルの場合はセラ専用のC155と言う型を使用している。スターレットNA等はC15x系、スターレットターボはC5x系。xは数字。)その他のC15x系と違い、若干ローギヤード化された変速比を持つ。 スターレットターボに見られたオプションのビスカスカップリング式LSDは用意されなかった。
型は違うがスターレットターボのC5x系ミッションが流用可能であるが、セラ等のC15x型とは内部のギヤやディファレンシャルの共通性は無い。 中にはスターレットターボとトヨタ・カローラ・レビン等のミッションが共通である事から、AE111レビン等用の6速ミッション(C160)を移植する者まで居る。(要、加工となる。)
ドライブシャフトはスターレットNAと同サイズの物が使用され、ホイールハブ・ナックルを流用する事でスターレットターボのドライブシャフトも流用できる。
[編集] 内装
グラストップを採用している分だけ外からは丸見えで、その分だけ少々凝った形状の内装をしている。
ダッシュボードの造形やメーター基盤の文字や色は運転席を主体としたデザインで、外から覗き込まれても見栄えの良い物となっている。ドアを肘で押し上げる際の凹み、ドアを閉める際のグリップ部等も考えられた形状となっており、ドア開閉時の利便性も良いと言える。 前席にはセミバケット形状のシートを、後席は完全セパレートのシートを採用しているが、大人が4人乗車する際には少々窮屈である点は否めない。ほぼ同サイズのEF型CR-Xと同様に「ワンマイルシート」と揶揄される事もある。 また、後席も前席と同様にガラスによって丸見えである。マイナーチェンジ後には、後席はELR機能付きの3点式シートベルトに変更されている。(マイナーチェンジ前は2点式。)
オーディオには7スピーカー(4スピーカー+2ツイーター+サブウーファー)+DSP機能を搭載したAM/FMチューナー付きCD+カセットプレイヤーのスーパーライブサウンドシステムをオプション装備している。(標準車両は4スピーカー+AM/FMチューナー付きCDプレイヤー、もしくはAM/FMチューナー付きカセットプレイヤー。) またルームランプ兼用の空気清浄機がオプションで用意され、マイナーチェンジ後には、マイナー前には装備されなかった集中ドアロックシステムが装備されている。
エアコンはオートエアコンで、前述の通り大型の物が搭載されており、マイナーチェンジ後にはR134aへとエアコンガス及び機器の変更がなされている。
[編集] エンジン
エンジンは1500ccの水冷直列4気筒DOHC16バルブEFI(5E-FHE型)で最高出力110PS、最大トルク13.5kgmを発生する。 スターレット等に使用される4E型エンジン(1300cc)のロングストローク版で、型式にHが付く事からも分かる通り、ロングストロークながら高回転高出力型のエンジンであり、7600rpmからがレッドゾーンとなっている。
DOHCと言っても4A-GEや3S-GEの様なスポーツツインカムではなく、コンベンショナルなハイメカツインカム1種のみの設定であった。
もっとも、車体構造上ハイパワーエンジンを搭載し加速は良くなっても、ボディ剛性の弱さが強調されるだけになるので、バリエーションを増やさなかったとも思われる。
しかし、同じE型エンジン搭載と言う事からスターレット用の4E-FTEターボエンジンに載せ換えるパターンも多く見られ、中にはカローラ・レビン等の4A-GEエンジンを搭載する強者も居る。
[編集] CM
CMソングには初期はT-SQUAREのGO FOR IT、後にCOMPLEXのBE MY BABY[1]が使われた。
[編集] 関連項目
- トヨタ・スターレット
- トヨタ・サイノス
- トヨタ・カローラ・レビン
- マクラーレン・F1
- メルセデス・ベンツ 300SL
- マツダ・オートザムAZ-1
- ランボルギーニ・ディアブロ
- ランボルギーニ・カウンタック
- デロリアン

