トヨタ・ナディア

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トヨタ・ナディア
SXN1#/ACN1#型
1998年8月販売型 2.0
1998年8月販売型 2.0 リア
2001年4月改良型
概要
別名 トヨタ・イプサム(初代)
トヨタ・ガイア
ヨーロッパ : トヨタ・ピクニック(初代)
デンマーク: トヨタ・スポーツバン(初代)
製造国 日本の旗 日本愛知県刈谷市
販売期間 1998年8月 - 2003年8月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 標準系: トールワゴン
typeSU: クロスオーバーSUV
駆動方式 FF/4WD
パワートレイン
エンジン FF: 3S-FSE型 直4 2.0L 145PS
4WD: 3S-FE型 直4 2.0L 135PS
1AZ-FSE型 直4 2.0L
FF: 152PS / 4WD: 150PS
変速機 4速AT
車両寸法
ホイールベース 2,735mm
全長 4,435-4,450mm
全幅 1,695-1,735mm
全高 1,650-1,725mm
車両重量 1,420-1,470kg
その他
新車登録台数の累計 7万9813台[1]
系譜
先代 カローラスパシオ(初代、2列仕様)
後継 既存の2代目カローラスパシオに統合
※2列仕様に限定すればカローラルミオン(4年2ヶ月の空白期間あり)[注釈 1]
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ナディアNADIA)は、トヨタ自動車が製造・販売していたトールワゴン及びクロスオーバーSUVトヨタカローラ店で販売されていた。

概要[編集]

イプサムのプラットフォームを使用して開発されたトールワゴン及びクロスオーバーSUV。当時カローラ店の専売であり、5ナンバーカムリ(V40系)の生産終了に伴う営業上の後継車とされた[注釈 2]

全長はイプサムより短いが、ホイールベースは同一、かつ3列目シートのない5人乗りと割り切られたため、シートスライド可能な後席シートの足元スペースは兄弟車(イプサム・ガイア)はおろか、トヨタの最上級車であるセンチュリーよりも広い。フラットに収納できる前期型の後席では荷台が段差なく広大にできたり、前席は回転対座が可能であるなど多彩なシートアレンジができた。

発売開始当初「アイポイントの高い5人乗りワゴン車」というカテゴリーが欧州で流行しており、同様のコンセプトをもつ日産自動車ルネッサ及びティーノ、並びにトヨペット店扱いのOpa(オーパ)が競合関係にあった。ただ、ナディアとOpaは日本国内専用車として開発・導入され、中古車としてその後各国へ輸出された。

スタイルは2代目エスティマにも通ずる丸みを帯びたワンモーションフォルムで、内装はインパネ上半分及びセンターコンソールを兄弟車とは異なったデザインとし、虚像投影式のデジタルセンターメーターを採用した。

エンジンは全車2,000ccエンジンで、当初はポート噴射の3S-FE型ハイメカツインカムエンジンと、標準車(5ナンバー車)の2WDに3S-FSE型ガソリン直噴(D-4)エンジンが搭載された[注釈 3]。D-4エンジン車はリーンバーンとフレックスロックアップの付いたSuperECTの搭載により、10・15モード燃費は3S-FE型の11.8km/Lに対し14.2km/Lと大きく改善されていた。

タイヤサイズはイプサムの14インチではなく、外径そのままにインチアップされた195/60R15サイズの偏平タイヤ[注釈 4]を装着していた。またベース車からの変更点として、フロントブレーキが大径化[注釈 5]され、重量の嵩む多人数乗車を想定しなくて良いことからサスペンションも変更され、ストロークをたっぷりとった上で応答性を高めたスポーティな乗り味に振られている。

イプサム3兄弟中唯一の「足踏み式」パーキングブレーキであり、運輸省(当時)届出型式もイプサム・ガイアのXM型に対してXN型としている。

1999年6月にはクロスオーバーSUVtype SUが追加されたが、当時は2020年現在ほどクロスオーバーSUV市場が成熟しておらず、販売面では苦戦した。平成初頭のRVブームが去り、乗用車のマーケットがワゴンからミニバンへの過渡期に販売された車両であり、bBウィッシュなどに人気を奪われ後継機種もなくわずか5年2か月で販売を終了した。

型式 N10型(1998年-2003年)[編集]

  • 1998年
    • 8月24日 - 発売。(SXN10、SXN15)
    • 10月26日 - モデリスタが手がけたカスタマイズカー「アメリカンビレットバージョン」が登場。専用のエアロパーツを装着することで全幅が1,715mmの3ナンバー枠となった。専用色としてブラックメタリックを用意(これはのちに通常モデルでも選択可能となった)。
  • 1999年6月- type SU追加。一見するとバンパーとホイールのみが換えられているように見えるが、それだけに留まらずオーバーフェンダーの装着とリアフェンダーが専用設計のボディシェルを持ち[注釈 6]、サスペンションの変更、一回り大径のタイヤを使用したクロスオーバーSUVとなっている。ワイドボディ仕様のため型式が変更される(SXN10H、SXN15H)。内装は黒基調の専用内装を採用。
  • 2001年4月23日 - マイナーチェンジ。グレードは標準車・type SUともに「X」、「S」、「L」の各3グレードとなった[注釈 7]。2WD車には新世代D-4エンジンである1AZ-FSEエンジンを搭載。外装ではヘッドランプとテールランプの意匠を変更し、一部グレードにはディスチャージヘッドランプ(トヨタ初Hi/Lo共通)を装備。標準車はフロントグリル、フロントバンパーの意匠変更も行われた。内装は、4本スポークステアリングの意匠変更(「S」のみ3本スポークステアリングに変更)、メーターのアナログ化およびオプティトロン化、全車オートエアコン化とともにエアコンパネルの意匠変更、オーディオパネルのワイド2DIN化も行われた。またLグレードには運転席にパワーシートが採用され、Sグレードにはベンチシートが採用された。また前期型では収納を重視し背もたれの大きさに余裕がなく座り心地に難があったため後席の背もたれを大型化し後席の座り心地を向上。抜群の後席足元の広さと相まってより快適性が向上した。
  • 2002年7月30日[2] - 一部改良が行われ、4WD車にもD-4エンジンを採用。これによりエンジンは駆動方式問わず全車3S-FE[注釈 8]エンジンから駆動方式問わず全車1AZ-FSEエンジンに換装された(4WD車はそれぞれACN15、ACN15H)。
  • 2003年8月[3] - 販売終了。この当時、同ディーラーから販売されていた2代目カローラスパシオ(当モデルはミニバンのみ)が直接上の代替車種となった。なお、スパシオの販売終了4ヶ月後に発売されたカローラ店専売かつトールワゴンであるカローラルミオン(当車は3ナンバー)が登場するまでカローラ店扱いのCセグメントトールワゴンが一旦消滅していた。

車名の由来[編集]

ロシア語で「希望(надежда)」を意味するナディージタから。また、女性の名前としても知られている。

プラットフォームを共有する車種[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2代目のカローラスパシオには2列シートのラインナップが存在しないため。
  2. ^ のちにカローラスパシオの2代目へのモデルチェンジに伴い、初代にあった2列仕様が廃止されたため、その後継も務める事となった。
  3. ^ 3S-FSEの搭載は初代イプサム系で唯一である。
  4. ^ 後に追加されたtype SUは215/60R16タイヤを装着する。
  5. ^ ガイア後期モデルと同様の15インチ仕様。
  6. ^ これによって車幅が1.7mを超え、3ナンバー登録となる。
  7. ^ 「ベースグレード(無印)」は「X」、「Sパッケージ」は「S」、「Lパッケージ」は「L」にそれぞれ相当する。
  8. ^ 登場時2WD車は3S-FSEエンジンを搭載していた。前述のとおり、2WD車は2001年4月のマイナーチェンジで換装済み。

出典[編集]

  1. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第59号15ページより。
  2. ^ ナディアを一部改良”. トヨタ自動車株式会社 (2023年6月20日). 2023年6月20日閲覧。
  3. ^ 歴代ナディア”. トヨタ自動車株式会社 (2020年1月13日). 2020年1月13日閲覧。

外部リンク[編集]