ワサビ

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ワサビの葉
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ディレニア亜綱 Dilleniidae
: フウチョウソウ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: ワサビ属 Wasabia
: ワサビ W. japonica
学名
Wasabia japonica Matsum.
syn.
Eutrema japonica (Miq.) Koidz.
和名
ワサビ
英名
Wasabi, Japanese horseradish

ワサビ(山葵)は、アブラナ科ワサビ属の植物。日本原産。食用。独特の強い刺激性のある香味を持ち、日本原産の香辛料として世界的にも認知度が高い。

学名はWasabia japonica、もしくは、ワサビ属Wasabiaユートレマ属Eutremaに含め、Eutrema japonica。多くの栽培変種があるが、W. japonica var. DarumaW. japonica var. Mazumaが代表的。

ワサビの名が付く近縁な植物、特にセイヨウワサビと区別するため本わさびと呼ぶことがある。

目次

[編集] 歴史

古くは奈良時代、718年に出された「賦役令」(現代の法人税法施行令に相当)の中に「山葵」(わさび)の名前が見られる。土地の名産品としてすでに納付され、薬用として使用されていたと考えられる。

室町時代、すでに現代と同じ薬味として利用が確立されていた。さらに江戸時代に入ると寿司蕎麦の普及と併せ、広く一般に普及・浸透していった。古くは自生のものを採取、利用していたが、江戸時代に現在の静岡市葵区有東木(うとうぎ)地区に住む村人が、野生のわさびを栽培したのが栽培普及の初端と伝えられる。

有東木のワサビは、駿府城で大御所政治を執っていた徳川家康に献じられその味が絶賛されたこと、またワサビの葉が徳川家家紋の「葵」に通じることから幕府の庇護を受けることとなった。一方で門外不出の扱いとなり、その栽培技術を他地区に広げることは禁じられた。

延享元年(1744年)、天城湯ヶ島(現伊豆市)で山守を務めていた板垣勘四郎は三島代官の命によりシイタケ栽培の技術指導で有東木を訪れた。板垣はワサビの栽培を天城でも行いたいと懇願し、有東木の住民はシイタケの礼から禁を犯して板垣にワサビの苗を持たせた。この後、板垣の努力で天城でも栽培が始められることになる。

[編集] 産地

日本の主要な産地は静岡県長野県東京都島根県山梨県岩手県等である。また、台湾ニュージーランド中国などでも栽培されている。

ワサビの最高級品種は静岡県産の真妻、甘みと辛味が強いのが特徴である。

ワサビの産地である伊豆市安曇野市では市の花に指定されている。

[編集] 栽培法

栽培の方法は大別して、水の中で育てる水ワサビ(沢ワサビ)と、畑で育てる畑ワサビ(陸ワサビ)がある。水ワサビは、山間部の水路や沢を利用したワサビ田で栽培または自生し、生食用として利用される。畑ワサビは小形のため、主に葉や茎を加工して、酒粕と合わせ「わさび漬け」にする。

水ワサビの根は大きいが、畑ワサビや自生種のワサビの根は小さい。これはワサビが根から放出するアリルイソチオシアネートの影響による。この物質は周辺の土壌を殺菌し、根に菌を住まわせる必要がある一般的な植物が生えないようにしているが、ワサビ自身もこの物質によって大きくなれない(自家中毒)。対して水ワサビは、流水と透水性の良い土壌によってアリルイソチオシアネートが洗い流されるので、大きくなることが出来る。

水ワサビの生育には、豊富で綺麗な水温9 - 16℃ [1]の水と、砂地などの透水性が良い土壌が必要で、強い日光を嫌う。肥料等は必要なく生育の手間も殆ど要らないが、大量のきれいな水のある場所に生育が限定されるため、栽培の難しい農作物としても知られる一方、山間の沢や水路を利用して小規模に栽培されることもある。

種類は赤茎種と緑茎種の2種類がある。キャベツと同じアブラナ科の植物であるため、時としてモンシロチョウ幼虫青虫)に葉を食害される。

[編集] 有効成分

ワサビの辛味成分はアリルイソチオシアネート(6-メチルイソヘキシルイソチオシアナート、7-メチルチオヘプチルイソチオシアナート、8-メチルチオオクチルイソチオシアナート)など。殺菌効果もある。

わさびの辛さは、細胞内にあるシニグリンがすりおろす過程で細胞にある酵素と反応することにより生成されるものであり、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンとは辛味成分が全く異なる。

[編集] 用途・加工法

採取・切断して販売される地下茎
すりおろした状態
鮫皮のワサビおろし

地下茎をすりおろしたものは、日本料理の薬味として寿司刺身茶漬け蕎麦などに使用される。殺菌効果のため、生ものと一緒に食べるとよいとされている。 食用外でも、アリルイソチオシアネートの殺菌作用及び植物の老化を早めるエチレンガスの発生を抑制する作用を利用して、食品・野菜用の抗菌・消臭・鮮度保持材として冷蔵庫などで使用する製品もある。

葉や茎を軽く湯通しし、密閉した容器にしばらく保管しておくとワサビの辛い風味をおひたしで味わうことができる。 同様に、葉や茎を醤油と一緒に瓶に詰めた醤油漬けもある。保存が利き、茶請けや付け合せ、酒のツマミなどとして利用される。 酒粕と刻んだ地下茎を混ぜて漬け込んだわさび漬けは、酒のつまみや米飯の副菜となり、静岡県の名物となっている。また、島根県の山間部では山葵の風味を生かした汁かけご飯の一種、うずめ飯がある。 ワサビ風味の食品には、冷菓(ソフトクリームアイスクリーム)、米菓(せんべいあられ)もある。

すりおろす道具としては、酸素と触れなければ辛味が出てこないため、細胞を細かく摩砕できるサメの皮で作られたおろし器が良いとされている。また、俗にワサビは金気を嫌うので金おろしを使わないという。ただし現実には、細目の金おろしを使っている和食店、寿司店も多い。

ワサビの風味、特に辛味は揮発性のものが多いため、すり下ろして余り時間を置くと風味を失ってしまうが、すってすぐの物も味にカドが有り一般には使われない。茎とおろし器を供し自分でするシステムを取る店も有るが飽くまで下ろしたてという「風情」を味わう為で有る。

またワサビを醤油で溶いたりしても、殆どが揮発するため風味を弱く感じるようになる。このため刺身を食す際、ワサビは少量だけ刺身の上に載せ、醤油に漬からないよう食べるのが通とされることもある。

ワサビの鼻につんとくる独特の刺激的な辛さは、一般的に子供には好まれない。そのため、寿司などにワサビを入れないものを「サビ抜き」といい、子供やワサビが苦手な人のために作られる。 また、逆に鉄火巻きの要領でワサビだけを巻いた寿司として「ワサビ巻き(なみだ巻き)」がある。シャリとワサビの質が高くないと出来ないため、一般的には無く、あっても裏メニューである場合もある。ただしワサビの量が多いため、食べる際は苦手な人でなくとも覚悟が必要である。 つんときたとき、鼻で大きく深呼吸をすれば、鼻の粘膜を刺激している成分が飛ぶので、すぐに痛みが緩和する。

[編集] アレルギー

わさびアレルギーがある。

[編集] 広義のわさび

[編集] わさびの名が付く植物

ワサビに似た辛味がある植物に、ワサビの名がついていることがある。ただし、必ずしもワサビと近縁ではない。

  • セイヨウワサビ(西洋山葵)、ワサビダイコン(山葵大根) Armoracia rusticana
  • ユリワサビ(百合山葵)、イヌワサビ(犬山葵) Wasabia tenuis syn. Eutrema tenuis
  • ワサビノキ(山葵の木) Moringa spp. - ワサビとは遠縁である。

[編集] 粉わさび・練りわさび

練りわさびのチューブ

現在では缶入りの粉わさびやチューブ入りの練りわさびが市販され、一般家庭ではこちらが普通に用いられているが、これらの原料にはワサビダイコンや匂いが少ないセイヨウワサビを緑色に着色したものが使用されていることが多い。

本わさびの入ったものもある。地下茎は保存に向いていないため、それ以外の部分が使用される事が多い。原料に本わさびの量が50%以上の場合は「本わさび使用」、50%未満の場合は「本わさび入り」と表示されるものもある。

殺菌作用から、弁当用の防腐剤防虫剤として利用されている。

[編集] 言葉

ワサビが効きすぎると大人でも涙ぐんでしまうことと、わび・さびを合わせた音が近いこと、子供は好まずワサビの良さは大人にならないとわからないことから、大人の哀愁のモチーフとして題名等に使われることもある。

[編集] 脚注

  1. ^ 東京都立農業高校 神代農場 ワサビ栽培

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク