サワガニ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Geothelphusa dehaani (White, 1847) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Japanese Freshwater Crab |
サワガニ(沢蟹)Geothelphusa dehaani は、エビ目(十脚目)・カニ下目・サワガニ科に分類されるカニの一種。日本固有種で、一生を淡水域で過ごす純淡水性のカニである。学名の種名"dehaani"は、日本の甲殻類分類に功績があったオランダの動物学者ウィレム・デ・ハーンに対する献名となっている。
目次 |
[編集] 分布
日本固有種で、青森県から屋久島までの分布とされている。本土周辺の島嶼では、佐渡島、男女群島、壱岐諸島、種子島、隠岐諸島、五島列島、トカラ列島(中之島)なども生息が報告されている。稚ガニとして孵化することから長距離の移動能力に欠ける為、地域集団毎に遺伝子レベルでの分化が認められる。また、21世紀初頭の時点では移入種と見られる個体が北海道にも分布するとの情報がネット上に散見されるが、信頼のおける専門家(博物館・大学・水産研究所・学会等)による野生個体の確認は一切報告されていない。どうやら国立環境研究所が以前行った市民調査(既に終了)による結果が裏付けのないままネット公開され,ウィキペディアを通じて拡散したことが原因らしく、サワガニを見たことのない北海道民が川に広く分布するモクズガニをサワガニと誤認し、20年以上にわたり報告し続けてきたこと(北海道全土に分布することになっている)による可能性が高い。
[編集] 特徴
甲幅20-30mm、脚を含めた幅は50-70mmほど。体色は甲が黒褐色・脚が朱色のものが多いが、青白いもの(地方によっては「シミズガニ」と呼ばれる)、紫がかったものなども見られ、よく見られる体色は地域個体群によって異なる。甲羅には毛や突起などはなく、滑らかである。オスは右の鋏脚が左よりも大きくなるが、左のほうが大きい個体もいる。 川の上流域から中流域にかけて生息する。和名どおり水がきれいな渓流(沢)・小川に多いので、水質階級I(きれいな水)の指標生物ともなっている。日中は石の下などにひそみ、夜になると動きだすが、雨の日などは日中でも行動する。また、雨の日には川から離れて出歩き、川近くの森林や路上にいることもある。活動期は春から秋までで、冬は川の近くの岩陰などで冬眠する。
食性は雑食性で、藻類や水生昆虫、陸生昆虫類、カタツムリ、ミミズなど何でも食べる。一方、天敵はヒキガエル、アカショウビン、カワセミ、サギ類、イノシシ、イタチなどがいる。
春から初夏にかけて交尾を行ったあと、メスは直径2mmほどの卵を数十個産卵し、腹脚に抱えて保護する。卵は他のカニに比べると非常に大粒で、産卵数が少ない。幼生は卵の中で変態し、孵化する際には既にカニの姿となっている。稚ガニもしばらくは母ガニの腹部で保護されて過ごす。同じく川に生息するモクズガニやアカテガニなどは幼生を海に放さないと成長できないが、サワガニは一生を通じて海と無縁に生活する。寿命は数年-10年ほどとみられる。
[編集] 別名
タンガネ(長崎県、「田蟹」の意味)、イデンコガニ(徳島県つるぎ町、「いでんこ」とは排水溝の意味)など 和歌山県ではヒメガニという。これは赤い体色によるものかも知れない。
[編集] 利用
丸ごと唐揚げや佃煮にして食用にされる。和食の皿の彩りや酒肴などに用いられる。養殖もされており、食料品店などでもしばしば目にすることができる。後述のように重要な寄生虫の中間宿主となっているので、食べる際にはよく火を通さなければならない。
他に、子供にとってはとても身近で扱いやすいおもちゃとなる。純淡水性で雑食性なので、低水温ときれいな水質を保つことができれば飼育も比較的簡単にできる。 その場合えさはミミズやキャベツなどをあたえる。そして水槽には砂を入れ、草も植える。飼育する場合にはなわばりに気をつけることが重要である。
その他の利用方法としては指標生物などがあげられる。
[編集] サワガニを中間宿主とする感染症
肺気腫や気胸を引き起こす肺臓ジストマの一種の中間宿主となる。[1]
- ウェステルマン肺吸虫症
- ウェステルマン肺吸虫 (Paragonimus westermani, Kerbert, 1878) が原因。成虫は肺に寄生し、血と胸部異常陰影が特徴。確定診断には喀あるいは糞便から虫卵の検出。モクズガニも中間宿主。
- 宮崎肺吸虫症
- 宮崎肺吸虫 (P.miyazakii) が原因。幼虫は腸壁を突き破って、胸腔あるいは皮下まで移動するが、肺まで到達できない。胸膜炎、自然気胸、皮下腫瘤、好酸球増多などの症状がみられる。虫卵を検出することができないので、血中抗体測定法で診断。
感染源として、生食或いは加熱不十分なサワガニを食用とした場合に発症することがある。 また、市販のモクズガニが感染経路として考えられる例が報告されている[2]。
[編集] 近縁種
トカラ列島以南の南西諸島にはサワガニは分布しないが、近縁種が多数分布する。これらは孤立した島嶼や半島部で独自の種分化を遂げたものと考えられているが、同時に分布が局地的で、ほとんどの種類が絶滅危惧種となっている。また、近縁の淡水性カニは、マダガスカル島[3]。や、フィリピン[4]などの日本国外にも分布する。
- ミカゲサワガニ Geothelphusa exigua Suzuki et Tsuda, 1994
- 大隅半島の固有種。環境省レッドリスト準絶滅危惧(2000年)。
- ヤクシマサワガニ G. marmorata Suzuki et Okano, 2000
- 和名のとおり屋久島の固有種。鹿児島大学水産学部・鈴木広志助教授の研究グループによって発見され、2000年4月に新種と認められた。
- サカモトサワガニ G. sakamotoana (Rathbun, 1905)
- 甲幅40mmほどでサワガニより大きく、歩脚も長い。奄美大島、徳之島、沖縄本島に分布する。環境省レッドリスト準絶滅危惧(2000年)。
- オオサワガニ G. levicervix (Rathbun, 1898)
- 甲幅50mmほどで、和名通りサワガニよりも大型。奄美大島と沖縄諸島に分布する。環境省レッドリスト絶滅危惧II類(2000年)。
- アラモトサワガニ G. aramotoi Minei, 1973
- 甲幅30mmほど。甲羅がザラザラしており、歩脚にも毛がある。沖縄本島の固有種、環境省レッドリスト絶滅危惧II類(2000年)。
- ヒメユリサワガニ G. tenuimana (Miyake et Minei, 1965)
- 甲幅40mmほど。サカモトサワガニよりもさらに歩脚が細長い。また、他のサワガニ類に比べて乾燥したところを好む。沖縄本島の固有種だが、環境省レッドリスト絶滅危惧I類(2000年)に指定されており、日本のカニ類の中でも特に絶滅が危ぶまれる種類とされている。
- ヤエヤマヤマガニの新種(新属) Ryukyum 1995
- 石垣島、西表島産。山間部の陸域に生息し、放卵期に湿地や水辺に集まる[5]。
- タイワンサワガニ G. candidiensis Bott, 1967
- 甲幅2cmほどの小型種。和名のとおり台湾に分布するが、日本でも石垣島と西表島に分布している。
[編集] 参考文献
- サワガニの成長 (PDF) 荒木晶・松浦修平 九州大農学部
- 短報 (Note) 男女群島におけるサワガニ Geothelphusa dehaani の記録 (PDF) 森林総合研究所研究報告
- 河川環境におけるカニ類の分布様式と生態 応用生態工学 Vol.3 , No.1(2000)pp.113-130
[編集] 脚注
- ^ 寄生虫ミニ辞典 - 海外勤務健康管理センター
- ^ 市販のモクズガニが感染経路と考えられた肺吸虫症の2例
- ^ マダガスカル産サワガニの 1 新属と 2 新種 Skelosophusa (Crustacea, Decapoda, Brachyura), a New Genus of Potamonautid Freshwater Crab from Madagascar, with Descriptions of Two New Species Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology 20(4) pp.161-172 1994122
- ^ フィリピン産サワガニ類 : I. サワガニ科 The Freshwater Crab Fauna (Crustacea, Brachyura) of the Philippines : I. The Family Potamidae ORTMANN, 189 Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology 18(4) pp.149-166 19921222
- ^ 琉球列島産陸生サワガニの新属(Ryukyum) Crustacean research (24) pp.1-7 19951215 日本甲殻類学会
[編集] 外部リンク
- サワガニGeothelphusa dehaani(WHITE)の体色変化とその分布について(予報) 甲殻類の研究 (7) pp.177-182a 19760200 日本甲殻類学会