ライアン・ブラウン (外野手)

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ライアン・ブラウン
Ryan Braun
ミルウォーキー・ブルワーズ #8
2014年
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州ロサンゼルス
生年月日 (1983-11-17) 1983年11月17日(40歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
205 lb =約93 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 右翼手
プロ入り 2005年 ドラフト1巡目(全体5位)
初出場 2007年5月25日
年俸 $9,500,000(2013年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
WBC 2009年2013年

ライアン・ジョゼフ・ブラウンRyan Joseph Braun, 1983年11月17日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス出身のプロ野球選手外野手)。現在は、MLBミルウォーキー・ブルワーズに所属している。

ニックネームは「Hebrew Hammer[2]。Braunの発音は実際にはブローンに近い[3]

経歴

2005年に打率.388・18本塁打・76打点を記録し、アトランティック・コースト・カンファレンスの最優秀三塁手に選出され、ゴールデンスパイク賞の最終選考の1人にノミネートされた[4]2005年のMLBドラフトミルウォーキー・ブルワーズから1巡目(全体5位)に指名を受け、契約金245万ドルで入団[4]

2007年2月に発表されたベースボール・アメリカの有望株ランキングではヨバニ・ガヤルドに次ぐ2位の評価を受け[5]、開幕メジャー入りを期待されたが、AAA級のナッシュビル・サウンズで開幕を迎えた[6]。ナッシュビルでは34試合の出場で、打率.342・10本塁打・22打点を記録し、5月にメジャー昇格。5月25日のサンディエゴ・パドレス戦でメジャーデビューし、初安打となる二塁打を放ち、初打点も記録した。翌26日にはジャスティン・ジャマーノからメジャー初本塁打を放つなど、4打数3安打の活躍を見せた。6月には1試合4安打を2度記録するなど、打率.382、6本塁打、ナショナルリーグ新人最多となる21打点を記録し、ルーキー・オブ・ザ・マンスに選出された[7]。7月も好調が続き、27試合に出場してリーグトップの11本塁打を記録。ほかにも12試合でマルチヒット、1試合3安打を4度記録するなど、打率.345、同2位の25打点の成績を残した。2か月連続のルーキー・オブ・ザ・マンスに選出されると共に、プレイヤー・オブ・ザ・マンスにも選出され、史上初めて2つの賞を同時受賞した[8]。 最終的には113試合の出場で、規定打席不足ながら打率.324・34本塁打・97打点といずれもナ・リーグ新人最高の成績を残した。特に長打率は.634を記録し、これはチームメイトのプリンス・フィルダーを凌ぐリーグ1位。新人としては1987年のマーク・マグワイアを抜き、メジャー史上最高となる数値であった[9]。対照的に守備面では26失策と課題が残った。新人王の投票では2位のトロイ・トゥロウィツキーとは僅か2ポイント差ながら選出された[9]

2008年マイク・キャメロンをFAで獲得したこともあり、ブラウンをレフトにコンバートし、2007年はセンターを守ったが元々は内野手であるビル・ホールをサードで起用[10]。5月16日には8年総額4,500万ドルで契約延長した。この契約はジェフ・スーパンの4年総額4,200万ドルを上回る球団史上最高金額で契約年数も球団史上最長となった[11]オールスターゲームのファン投票でチェイス・アトリーに次ぐリーグ2位となる3,835,840票で選出された[12]。151試合に出場し、打率.285と前年より4分近く下がったが、37本塁打・106打点、リーグ最多の83長打を記録し、チームのワイルドカード獲得に貢献。フィラデルフィア・フィリーズとのディヴィジョンシリーズでは打率.313を記録したが、チームは1勝3敗で敗退。シルバースラッガー賞を初受賞し、MVPの投票ではアルバート・プホルスライアン・ハワードに次ぐ3位に入った[13]

2009年開幕前の3月に、第2回WBCアメリカ合衆国代表に選出された[14]
シーズンでは打率.320・32本塁打・114打点・20盗塁、リーグトップの203安打を記録。

2010年は打率.304・25本塁打・103打点で、本塁打が初めて30本に届かなかった。

2011年4月21日、2016年から5年総額1億500万ドルで契約を延長。同年限りでFA移籍が確実視されていたフィルダーとは対照的に、2020年までブルワーズでプレーすることが決まった[15]。8月31日のセントルイス・カージナルス戦でランニング・ホームランを狙った際、三塁を回った所で2度転び、タッチアウトになった。終盤までホセ・レイエスと首位打者を争い、打率.332・33本塁打・111打点・33盗塁を記録し、トリプルスリーを達成し、長打率とOPSの二部門でナショナルリーグで1位を記録し、チームの29年ぶり、ナショナルリーグ移籍後初の地区優勝の原動力となった。アリゾナ・ダイヤモンドバックスとのディビジョンシリーズでは打率.500・1本塁打を記録した。カージナルスとのチャンピオンシップシリーズでも打率.333・6打点を記録したが、2勝4敗で敗退しリーグ優勝はならなかった。MVPを受賞し、名実共にメジャーを代表する選手の1人になった。

2012年は本塁打王のタイトルを獲得し、塁打、OPSと合わせて三部門でナショナルリーグで1位を記録した。打率.319(リーグ3位)、本塁打41(リーグ1位)、打点112(リーグ2位)を記録し三冠王級の活躍だっただけでなく、盗塁も30個(リーグ9位)記録し、メジャー史上9人目の40本塁打30盗塁、そして、ブラディミール・ゲレーロ以来(2001年、2002年)の2年連続のトリプルスリーを記録した。

2013年2月27日に、第3回WBCアメリカ合衆国代表に選出された事が発表され[16]、代表入りしている[17]
シーズンでは、7月22日、薬物違反によりシーズン終了まで65試合の出場停止処分が下された。この年は61試合に出場し、打率.298・9本塁打・38打点・4盗塁 (5盗塁死) という成績を記録。メジャーデビュー後では初めて2ケタ本塁打に届かず、打率も5年ぶりに.300を切り、出場停止処分の影響もあって非常に低調な成績に終わった。

2014年は、右翼手となり135試合に出場して2年ぶりに規定打席到達を果たした。打率.266・19本塁打・81打点・11盗塁という一定の成績を残したが、過去の水準と比べると低レベルな成績に終わった。本塁打・盗塁ともに2年連続で30に届かなかった。

2015年、3年ぶりにオール・スターのメンバーに選出された。また、本塁打と盗塁がいずれも3年ぶりに20を超え、過去2シーズンと比べると復活を見せる。

薬物疑惑

2011年10月下旬に行われたドーピング検査でテストステロンに陽性反応を示していたことが12月10日ESPNによって報じられた[18]。2012年2月23日、採取された尿の管理体制に不備があったという抗議が認められ、陽性反応という事実は残ったまま出場停止は免れることになった[19]

2013年1月、バイオジェネシス・スキャンダルが発覚し、フロリダ州マイアミのアンチエイジングクリニックを経営する自称医師のアンソニー・ボッシュから禁止薬物の提供を受けていたと報じられた。ブラウンは「異議申立ての際に、専門家に助言を貰うために相談しただけ」と釈明したが、「そのような重大な問題なら、なぜチームドクターを介さず、無資格の人物に相談したのか」という追求を受け、逆に疑惑を深める結果になってしまった[20]。その後、ボッシュの手書きメモにアレックス・ロドリゲスメルキー・カブレラフランシスコ・セルベーリと共にブラウンの名前が発見され、支払った代金と思われる記述が見つかった[21]。7月22日にこれまで否定していたクリニックからの禁止薬物購入について認めて謝罪し、本来の処分2回目100試合から短縮された、シーズン残り65試合の出場停止処分を受け入れた[22][23]。2011年にMVPを受賞していたが、その時2位だったマット・ケンプから「MVPは剥奪されるべきだ」と批判された[24]

詳細情報

年度別打撃成績

















































O
P
S
2007 MIL 113 492 451 91 146 26 6 34 286 97 15 5 0 5 29 1 7 112 13 .324 .370 .634* 1.004
2008 151 663 611 92 174 39 7 37 338 106 14 4 0 4 42 4 6 129 13 .285 .335 .553 .888
2009 158 708 635 113 203 39 6 32 350 114 20 6 0 3 57 1 13 121 7 .320 .386 .551 .937
2010 157 684 619 101 188 45 1 25 310 103 14 3 0 3 56 1 6 105 17 .304 .365 .501 .866
2011 150 629 563 109 187 38 6 33 336 111 33 6 0 3 58 2 5 93 9 .332 .397 .597 .994
2012 154 677 598 108 191 36 3 41 356 112 30 7 0 5 63 15 11 128 12 .319 .391 .595 .987
2013 61 253 225 30 67 14 2 9 112 38 4 5 0 1 27 7 0 56 8 .298 .372 .498 .869
2014 135 580 530 68 141 30 6 19 240 81 11 5 0 3 41 3 6 113 17 .266 .324 .453 .777
2015 140 568 506 87 144 27 3 25 252 84 24 4 0 3 54 4 4 115 20 .285 .356 .498 .854
MLB:9年 1219 5255 4738 799 1441 294 40 255 2580 846 165 45 0 30 427 38 58 972 115 .304 .367 .545 .911
  • 2015年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高
  • 2007年は規定打席に10打席不足しているが、不足分を凡打と仮定しても.620であり、規定打席到達者でリーグ最高長打率のプリンス・フィルダー(.618)を上回る。

獲得タイトル・記録

代表歴

脚注

  1. ^ Ryan Braun Contract, Salaries, and Transactions” (英語). Spotrac.com. 2013年11月4日閲覧。
  2. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2009』廣済堂出版、2009年、345項頁。ISBN 978-4-331-51370-5 
  3. ^ 動画CIN@MIL: Braun launches a solo homer, MLB.com(英語), 2011年4月27日閲覧
  4. ^ a b McCalvy, Adam (2005年6月18日). “Brewers sign first-round pick Braun” (英語). MLB.com. 2009年5月25日閲覧。
  5. ^ Haudricourt, Tom (2007年2月2日). “Prospects:2007 Top 10 Prospects: Milwaukee Brewers” (英語). BaseballAmerica.com. 2009年5月25日閲覧。
  6. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008』廣済堂出版、2008年、338項頁。ISBN 978-4-331-51300-2 
  7. ^ Braun, Bannister selected as Rookies of the Month for June” (英語). MLB.com (2007年7月2日). 2008年12月6日閲覧。
  8. ^ Ang, Kelvin (2007年8月2日). “Braun top NL Player, Rookie for July Brewers phenom the first to win both awards in same mont” (英語). MLB.com. 2008年12月6日閲覧。
  9. ^ a b McCalvy, Adam (2007年11月12日). “Braun named NL Rookie of the Year Brewers third baseman edges Colorado's Tulowitzki” (英語). MLB.com. 2008年12月6日閲覧。
  10. ^ Ryan J. Braun MLB Baseball at CBSSports.com”. 2008年2月3日閲覧。
  11. ^ Associated Press (2008年5月16日). “Braun signed through 2015 with richest deal in Brewers history” (英語). ESPN.com. 2008年12月6日閲覧。
  12. ^ Associated Press (2008年7月7日). “NL All-Star Fan Voting” (英語). ESPN.com. 2008年12月6日閲覧。
  13. ^ Baseball Awards Voting for 2008” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年12月6日閲覧。
  14. ^ 2009 Tournament Roster WBC公式サイト 英語 2015年3月19日閲覧
  15. ^ Lacques, Gabe(2011-04-21). Ryan Braun, Brewers agree to $105 million extension through '20. USATODAY.com(英語). 2011年10月7日閲覧
  16. ^ Team USA final roster for WBC announced USABaseball.com (2013年2月22日) 2015年3月27日閲覧
  17. ^ 2013 Tournament Roster WBC公式サイト 英語 2015年3月25日閲覧
  18. ^ Schlegel, John(2011-12-10). Braun faces possible 50-game ban for PEDs. MLB.com(英語). 2011年12月11日閲覧
  19. ^ ブラウンに処分なし=禁止薬物疑惑晴れる-米大リーグ”. 時事通信 (2012年2月24日). 2012年2月25日閲覧。
  20. ^ アンチ・エージング・クリニック薬剤疑惑のその後
  21. ^ Milwaukee Brewers' Ryan Braun shows up on additional document from clinic linked to Major League Baseball PED investigation ESPN
  22. ^ Ryan Braun suspended rest of year” (英語). ESPN.com. 2013年9月10日閲覧。
  23. ^ MLB=元MVPブラウン、薬物規定違反で今季残り出場停止に”. ロイター. 2013年9月10日閲覧。
  24. ^ Matt Kemp thinks Ryan Braun should be stripped of 2011 MVP award” (英語). スポーツ・イラストレイテッド (2013年7月24日). 2016年1月11日閲覧。

関連項目

外部リンク