ワールド・ベースボール・クラシック

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ワールド・ベースボール・クラシック
Japan wins inaugural World Baseball Classic.jpg
ワールド・ベースボール・クラシック
分類 野球
開始年 2006年
主催 MLB
参加チーム 16
前回優勝チーム 日本の旗日本
公式サイト 公式サイト

ワールド・ベースボール・クラシック英語World Baseball Classicスペイン語Clásico Mundial de Béisbolクラスィコ・ムンディアル・デ・ベイスボル〕、略称:WBC)は、国際野球連盟(IBAF)によって認可された、メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会が主催する野球の「国際大会」である。

目次

[編集] 開催経緯

1990年代後半頃からメジャーリーグベースボール(MLB)では、東アジアや北中米カリブ海諸国の選手を中心にMLBの国際化が進み、彼らの様なアメリカ合衆国以外の国籍を持つMLB選手による活躍が著しくなった。また、2000年代初頭からメキシコや日本などのアメリカ合衆国内以外でMLB開幕戦を開催するなどして、本格的なMLBの世界進出(グローバル化戦略)によるMLB拡大と野球マーケットの拡大、それに伴う収益の拡大を目指していたMLB機構のバド・セリグコミッショナーは「野球版ワールドカップ」の開催を提唱。関係各所で国際野球連盟(IBAF)に参加していないメジャーリーグ選手を中心とした各国のプロ・アマ野球リーグ選手による国別世界一を決める国際大会の開催へ向けて協議がなされて来た。

2005年5月にMLB機構が翌年3月に野球の世界大会を開催することを発表[1]。7月12日にMLBオールスターゲーム開催地のデトロイトで、参加が確定していなかった日本キューバを除く14ヶ国の代表が出席して開催発表記者会見が行われ、大会の正式名称“World Baseball Classic”が発表された[2]。記者会見にはセリグ・コミッショナーの他、各国の選手代表としてドントレル・ウィリスアメリカ合衆国)、カルロス・ベルトランプエルトリコ)、カルロス・リーパナマ)、アンドリュー・ジョーンズオランダ)、崔熙涉韓国)、ミゲル・テハダドミニカ共和国)、ジェイソン・ベイカナダ)、ジャスティン・ヒューバーオーストラリア)が出席した[3]。WBC開催を記念して、同年のオールスターゲームでは前日に行われる恒例のホームランダービーが異例の国別対抗形式となった。

当初、日本(NPB)はMLB側の一方的な開催通告やMLB中心の利益配分に反発し、参加を保留[4]日本プロ野球選手会も開催時期の問題から参加に反対し[5]2005年7月22日の選手会総会で不参加を決議した。しかし、MLB機構は参加を保留するNPBに対し、改めて参加を要求し、もし日本の不参加によりWBCが失敗に終わった場合、日本に経済的補償を要求することを通達。更に、WBCへの不参加は「日本の国際的な孤立を招くだろう」と警告した[6]。これを受けて、日本プロ野球選手会は不参加の方針を撤回。最終的に9月16日に選手会の古田敦也会長がNPB機構に参加の意向を伝え、日本の参加が決まった。

その結果、2006年3月に本大会の第1回大会を開催した。

なお、MLB機構はこの大会を夏季オリンピック野球競技に代わる国際大会として育てたい意向である[2]。また、第2回大会2009年3月に行われ、その後は4年おきに開催する予定である。ちなみに、現在の参加チームはMLB機構が選抜した16ヶ国・地域による大会となっているが、2013年以降には参加国・地域の数を増やす意向も表明している。

[編集] 語意

MLBでは夏のオールスターゲームが別名"Mid Summer Classic"、同様に秋のワールドシリーズが"Fall Classic"と呼ばれており、Classicには「伝統の大会」という意味もあるが、"World Baseball Classic"という名称には、新設の大会ではあるもののこれらの重要な伝統の公式行事と同格であるというメジャーリーグ機構の大会への思いが込められている[要出典]

[編集] 試合形式

2006年3月13日、第1回WBC第2ラウンド、アメリカ合衆国対韓国戦(エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイム)。投手はドントレル・ウィリス
2009年3月24日、第2回WBC決勝戦、日本対韓国戦(ドジャー・スタジアム)。投手はダルビッシュ有。優勝を決め喜ぶ日本ナイン。
  • 第1回大会の正式な開催要項は2005年オールスターゲームの前日に発表された。
  • 16の参加国・地域を4チームずつ4組に分け、それぞれの地域で1次リーグを戦う。さらに各組の上位2チーム、合計8チームが4チームずつの2つのリーグに分かれてアメリカで2次リーグを戦い、それぞれのリーグの上位2チームが決勝トーナメントに進出。その4チームで準決勝、決勝を行い優勝を決める。3位決定戦は行われず準決勝敗退の2チームが3位。
  • 投手に関しては、投球数制限などが設けられている。第1回大会では、投球数は1次リーグが65球、2次リーグが80球、準決勝と決勝は95球に制限。第2回大会では1次リーグが70球、2次リーグが85球、準決勝と決勝は100球に制限。投球中に制限数を迎えた投手は、その後の投球数に関係なく、その対戦打者が打席を終えるまで投球が認められる。
  • 登板間隔は、50球以上投げた場合は中4日とする。30球以上50球未満の場合と30球未満でも連投した場合には中1日が義務付けられる。
  • 2次リーグまではコールドゲーム規定(5・6回15点差以上、7・8回10点差以上)とする。
  • 第1回大会においては、1・2次リーグの試合は、延長戦は14回までとし、引き分け時の再試合は行わず、その場合は勝率を0.5勝と見なして計算する。1次、2次の各リーグ戦でチームの勝率が並んだ場合の順位は
    1. 直接対決に勝ったチーム
    2. 当該チーム間の試合における1イニングあたりの失点が少ないチーム
    3. 当該チーム間の試合における1イニングあたりの自責点が少ないチーム
    4. 当該チーム間の試合における打率の高いチーム
    の優先順位。以上の条件でも決着しない場合、抽選が行われる。
  • 第2回大会から1・2次リーグでダブルエリミネート方式と延長13回からタイブレーク制度が採用され、決着がつくまで試合が行われる。その他細かいルールについては2009 ワールド・ベースボール・クラシックを参照のこと。

[編集] 出場資格

どの国に属するかはオリンピック憲章のように明確には決められておらず、アレックス・ロドリゲスなど複数国で代表資格を持つ選手が多いため、軋轢も生まれている。

  • 選手は下記のいずれかに該当する場合、各代表チームへの出場資格を持つ。
  1. 当該国の国籍を持っている。
  2. 当該国の永住資格を持っている。
  3. 当該国で出生している。
  4. 親のどちらかが当該国の国籍を持っている。
  5. 親のどちらかが当該国で出生している。

[編集] 薬物規定

国際野球連盟(IBAF)によれば、WBCでドーピング検査を実施するのは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)で、メジャーリーグの規定よりも禁止薬物の範囲が広い国際ルールが適用されるはずであった。しかし、実際にはWADAが正式な意見書を提出するほどにWBCでの禁止薬物規定は少なかった。検査はWBC開催前と開催中に実施され、開催中は任意の試合で各チーム2選手を選び出し、試合後に検査を行う。メジャーリーグの組織に属する選手には合計108回の検査が行われる予定で、リーグ機構と同選手会はこれに同意している(2006年の大会ではIBAFの発表によると全出場選手の22.5%が検査を受ける事になるという)。アテネ五輪予選では1度目の違反で即刻出場取り消し、さらに2年間の出場停止が科されたが、WBCでも同様の罰則が科される。この場合、2回目の違反で国際試合から永久追放となる。ただし、メジャーリーガーがWBCの検査で陽性の判定を受けても、メジャーリーグにおける薬物規定の罰則は適用されない。なお、第1回大会でこの規定が適用されたのは韓国の朴明桓投手(斗山ベアーズ)のみだった。

[編集] 利益分配

WBCでは、各国から得られたスポンサー料や放映権料、ロイヤリティー権料などの大会収益は一括にWBCの大会運営会社に集められてから各チームへ再分配する事になっている。

大会収益が出た場合、その47%が賞金に、53%が各組織に分配される。なお、大会収益が出ない場合はMLBが赤字分を負担する事となっている。なお、賞金の内訳は、優勝チームが10%、準優勝チームが7%、準決勝敗退の2チームが5%、2次リーグ敗退の4チームが3%、1次リーグ敗退の8チームが1%である。また、各組織の内訳は、MLB機構が17.5%、MLB選手会が17.5%、NPBが7%の順となっている。(MLBとNPB以外の分配率は不明)

ちなみに、第2回大会の賞金内訳は優勝が270万USドル、準優勝は170万USドル、準決勝敗退は120万USドル、2次ラウンド敗退は70万USドル、1次ラウンド敗退で30万USドルとなっている。この他にも、各会場の1次ラウンド1位通過には30万USドル、各会場の2次ラウンド1位通過には40万USドルの賞与が支給された。また、国際野球連盟(IBAF)には野球振興の目的で100万USドルが寄付された[7]。なお、第2回大会の賞金総額は1400万USドルで、この額は780万USドルだった前回大会の約2倍である[8]

[編集] 大会ロゴ

中央に地球儀と野球のボールを組み合わせたボールを配置し、その周りを4枚のスクリューの羽根状のものが包み込む意匠で、「グローバルベースボール」と名づけられた。4枚の羽根状のものは、青色(右上)、黄色(左上)、赤色(左下)、緑色(右下)の4色が塗られている。黄色の羽根の外側に「'06WORLD」、青色の羽根の外側に「BASEBALL」、緑色の羽根の外側に「CLASSIC」という文字が記されている。また、強豪国の多いスペイン語圏のカリブ海などの国に配慮し、スペイン語のロゴも用意されている(上段から順に「'06CLASICO」「MUNDIAL」「DE BEISBOL」)。

[編集] 優勝杯・メダル

[編集] 優勝杯

WBCの優勝トロフィーは、ティファニー社の職人が200時間以上の時間をかけて制作した。細工の老舗のティファニーらしく、材質は純銀製である。

デザインのモチーフは、WBCのロゴの「グローバルベースボール」であり、台座・4枚の板・ボールから構成される。4段にカットされている台座は、4ラウンドのトーナメント(1次リーグ、2次リーグ、準決勝、決勝)を表し、台座から上方に向けて斜めに広がる4枚の板と、さらに上部中央に向かう羽状の板は、16ヶ国で構成される4つのリーグ(1次リーグ)を表している(その意匠は日本の四つ巴紋に似ている)。また、4枚の板によって支えられた中央の野球ボールは、地球(グローバル)を象徴している。

2006年2月22日プエルトリコサンフアンで行われた初公開の披露式には、WBCの親善大使を務めるトミー・ラソーダ(元ドジャース監督)らが参加した。

[編集] メダル

優勝チームには金メダル、準優勝チームには銀メダルが選手・監督・コーチの全員に授与される。なお、ベスト4の2チームに銅メダルなどは無く、何も授与されない。

[編集] 歴代大会結果

開催年 開催国 決勝戦 ベスト4
優勝 スコア 準優勝
1 2006年
詳細
アメリカ合衆国の旗//日本の旗/プエルトリコの旗 Flag of Japan.svg 日本 10 - 6 Flag of Cuba.svg キューバ Flag of South Korea.svg 韓国 Flag of the Dominican Republic.svg ドミニカ共和国
2 2009年
詳細
アメリカ合衆国の旗//日本の旗/メキシコの旗/カナダの旗/プエルトリコの旗 Flag of Japan.svg 日本 5 - 3 Flag of South Korea.svg 韓国 Flag of the United States.svg アメリカ合衆国 Flag of Venezuela (state).svg ベネズエラ
3 2013年
詳細
  • 開催国は、最も左の国がメイン開催国
  • ベスト4は、準決勝で優勝国に破れた国が左、準優勝国に破れた国が右

[編集] 歴代決勝戦の開催地

[編集] 代表別通算成績

順位 国・地域名 出場 優勝 準優 4強 試合 勝数 敗数 引分 勝率
1 Flag of Japan.svg 日本 2 2 0 0 17 12 5 0 .706
2 Flag of South Korea.svg 韓国 2 0 1 1 16 12 4 0 .750
3 Flag of Cuba.svg キューバ 2 0 1 0 14 9 5 0 .643
4 Flag of Venezuela (state).svg ベネズエラ 2 0 0 1 14 9 5 0 .643
5 Flag of the United States.svg アメリカ合衆国 2 0 0 1 14 7 7 0 .500
6 Flag of the Dominican Republic.svg ドミニカ共和国 2 0 0 1 10 6 4 0 .600
7 Flag of Puerto Rico.svg プエルトリコ 2 0 0 0 12 8 4 0 .667
8 Flag of Mexico.svg メキシコ 2 0 0 0 12 5 7 0 .417
9 Flag of the Netherlands.svg オランダ 2 0 0 0 9 3 6 0 .333
10 Flag of Canada.svg カナダ 2 0 0 0 5 2 3 0 .400
11 Flag of Italy.svg イタリア 2 0 0 0 6 2 4 0 .333
12 Flag of Chinese Taipei for Olympic games.svg チャイニーズタイペイ 2 0 0 0 5 1 4 0 .200
13 Flag of Australia.svg オーストラリア 2 0 0 0 6 1 5 0 .167
13 Flag of the People's Republic of China.svg 中国 2 0 0 0 6 1 5 0 .167
15 Flag of Panama.svg パナマ 2 0 0 0 5 0 5 0 .000
15 Flag of South Africa.svg 南アフリカ共和国 2 0 0 0 5 0 5 0 .000
  • データは2009年大会終了時
  • 太字の国・地域名は優勝経験のある国・地域で、太数字は最多記録、斜数字は最少記録。
  • 順位は優勝回数が多い順に並べている。優勝回数が同数の場合は準優勝回数が多い方を、準優勝回数も同数の場合はベスト4進出回数が多い方を、ベスト4進出回数も同数の場合は勝利数の多い方を上に並べることとする。

[編集] 今後の課題

[編集] 大会の趣旨

日本においては「真の野球世界一決定戦」などと大々的に報道されたWBCであるが、一方で「もともとWBCはMLBが野球の国際化を旗印に、シーズン前の集金イベントとして企画した大会[9]、「ナショナリズムの名を借りた商業主義の花相撲」など、大会の趣旨自体について批判的な見方が存在する。2009年大会での収益の配分率が、優勝を争った日本と韓国はそれぞれ13%、9%に過ぎない一方で、米国だけで66%(MLB機構とMLB選手会が3分の1ずつ)と大半を占有した[10]

[編集] 大会の認知

日本韓国などでは大々的に報じられたWBCであるが、本国アメリカ合衆国のように関心が比較的薄い国も多く、参加国間の温度差が指摘されている[11]
米国スポーツメディアも、野球に関する報道はスプリングトレーニングやオープン戦に大部分を割き、WBCはその影に隠れる形であった[12]。米国では2次ラウンドの会場で空席が目立ち[13]、視聴率も最高2%台に留まった[14]
第2回大会にアメリカ代表として出場したジミー・ロリンズフィラデルフィア・フィリーズ)が「(他の国とは違い、)アメリカではバスケットボールとかアメリカンフットボールとか、他のスポーツもあるから、その時々のシーズンのスポーツに関心が散らばるんだ。」と語っているように[15]、3月には全米規模の注目を集めるNCAA男子バスケットボールトーナメントが行われており、米国のスポーツファンの関心の矛先はそちらに向いてしまう。更にNBANHLのレギュラーシーズンも佳境であるため、本来「ベースボールシーズン」ではない3月に米国民の目を一斉に野球に向けるのは非常に難しい。WBCを中継したESPNも、看板スポーツニュース番組『スポーツセンター』では、WBC開催中でありながら、大学バスケットの情報をトップニュースで報じた[16]
更に、米国の野球ファンの多くはWBCよりも贔屓球団の動向を気にしており、米国ではWBCは春季キャンプ[17]オープン戦[18]以下の位置づけだった。実際に、AP通信の調査によると、野球ファンの6割がWBCに無関心だと回答している[16]。米国民のWBCに対する関心の低さは、「米国の国技である野球に世界大会など不要」という見方が大半であることや、国際的スポーツのサッカーF1よりも国内完結型のアメリカンフットボールNASCARを好む米国独特の価値観、冷戦時代のバスケットボールやアイスホッケーでの対ソ連のように、米国民に満足感をもたらすことの出来る宿敵が存在しないことなども原因であると考えられている[16]
一方で、日本韓国では連日高視聴率をマークし、バド・セリグMLBコミッショナーも、日韓での高視聴率に満足感を示した[19]ESPNではデレク・ジーターアレックス・ロドリゲスイチローらを起用したWBC宣伝CM[20]を作成・放映していたが、更なる宣伝が必要だと思われる。
しかし2009年の第2回大会決勝戦に於いては、韓国系移民が多い土地柄も影響し、ドジャー・スタジアムでWBC史上最高の5万4,846人の観衆を記録した[21]

[編集] 大会の方式

第1回大会では、第1ラウンド、第2ラウンドで4チームによるリーグ戦を実施したが、2次リーグA組で日本アメリカメキシコが1勝2敗で並び、失点率で日本が2位となり、準決勝に進出した。このように、順位がわかりにくくなる可能性が高いことと、投手一人の調子にスコアが大きく影響され、一つのプレーをきっかけに大量得点が入りやすい野球ではサッカーと違って得点・失点で実力を反映しにくいことから、リーグ戦方式を批判する声が強かった。
第2回大会では、前回の反省から、第1ラウンドの各グループから勝ち上がった2チームが第2ラウンドでも同じ組に入る変則的なダブルエリミネーション方式を採用した。そのため、大会を通じて同一カードが最大5度も対戦する可能性があり、実際に決勝戦のカードは第1、第2ラウンドで2度ずつ戦われた日本対韓国となった。その他のカードでも複数回の対戦が目立ち、対戦カードに新鮮味がないと指摘された。ファンのみならず、松坂大輔[22]のように、選手側からも組み合わせを批判する声が上がった。
組み合わせの偏りも問題化している。実際、2回の大会を終えても日本はまだ6カ国(韓国中国台湾アメリカメキシコキューバ)としか対戦していない。米国が恣意的に組み合わせを決定しているという批判が度々なされている[23]
スポーツ・イラストレイテッド』誌のトム・バードゥッチ記者は、「第2ラウンドからは8チームまとめてカリフォルニアで行えばいい。順位決定戦はなくせるし、日程も詰められる。」と提案している[16]

[編集] 大会の時期

大会が開催されるのはシーズン開幕前の時期であるが、まだ調整途中の時期であるため、シーズン中に開催するのがいいのではないかという声が挙がっている[16]
また選手の怪我が懸念され、メジャーリーグ各球団の全面的な協力を得ることが難しい。また選手の契約上の問題もあり実際にアメリカ、ドミニカなど有力メジャーリーガーを抱える国の選手辞退が相次いだ[24] 。「投球回数制限などある野球もどきのWBCは、しょせんはオープン戦と一緒というのが、メジャーのスーパースターの本音でしょう。世界一決戦などと全く思っていない」といった厳しい意見も聞かれた[25] 。WBCに出場した選手の中にも、ロイ・オズワルトブライアン・マッキャンなどのように、3月という開催時期に苦言を呈している選手もいる[26]
第2回大会でアメリカ代表のエースとして期待されながら参加を辞退したCC・サバシアニューヨーク・ヤンキース)は、「非常に興味深い大会だと思うが、緊張感ある試合を行うには時期が早すぎるために参加できなかった。開催時期の問題を除けば、素晴らしい大会だと思う。」[27]と語っており、候補選手の相次ぐ辞退を防ぐには、開催時期の変更が不可欠だと思われる。しかし、アメリカの野球ファンがシーズンの中断を望んでいないことや、先述のように、アメリカではほぼ年中何らかのスポーツイベントに国民の関心が向けられていることなどにより、3月以外にこれといった開催時期は見当たらないのが現状である。バド・セリグMLBコミッショナーも、「タイミングが悪いと言われていることは理解している。(3月は)大会を開催できる本当に唯一の時期」だとしており、第3回大会もこれまでと同様に3月に開催し、MLBのシーズンを中断することや、ワールドシリーズ後の11月に開催することは考慮していないと話している[28]
シーズン終了後の開催案は、肉体的疲労やオフの短縮により歓迎されていない。アメリカのメディアでは、第2ラウンドまでは開幕前に済ませ、決勝ラウンドのみオールスター期間中に行おうという意見が多い。しかし、この案では予選と決勝ラウンドの間隔が開きすぎて盛り上がりに水をさしかねないという懸念がある。また、日本韓国はシーズン真っ只中に渡米しなければならない。これに関しては、ESPN解説者のジェイソン・スタークが「彼らはオリンピックでも同じことをしているから問題ない。」と主張しているが、これまでのように長期の合宿を行うことが困難になり、万全の状態で大会に臨むことが難しくなる[16]

[編集] シーズンへの影響

第1回大会にアメリカ代表のエースとして参加したドントレル・ウィリスがWBCを境に長期スランプに陥ったことから、WBCがシーズンにもたらす悪影響が指摘されるようになった。そのため、第2回大会では第1回大会以上にメジャーリーガーの辞退が相次ぐことになってしまった。2009年の第2回大会開催前には、ニューヨーク・ヤンキースが運営するケーブルTV局YESネットワークの公式ファンフォーラムで、ヤンキースの投手が誰一人としてWBCに参加しないことを歓迎する意見が寄せられた[29]
ボストン・レッドソックスは、第2回大会でダスティン・ペドロイアケビン・ユーキリスにごく軽度の故障が発生すると、即座に代表を離脱させた。このように、高額年俸を支払っている選手に、シーズン以外の場で故障されてはかなわないという姿勢を持つ球団が多かった[16]。大会に非協力的な球団の姿勢が、結果的に辞退者を増やすことになってしまった。
第2回大会後は、イチロー松坂大輔ホアキム・ソリアエディンソン・ボルケス[30]らがWBCの影響で故障者リスト入りしたと報じられた。更に、全球団中最多の15人がWBCに出場したニューヨーク・メッツでWBC出場選手に故障が続出したことから、ニューヨークのメディアがWBCの悪影響を指摘した[31]。その他にも、ロイ・オズワルトマット・リンドストロム青木宣親[32]らのように不振に陥った選手についても、その原因をWBCに結びつける報道がなされた[33]。一部米メディアでは、WBCの開催自体に批判的な報道もなされており[34][35]、次回大会以降への影響が懸念されている。

[編集] 参加国の増加

大会は予選なしで招待された16ヵ国が争う形式であるが、南アフリカ共和国イタリア[36]のように、本国での認知度が極めて低い国もあり、参加国間のレベルの差が指摘されている。また、国内に野球の本格的なプロリーグが存在する国は既に全て参加してしまっているため、新規参加国はセミプロないしアマチュアレベルの国が中心となる。第3回大会では、参加国を24ヶ国に増やし、1次ラウンドの前に予選を行うことが予定されている。なお、決勝戦に進出した日韓は一次予選を免除されるとの報道もあるが確定事項ではない。これに対しても、新参加国とアメリカ、日本などの強豪国との大きなレベルの差が指摘されている。新規参加国は、現時点でチェコ共和国ニカラグアコロンビアドイツの4カ国が候補に挙がっており、残る4ヶ国については「これから選考を行う」という[37]

[編集] 開催地

過去2回の大会では、第2ラウンド以降をアメリカ合衆国で開催してきたが、前述のようにアメリカよりWBCに対する関心が高い日本韓国で開催すべきだという意見がある。しかし、大会運営部は「(第2次ラウンド以降の)日本開催の可能性は常にある」としながらも、集客力の観点から現時点での開催地変更には否定的である[38]
第2回大会では、1次ラウンドを全て米国以外の国(日本カナダメキシコプエルトリコ)で行った。韓国は次回大会での1次ラウンドの誘致を目指している[39]

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ Alan Schwarz,World Cup announcement made,ESPN(英語),2005/05/10
  2. ^ a b MLB ALL-STAR GAME,ASAP Sports(英語),2005/07/12
  3. ^ Sixteen Nations Participate In Inaugural World Baseball Classic,The Epoch Times(英語),2005/07/14
  4. ^ シャノン ヒギンス,夢の「野球ワールドカップ」がついに実現!,nikkei BPnet(2005/06/23)
  5. ^ WBC 日本参加は条件付き,読売新聞(2005/07/12)
  6. ^ 宮脇渉,MLBが日本に警告 WBC不参加なら…,中日スポーツ(2005/08/20)
  7. ^ 「本気になるぞ!WBCの賞金総額は前回の2倍」 2009年3月4日 スポニチ
  8. ^ 「WBC優勝賞金倍増!完全Vなら3億円」 2009年3月5日 イザ
  9. ^ イチローらは熱いが…WBC=世界一、分の悪い大会?
  10. ^ WBC収益配分ベスト4止まりの米国が66%
  11. ^ WBC熱 米に温度差 大リーガーはシーズン第一 朝日新聞(2009/02/24)
  12. ^ WBC、米国内での寂しい現実
  13. ^ 米国代表が登場した試合でも、8試合中5試合が観客1万人台であった。
  14. ^ ただし、多チャンネルの米国では、日本での感覚だけで、この数字を一概に「低い」と判断することは出来ない。
  15. ^ 木村愛 「2009WBC総集編 U.S.A. The Loss of Prestige 失墜した威信」 『月刊スラッガー』2009年6月号、日本スポーツ企画出版社、2009年、雑誌15509-6、53頁。
  16. ^ a b c d e f g 出野哲也 「2009WBC総集編 WE CAN MAKE IT BETTER WBC改革試案」 『月刊スラッガー』2009年6月号、日本スポーツ企画出版社、2009年、雑誌15509-6、56頁。
  17. ^ Short hops and foul tips ボストン・グローブ(英語)
  18. ^ 米国はWBCよりオープン戦? Rソックスは観客動員新記録 ISM(2009/03/24)
  19. ^ 「もっと大きな大会になる」=セリグ・コミッショナー【WBC】 時事ドットコム(2009/03/22)
  20. ^ http://www.youtube.com/watch?v=ffQVMMNjxQU (youtube動画)
  21. ^ 【WBC】決勝に大会最多の観衆 初めて5万人超え MSN産経ニュース
  22. ^ 有力選手辞退、未熟な大会運営 松坂がWBC組み合わせ批判
  23. ^ Fidel Castro: Events Have Proven Me Right
  24. ^ メジャーリーガーのWBC辞退続出 補償がネックに
  25. ^ [1]
  26. ^ フジテレビ「World Baseball エンタテイメントたまッチ!」 2009年6月29日(月)放送
  27. ^ 杉浦大介 「CC・サバシア[ヤンキース] ニューヨークに舞い降りた怪物」 『月刊スラッガー』2009年7月号、日本スポーツ企画出版社、2006年、雑誌15509-7、13頁。
  28. ^ MLBコミッショナー 第3回WBCをより大規模で素晴らしいものに
  29. ^ Joseph Pawlikowski,Thankful that no Yanks pitchers headed to WBC,River Avenue Blues(英語),2009/02/23
  30. ^ Surgery shelves Reds' Volquez for year,JournalNews(英語),2009/08/04
  31. ^ 渡辺史敏,メッツの負傷者続出はWBCのせい?,nikkansports.com(2009/07/02)
  32. ^ イチロー、松坂だけじゃない 選手を悩ますWBC後遺症 週刊文春
  33. ^ Quit using the WBC as an excuse FOX Sports(英語)
  34. ^ World Baseball Classic Is Hurting The Game The Hartford Courant(英語)
  35. ^ The World Baseball Classic Weighs Heavily on Pitchers,MLB Daily Dish(英語),2009/06/27
  36. ^ イタリアWBC代表大丈夫?
  37. ^ 次回WBCは24カ国で!日韓予選免除へ SANSPO.COM(2009/03/25)
  38. ^ WBC:MLB副会長「第2R日本開催も」 毎日新聞(2009/02/16)
  39. ^ ソウル市「3万席のドーム球場建設も追加で検討」 中央日報(2009/04/17)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク