ワールド・ベースボール・クラシック
| ワールド・ベースボール・クラシック | |
|---|---|
| 開始年 | 2006 |
| 主催 | MLB ※国際野球連盟(IBAF)公認世界選手権大会 |
| 参加チーム数 | 16 |
| 前回優勝 | |
| 最多優勝 | |
| サイト | 公式サイト |
ワールド・ベースボール・クラシック(英語:World Baseball Classic、スペイン語:Clásico Mundial de Béisbol〔クラシコ・ムンディアル・デ・ベイスボル〕、略称:WBC)は、メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会が主催する国際野球連盟(IBAF)公認の野球の世界一決定戦[1][2][3][4]。
目次 |
[編集] 開催経緯
1990年代後半頃からメジャーリーグベースボール(MLB)では、東アジアや北中米カリブ海諸国の選手を中心にMLBの国際化が進み、彼らの様なアメリカ合衆国以外の国籍を持つMLB選手による活躍が著しくなった。また、2000年代初頭からメキシコや日本などのアメリカ合衆国内以外でMLB開幕戦を開催するなどして、本格的なMLBの世界進出(グローバル化戦略)によるMLB拡大と野球マーケットの拡大、それに伴う収益の拡大を目指していたMLB機構のバド・セリグコミッショナーは「野球の世界一決定戦」の開催を提唱。関係各所で国際野球連盟(IBAF)主催の大会に出場していないメジャーリーグ選手を中心とした各国のプロ・アマ野球リーグ選手による国別世界一を決める国際大会の開催へ向けて協議がなされて来た。
2005年5月にMLB機構が翌年3月に野球の世界大会を開催することを発表[5]。7月12日にMLBオールスターゲーム開催地のデトロイトで、参加が確定していなかった日本とキューバを除く14ヶ国の代表が出席して開催発表記者会見が行われ、大会の正式名称“World Baseball Classic”が発表された[6]。記者会見にはセリグ・コミッショナーの他、各国の選手代表としてドントレル・ウィリス(アメリカ合衆国)、カルロス・ベルトラン(プエルトリコ)、カルロス・リー(パナマ)、アンドリュー・ジョーンズ(オランダ)、崔熙涉(韓国)、ミゲル・テハダ(ドミニカ共和国)、ジェイソン・ベイ(カナダ)、ジャスティン・ヒューバー(オーストラリア)が出席した[7]。WBC開催を記念して、同年のオールスターゲームでは前日に行われる恒例のホームランダービーが異例の国別対抗形式となった。
当初、日本(NPB)はMLB側の一方的な開催通告やMLB中心の利益配分に反発し、参加を保留[8]。日本プロ野球選手会も開催時期の問題から参加に反対し[9]、2005年7月22日の選手会総会で不参加を決議した。しかし、MLB機構は参加を保留するNPBに対し、改めて参加を要求し、もし日本の不参加によりWBCが失敗に終わった場合、日本に経済的補償を要求することを通達。更に、WBCへの不参加は「日本の国際的な孤立を招くだろう」と警告した[10]。これを受けて、日本プロ野球選手会は不参加の方針を撤回。最終的に9月16日に選手会の古田敦也会長がNPB機構に参加の意向を伝え、日本の参加が決まった。
その結果、2006年3月に本大会の第1回大会を開催した。なお、MLB機構はこの大会を夏季オリンピックの野球競技に代わる国際大会として育てたい意向である[6]。
第2回大会が2009年3月に行われ、その後は4年おきに開催する予定である。ちなみに、現在の参加チームはMLB機構が選抜した16ヶ国・地域による大会となっているが、2013年以降には参加国・地域の数を28ヶ国に増やし、予選も導入する意向を表明している[11]。また、WBCの中間年には2015年以降、新しい国際大会となる「IBAFプレミア12」の開催も予定されている。
2011年12月3日、IBAFのリカルド・フラッカリ会長がWBCの主催者と話し合い、従来の招待制から予選を行う事で世界一決定戦としてIBAFが公認することとなったと発表した[12]。
[編集] 試合形式
- 第1回大会の正式な開催要項は2005年オールスターゲームの前日に発表された。
- 16の参加国・地域を4チームずつ4組に分け、それぞれの地域で1次リーグを戦う。さらに各組の上位2チーム、合計8チームが4チームずつの2つのリーグに分かれてアメリカで2次リーグを戦い、それぞれのリーグの上位2チームが決勝トーナメントに進出。その4チームで準決勝、決勝を行い優勝を決める。3位決定戦は行われず準決勝敗退の2チームが3位。
- 投手に関しては、投球数制限などが設けられている。第1回大会では、投球数は1次リーグが65球、2次リーグが80球、準決勝と決勝は95球に制限。第2回大会では1次リーグが70球、2次リーグが85球、準決勝と決勝は100球に制限。投球中に制限数を迎えた投手は、その後の投球数に関係なく、その対戦打者が打席を終えるまで投球が認められる。
- 登板間隔は、50球以上投げた場合は中4日とする。30球以上50球未満の場合と30球未満でも連投した場合には中1日が義務付けられる。
- 2次リーグまではコールドゲーム規定(5・6回15点差以上、7・8回10点差以上)とする。
- 第1回大会においては、1・2次リーグの試合は、延長戦は14回までとし、引き分け時の再試合は行わず、その場合は勝率を0.5勝と見なして計算する。1次、2次の各リーグ戦でチームの勝率が並んだ場合の順位は
- 直接対決に勝ったチーム
- 当該チーム間の試合における1イニングあたりの失点が少ないチーム
- 当該チーム間の試合における1イニングあたりの自責点が少ないチーム
- 当該チーム間の試合における打率の高いチーム
- の優先順位。以上の条件でも決着しない場合、抽選が行われる。
- 第2回大会から1・2次リーグでダブルイリミネート方式と延長13回からタイブレーク制度が採用され、決着がつくまで試合が行われる。その他細かいルールについては2009 ワールド・ベースボール・クラシックを参照のこと。
[編集] 出場資格
どの国に属するかはオリンピック憲章のように明確には決められておらず、アレックス・ロドリゲスなど複数国で代表資格を持つ選手が多い。
- 選手は下記のいずれかに該当する場合、各代表チームへの出場資格を持つ。
- 当該国の国籍を持っている。
- 当該国の永住資格を持っている。
- 当該国で出生している。
- 親のどちらかが当該国の国籍を持っている。
- 親のどちらかが当該国で出生している。
ドミニカ出身選手は、米国市民権を得るためにドミニカ国籍を放棄しなければならず、オリンピック憲章をそのまま適応すれば、ドミニカ代表でプレーできないドミニカ出身選手もいる。また、イタリア代表にはイタリア系アメリカ人が多く選ばれているが、これは、イタリアがイタリア系の外国人に容易に市民権を与えるため、それを利用した結果であり、アメリカ人をルーツに当たる国の代表に選んでいる、とするのは誤解である。尚、第3回大会への出場を希望しているイスラエルもイタリアと同様にユダヤ系の外国人に容易に市民権を与えるため、イタリア代表と同様の編成になると思われる。
[編集] 薬物規定
国際野球連盟(IBAF)によれば、WBCでドーピング検査を実施するのは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)で、メジャーリーグの規定よりも禁止薬物の範囲が広い国際ルールが適用されるはずであった。しかし、実際にはWADAが正式な意見書を提出するほどにWBCでの禁止薬物規定は少なかった。検査はWBC開催前と開催中に実施され、開催中は任意の試合で各チーム2選手を選び出し、試合後に検査を行う。メジャーリーグの組織に属する選手には合計108回の検査が行われる予定で、リーグ機構と同選手会はこれに同意している(2006年の大会ではIBAFの発表によると全出場選手の22.5%が検査を受ける事になるという)。アテネ五輪予選では1度目の違反で即刻出場取り消し、さらに2年間の出場停止が科されたが、WBCでも同様の罰則が科される。この場合、2回目の違反で国際試合から永久追放となる。ただし、メジャーリーガーがWBCの検査で陽性の判定を受けても、メジャーリーグにおける薬物規定の罰則は適用されない。
[編集] 利益分配
WBCでは、各国から得られたスポンサー料や放映権料、ロイヤリティー権料などの大会収益は一括にWBCの大会運営会社に集められてから各チームへ再分配する事になっている。
主催者側は公式に発表していないが、2006年大会では、収益が出た場合、その47%が賞金に、53%が各組織に分配され、大会収益が出ない場合はMLBが赤字分を負担することになっていたという。なお、賞金の内訳は、優勝チームが10%、準優勝チームが7%、準決勝敗退の2チームが5%、2次リーグ敗退の4チームが3%、1次リーグ敗退の8チームが1%である。また、各組織の内訳は、大リーグ機構(MLB)が17.5%、大リーグ選手会が17.5%、日本野球機構(NPB)が7%、韓国野球委員会と国際野球連盟が5%、その他が1%という順とされている[13][14][15]。2009年も主催者からの公式発表はないが、MLBと大リーグ選手会が66%、NPBが13%だったという[16]。
ちなみに、第2回大会の賞金内訳は優勝が270万USドル、準優勝は170万USドル、準決勝敗退は120万USドル、2次ラウンド敗退は70万USドル、1次ラウンド敗退で30万USドルとなっている。この他にも、各会場の1次ラウンド1位通過には30万USドル、各会場の2次ラウンド1位通過には40万USドルの賞与が支給された。また、国際野球連盟(IBAF)には野球振興の目的で100万USドルが寄付された[17]。なお、第2回大会の賞金総額は1400万USドルで、この額は780万USドルだった前回大会の約2倍である[18]。
[編集] 大会ロゴ
中央に地球儀と野球のボールを組み合わせたボールを配置し、その周りを4枚のスクリューの羽根状のものが包み込む意匠で、「グローバルベースボール」と名づけられた。4枚の羽根状のものは、青色(右上)、黄色(左上)、赤色(左下)、緑色(右下)の4色が塗られている。黄色の羽根の外側に「'06WORLD」、青色の羽根の外側に「BASEBALL」、緑色の羽根の外側に「CLASSIC」という文字が記されている。また、強豪国の多いスペイン語圏のカリブ海などの国に配慮し、スペイン語のロゴも用意されている(上段から順に「'06CLASICO」「MUNDIAL」「DE BEISBOL」)。
[編集] 優勝杯・メダル
[編集] 優勝杯
WBCの優勝トロフィーは、ティファニー社の職人が200時間以上の時間をかけて制作した。銀細工の老舗のティファニーらしく、材質は銀(スターリングシルバー)である。
- 高さ:25インチ(約63.5 cm)
- 重さ:30ポンド(約13.6 kg)
- 材質:銀(スターリングシルバー)
デザインのモチーフは、WBCのロゴの「グローバルベースボール」であり、台座・4枚の板・ボールから構成される。4段にカットされている台座は、4ラウンドのトーナメント(1次リーグ、2次リーグ、準決勝、決勝)を表し、台座から上方に向けて斜めに広がる4枚の板と、さらに上部中央に向かう羽状の板は、16ヶ国で構成される4つのリーグ(1次リーグ)を表している(その意匠は日本の四つ巴紋に似ている)。また、4枚の板によって支えられた中央の野球ボールは、地球(グローバル)を象徴している。
2006年2月22日、プエルトリコのサンフアンで行われた初公開の披露式には、WBCの親善大使を務めるトミー・ラソーダ(元ドジャース監督)らが参加した。
[編集] メダル
優勝チームには金メダル、準優勝チームには銀メダルが選手・監督・コーチの全員に授与される。なお、ベスト4の2チームに銅メダルなどは無く、何も授与されない。
|
[編集] 歴代大会結果
| 回 | 開催年 | 主催国 予選開催国 |
決勝戦 | ベスト4 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 優勝 | スコア | 準優勝 | 3位 | 4位 | |||
| 1 | 2006年 | 10 - 6 | |||||
| 2 | 2009年 | 5 - 3 | |||||
| 3 | 2013年 | ||||||
- 上段が主催国、下段が予選を開催した国
[編集] 歴代決勝戦の開催地
- 第1回大会(2006年):ペトコ・パーク(
カリフォルニア州サンディエゴ/サンディエゴ・パドレスの本拠地) - 第2回大会(2009年):ドジャー・スタジアム(
カリフォルニア州ロサンゼルス/ロサンゼルス・ドジャースの本拠地)
[編集] 代表別通算成績
| 順位 |
国・地域 | 出場 |
優勝 |
準優 |
四強 |
試合 |
勝利 |
敗戦 |
引分 |
勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 17 | 12 | 5 | 0 | .706 | |
| 2 | 2 | 0 | 1 | 1 | 16 | 12 | 4 | 0 | .750 | |
| 3 | 2 | 0 | 1 | 0 | 14 | 9 | 5 | 0 | .643 | |
| 4 | 2 | 0 | 0 | 1 | 14 | 9 | 5 | 0 | .643 | |
| 5 | 2 | 0 | 0 | 1 | 14 | 7 | 7 | 0 | .500 | |
| 6 | 2 | 0 | 0 | 1 | 10 | 6 | 4 | 0 | .600 | |
| 7 | 2 | 0 | 0 | 0 | 12 | 8 | 4 | 0 | .667 | |
| 8 | 2 | 0 | 0 | 0 | 12 | 5 | 7 | 0 | .417 | |
| 9 | 2 | 0 | 0 | 0 | 9 | 3 | 6 | 0 | .333 | |
| 10 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 3 | 0 | .400 | |
| 11 | 2 | 0 | 0 | 0 | 6 | 2 | 4 | 0 | .333 | |
| 12 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 1 | 4 | 0 | .200 | |
| 13 | 2 | 0 | 0 | 0 | 6 | 1 | 5 | 0 | .167 | |
| 13 | 2 | 0 | 0 | 0 | 6 | 1 | 5 | 0 | .167 | |
| 15 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 5 | 0 | .000 | |
| 15 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 5 | 0 | .000 |
- データは2009年大会終了時
- 太字の国・地域名は優勝経験のある国・地域で、太数字は最多記録。
- 順位は優勝回数が多い順に並べている。優勝回数が同数の場合は準優勝回数が多い方を、準優勝回数も同数の場合はベスト4進出回数が多い方を、ベスト4進出回数も同数の場合は勝利数の多い方を上に並べることとする
[編集] 今後の課題
[編集] 大会の認知
日本や韓国などでは大々的に報じられ、テレビは連日高視聴率をマークし、バド・セリグMLBコミッショナーも、日韓での高視聴率に満足感を示した[19]。しかし、開催国アメリカ合衆国のように関心が比較的薄い国も多く、参加国間の温度差が指摘されている[20]。
アメリカのスポーツメディアは、野球に関する報道はスプリングトレーニングやオープン戦に大部分を割き、WBCはその影に隠れる形であった[21]。アメリカでは2次ラウンドの会場で空席が目立ち[22]、視聴率も最高2%台に留まった[23]。
第2回大会にアメリカ代表として出場したジミー・ロリンズが「(他の国とは違い、)アメリカではバスケットボールとかアメリカンフットボールとか、他のスポーツもあるから、その時々のシーズンのスポーツに関心が散らばるんだ」と語っているように[24]、3月には全米規模の注目を集めるNCAA男子バスケットボールトーナメントが行われており、また NBA・NHLのレギュラーシーズンも佳境であるため、本来「ベースボールシーズン」ではない3月にアメリカ国民の目を野球に向けるのは非常に難しいと言われる。アメリカ国民のWBCに対する関心の低さは、「ワールドシリーズという名の通り、MLBでの優勝チームこそが世界一だ」という認識が強く、国際的スポーツのサッカーやF1よりも国内完結型のアメリカンフットボールやNASCARを好む米国独特の価値観、冷戦時代のバスケットボールやアイスホッケーでの対ソ連のように、アメリカ国民に満足感をもたらすことの出来る宿敵が存在しないことなども原因であると考えられている[25]。
[編集] 大会の運営
大会の勝ちあがり方法については、第1回大会では、第1ラウンド、第2ラウンドで4チームによるリーグ戦を実施したが、2次リーグA組で日本、アメリカ合衆国、メキシコが1勝2敗で並び、失点率で日本が2位となり、準決勝に進出した。得失点を含めて順位を決定するのは他のスポーツでも行われることであるが、たとえば第1回の2次リーグA組でメキシコが準決勝に進むためには、最後のアメリカ戦で「延長13回または14回までアメリカを0点に抑えかつ自らも延長13回または14回まで無得点で進行しいずれかの当該回においてサヨナラ3ランホームランかサヨナラ満塁ホームランで勝利(2次リーグは延長14回まで、またメキシコはこの試合で後攻)」という非現実的な条件が必要となった。第2回大会では、第1回大会の反省から、第1ラウンドの各グループから勝ち上がった2チームが第2ラウンドでも同じ組に入る変則的なダブルイリミネーション方式を採用した。そのため、展開によっては大会を通じて同一カードが最大5度もある可能性があり、実際に日本対韓国の対戦は5試合行われた。その他のカードでも複数回の対戦が目立ち、対戦カードに新鮮味がないと指摘された。松坂大輔のように、出場した選手側からも組み合わせを批判する声が上がった[26]。
運営組織については、オリンピックのIOC(国際オリンピック委員会)、サッカーW杯のFIFA(国際サッカー連盟)のように、国際大会は世界を束ねる中立的な立場の組織が主催することが多いが、WBCの場合は一国のプロリーグであるMLBの機構・選手会が共同出資して作った運営会社が開催しているため[27]、中立的な運営がなされていないのではないかとの意見がある[28]。
大会参加国については、過去2回の大会は予選なしで招待された16ヵ国が争う形式であるが、南アフリカ共和国や中華人民共和国のように、本国での野球の認知度が低く、参加国間のレベルの差が指摘されている。第3回大会では、参加国を24ヶ国に増やし、1次ラウンドの前に予選を行うことが予定されているが、国内に野球の本格的なプロリーグが存在する国は既に全て参加してしまっているため、新規参加国はセミプロないしアマチュアレベルの国が中心となり、新参加国とアメリカ、日本などの強豪国との大きなレベルの差が指摘されている。
開催地については、過去2回の大会では、第2ラウンド以降をアメリカ合衆国で開催してきたが、前述のようにアメリカよりWBCに対する関心が高い日本や韓国で開催すべきだという意見がある。しかし、大会運営部は「(第2次ラウンド以降の)日本開催の可能性は常にある」としながらも、集客力の観点から現時点での開催地変更には否定的である[29]。
収益は大会運営会社のWBCインクに一括して集められるが、集地域別の一番の大口スポンサーは日本であり、収入の半分以上はテレビの放映権料・冠スポンサー料といった「ジャパンマネー」だとされている[30]。 大会収益の分配について公式的に明らかにされていないが、2009年大会の場合、優勝を争った日本と韓国はそれぞれ13%、9%に過ぎない一方で、アメリカだけで66%(MLB機構とMLB選手会が3分の1ずつ)を占有したと報じられている。[31][32][33]。これについて二宮清純は、「WBCはメジャーリーグのマーケットを拡大し、新しい収入源を獲得するための大会。『真の世界一を決める大会』とのうたい文句はタテマエに過ぎない」などと指摘している[34] が、大会の収支が赤字だった場合には主催者が全額補填することとなっている上、MLBが利益を得る仕組みが無ければメジャーリーガーの参加は期待できず、大会を開催する意味がないとされる[35] 。
代表チームにつくスポンサーからの収入と、代表グッズのライセンシング料がそのまま参加国に入るよう、WBCインクにスポンサー権とライセンシング権の譲渡を求めている日本プロ野球選手会は、2011年7月22日、名古屋市で臨時大会を開き、交渉の結果次第では第3回大会に出場しないことを全会一致で決議した。NPBは、選手の出場給や傷害保険料、合宿費用などの支出が大きく採算が取れない状況で、選手会は「現状では優勝してもリーグや球団に利益はなく、選手派遣のリスクを負うだけだ」と説明しており、12球団のオーナーも同調した[36]ところ、MLB側は回答期限を9月30日までと設定したが、日本参加による収益を望むMLBは回答期限以降も参加を受け付けている。その後、当初は選手会と協調していたNPB12球団のオーナーは、別に収益を確保する構想をまとめた事により、同年11月にWBCへの参加を表明した[37]
[編集] 大会の時期
大会が開催される3月はシーズン開幕前の調整途中の時期であるため、シーズン中に開催するのがいいのではないかという意見がある[25]。日本は強化試合など大会への準備を行ったが、アメリカ代表が集合したのは大会一次ラウンドのわずか5日前であった。長いシーズンを戦う下地を作るこの時期に、所属チームを離れられないという現実がある[38]。
また選手の怪我が懸念され、メジャーリーグ各球団の全面的な協力を得ることが難しい。さらに選手の契約上の問題もあり実際にアメリカ、ドミニカなど有力メジャーリーガーを抱える国では選手の出場辞退が相次いだ[39] 。日本プロ野球でも出場辞退者が多数存在し、日本や台湾の代表選考に影響を与えている。WBCに出場した選手の中にも、ロイ・オズワルトやブライアン・マッキャンなどのように、3月という開催時期に苦言を呈している選手もいる[40]。
第2回大会で参加を辞退した CC・サバシアは、「非常に興味深い大会だと思うが、緊張感ある試合を行うには時期が早すぎるために参加できなかった。開催時期の問題を除けば、素晴らしい大会だと思う」[41]と語っており、候補選手の相次ぐ辞退を防ぐには、開催時期の変更が不可欠とも言われている。しかし、アメリカの野球ファンがシーズンの中断を望んでいないことや、先述のように、アメリカではほぼ年中何らかのスポーツイベントに国民の関心が向けられていることなどにより、3月以外にこれといった開催時期は見当たらないのが現状である。バド・セリグMLBコミッショナーも、「タイミングが悪いと言われていることは理解している。(3月は)大会を開催できる本当に唯一の時期」だとしており、第3回大会もこれまでと同様に3月に開催し、MLBのシーズンを中断することや、ワールドシリーズ後の11月に開催することは考慮していないと話している[42]。
シーズン終了後の開催案は、肉体的疲労やオフの短縮により歓迎されていない。アメリカのメディアでは、第2ラウンドまでは開幕前に済ませ、決勝ラウンドのみオールスター期間中に行おうという意見があるが、この案では予選と決勝ラウンドの間隔が開きすぎて盛り上がりに水をさしかねないという懸念がある。また、日本や韓国が決勝に進出した場合は本国でのシーズン真っ只中に渡米しなければならない。これに関しては、ESPN解説者のジェイソン・スタークが「彼らはオリンピックでも同じことをしているから問題ない。」と主張している[25]。
[編集] シーズンへの影響
第1回大会にアメリカ代表のエースとして参加したドントレル・ウィリスがWBCを境に長期スランプに陥ったことから、WBCがシーズンにもたらす悪影響が指摘されるようになった。そのため、第2回大会では第1回大会以上にメジャーリーガーの辞退が相次ぐことになってしまった。2009年の第2回大会開催前には、ニューヨーク・ヤンキースが運営するケーブルTV局YESネットワークの公式ファンフォーラムで、ヤンキースの投手が誰一人として WBCに参加しないことを歓迎する意見が寄せられた[43]。
ボストン・レッドソックスは、第2回大会の開催中にダスティン・ペドロイア、ケビン・ユーキリスに軽度の故障が発生すると、即座に代表を離脱させた。このように、高額年俸を支払っている選手に、シーズン以外の場で故障されてはかなわないという姿勢を持つ球団が多かった[25]。大会に非協力的な球団の姿勢が、結果的に辞退者を増やすことになってしまった。
第2回大会後は、イチロー、松坂大輔、ホアキム・ソリア、エディンソン・ボルケス[44] らがWBCの影響で故障者リスト入りしたと報じられた。更に、全球団中最多の15人がWBCに出場したニューヨーク・メッツでWBC出場選手に故障が続出したことから、ニューヨークのメディアがWBCの悪影響を指摘した[45]。その他の不振に陥った選手についても、その原因をWBCに結びつける報道がなされた[46]。このような状況から一部アメリカメディアでは、WBCの開催自体に批判的な報道もなされており[47][48]、次回大会以降への影響が懸念されている。
[編集] 脚注
- ^ 朝日新聞社発行「知恵蔵」web版http://kotobank.jp/dictionary/chiezo/
- ^ スポーツナビ WBCとは
- ^ 共同通信ニュース特集 ワールド・ベースボール・クラシック 右欄「WBCとは」参照
- ^ WBCを世界一決戦と公認 国際野球連盟総会 - スポーツナビ
- ^ Alan Schwarz,World Cup announcement made,ESPN(英語),2005/05/10
- ^ a b MLB ALL-STAR GAME,ASAP Sports(英語),2005/07/12
- ^ Sixteen Nations Participate In Inaugural World Baseball Classic,The Epoch Times(英語),2005/07/14
- ^ シャノン ヒギンス,夢の「野球ワールドカップ」がついに実現!,nikkei BPnet(2005/06/23)
- ^ WBC 日本参加は条件付き,読売新聞(2005/07/12)
- ^ 宮脇渉,MLBが日本に警告 WBC不参加なら…,中日スポーツ(2005/08/20)[リンク切れ]
- ^ “WBC参加チーム「28」に…新たに予選導入へ” (日本語). 読売新聞. (2010年10月6日) 2010年10月6日閲覧。
- ^ “WBCを世界一決戦と公認 15年から4年に1度開催” (日本語). Sponichi Annex. (2011年12月4日) 2011年12月4日閲覧。
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- ^ “이모저모” (韓国語). 東亜日報 (2006年3月6日). 2011年10月13日閲覧。
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- ^ “WBC不参加も辞さず!選手会 条件改善求める”. スポーツニッポン (2010年7月23日). 2011年10月13日閲覧。
- ^ 「本気になるぞ!WBCの賞金総額は前回の2倍」 2009年3月4日 スポニチ
- ^ 「WBC優勝賞金倍増!完全Vなら3億円」 2009年3月5日 イザ
- ^ /2009032200144 「もっと大きな大会になる」=セリグ・コミッショナー【WBC】 時事ドットコム(2009/03/22)[リンク切れ]
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- ^ a b c d 出野哲也 「2009WBC総集編 WE CAN MAKE IT BETTER WBC改革試案」 『月刊スラッガー』2009年6月号、日本スポーツ企画出版社、2009年、雑誌15509-6、56頁
- ^ 有力選手辞退、未熟な大会運営松坂がWBC組み合わせ批判
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- ^ World Baseball Classic Is Hurting The Game The Hartford Courant(英語)
- ^ The World Baseball Classic Weighs Heavily on Pitchers,MLB Daily Dish(英語),2009/06/27
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ワールドベースボールクラシック2009(日本語)
- ワールド・ベースボール・クラシック公式サイト(英語)
- WBC問題 日本プロ野球選手会(日本語)
- WBC2006アメリカ大会|観戦記および写真集(日本語)
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