テストステロン

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テストステロン
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識別情報
CAS登録番号 58-22-0
KEGG D00075
特性
化学式 C19H28O2
モル質量 288.42
外観 固体結晶
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テストステロン(testosterone)は、アンドロゲンに属するステロイドホルモンで、男性ホルモンの一種。

生成・分泌[編集]

哺乳類のオスでは睾丸で95%、副腎で5%、メスでは卵巣や副腎から男性の5-10%程度ながら分泌される。

作用[編集]

  • 筋肉増大、骨格(特に肩幅、胸郭)の発達。
  • 女性の男性ホルモン分泌の分泌量は前述通り男性の5-10%程度で、陰毛の発毛に関与する。

性ホルモンとしての作用[編集]

胎生期、妊娠6週目から24週目にかけて大量のテストステロンが分泌される時期があり、これに曝されること(アンドロゲン・シャワーと呼ばれる)によって、脳は女性的特徴(ホルモン分泌の周期性)を失う。なお、男性外生殖器の形成に関係するのは、5αリダクターゼにより、代謝されたジヒドロテストステロン(DHT)によるもの。

思春期以降の男性では睾丸からの分泌が顕著に増加し、男性的な身体の特徴が形作られる(二次性徴)。

一般に30歳ごろから減少しはじめ、年1-2%の割合で減少する。テストステロンの減少は男性更年期と呼ばれるが、女性の更年期ほどには急激にホルモン分泌は変化せず、身体や精神に与える影響も個人差が大きい。ストレスなどで急激な減少を起こすと、男性更年期障害を起こす。テストステロンの減少率は個人差が大きく、70代になっても、30代の平均値に匹敵するテストステロン値を維持している男性も多い。

テストステロンリバウンド療法[編集]

精子形成障害において、アンドロゲンを大量投与することでゴナドトロピンの分泌を抑制し一時的に無精子症に陥らせ、その後投与を中止することでリバウンド的にゴナドトロピンを大量に分泌させ、活発な造精を促すといった療法である。改善率、妊娠率共に良好な成績を示したが、一部において精子形成能力が完全に失われてしまうケースが見られ、1998年現在ではあまり行われていない[1]

研究報告[編集]

  • 更年期うつ病の治療にテストステロン補充療法として投与する場合がある(ただし、日本では保険適用外)。
  • 筋力トレーニングや不安定な興奮(例えば闘争や浮気など)によってテストステロンの分泌が促される。イリノイ州ノックス大学心理学者、ティム・カッサーの研究では大学の学生らに15分間銃を扱わせたところ唾液から普段の100倍近いテストステロン値を記録したという。この事から危険物、あるいは危険な行為が更なる分泌を促すと言える。
  • プリンストン大学の研究者はテストステロンは痛みを鈍らせる効果があることを発見した。テストステロンを投与されたスズメはされていないスズメより3倍長く痛みに耐える事が出来た[2]
  • 心理的には闘争本能や孤独願望(1人でいたい、干渉されたくない欲求)を高める作用をもたらす[3]
  • 前立腺疾患に関与しており、前立腺癌前立腺肥大を抑えるために、抗アンドロゲン剤の投与や睾丸摘出を行うことがある。
  • アメリカの心理学者、ジェイムズ・M・ダブスはテストステロンの量が多いほど暴力的な犯罪を犯していることが分かったと述べている[4]
  • テストステロン補充療法を受けた中高年男性は、受けてない男性に比べ心臓発作や脳卒中のリスクが高まるとの研究結果が出ている[5]

ジヒドロテストステロンの作用[編集]

テストステロンは標的臓器の5αリダクターゼにより、ジヒドロテストステロン(DHT)へと代謝される。アンドロゲン受容体への結合親和性はDHTの方が高いが、テストステロン自体も結合し標的遺伝子の転写を活性化する。

テストステロン自体には禿げを起こす作用はなく、DHTに代謝されることで初めて薄毛、性欲減退を促す作用が出る。5αリダクターゼの分泌量は遺伝が関係しているため、遺伝的要因による禿げが存在すると言われる[6]

5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制するフィナステリドは、男性型脱毛症の進行遅延に効果がある。

脚注[編集]