2008年のMLBオールスターゲーム

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2008 MLBオールスターゲーム

会場となったヤンキー・スタジアム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
NL 0 0 0 0 1 1 0 1 0 3 13 4
AL 0 0 0 0 0 0 2 1 0 4 14 1
開催日時 2008年7月15日
開催球場 ヤンキー・スタジアム
開催地 ニューヨーク州ニューヨーク
最優秀選手 J・D・ドリュー (BOS)
観客数 55,632人
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2008年MLBオールスターゲームアメリカンリーグナショナルリーグの間で行われた79回目のオールスターゲーム2008年7月15日ニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムで行われた。監督は、ナショナルリーグコロラド・ロッキーズ監督クリント・ハードルアメリカンリーグボストン・レッドソックス監督テリー・フランコーナが務めた。

試合結果はアメリカンリーグが延長15回の激戦を制し 4-3 で勝利した。これによりアメリカンリーグのタンパベイ・レイズ2008年のワールドシリーズのホームフィールド・アドバンテージを獲得した。アメリカンリーグは1997年以来これで1引き分けを挟み11連勝となった。MVPは7回に同点2ランを放つなど4打数2安打2打点の活躍を見せたJ・D・ドリューが受賞。

凡例[編集]

オープニングセレモニー[編集]

試合前のセレモニーでは、殿堂入りした選手・監督総勢49名の紹介とともに先発メンバーが紹介されるという趣向で行われた。ニューヨーク・ヤンキースのホームグラウンドで行われたため宿敵ボストン・レッドソックス、及び、同じニューヨークに本拠地を置くニューヨーク・メッツの選手は大きなブーイングで迎えられた。

アメリカの歌手シェリル・クロウによってアメリカ国歌の斉唱が行われ、その後の始球式はヤンキース出身の殿堂入り選手、リッチ・ゴセージレジー・ジャクソンヨギ・ベラホワイティ・フォードの4名によって行われた。

試合結果[編集]

先発メンバー[編集]

ナショナルリーグ
打順 選手(チーム) 守備
1 ハンリー・ラミレス (FLA) SS
2 チェイス・アトリー (PHI) 2B
3 ランス・バークマン (HOU) 1B
4 アルバート・プホルス (STL) DH
5 チッパー・ジョーンズ (ATL) 3B
6 マット・ホリデイ (COL) RF
7 ライアン・ブラウン (MIL) LF
8 福留孝介 (CHC) CF
9 ジオバニー・ソト (CHC) C
先発 ベン・シーツ (MIL) P
アメリカンリーグ
打順 選手(チーム) 守備
1 イチロー (SEA) RF
2 デレク・ジーター (NYY) SS
3 ジョシュ・ハミルトン (TEX) CF
4 アレックス・ロドリゲス (NYY) 3B
5 マニー・ラミレス (BOS) LF
6 ミルトン・ブラッドリー (TEX) DH
7 ケビン・ユーキリス (BOS) 1B
8 ジョー・マウアー (MIN) C
9 ダスティン・ペドロイア (BOS) 2B
先発 クリフ・リー (CLE) P

試合経過[編集]

アメリカンリーグが 4-3 で勝利し、11連勝(1引き分けを挟む)を記録した。オールスターゲームでの11連勝は1972年から1982年にナショナルリーグが達成して以来史上2度目である。試合は延長15回、試合時間4時間50分の激戦となった。延長15回は1967年以来、試合時間は史上最長であった。通算対戦成績はアメリカンリーグの37勝40敗2分[1]

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 R H E
ナショナルリーグ 0 0 0 0 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 3 13 4
アメリカンリーグ 0 0 0 0 0 0 2 1 0 0 0 0 0 0 1 4 14 1
  1. スコット・カズミアー (1-0)  ブラッド・リッジ (0-1)  
  2. 本塁打
    NL:マット・ホリデイ (1)
    AL:J・D・ドリュー (1)
  3. 観客動員数:55,632人 試合時間:4時間50分

先発投手は、ナショナルリーグがベン・シーツ、アメリカンリーグがクリフ・リー。先制点は4回、アメリカンリーグ4番手アービン・サンタナからマット・ホリデイがソロ本塁打で先制。5回にもランス・バークマン犠牲フライで2-0と突き放す。アメリカンリーグは7回、J・D・ドリューがナショナルリーグ4番手エディンソン・ボルケスから2点本塁打を放ち同点に追いつく。8回表、ナショナルリーグはエイドリアン・ゴンザレスの犠牲フライで勝ち越すが、その裏アメリカンリーグはエバン・ロンゴリア二塁打で1点を返し、3-3の同点のまま延長戦に突入、その後は両リーグ追加点を奪えずしばらく均衡状態が続く。試合が動いたのは15回裏、11番手で登板したブラッド・リッジが2安打1四球を与え、1死満塁とするとマイケル・ヤングの犠牲フライでアメリカンリーグがサヨナラ勝ちを収めた。

記録[編集]

  • 一試合最多三振(34)、盗塁(7)、残塁(28)、起用投手(23)、起用選手(63)。
  • 一試合最多失策(3)、ダン・アグラ。なおアグラはレギュラーシーズン、ポストシーズン、オールスターゲームを含め同一試合3三振・3失策・併殺打を記録した史上初の選手となった。

選出選手[編集]

試合がアメリカンリーグで開催されるため指名打者制がとられた。地元ニューヨーク・ヤンキースからは、ファン投票でアレックス・ロドリゲス、デレク・ジーターが、監督推薦によってマリアノ・リベラの3名が選ばれた。

ファン投票選出[編集]

ファン投票は4月29日から7月2日まで大リーグ公式サイトなどで行われ、結果は7月6日に発表された。最多得票は、ナショナルリーグが3,889,602票を獲得したチェイス・アトリーPHI)、アメリカンリーグが3,934,518票を獲得したアレックス・ロドリゲスNYY)。デビッド・オルティーズアルフォンソ・ソリアーノは怪我を理由に出場を辞退している。[2]

ナショナルリーグ
守備 選手(チーム) 選出 得票数
C プエルトリコの旗 ジオバニー・ソト (CHC) 3,096,135
アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・ケンドール (MIL) - 2,503,376
アメリカ合衆国の旗 ブライアン・マッキャン (ATL) 3 1,749,707
1B アメリカ合衆国の旗 ランス・バークマン (HOU) 5 3,373,696
アメリカ合衆国の旗 プリンス・フィルダー (MIL) - 2,596,217
アメリカ合衆国の旗 デレク・リー (CHC) - 2,374,916
2B アメリカ合衆国の旗 チェイス・アトリー (PHI) 3 3,889,602
アメリカ合衆国の旗 マーク・デローサ (CHC) - 2,039,576
アメリカ合衆国の旗 リッキー・ウィークス (MIL) - 1,874,503
3B アメリカ合衆国の旗 チッパー・ジョーンズ (ATL) 6 3,772,211
ドミニカ共和国の旗 アラミス・ラミレス (CHC) 2 2,432,700
アメリカ合衆国の旗 デビッド・ライト (NYM) 3 1,740,929
SS ドミニカ共和国の旗 ハンリー・ラミレス (FLA) 2,326,285
アメリカ合衆国の旗 J・J・ハーディ (MIL) - 2,207,730
ドミニカ共和国の旗 ミゲル・テハダ (HOU) 5 2,025,995
OF アメリカ合衆国の旗 ライアン・ブラウン (MIL) 3,835,840
ドミニカ共和国の旗 アルフォンソ・ソリアーノ (CHC) † 7 3,353,840
日本の旗 福留孝介 (CHC) 2,994,935
アメリカ合衆国の旗 ケン・グリフィーJr. (CIN) - 2,907,746
アメリカ合衆国の旗 コーリー・ハート (MIL) 2,366,008
アメリカンリーグ
守備 選手(チーム) 選出 得票数
C アメリカ合衆国の旗 ジョー・マウアー (MIN) 2 2,885,246
アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・バリテック (BOS) 3 2,216,344
プエルトリコの旗 イバン・ロドリゲス (DET) - 1,483,425
1B アメリカ合衆国の旗 ケビン・ユーキリス (BOS) 2,858,130
カナダの旗 ジャスティン・モルノー (MIN) 2 2,801,307
アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・ジアンビ (NYY) - 1,668,126
2B アメリカ合衆国の旗 ダスティン・ペドロイア (BOS) 2,492,698
アメリカ合衆国の旗 イアン・キンズラー (TEX) 2,458,455
ドミニカ共和国の旗 ロビンソン・カノ (NYY) - 1,458,126
3B アメリカ合衆国の旗 アレックス・ロドリゲス (NYY) 12 3,934,518
プエルトリコの旗 マイク・ローウェル (BOS) - 2,006,101
アメリカ合衆国の旗 ジョー・クリーディ (CWS) 1,175,229
SS アメリカ合衆国の旗 デレク・ジーター (NYY) 9 3,747,437
アメリカ合衆国の旗 マイケル・ヤング (TEX) 5 2,317,403
コロンビアの旗 エドガー・レンテリア (DET) - 987,147
OF アメリカ合衆国の旗 ジョシュ・ハミルトン (TEX) 3,708,709
ドミニカ共和国の旗 マニー・ラミレス (BOS) 12 3,428,577
日本の旗 イチロー (SEA) 8 2,012,912
アメリカ合衆国の旗 J.D.ドリュー (BOS) 1,881,321
ドミニカ共和国の旗 ブラディミール・ゲレーロ (LAA) - 1,736,074
DH ドミニカ共和国の旗 デビッド・オルティーズ (BOS) † 5 3,554,209
日本の旗 松井秀喜 (NYY) - 2,198,042
アメリカ合衆国の旗 ジム・トーミ (CWS) - 1,417,796

監督推薦[編集]

三塁手で選出されたデビッド・ライトと指名打者で選出のミルトン・ブラッドリーが、アルフォンソ・ソリアーノとデビッド・オルティーズの出場辞退のためそれぞれ代替で先発出場した。

ナショナルリーグ
守備 選手(チーム) 選出
SP アメリカ合衆国の旗 アーロン・クック (COL)
アメリカ合衆国の旗 ダン・ヘイレン (ARI) 2
アメリカ合衆国の旗 ティム・リンスカム (SF)
アメリカ合衆国の旗 カルロス・マーモル (CHC)
アメリカ合衆国の旗 ベン・シーツ (MIL) 4
ドミニカ共和国の旗 エディンソン・ボルケス (CIN)
アメリカ合衆国の旗 ブランドン・ウェブ (ARI) 2
ベネズエラの旗 カルロス・ザンブラーノ (CHC) 3
RP カナダの旗 ライアン・デンプスター (CHC) 2
アメリカ合衆国の旗 ブラッド・リッジ (PHI) 2
アメリカ合衆国の旗 ビリー・ワグナー (NYM) 6
アメリカ合衆国の旗 ブライアン・ウィルソン (SF)
アメリカ合衆国の旗 ケリー・ウッド (CHC) 2
C カナダの旗 ラッセル・マーティン (LAD) 2
アメリカ合衆国の旗 ブライアン・マッキャン (ATL) 3
1B アメリカ合衆国の旗 エイドリアン・ゴンザレス (SD)
ドミニカ共和国の旗 アルバート・プホルス (STL) 7
2B アメリカ合衆国の旗 ダン・アグラ (FLA) 2
3B ドミニカ共和国の旗 アラミス・ラミレス (CHC) 2
アメリカ合衆国の旗 デビッド・ライト (NYM) ‡ 3
SS ドミニカ共和国の旗 クリスチャン・グーズマン (WSH) 2
ドミニカ共和国の旗 ミゲル・テハダ (HOU) 5
OF アメリカ合衆国の旗 コーリー・ハート (MIL)
アメリカ合衆国の旗 マット・ホリデイ (COL) 3
アメリカ合衆国の旗 ライアン・ラドウィック (STL)
アメリカ合衆国の旗 ネイト・マクラウス (PIT)
アメリカンリーグ
守備 選手(チーム) 選出
SP アメリカ合衆国の旗 ロイ・ハラデイ (TOR) 5
アメリカ合衆国の旗 スコット・カズミアー (TB) 2
アメリカ合衆国の旗 クリフ・リー (CLE)
ドミニカ共和国の旗 アービン・サンタナ (LAA)
アメリカ合衆国の旗 ジョー・ソーンダース (LAA)
RP アメリカ合衆国の旗 ジャスティン・デュークシャー (OAK) 2
アメリカ合衆国の旗 ジョー・ネイサン (MIN) 3
アメリカ合衆国の旗 ジョナサン・パペルボン (BOS) 3
パナマの旗 マリアノ・リベラ (NYY) 9
ベネズエラの旗 フランシスコ・ロドリゲス (LAA) 3
アメリカ合衆国の旗 ジョージ・シェリル (BAL)
メキシコの旗 ホアキム・ソリア (KC)
C ベネズエラの旗 ディオナー・ナバーロ (TB)
アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・バリテック (BOS) 3
1B カナダの旗 ジャスティン・モルノー (MIN) 2
2B アメリカ合衆国の旗 イアン・キンズラー (TEX)
3B アメリカ合衆国の旗 ジョー・クリーディ (CWS)
ベネズエラの旗 カルロス・ギーエン (DET) 3
アメリカ合衆国の旗 エバン・ロンゴリア (TB)
SS アメリカ合衆国の旗 マイケル・ヤング (TEX) 5
OF アメリカ合衆国の旗 J.D.ドリュー (BOS)
アメリカ合衆国の旗 カルロス・クエンティン (CWS)
アメリカ合衆国の旗 グレイディ・サイズモア (CLE) 3
DH アメリカ合衆国の旗 ミルトン・ブラッドリー (TEX) ‡

最終投票[編集]

選出選手の発表後、選出に漏れた選手の中から各リーグ5名が選ばれ、最後の1枠をかけたファン投票(All-Star Final Vote)が行われた。投票はMLB公式ウェブサイト上でのオンライン投票で実施された。投票は7月6日から7月10日まで行われ、ナショナルリーグはコーリー・ハートMIL)が、アメリカンリーグはエバン・ロンゴリアTB)が選出された。

ナショナルリーグ
選手(チーム) 守備 過去
選出
アメリカ合衆国の旗 コーリー・ハート (MIL) OF 0
アメリカ合衆国の旗 デビッド・ライト (NYM) ‡ 3B 3
アメリカ合衆国の旗 パット・バレル (PHI) OF 0
アメリカ合衆国の旗 アーロン・ローワンド (SF) OF 1
パナマの旗 カルロス・リー (HOU) OF 3
アメリカンリーグ
選手(チーム) 守備 過去
選出
アメリカ合衆国の旗 エバン・ロンゴリア (TB) 3B 0
アメリカ合衆国の旗 ジャーメイン・ダイ (CWS) OF 2
アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・ジアンビ (NYY) 1B 5
アメリカ合衆国の旗 ブライアン・ロバーツ (BAL) 2B 2
ドミニカ共和国の旗 ホセ・ギーエン (KC) OF 0

ホームランダービー[編集]

オールスターゲーム前日の7月14日に第24回ホームランダービーが開催された。1回戦でテキサス・レンジャースジョシュ・ハミルトン2005年ボビー・アブレイユの打った24本の記録を破る28本の本塁打を放った。そのハミルトンも決勝では3本と振るわず、5本を打ったミネソタ・ツインズジャスティン・モルノーが優勝した。カナダ勢で初の優勝者となった。前年の優勝者ブラディミール・ゲレーロは、オールスターに選出されなかったこともあり休日は家族と過ごすことを選び出場を辞退した。

ルール[編集]

本塁打以外は見逃しを除いて全てアウトとし、10アウトまでに何本塁打を打てるかを競う。第1ラウンド上位4名が第2ラウンドに進出する。第2ラウンドでは第1ラウンドとの合計本数を競い、上位2名が決勝へ進む。決勝ではそれまでの2回のラウンドは関係なく、決勝戦の本数だけで競う。第1・第2ラウンドともに複数の選手が同点で並んだ場合には5アウト方式のプレイオフを行う。9アウトになるとボールが普通のものから "ゴールデン・ボール" に変更される。これをホームランにすると1球ごとに17,000ドルが、大リーグ機構とスポンサーから慈善団体 "ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブス・オブ・アメリカ" に寄付される。

結果[編集]

順位 選手(チーム) ラウンド1 ラウンド2 1+2 決勝
1 ジャスティン・モルノー (MIN) 8 9 17 5
2 ジョシュ・ハミルトン (TEX) 28 4 32 3
3 ランス・バークマン (HOU) 8 6 14
4 ライアン・ブラウン (MIL) 7 7 14
5 ダン・アグラ (FLA) 6 6
6 グレイディ・サイズモア (CLE) 6 6
7 チェイス・アトリー (PHI) 5 5
8 エバン・ロンゴリア (TB) 3 3

フューチャーズゲーム[編集]

試合が行われる2日前の7月13日には、ヤンキー・スタジアムでマイナーリーグのオールスターゲーム“フューチャーズゲーム”が開催された。試合は世界選抜が米国選抜を 3-0 で下し、MVPには、2点本塁打を放つなど2打数2安打2打点を記録した世界選抜の林哲瑄台湾出身 / レッドソックス傘下)が選ばれた。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
世界選抜 1 0 0 0 0 0 2 0 0 3 9 0
米国選抜 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 1
  1. カルロス・カラスコ  クレイトン・リチャード  

脚注[編集]

  1. ^ ESPN - National League All-Stars vs. American League All-Stars - Recap - July 15, 2008” (英語). Espn.com. 2008年7月17日閲覧。
  2. ^ 2008 ALL-STAR GAME VOTES”. CBS Sports.com. 2008年7月16日閲覧。

出典[編集]