スコット・カズミアー

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スコット・カズミアー
Scott Kazmir
オークランド・アスレチックス #26
Scott Kazmir on June 26, 2013.jpg
インディアンズ時代(2013年6月26日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 テキサス州ヒューストン
生年月日 1984年1月24日(30歳)
身長
体重
6' 0" =約182.9 cm
190 lb =約86.2 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2002年 ドラフト1巡目(全体15位)でニューヨーク・メッツから指名
初出場 2004年8月23日 シアトル・マリナーズ
年俸 $12,000,000(2011年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

スコット・エドワード・カズミアー(Scott Edward Kazmir, 1984年1月24日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン出身のプロ野球選手投手)。左投左打。現在はMLBオークランド・アスレチックスに所属。

日本語メディアではカズミアキャズミヤーとも表記されることもある。

経歴[編集]

アマチュア、マイナー時代[編集]

子供のころは地元のヒューストン・アストロズのファンで、好きな選手はテキサス州出身の豪腕ノーラン・ライアンとアストロズの抑え投手ビリー・ワグナーだった[2]。サイプレス・フォールズ高校野球部では4試合連続ノーヒットノーランを達成し、最終学年時には175奪三振でテキサス州高校シーズン記録を塗り替えた。ベースボール・アメリカ誌が選ぶ2002年の高校最優秀選手に選出されている。

同年のMLBドラフト1巡目(全体の15番目)でニューヨーク・メッツに指名され契約。傘下のマイナーリーグにおいて、カズミアーはホセ・レイエスデビッド・ライトと並んで期待の超有望株だった。2004年の春季キャンプでカズミアーの球を受けたマイク・ピアッツァは、「なかなかハードなボールを投げる。とても素晴らしい才能を持っている。若いし、明るい未来が開けてくると思う。必ずメジャーに上がってくるだろう。左投手で速球派は数少ないし、打ちにくいものだからね。これから彼が気をつけなくちゃいけないことは、怪我に注意して、いつでもストライクが取れるコントロールを身につけることじゃないかな。あのファーストボールがあれば、活躍できると思うよ。」と当時の印象を語っていた[3]

トレード話が持ち上がると必ず相手チームから要求され[4]2004年7月30日、ビクター・ザンブラーノバルトロメ・フォルトゥナートとの交換トレードタンパベイ・デビルレイズに移籍。このときの放出理由の1つには「体格や投球フォームが故障を招きやすい」というものがあった[5]。だがファンや評論家は、メッツ史上最悪のトレードとされる1971年のライアン放出に準えて批判を展開した。

タンパベイ・デビルレイズ[編集]

AA級モンゴメリーで3週間プレーした後、同年8月23日のシアトル・マリナーズ戦で20歳7か月とこの年のメジャー投手全体で最年少、球団投手史上チャド・ゴダーンに次いで2番目の若さでメジャーデビュー[6]。5回を無失点に抑えメジャー初勝利も同時に記録した。

2005年オールスターゲームまでの前半戦が3勝7敗・防御率4.59に対し、後半戦は7勝2敗・防御率2.79の好成績を記録。カズミアーによると持ち球をストライクゾーンに集められるようになったから安定してきたという[7]。球団新記録、メジャー新人投手最多の174奪三振(リーグ4位)を記録し、奪三振数が被安打数を上回った。規定投球回以上投げたアリーグの投手の中でこれを達成したのはランディ・ジョンソンヨハン・サンタナしかいない[8]。自責点が1点以下の先発試合数が14でヨハン・サンタナマーク・バーリーと共にリーグ最多となった[8]。その一方で100四球(両リーグ最多)を記録するなど荒れ球で、防御率は3.77を記録した。

2006年は、4月3日のボルチモア・オリオールズ戦で22歳69日の若さで開幕投手となる。これは1985年のドワイト・グッデン(メッツ=当時)以来の若さだった[9]。7月3日の対レッドソックス戦でジョシュ・ベケットに投げ勝ちメジャー初完封を記録した[9]。その後、前半戦だけで10勝を挙げ、125奪三振を記録し、MLBオールスターゲームに選出されたが、左腕の炎症で7月30日に故障者リスト入り。8月11日に復帰したものの、3試合に投げたところで再発し、そのままシーズンを終えた。規定投球回数に満たなかったとはいえ奪三振率は10.14を記録し、この年のアメリカンリーグ奪三振王ヨハン・サンタナの9.44を上回っていた。

2007年は前半戦不調だったが、後半戦の防御率2.39を上回ったのはリーグでファウスト・カーモナのみで[10]、シーズン通して3.48を記録。投球回数は初めて200の大台に乗り、奪三振数は239とそれぞれ球団記録を更新すると共に奪三振王のタイトルを獲得した。23歳での奪三振王獲得は、ア・リーグ史上8番目の若さであった[10]。奪三振率は前年を上回る10.41を記録したが、エリック・ベダードがそれを上回る10.93を記録したためリーグ2位に終わった[10]

2008年は左肩痛のため開幕を故障者リスト入りで迎え、シーズン初登板は5月4日となった[11]。5月14日には2009年から3年総額2,850万ドルで契約延長した。4年目の2012年はオプションでこれを含めると3,950万ドルに達する[12]。5月は5勝1敗・防御率1.22を記録し、初の月間優秀投手に選出された。MLBオールスターゲームに2年ぶりに選出され、勝ち投手となった。課された投球制限に早く達するため[13]、27試合に先発したが、規定投球回に到達せずにシーズンを終えた。

2009年、レイズは地区3位でワイルドカード争いをしていた。しかし、アンドリュー・フリードマンGMは「トレードの理由は一つには絞れない。スコットのような素晴らしい選手が去っていくのは残念なことだが、今と将来のバランスのために必要なことだと考えている」と年俸総額の削減に迫られ[14]、カズミアーを8月28日にマイナー2選手と後日発表選手の計3名との交換トレードで先発投手を必要としたロサンゼルス・エンゼルスへ放出された[15]

ロサンゼルス・エンゼルス[編集]

レイズでは20試合の登板で8勝7敗・防御率5.92だったが、エンゼルスでは6試合の登板で2勝2敗・防御率1.73を記録し、5年連続となる2桁勝利を記録したが、自身初めて奪三振率8.00を下回った。

2010年はリーグワーストの防御率6.92、WHIP1.64で前半戦を終え、特に7月10日のオークランド・アスレチックス戦では球団ワーストとなる13失点を記録。その後故障者リスト入りし、復帰直後の8月7日のデトロイト・タイガース戦では5回3安打1失点の投球を見せ、後半戦は防御率4.37、WHIP1.49を残したが、自己最悪の成績でシーズンを終えた。

2011年スプリングトレーニングから6試合の登板で防御率6.65、WHIP1.80と調子が上がらず、4月3日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦で登板して以降AAA級ソルトレイクで調整を続けていたが、与四球率11.74と制球に苦しみ、5試合の先発で防御率17.02、WHIP2.74と復調することができず、6月15日に解雇された。

独立リーグ[編集]

2012年6月、独立リーグアトランティックリーグに所属するシュガーランド・スキーターズと契約を結んだ[16]

インディアンス時代[編集]

2012年12月21日クリーブランド・インディアンスとマイナー契約を結んだ[17]2013年シーズンは開幕から先発の5番手としてローテーションに入り[18]5月4日ツインズ戦にて2010年以来の勝利を挙げる。最後までローテーションを守り抜き、最終的には29試合に先発し、2009年以来の二桁勝利となる10勝(9敗)を挙げた。10月31日にFAとなった。

アスレチックス時代[編集]

2013年12月4日、オークランド・アスレチックスと2年総額2400万ドルで契約に合意した[19][20]

選手としての特徴[編集]

常時90 - 94 mph(約144.8 - 151.3 km/h)、最速97mph(約156km/h)を計時した速球[21]に80マイル前半のスライダーや70マイル後半から80マイル前半のチェンジアップなどを織り交ぜ[22]、多くの三振を奪い、打者を翻弄する。以前はカーブも投げていたが、カズミアー自身はスライダーのほうがより球速があり、変化が小さいのでより効果があると考えているため、現在は投げていない[3]

フォーシームは、全投球の約70%の確率で投げ、打者の手元でよく伸び、ストライクゾーン高めに投げる傾向がある[13]。カズミアーの奪三振の大半はこのボールで、打者のヒッティングゾーンに近づくとより球速が増すように見えるため、打者は見逃しづらい[13]。しかし投球に苦しみ始めると、このボールだけに頼る傾向が強く見られ[13]、さらには2009年頃から球速が低下し始め、エンゼルス移籍後は5mph(約8km/h)ほど球速が落ちてしまった[23]

チェンジアップは指で輪をつくるいわゆる「サークルチェンジ」で、速球と同じ腕の角度、腕の振りの速さから投げる[13]。以前は人差し指、中指、薬指をボールから浮かせて投げていたが、2004年から変更し今の形になった[3]。2004年のメッツ在籍時の春季キャンプの際、同じ左投手のジョン・フランコマイク・スタントンらから握り方と投げ方を伝授され、現在に至っている[3]。全投球の約10%とあまり投げないが、落ちながら右打者から遠ざかる変化をする[13]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2004 TB 8 7 0 0 0 2 3 0 0 .400 152 33.1 33 4 21 0 2 41 3 0 22 21 5.67 1.62
2005 32 32 0 0 0 10 9 0 0 .526 818 186.0 172 12 100 3 10 174 7 1 90 78 3.77 1.46
2006 24 24 1 1 0 10 8 0 0 .556 610 144.2 132 15 52 3 2 163 6 0 59 52 3.24 1.27
2007 34 34 0 0 0 13 9 0 0 .591 887 206.2 196 18 89 1 7 239 10 0 91 80 3.48 1.38
2008 27 27 0 0 0 12 8 0 0 .600 641 152.1 123 23 70 2 4 166 5 0 61 59 3.49 1.27
2009 20 20 0 0 0 8 7 0 0 .533 504 111.0 121 15 50 0 5 91 10 0 77 73 5.92 1.54
LAA 6 6 0 0 0 2 2 0 0 .500 143 36.1 28 1 10 0 1 26 3 0 8 7 1.73 1.05
'09計 26 26 0 0 0 10 9 0 0 .526 647 147.1 149 16 60 0 6 117 13 0 85 80 4.89 1.42
2010 28 28 0 0 0 9 15 0 0 .375 682 150.0 158 25 79 2 12 93 6 0 103 99 5.94 1.58
2011 1 1 0 0 0 0 0 0 0 ---- 14 1.2 5 1 2 0 2 0 0 1 5 5 27.00 4.20
2013 CLE 29 29 0 0 0 10 9 0 0 .526 672 158.0 162 19 47 1 3 162 5 1 76 71 4.04 1.32
通算:9年 209 208 1 1 0 76 70 0 0 .521 5123 1180.0 1130 133 520 12 48 1155 55 3 592 545 4.16 1.40
  • 2013年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

獲得タイトル・記録[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Scott Kazmir Stats” (英語). ESPN.com. 2012年1月15日閲覧。
  2. ^ 阿部寛子 「連載企画 MLB TALK SHOW スコット・キャズミアー[デビルレイズ]」 『月刊スラッガー』2007年6月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-6、67-69頁。
  3. ^ a b c d 「NEW GENERATION まだ見ぬ超新星 SCOTT KAZMIR」『月刊スラッガー』2004年6月号 34~35頁
  4. ^ 友成那智、村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2007』 廣済堂出版、2007年、98項。ISBN 978-4-331-51213-5
  5. ^ 出野哲也 「30チーム・レポート&全選手シーズン最終成績 タンパベイ・デビルレイズ/TB 2つの意味で前評判通りの1年」 『月刊スラッガー』2006年12月号、日本スポーツ企画出版社、2006年、雑誌15509-12、73頁。
  6. ^ Smith, Paul C. (2004年8月22日). “Notes: Huff sits, streak at an end” (英語). 2010年6月12日閲覧。
  7. ^ 「30球団マンスリー・リポート タンパベイ・デビルレイズ」『月刊メジャー・リーグ』2005年10・11月合併号、ベースボールマガジン社、2005年、雑誌 08625-11、47項。
  8. ^ a b Scott Kazmir 2005 Career Highlights” (英語). 2008年4月30日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ a b Scott Kazmir 2006 Career Highlights” (英語). 2008年4月30日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ a b c Scott Kazmir 2007 Career Highlights” (英語). 2008年4月30日閲覧。
  11. ^ 岡田弘太郎「MLB30球団レポート&全選手個人成績 タンパベイ・レイズ/TB エース復帰で快進撃は続く」『スラッガー』2008年7月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-7、75項
  12. ^ Rays, Kazmir agree to extension Club's all-time wins leader likes direction Tampa Bay is going” (英語). MLB.com. 2008年8月29日閲覧。
  13. ^ a b c d e f 「エースの輝き」『月刊スラッガー』2008年10月号 日本スポーツ企画出版社 32~35頁
  14. ^ 城ノ井道人 「もうひとつのトレード・デッドライン」 『月刊スラッガー』2009年11月号、日本スポーツ企画出版社、2009年、雑誌15509-11、42 - 44頁。
  15. ^ Angels add Kazmir, bolster rotation Halos send three players to Rays in exchange for lefty”. angelsbaseball.com (2009年8月28日). 2009年8月30日閲覧。
  16. ^ 通算66勝のカズミアーが独立Lと契約
  17. ^ Indians To Sign Scott Kazmir MLBTradeRumors.com
  18. ^ http://sportsillustrated.cnn.com/mlb/news/20130325/kazmir-to-start-for-indians.ap/
  19. ^ More is less when it comes to Kazmir MLB.com
  20. ^ Beane does heavy lifting before Winter Meetings MLB.com
  21. ^ http://www.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20020510&content_id=22161&vkey=news_mlb&fext=.jsp&c_id=null
  22. ^ Lindy's, "Preview 2008: Tampa Bay Rays," FOX Sports on MSN, March 5, 2008. 2008年3月28日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ 30球団の通信簿『月刊スラッガー』2010年12月号、日本スポーツ企画出版社、雑誌15509-12、63頁。

外部リンク[編集]