東京物語
| 東京物語 | |
|---|---|
| 監督 | 小津安二郎 |
| 脚本 | 野田高梧 小津安二郎 |
| 製作 | 山本武 |
| 出演者 | 笠智衆 東山千栄子 原節子 杉村春子 山村聡 三宅邦子 香川京子 東野英治郎 中村伸郎 大坂志郎 |
| 音楽 | 斎藤高順 |
| 撮影 | 厚田雄春 |
| 編集 | 浜村義康 |
| 配給 | 松竹 |
| 公開 | 1953年11月3日 |
| 上映時間 | 136分 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| IMDb | |
| ドラマ |
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関連項目
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『東京物語』(とうきょうものがたり)は、小津安二郎監督、笠智衆主演の1953年制作の日本映画。白黒作品。日本では1953年11月3日に、松竹の配給で公開された。昭和28年度文化庁芸術祭参加作品。
世界の映画批評家が集まって映画のベスト10を選出する『SIGHT AND SOUND』2002年版 CRITICS' TOP TEN POLL は、年老いた夫婦が成長した子供たちに会うために上京する旅を通して、小津の神秘的かつ細やかな叙述法により家族の繫がりと、その喪失という主題を見る者の心に訴えかける作品、と寸評を出している。
目次 |
[編集] 登場人物
- 平山 周吉(ひらやま しゅうきち) - 尾道市在住の72歳の老人。画面に写る笠は老けて見えるが、実は撮影時は48歳である。
- 平山 とみ - 周吉の妻。68歳。夫、次女・京子と同居。
- 平山 紀子(- のりこ) - 周吉の次男の昌二の妻。会社員。夫は第二次大戦に出兵し戦死した。以降は独身を通している。
- 平山 京子(- きょうこ) - 周吉の次女。尾道市の小学校の教諭。両親と同居している。
- 金子 志げ(かねこ しげ) - 周吉の長女。美容師。東京で美容院を経営する。
- 平山 幸一(- こういち) - 周吉の長男。内科医。東京で内科医院を経営する。
[編集] 物語
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
1953年の夏、尾道に暮らす周吉とその妻のとみが東京に旅行に出掛ける。東京に暮らす子供たちの家を久方振りに訪ねるのだ。しかし、長男の幸一も長女の志げも毎日仕事が忙しくて両親をかまってやれない。寂しい思いをする二人を慰めてくれたのが戦死した次男の妻の紀子だった。紀子はわざわざ仕事を休んで二人を東京名所の観光に連れて行く。
両親の世話に困った幸一と志げは、二人を熱海の旅館に宿泊させる。しかし、その旅館は安価な若者向きの旅館で、二人は騒々しさになかなか眠れない。翌日、熱海から早々に帰って来た二人に対し、志げはいい顔をしない。居づらくなった二人は志げの家を後にする。周吉は在京の旧友と久方振りに再会し酒を酌み交わし、とみは紀子の家に泊まる。ここでとみは、戦死した夫を忘れて再婚するように紀子に強く勧めるのだった。周吉は旧友に本音をぶちまけるほど泥酔する。深夜、泥酔状態のところをお巡りさんに保護されて、志げの家に帰ってきてしまう。そこで志げ夫婦の顰蹙を買う。
二人は、子供たちからはあまり温かく接してもらえなかったが、それでも満足した表情を見せて尾道へ帰った。ところが、両親が帰郷して数日もしないうちに、とみが危篤状態であるとの電報が子供たちの元に届いた。子供たちが尾道の実家に到着した翌日の未明にとみは死去した。幸一と志げは悲しみつつも、間もなくさばさばした乾いた表情を見せる。
とみの葬儀が終わった後、志げは京子にとみの形見の品をよこすよう催促する。そして志げは、とみよりも周吉が先に死ぬのが望ましかったと主張し、幸一もそれに同調する。紀子以外の子供たちは、葬儀が終わるとそそくさと帰って行った。京子は憤慨するが、紀子は歳を取れば誰でも自分の生活が一番大切になるものだといって義兄姉をかばい、若い京子を静かに諭すのだった。
紀子が東京に帰る前に、周吉は上京した際の紀子の優しさに感謝を表す。そして紀子に再婚を勧める。ここで紀子は初めて自分の苦悩を吐露する。独身を通す自分の将来の不安がぬぐえないことを打ち明けた。涙を流す孤独な紀子に、周吉は妻の形見の時計を与えた。愛する者を失った喪失感を共鳴できる存在は、紀子以外にいなかった。
[編集] 主題および演出
年老いた両親の一世一代の東京旅行を通じて、家族の絆、夫婦と子供、老いと死、人間の一生、それらを冷徹な視線で描いた作品である。戦前の小津作品、とくに『戸田家の兄妹』などにすでに見出されるテーマだが、本作でより深化させられることになった。今日の核家族化と高齢化社会の問題を先取りしていたともいえる。
小津映画の集大成とも言える作品で、国際的にも非常に有名な日本映画であり、各国で選定される世界映画ベストテンでも上位に入る常連作品のひとつである。
戦前は映画で軍人の妻を演じることが多かった原節子が、戦争で夫を亡くした未亡人を演じている。笠智衆、東山千栄子、杉村春子などが、名演を見せている。
ローポジションを多用しカメラを固定して人物を撮る、「小津調」と形容される独自の演出技法で家族を丁寧に描いている。家族という共同体が幻想でしかない悲し過ぎる現実を、独特の落ち着いた雰囲気でつづる。
[編集] 出演者
- 笠智衆(平山周吉)
- 原節子(平山紀子)
- 東山千栄子(平山とみ)
- 山村聰(平山幸一)
- 杉村春子(金子志げ)
- 香川京子(平山京子)
- 三宅邦子(幸一の妻、文子)
- 中村伸郎(志げの夫)
- 大坂志郎(周吉の三男、平山敬三)
- 十朱久雄(服部)
- 長岡輝子(服部の妻)
- 東野英治郎(沼田三平)
[編集] オマージュ
- 東京画(1985年、監督:ヴィム・ヴェンダース)
- みんな元気(Stanno tutti bene)(1990年、監督:ジュゼッペ・トルナトーレ)
- 珈琲時光(2003年、監督:侯孝賢)
- Kirschblüten - Hanami(2008年、監督:ドリス・デリー)
- 東京家族(2012年、監督:山田洋次)・・・東日本大震災のため、2011年4月に脚本見直しで延期が発表された。
[編集] リメイク
[編集] テレビドラマ
- 1967年9月14日・21日に、フジテレビ「シオノギテレビ劇場」において、前後編構成で放送。映画版で周吉の妻・とみの役を演じた東山千栄子が同じ役、同じく三男・敬三を演じた大坂志郎が長男・幸一役を演じている。周吉役は宮口精二、紀子役は芦川いづみが演じた。
- 1971年4月24日 - 12月30日(月1回、全9話)に、NHKで『海の見える家』の題名で放送。笠智衆が主演した。ギャラクシー賞第17回期間選奨受賞。
- 1982年6月28日 - 7月23日に、NHK「銀河テレビ小説」において、『新東京物語』の題名で放送。出演は大友柳太朗、長岡輝子、檀ふみなど。
- 1989年2月25日に、TBS「土曜ドラマスペシャル」において、『新・東京物語』の題名で放送。出演は大滝秀治(周吉)、丹阿弥谷津子(とみ)、市毛良枝(紀子)など。
- 2002年7月6日に、フジテレビ系列「FNS27時間テレビ みんなのうた〜あの素晴らしい日本をもう一度〜」の番組内において、スペシャルドラマとしてリメイク。設定を現代に置き換えている。出演は宇津井健(周吉)、八千草薫(とみ)、松たか子(紀子)など。
[編集] 舞台
- 東京物語 - 2012年1月2日 - 1月24日、三越劇場。山田洋次の脚本・演出により、劇団新派が初春新派公演として上演。山田洋次監督50周年プロジェクトとして、映画『東京家族』とともに企画。舞台化にあたり時代設定、基本的な物語の流れや台詞などの変更は施されていないが、場所設定を終始長男の家に限定。そのことにより、熱海や紀子の部屋、飲み屋などの場面は台詞として語られ観客の想像を膨らませた。また、紀子の出身地を石巻にするなど、東日本大震災を想起させる箇所がいくつかあり、昭和28年という戦災後の日本と震災後の日本を重ね合わせた表現で観る者を感動に誘った。現代を映す山田洋次の想いが込められた作品となる。劇団新派が山田洋次と組んだ新作は、平成22年1月の『麥秋』以来2度目で、平成25年に125年目を迎える劇団新派の実力が示された。出演は水谷八重子(とみ)、安井昌二(周吉)、瀬戸摩純(紀子)、英太郎(飲み屋の女将加代)、波乃久里子(志げ)など。
[編集] その他
- 本作品は、ニューヨーク近代美術館に収蔵されている。
- 本作品のオリジナル・ネガは16ミリプリントを作成中の横浜シネマ現像所(現・ヨコシネ ディー アイ エー)の火災により焼失している。現行の版は16ミリのデュープ・ネガから複製したもので、この時代の作品の画質としてはあまり良くないのが現状である。
- 上記の理由により、オリジナル・プリントは劣化が進み、製作会社の松竹は2003年と2011年の2回にわたってデジタル・リマスターによる修復を行っている。前者は小津安二郎生誕100年記念事業の一環として、劇場公開やDVD化のためにデジタル修復が施された。後者は、NHK-BSプレミアムで放送される『山田洋次監督が選んだ日本の名作100本』のために、NHKが松竹に全面協力し、IMAGICAが修復作業を行った。後者の修復作業にあたっては本作品で撮影助手をつとめた川又昻がアドバイザーとして参加し、今や数少ない製作・公開当時のプリント状態を知る当事者である川又の証言に基づいて、従来のデジタル修復に加えて、画質の明暗の再調整、手作業によるプリントやサウンドトラックのノイズ修正など、より公開当時の状態に近づけることを目指した修復が行われている。
- 文芸評論家・川本三郎の説では、小津は映画製作前後に永井荷風の日記『断腸亭日乗』を読んでおり、本作品の舞台設定に荷風の日記の影響が見られるとある。
- 当初、三男のキャスティングは、小津と公私ともに親交があった佐田啓二を予定していた。しかし、スケジュールが合わず、大坂が演じることになった。大坂の役は大阪の国鉄職員であるが、台詞に出身地の秋田訛りが抜けず、リハーサルを何度も繰り返したという。ついに『俺は、大坂志郎だから大阪弁が得意だろうと思ってお前をつかったんだ。それなら山形志郎と改名しろ』と小津に激怒され、大坂は号泣したという(『東京物語』DVDでの、斉藤武市の証言より、「秋田」ではなく「山形」であるのは発言そのまま)。大坂はその後の猛練習により、好演を見せている。
- BBC「21世紀に残したい映画100本」に選出された。
[編集] 外部リンク
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