外房線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

外房線(そとぼうせん)は、千葉県千葉市中央区千葉駅から房総半島太平洋側を経由し千葉県鴨川市安房鴨川駅に至る東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線幹線)である。

蘇我駅で内房線が分岐し、安房鴨川駅で再び内房線と接続する。

目次

[編集] 路線データ

[編集] 路線概要

[編集] 千葉 - 大網間

東京都心への通勤・通学利用が多い区間で、外房線の利用者の大半はこの区間の利用者である。外房線の普通列車は千葉を発着する。千葉 - 蘇我間は内房線の列車も乗り入れるため、日中でも1時間に8本ほどの本数がある。蘇我 - 大網間は房総台地を横切って、九十九里平野へ一直線で向かう路線形態となる。緩やかな勾配が連続し、トンネル区間もあるなど、車窓には山地を走行する雰囲気が映る。蘇我 - 大網間は東京のベッドタウンとして、大規模な宅地造成が行われた。鎌取は千葉・市原ニュータウンの「おゆみ野」「ちはら台」地区の玄関口であり、土気あすみが丘ニュータウンの玄関口である。特に鎌取駅は発展が著しく、駅周辺は商業施設・マンションが密集し、近未来的な住宅都市の光景が広がる。誉田大網の各駅も、東京のベッドタウンとして利用者が多い。

千葉発着の普通列車のほかに、総武線・京葉線と直通する快速・通勤快速が設定され、東京都心へ1本の列車でアクセスできる。特に京葉線直通の通勤快速は、京葉線内での通過駅数が多いこともあり、この区間から東京までの所要時間は40 - 50分ほどと俊足である。総武線直通の快速でも東京までは60分ほどである。蘇我 - 大網間の各駅は利用者が多いため、この区間のすべての駅に快速・通勤快速が停車する。

[編集] 大網 - 上総一ノ宮間

大網より先は南に針路を変え、標高がやや高い房総台地から一転して、低地の九十九里平野を走行する。地盤沈下が深刻で、集中豪雨・台風発生時は水害の影響を受けやすく、線路への冠水が発生しやすい区間であるが、近年は線路への冠水対策工事により、状況は改善しつつある。

この区間は乗車人員が1,000人ほどの小規模な駅が続き、駅周辺も住宅地がまばらにある程度でのどかである。茂原は、九十九里平野の中で最大の都市の駅であり、電子部品関連や天然ガス関連の企業が集う工業都市であるため、まとまった乗車人員がある。またこの駅を境に、外房線における旅客輸送に大きな段差が生じる。

上総一ノ宮は外房線におけるダイヤ上の境界駅で、この駅まで日中でも1時間に2 - 3本の列車が運行される。

千葉 - 大網間に比べると、東京のベッドタウンとしての住宅地は少ないが、京葉線・総武線に直通する快速・通勤快速が上総一ノ宮(京葉線直通の一部列車は勝浦発着)まで運行していることから、東京への通勤利用も一部ある。外房線における列車運行の境界は上総一ノ宮であるが、都市近郊輸送および東京への通勤圏内は、茂原までの傾向が強い。

[編集] 上総一ノ宮 - 安房鴨川間

上総一ノ宮より先は、普通列車の本数が1時間に1本ほどとなる。単線区間を基本とするが、列車密度が低いにも関わらず複線が長く続く区間もある。

勝浦までは太平洋と1kmほどの距離を置きながら走行するため、車窓に海が見える区間は非常に少ない。勝浦 - 安房鴨川間は太平洋沿岸に沿って走行し、沿線には海水浴場やマリンスポット、リゾートホテルなどの海関係の観光施設が点在する。また日蓮聖人ゆかりの清澄寺誕生寺などの古刹も点在しているので、老若男女の幅広い世代が訪れる。外房線はこれら地域へのアクセス手段としての利用が多い。

勝浦・安房鴨川などの外房地区は、高速道路の整備が進んでいないため、東京・千葉 - 外房地区へのアクセスは外房線が主体となっている。高速道路の整備によって、観光利用者が減少している内房線とは対照的である。

[編集] 歴史

房総半島の太平洋側を巡る鉄道として、房総鉄道が1896年1月に蘇我 - 大網間を開業したのが始まりである。2月には千葉で総武鉄道と接続し、1897年に一ノ宮(現在の上総一ノ宮)、1899年に大原まで延伸された。1907年に鉄道国有法により官設鉄道に編入され、房総線(ぼうそうせん)となった。

以降も順次延伸され、1913年に勝浦、1927年に上総興津、1929年に安房鴨川まで延伸され、1925年に安房鴨川まで達していた北条線(現在の内房線)と接続し、同時に北条線を編入して千葉 - 大網 - 安房北条 - 木更津 - 蘇我間が房総線とされた。しかし、1933年には再び千葉 - 大網 - 安房鴨川間が分離され、房総東線(ぼうそうとうせん)となったが、1972年に現在の外房線に改称された。

また、総武鉄道と接続した当初より、千葉駅と大網駅でスイッチバックをする配線であったが、1963年に千葉駅を西千葉駅方向に0.8km、1972年に大網駅を土気駅方に0.6kmそれぞれ移設して同時に新線を敷設したため、東京方面から大原方面へ直通可能な配線に変更された。なお大網(旧)駅に接続する旧線は、東金線から新茂原方面へ直通する貨物列車のルートとして残されたが、1999年に廃止された。実質的に1996年から休止状態であった。

[編集] 年表

  • 1896年(明治29年)1月20日 - 房総鉄道蘇我 - 大網間開業
  • 1896年(明治29年)2月25日 - 千葉 - 蘇我間延伸開業
  • 1896年(明治29年)11月1日 - 土気駅開業
  • 1897年(明治30年)4月17日 - 大網 - 一ノ宮(現在の上総一ノ宮)間延伸開業
  • 1898年(明治31年)3月25日 - 岩沼駅(現在の八積駅)開業
  • 1899年(明治32年)12月13日 - 一ノ宮 - 大原間延伸開業
  • 1902年(明治35年)1月28日 - 寒川駅を本千葉駅に改称
  • 1902年(明治35年)8月10日 - 長者町 - 大原間に(臨)東海駅開業、9月30日まで営業。1903年の同時期にも開設
  • 1903年(明治36年)8月16日 - 三門駅開業
  • 1907年(明治40年)9月1日 - 鉄道国有法により房総鉄道を買収し、官設鉄道に編入
  • 1909年(明治42年)10月12日 - 国有鉄道線路名称設定 房総線
  • 1913年(大正2年)6月20日 - 大原 - 勝浦間延伸開業
  • 1914年(大正3年)12月1日 - 野田駅を誉田駅に改称
  • 1915年(大正4年)3月11日 - 岩沼駅を八積駅に改称
  • 1916年(大正5年)1月1日 - 一ノ宮駅を上総一ノ宮駅に改称
  • 1925年(大正14年)12月15日 - 東浪見駅開業
  • 1927年(昭和2年)4月1日 - 勝浦 - 上総興津間延伸開業
  • 1929年(昭和4年)4月15日 - 上総興津 - 安房鴨川間延伸開業(全通)。北条線を房総線に編入
  • 1933年(昭和8年)4月1日 - 千葉 - 大網 - 安房鴨川間房総東線に分離
  • 1938年(昭和13年)1月15日 - 蘇我 - 誉田間に大巌寺駅開業。1941年頃廃止。
  • 1952年(昭和27年)6月15日 - 鎌取駅開業
  • 1955年(昭和30年)9月15日 - 新茂原駅開業
  • 1960年(昭和35年)7月15日 - 本千葉 - 蘇我間複線化
  • 1963年(昭和38年)4月28日 - 千葉駅移転により房総東線のスイッチバック解消(改キロ-0.3km)。千葉 - 本千葉間複線化
  • 1968年(昭和43年)7月13日 - 千葉 - 蘇我( - 木更津)間電化
  • 1969年(昭和44年)8月20日 - 勝浦行き221列車さよなら運転(C57-105号機牽引)。蒸気機関車牽引の旅客列車の定期運用がなくなる
  • 1970年(昭和45年)7月2日 - (臨)行川アイランド駅開業
  • 1972年(昭和47年)5月27日 - 大網駅移転により同駅のスイッチバック解消(改キロなし)、土気 - 永田間複線化
  • 1972年(昭和47年)7月15日 - 外房線に改称。蘇我 - 安房鴨川間電化。183系電車で特急「わかしお」運転開始。
  • 1974年(昭和49年)10月25日 - 誉田 - 土気間複線化
  • 1974年(昭和49年)12月12日 - 鎌取 - 誉田間複線化
  • 1980年(昭和55年)9月11日 - 八積 - 上総一ノ宮間複線化
  • 1982年(昭和57年)11月15日 - 大原 - 安房鴨川間貨物営業廃止
  • 1983年(昭和58年)2月25日 - 永田 - 本納間複線化
  • 1984年(昭和59年)2月1日 - 新茂原 - 大原間貨物営業廃止
  • 1985年(昭和60年)3月1日 - 本納 - 新茂原間複線化
  • 1986年(昭和61年)10月27日 - 新茂原 - 八積間複線化
  • 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に承継。蘇我 - 大網間貨物営業廃止。同時に千葉 - 蘇我と大網 - 新茂原間で日本貨物鉄道が第二種鉄道事業者となる。行川アイランド駅を常設駅化
  • 1995年(平成7年)11月26日 - 御宿 - 勝浦間複線化
  • 1996年(平成8年)11月17日 - 東浪見 - 長者町間複線化
  • 1996年(平成8年)12月?日 - 大網駅構内旧線の線路撤去
  • 1999年(平成11年)3月31日 - 大網 - 新茂原間の日本貨物鉄道第二種鉄道事業廃止
  • 2004年(平成16年)10月16日 特急「わかしお」にE257系電車を投入。

[編集] 運転形態

起点は原則として千葉駅である。千葉駅と蘇我駅の間は内房線の列車も走る。千葉駅 - 大網駅間では東金線との直通列車がある。

[編集] 普通

普通列車は主に千葉駅から茂原駅上総一ノ宮駅までの区間運転を行うものと、千葉駅から大原駅勝浦駅までの区間を運転するものと、安房鴨川駅までの区間を運転するものが運用されている。例外として早朝には安房鴨川駅への回送を兼ねて、上総一ノ宮発安房鴨川行、大原発安房鴨川行の下り列車がそれぞれ1本ずつ運転される。また夜には外房線下り最終列車の千葉発大網行が運転される。

かつては内房線と相互直通を行う列車も存在し、保田発安房鴨川経由上総一ノ宮行や上総一ノ宮発館山・木更津経由千葉行などが運転されていたことがあったが、現在は安房鴨川でそれぞれ折り返している。

夜間には上総一ノ宮駅から蘇我駅経由で京葉線に乗り入れを行う列車が2本ある(京葉車両センターへの回送を兼ねるため)。また一部の特急列車は勝浦駅 - 安房鴨川駅間が普通列車となる。

2007年3月18日ダイヤ改正では、早朝の一部の列車が上総一ノ宮を境に分離運転を開始し、誉田止まり、大網止まりの列車も数本設定されている。

[編集] 快速

快速列車は横須賀線経由、または東京駅から総武快速線経由で上総一ノ宮駅まで運転されている。かつては大原駅・勝浦駅まで運転されていたが、2004年10月のダイヤ改正で廃止された。現在、大原、勝浦方面の快速は京葉線が担当している。

また、京葉線の東京駅から蘇我駅を経由して運転される列車もある。横須賀線・総武快速線は日中も運転されているのに対して、京葉線快速は主に早朝・夜間のみの運転である。

  • 運行本数:平日朝上り2本・夜下り4本、土曜・休日朝上り3本・夜下り5本
    • 平日は朝上り1本目が上総一ノ宮始発、2本目は誉田始発、夜は4本すべて上総一ノ宮行。
    • 土曜・休日は朝上り2本が上総一ノ宮始発と勝浦・成東始発各1本、夜は最初の1本が勝浦・成東行で残りの4本が上総一ノ宮行。

また平日は京葉線通勤快速も運転している。

  • 運行本数:上り2本・下り1本。
    • 外房線内の停車駅は快速と同じ。
    • 上総一ノ宮駅始発と勝浦・成東始発が各1本。下りは勝浦・成東行のみ。

なお、 夜の京葉線東京始発の通勤快速(土曜・休日は快速)は誉田駅まで10両編成で運転し、同駅にて分割し、先発が大網経由東金線直通成東行となり(4両編成、誉田から先の各駅は大網から先の東金線内も含めて各駅に停車)、後発は上総一ノ宮まで通勤快速(土曜・休日は快速)として運転され、同駅から普通勝浦行となる(6両編成)。 また、朝の勝浦・成東始発通勤快速(土曜・休日は快速)は勝浦始発(6両編成)が上総一ノ宮までは普通、同駅より通勤快速(土曜・休日は快速)に種別が変わる。この電車は、誉田で後から来る東金線成東始発大網経由の通勤快速(4両編成、土曜・休日は快速)と併結して10両編成となる。いずれにしても蘇我 - 大網間は各駅に停車するため、成東発着列車は実質上蘇我 - 成東間は普通列車と同じである。なお、朝の列車は乗務員が前日の夜の列車の折り返しで乗務する形となっている。

[編集] 優等列車

京葉線の東京駅から茂原駅・上総一ノ宮駅・勝浦駅・安房鴨川駅まで特急「わかしお」が運行されている。かつては特急「ビューわかしお」が運行されていたが、2005年12月10日のダイヤ改正で特急「わかしお」に統一された。なお、一部列車は勝浦駅 - 安房鴨川駅間で普通列車として運転されている。

基本的に最長でも安房鴨川駅までの運転で、定期列車として安房鴨川駅から内房線に直通する特急列車は現在設定されていないが、臨時列車として特急「新宿わかしお」が期間限定で土曜・休日に新宿駅 - 安房鴨川駅 - 和田浦駅間で運転され、毎年元旦には初日の出専用列車の特急「外房初日の出」が高尾駅・新宿駅から内房線太海駅千倉駅まで直通運転している。また、1975年までは房総半島を一周する列車が走っており(わかしお (列車)参照)、その後も臨時快速「ぐるり房総号」を運転していた時期があった。

[編集] 使用車両

[編集] 駅一覧

  • 普通列車は各駅に停車。
  • 快速・通勤快速のうち勝浦発着列車の上総一ノ宮 - 勝浦間は普通列車として運転し各駅に停車。
駅名 営業キロ 快速

通勤快速
接続路線 所在地
千葉駅 0.0 東日本旅客鉄道:総武本線総武快速線と上総一ノ宮駅の間で快速の直通あり)
千葉都市モノレール:1号線2号線
京成電鉄:千葉線京成千葉駅
千葉県 千葉市中央区
本千葉駅 1.4  
蘇我駅 3.8 東日本旅客鉄道:内房線(千葉駅方面と直通)・京葉線(朝夕に勝浦駅まで快速・通勤快速の直通あり)
鎌取駅 8.8   千葉市緑区
誉田駅 12.6  
土気駅 18.1  
大網駅 22.9 東日本旅客鉄道:東金線(千葉駅・京葉線方面に直通あり) 山武郡大網白里町
永田駅 25.3  
本納駅 27.7   茂原市
新茂原駅 31.4  
茂原駅 34.3  
八積駅 38.9   長生郡長生村
上総一ノ宮駅 43.0   長生郡一宮町
東浪見駅 46.2    
太東駅 49.3     いすみ市
長者町駅 52.1    
三門駅 53.7    
大原駅 57.2   いすみ鉄道:いすみ線
浪花駅 60.5    
御宿駅 65.4     夷隅郡御宿町
勝浦駅 70.9     勝浦市
鵜原駅 74.5    
上総興津駅 77.2    
行川アイランド駅 80.5    
安房小湊駅 84.3     鴨川市
安房天津駅 87.7    
安房鴨川駅 93.3   東日本旅客鉄道:内房線
凡例
●:停車 |:通過

[編集] 過去の接続路線


[編集] 関連項目

他の言語