いすみ鉄道

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いすみ鉄道株式会社
Isumi Railway Co., Ltd.
Otaki sta.jpg
大多喜駅(画像左側が本社事務所)
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
郵便番号:298-0216
千葉県夷隅郡大多喜町大多喜264
設立 1987年昭和62年)7月7日
業種 陸運業
事業内容 鉄道による一般運輸業旅行業広告業
代表者 代表取締役社長 鳥塚亮
資本金 2億6,900万円(2011年3月31日時点)
売上高 2億1,021万5千円(2011年3月期)
営業利益 △1億2,786万4千円(2011年3月期)
純利益 3,078万4千円(2011年3月期)
純資産 1億1,487万9千円(2011年3月31日時点)
総資産 1億2,619万4千円(2011年3月31日時点)
従業員数 16人(2011年7月1日現在)
決算期 3月31日
主要株主 千葉県 34.20%
大多喜町 15.20%
いすみ市 14.30%
小湊鐵道(株) 5.60%
(株)千葉銀行 3.70%
(2011年4月1日現在)[1][2]
外部リンク www.isumirail.co.jp/
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いすみ鉄道株式会社(いすみてつどう)は、千葉県夷隅郡大多喜町に本社を置き、日本国有鉄道(国鉄)特定地方交通線の一つだった木原線を引き継いだ鉄道路線いすみ線を運営する、沿線自治体などが出資する第三セクター方式の鉄道事業者

歴史[編集]

路線[編集]

車両[編集]

現在運用されているいすみ200'型は製造から24年を経て老朽化が進行しており、いすみ線の存続が決定したことから、2012年から3年間にわたって導入する新型車両5両で置き換えることが発表されている。

現用車両[編集]

  • いすみ200'型 (201 - 207) :3両在籍
    かつて富士重工業第三セクター鉄道向けに製造していたLE-CarIIシリーズの一形式である。後乗り前降り制のワンマンカー。当初座席タイプはセミクロスシートで形式称号は「いすみ100型」であったが、ロングシート化に際し「いすみ200型」に、さらにその後の床の張替えで「いすみ200'型」に改番された。老朽化に伴う新型車両の導入により203・204・205・207が廃車となり、2013年3月25日現在201・202・206の3両が在籍する。
  • いすみ300形 (301 - 302):2両在籍
    2012年3月28日に運行開始。2011年11月3日鳥塚社長自らのブログで存在が明らかにされ、2012年1月3日に導入を発表。同年2月22日に大多喜駅車両基地に301・302が搬入された。
    新潟トランシスが製造するNDCであり、基本的な車体構造は真岡鐡道モオカ14形(後期形)松浦鉄道MR-600形(いずれも日本車輌製)をベースとしている。座席配置はいすみ200型とは異なりセミクロスシートとなる。開閉可能な側面窓、国鉄の列車を模した青色モケットのクロスシート座席、木目調の内装、幕式の行先表示器などが特徴である。車内には、トイレとその脇にムーミンのぬいぐるみを備えた棚が設置された。全部で3両が導入される予定。
  • いすみ350形 (351 - 352) :2両在籍
    いすみ300形と同様に鳥塚社長のブログで導入が発表された。2013年2月1日営業運転開始[3]
    機器的にはいすみ300形と同一のNDCであるが、車体は国鉄キハ20系気動車の復刻版。車内はいすみ200型と同様のトイレなしオールロングシートとなった。2両導入の予定。
    352は2013年12月導入予定であったが諸事情により遅れ、2014年1月23日に搬入、同年2月17日より運行が開始されている。
  • キハ52形 (125)
    西日本旅客鉄道(JR西日本)富山地域鉄道部富山運転センター車両管理室に所属し、大糸線非電化区間で運用されていた車両。2010年の廃車後にいすみ200型の置き換えおよび観光用目的でJR西日本から譲渡された。いすみ鉄道到着後の同年12月12日大多喜駅構内で撮影会を行った後に国鉄気動車標準色(クリーム4号+朱色4号)に塗装変更し、翌2011年1月9日にお色直し撮影会。全般検査後の同年3月27日にお披露目撮影会、翌4月8日にチャリティー公開試運転を行い、同月29日から「観光急行列車」として営業運転を開始した[4]。またこの車両による小湊鉄道との相互乗り入れ構想があることも社長自らのブログで明らかにしている。また、2014年3月からは、車体塗装を国鉄気動車標準色から首都圏色(朱色5号)に変更して運用されている[5][6]
  • キハ28形 (2346)
    JR西日本富山地域鉄道部富山運転センター車両管理室に所属し、2011年3月11日までキハ58系最後の定期運用に使用された4両のうち保留車となっていた車両。2012年8月27日に鳥塚社長のブログでJR西日本から導入することが発表され[7]、国鉄急行色に塗装変更後に2013年3月9日から先行導入されていたキハ52 125と併結による営業運転を開始。
    この車両は1964年4月15日米子機関区(現在の後藤総合車両所)に新製配置されたが、同年5月24日付で新潟機関区(現在の新潟車両センター)に転出、同年7月14日付で千葉気動車区に転出して房総地区での海水浴客輸送に使用され、同年9月17日に米子機関区に転出。実質的には貸し渡し的な転出入で1985年までは山陰地区で、それ以降2011年まで北陸地区で運用され続けた。

導入予定車両[編集]

  • キハ30形 (62)
    JR東日本幕張車両センター木更津派出所属で、2012年12月に久留里線での運用を終了したキハ30形を2013年度に導入することが鳥塚社長のブログで公表された。2013年1月16日深夜に木更津から配給輸送が行われ国吉駅に留置中[8]。導入されるキハ30 62は新製配置が勝浦で、木原線時代に入線経歴がある。ただし、エンジンはキハ52・キハ28と違い、オリジナルのDMH17系ではなくカミンズ製のDMF14HZに換装されている。

運賃[編集]

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[9][10]

大原
180 西大原
260 260 上総東
330 260 180 新田野
330 330 260 180 国吉
400 400 330 260 260 上総中川
470 470 400 330 260 180 城見ヶ丘
530 470 400 330 330 260 180 大多喜
600 530 470 400 400 330 260 180 小谷松
600 530 470 470 400 330 260 260 180 東総元
600 600 530 470 400 330 260 260 180 180 久我原
660 600 530 470 470 400 330 330 260 180 180 総元
720 660 600 530 530 470 400 400 330 260 260 180 西畑
720 720 660 600 530 470 400 400 330 330 260 260 180 上総中野
キロ程 運賃(円)
初乗り1 - 3km 180
4 - 6 260
7 - 9 330
10 - 12 400
13 - 15 470
16 - 18 530
19 - 21 600
22 - 24 660
25 - 27 720

急行列車を利用の場合は乗車券・急行券が必要。急行列車の指定席を利用の場合は乗車券・急行券に加えて指定席券が必要。

  • 急行料金:全線均一300円(小児半額・10円未満切り上げ)
  • 指定席料金:全線均一300円(小児同額)

2011年4月から急行・指定席料金が設定されたが、急行券・指定席券の発売は急行の始発駅のみで行なっている[11][12]

乗車券は、列車内と大原・国吉・大多喜駅では自動券売機で発売している。大多喜駅では硬券の入場券が購入できる。

  • 入場券:170円(小児半額)

割引乗車券[編集]

以下の乗車券類が発売されている。

  • いすみ鉄道1日フリー乗車券(大人:1,000円 小人:500円)
  • 南房総フリー乗車券(南房総フリーきっぷの提示が必要。大人:800円 小人:400円)
  • 房総横断記念乗車券(いすみ鉄道大原 - 小湊鉄道五井間の片道割引乗車券、途中下車可能。大人:1,700円 小人:850円)

存廃問題[編集]

木原線が第三セクター化されて以降、長年にわたっていすみ鉄道は赤字経営が続いており、2006年度で約1億2,700万円の赤字を出している。そこで、千葉県をはじめとする地元自治体などによって結成された「いすみ鉄道再生会議」は、「2008年からの2年間は収支検証期間として鉄道を存続させるが、2009年度決算でも収支の改善見込みが立たない場合、鉄道の廃止も検討する」ことを取り決めた[13]

このため、経営立て直しのために2007年12月から社長を一般公募し、翌2008年2月に千葉県のバス会社平和交通社長(当時)の吉田平[14]に内定し、同年3月26日の臨時株主総会と取締役会で正式決定し、4月に就任した[15][16]

そして2009年2月、吉田が千葉県知事選挙への出馬と社長辞任を発表したため[17]、 同年5月4日に社長の再公募を発表し、6月1日、123人の公募の中から元ブリティッシュ・エアウェイズ旅客運航部長の鳥塚亮が内定し、同月28日に開かれた株主総会と取締役会を経て代表取締役社長に就任した[18]

2008年、オリジナル開発商品の「い鉄揚げ」の販売を開始した。ホタルウォッチング列車の運転も2008年より開始されている。 2009年には、「房総のけむり饅頭」の販売を開始するとともに「い鉄揚げ」に「カレー味」と「かりんとう味」を追加、同年10月からはムーミンをあしらった列車の運行を開始している。また、同年10月以降、大原、国吉、大多喜の各駅に直営店を開店(大多喜駅は新装リニューアル)し、ウェブショップも開設した。

2010年3月4日には、訓練費700万円を採用時に自己負担することを条件に列車運転免許を取得できるという運転士養成プランを発表した[19][20]。同プランに基づき40代から50代の男性4名が採用された[21][22][23]。これに対し、動労千葉は「700万円払えば運転士になれる」と呼びかけて募集している状態で運転保安は二の次にされていると懸念している[24]。その後、4人はディーゼル列車の運転資格である国土交通省の「動力車操縦資格試験」に合格し[25]、2012年夏より単独乗務している。

こうした経営努力の結果、同年8月6日に鉄道の存続が決定した[26]

その後、2011年3月期決算では売店業などの伸びによって売上高が前期比58.1%増になるなど、経営状況が改善されるきざしも見られる[27]

脚注[編集]

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  1. ^ 公社等外郭団体の経営状況等(団体別)
  2. ^ 千葉県による公社等外郭団体に関する情報公開 いすみ鉄道株式会社 (PDF)
  3. ^ ジャニーズJr.ランド号 営業運転開始のお知らせ いすみ鉄道 社長ブログ 2013年1月31日付
  4. ^ 乗り心地「懐かしい」 キハ52、営業運転開始 いすみ鉄道 千葉日報ウェブ 2011年4月30日
  5. ^ 千葉)タラコ色列車、お目見え いすみ鉄道 - 朝日新聞、2014年3月2日
  6. ^ いすみ鉄道のキハ52、3月から「首都圏色」に - レスポンス、2014年1月29日
  7. ^ 大本営発表! - いすみ鉄道 社長ブログ 2012年8月27日付
  8. ^ キハ30 62がいすみ鉄道へ - railf.jp
  9. ^ 運賃表
  10. ^ 消費税率引上げに伴う運賃改定について(平成26年4月1日より) - いすみ鉄道、2014年2月22日
  11. ^ ニッポンを元気にするニュース いすみ鉄道 社長ブログ
  12. ^ 急行列車のご乗車につきまして 再確認 いすみ鉄道 社長ブログ
  13. ^ 千葉県ホームページ「いすみ鉄道再生会議最終報告」 (PDF)
  14. ^ 現在は、同社を統括管理するビィー・トランセホールディングスの社長を務めている。
  15. ^ いすみ鉄道の公募社長内定 開業以来赤字、再生託す」共同通信、2008年2月27日。
  16. ^ いすみ鉄道株式会社の社長公募の結果について」 (Internet Archive) いすみ鉄道 2008年2月27日。
  17. ^ 千葉知事選、吉田氏が出馬表明 勇退の堂本氏後継指名」 共同通信、2009年2月7日。
  18. ^ 新社長に外資系航空マン 公募のいすみ鉄道が内定”. MSN産経ニュース (2009年6月1日). 2010年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月10日閲覧。
  19. ^ 自社養成列車乗務員訓練生を募集」いすみ鉄道
  20. ^ 運転士求む ただし訓練費700万円負担を いすみ鉄道」asahi.com、2010年3月4日23時52分。
  21. ^ いすみ鉄道の自己負担訓練生に4人内定」MSN産経ニュース、2010年4月30日17時17分。[リンク切れ]
  22. ^ 訓練費7百万自己負担で運転士 いすみ鉄道で辞令交付」47NEWS(共同通信)、2010年5月10日11時46分。
  23. ^ 現業部門がJR東日本の動労千葉組合員で占められているため、これらの新規採用運転士を動労千葉の組合員として加入させようとする動きもある。
  24. ^ 新年挨拶 反対同盟 弁護団/ いすみ支部定期大会開催 - 日刊動労千葉 2014年1月8日
  25. ^ 夢かない“中年運転士” 訓練費自己負担の1期生 いすみ鉄道」千葉日報、2011年12月21日。
  26. ^ いすみ鉄道 存続決定のごあいさつ」いすみ鉄道株式会社、2010年8月6日。
  27. ^ いすみ鉄道6割増収 売店業など押し上げ 11年3月期」千葉日報、2011年7月2日。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]