同和鉱業片上鉄道

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同和鉱業 片上鉄道(どうわこうぎょう かたかみてつどう)は、岡山県備前市の片上駅から岡山県和気郡和気町山陽本線和気駅を経由して岡山県久米郡柵原町(現美咲町)の柵原駅までを結ぶ、柵原鉱山鉱石輸送鉄道として開業した同和鉱業(現:DOWAホールディングス)の鉄道路線である。1991年6月30日まで営業されていた。

苦木駅跡
美作飯岡駅跡
和気駅を出発したキハ303(柵原行)
和気駅を出発したキハ702(片上行)

目次

[編集] 路線データ(廃止時)

  • 路線距離:
  • ダブル・チェーン:3か所(9k800m付近、31k000m付近、33k800m付近)
  • ブレイク・チェーン:1か所(11k300m付近)
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:17駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式:単線自動閉塞式 (ARC)
  • 軌条:37kgレール 98.3%、30kgレール 1.7%
  • 踏切:108か所(うち特殊信号発光機設置踏切 27か所)
  • 橋梁:98か所(総延長 1k244m484)
  • 最小勾配:0.9‰(28k585m97 ~ 29k068m78 周匝駅付近)
  • 最大勾配:28.6‰(0k603m05 ~ 1k750m16 2k031m08 ~ 3k218m69 片上 - 清水間)
  • 最小曲線:半径240m 4か所
  • 最大曲線:半径300m 18か所
  • 隧道:3か所 (総延長:270m061)
  • 陸閘門:1か所 河本 - 備前矢田間(17k535m ~ 17k541m)

[編集] 概要

吉井川の川舟(高瀬舟)に代わり柵原鉱山で産出される硫化鉄鉱を片上港まで輸送する目的で建設され、1923年1月に片上 - 和気間が開業した。次いで8月に和気 - 備前矢田 - 井ノ口(貨)間が開業。1931年2月、井ノ口 - 柵原間が開業し(井ノ口駅は廃止)全線開通した。柵原鉱山からの鉱石輸送のほかに旅客営業も行われ、沿線住民の足にもなっていた。

鉱石輸送が主体であったため交換駅有効長は長く、しかもPC枕木を使用するなど地方鉄道としては高い規格の線路を有していた。その高規格の線路の上を戦前生まれの旧型気動車が闊歩する姿はユニークでもあった。特に、現在も整備・動態保存されているキハ303は、気動車としては現役最後の国鉄キハ41000形気動車としてその名が知られており、動態で保存されている気動車の中で日本最古である(また、唯一動態で保存されているキハ41000形気動車でもある)。また、キハ702は流線形の原型を保った貴重な国鉄キハ42000形気動車である。原型を保ったキハ42000形気動車は現在、全国的に見ても現存車両が2両しかなく、一部を改造(前照灯のシールドビーム化・液体変速機化)されてはいるが、原型で動態のものはキハ702のみであり、動態で保存されている気動車の中では日本で2番目に古い。また、自社発注でキハ41000形気動車に似た形態で張上げ屋根・正面2枚窓のキハ312も動態で保存されている。

和気以北では吉井川に沿い、客車列車(主に混合列車)も運転されていた。地元や鉄道ファンはその客車の色から「ブルートレイン」と呼んでおり、自社発注のホハフ2000形(昭和25年・ナニワ工機製)と国鉄から購入したホハフ3000形(旧オハ35)が使用されていた。乗客が多かったのは和気駅・周匝駅であった。 また、1931年(昭和6年)7月20日に開業した杖谷駅(開業時より無人駅)は、民家の庭先に待合小屋とホームがあるという大変珍しい駅であった。

円高などによる柵原鉱山の鉱石産出量減のため、収入の多くを占めていた鉱石輸送はトラックに切り替えられ、経営が成り立たなくなってしまった。会社側は肥料輸送や旅客列車の減便などで生き残りを図ったが、沿線は人口が希薄で過疎も進みつつあったため乗客は減り続け、万策尽きる形で1991年7月1日に全線が廃止された。末期には、観光業者が経営を引き継ぎ観光鉄道として再生させるプランが持ち込まれたが実現しなかった。廃止後は日生運輸(備前バス)による代替バスに転換された(ただし、和気駅前は狭隘なため、和気始発便のみ駅前から発着して、それ以外は少し離れたところにある富士見橋バス停に発着する)。備前バスは、1972年7月に同和鉱業片上鉄道のバス部門が日生運輸に譲渡されたものである。片上鉄道の代替バスルートのみが「備前片鉄バス」として運行されている。なお、2007年4月1日より、備前片鉄バスの運行は日曜・祝日に限り全便運休となっている。

[編集] 歴史

益原駅(1990年)
備前矢田駅(1988年)
美作飯岡駅(1991年)
同和鉱業小坂鉄道から移籍したキハ801(片上-清水間、1990年6月)
  • 1919年大正8年)3月24日 - 片上 - 三石(片上 - 和気 - 吉永 - 三石)間の軽便鉄道(軌間762mm)の免許を鉄道大臣に出願。
  • 1919年(大正8年)7月16日 - 片上 - 三石間の軽便鉄道の免許取得。
  • 1919年(大正8年)11月27日 - 片上鉄道株式会社設立。
  • 1921年(大正10年)6月17日 - 片上恵比寿神社にて起工式。
  • 1921年(大正10年)12月28日 - 和気 - 三石間の免許失効。
  • 1922年(大正11年)4月17日 - 軌間1067mmに変更の上、和気 - 井ノ口間の免許取得。
  • 1923年(大正12年)1月1日 - 片上鉄道により、片上 - 和気間が開業。
  • 1923年(大正12年)8月10日 - 和気 - 備前矢田 - 井ノ口間が開業。旅客営業は片上 - 備前矢田間のみ。柵原鉱山からの鉱石輸送用索道と井ノ口で連絡。
  • 1924年(大正13年)8月31日 - 本和気駅、天瀬駅開業。
  • 1929年昭和4年)2月14日 - 井ノ口 - 柵原間の免許取得。
  • 1931年(昭和6年)2月1日 - 井ノ口 - 柵原間開業し全通。全線で旅客営業開始。井ノ口駅廃止。
  • 1931年(昭和6年)7月20日 - 杖谷駅開業。
  • 1950年(昭和25年)6月20日 - 藤田興業が片上鉄道を合併。「藤田興業株式会社片上鉄道海運事務所」に改称。
  • 1957年(昭和32年)8月1日 - 同和鉱業が藤田興業を合併。「同和鉱業株式会社片上鉄道事業所」に改称。
  • 1965年(昭和40年)10月 - 動力車のディーゼル化に着手。
  • 1967年(昭和42年)12月 - (片上鉄道線)和気駅運転業務を直営化。
  • 1967年(昭和43年)3月1日 - 美作飯岡・備前福田駅業務を外部委託。
  • 1968年(昭和43年)9月10日 - 蒸気機関車全廃。
  • 1971年(昭和46年)2月1日 - 片上 - 天瀬間単線自動閉塞式 (ARC) 化。清水駅無人化実施、本和気駅業務を外部委託。
  • 1971年(昭和46年)6月1日 - 美作飯岡駅無人化実施。
  • 1971年(昭和46年)10月1日 - 天瀬 - 備前塩田間単線自動閉塞式 (ARC) 化。天瀬・苦木駅無人化実施。
  • 1972年(昭和47年)9月1日 - 備前塩田 - 柵原間単線自動閉塞式 (ARC) 化。備前塩田駅業務と、片上駅構内の「西片上浜踏切」の看守業務を外部委託。
  • 1972年(昭和47年)10月 - 合理化により、車両整備・保線業務を同和工営に委託。
  • 1973年(昭和48年)10月1日 - 周匝駅業務を外部委託。
  • 1983年(昭和58年)1月19日 - 国鉄コンテナの輸送営業を開始。
  • 1984年(昭和59年)2月1日 - 郵便輸送を廃止。
  • 1984年(昭和59年)4月1日 - 本和気・河本・備前塩田・備前福田の4駅の業務委託を解消し、無人化実施。
  • 1986年(昭和61年)3月 - 日祝日ダイヤ(一部列車の運行休止)を導入。
  • 1986年(昭和61年)11月1日 - 国鉄連絡車扱貨物輸送を廃止。
  • 1987年(昭和62年)8月18日 - 同和鉱業より鉄道廃止の方針が正式発表。
  • 1987年(昭和62年)11月1日 - 鉱石輸送をトラック輸送に切替。
  • 1988年(昭和63年)1月 - 柵原駅無人化実施。
  • 1988年(昭和63年)3月13日 - JRコンテナの輸送営業を廃止。
  • 1988年(昭和63年)6月 - 岡山県・沿線町村存続対策協・同和鉱業の3者による「片上鉄道の運営に関する覚書」締結。3年間の「存続試行期間」制定。
  • 1988年(昭和63年)7月1日 - 貨物営業廃止。
  • 1991年平成3年)1月18日 - 鉄道事業廃止申請書を同和鉱業より運輸大臣に提出。
  • 1991年(平成3年)3月8日 - 代替バス路線準備の遅れのため廃止申請を取り下げ、廃止予定の4月1日より3か月間の廃止延期を発表。
  • 1991年(平成3年)5月10日 - 鉄道事業廃止申請書を再度、運輸大臣に提出。
  • 1991年(平成3年)6月30日 - 最終運行。
  • 1991年(平成3年)7月1日 - 全線廃止。

[編集] 駅一覧

所在地名などは廃止時点のもの(井ノ口駅廃止時の所在地は和気郡山田村)。

駅名 読み 営業キロ
(建設キロ=駅中心)
接続路線・備考 所在地
片上駅 かたかみえき 0.0 (0k281m64) 西日本旅客鉄道:赤穂線西片上駅:徒歩5分) 岡山県 備前市
清水駅 しみずえき 4.1 (4k355m29)   和気郡和気町
中山駅 なかやまえき 5.7 (5k934m46)  
和気駅 わけえき 8.6 (8k872m21) 西日本旅客鉄道:山陽本線
ダブル・チェーン (9k808m856-9k803m444 +5m412)
本和気駅 ほんわけえき 10.1 (10k392m34)  
ブレイク・チェーン (11k312m60-11k314m10 -1m51)
益原駅 ますばらえき 11.6 (11k882m99)  
天瀬駅 あませえき 14.5 (14k816m02)   和気郡佐伯町
(現・和気町)
河本駅 こうもとえき 16.3 (16k590m32)  
備前矢田駅 びぜんやたえき 18.3 (18k567m81)  
(貨)井ノ口駅 いのくちえき (不明) 1931年2月1日廃止
苦木駅 にがきえき 22.2 (22k526m79)  
杖谷駅 つえたにえき 24.2 (24k482m15)  
備前塩田駅 びぜんしおた 25.5 (25k793m28)  
備前福田駅 びぜんふくだえき 27.2 (27k439m32)   赤磐郡吉井町
(現・赤磐市
周匝駅 すさいえき 28.5 (28k775m07)  
美作飯岡駅 みまさかゆうかえき 29.6 (29k873m45)   久米郡柵原町
(現・美咲町
ダブル・チェーン (31k024m773-30k981m944 +42m829)
吉ヶ原駅 きちがはらえき 32.5 (32k689m80)  
ダブル・チェーン (33k807m348-33k798m517 +8m831)
柵原駅 やなはらえき 33.8 (33k997m39)  
線路終点 34k257m18 柵原駅構内

[編集] 廃線後の施設と車両の状況

柵原ふれあい鉱山公園の旧吉ヶ原駅舎
柵原ふれあい鉱山公園に保存されている車両群

廃止後、1998年11月15日に開園した柵原ふれあい鉱山公園に11両の車両が保存されている。そのうちの8両(ディーゼル機関車1両、気動車3両、客車3両、貨車1両)は片上鉄道保存会の手により整備・動態保存され、毎月第1日曜日に旧吉ヶ原駅付近の約300mの区間で展示運転されている(なお、老朽化した保存車両の保守、及び鉄道保存施設の改修工事に伴い、2008年11月から2009年夏頃まで、展示運転を休止する予定)。旧吉ヶ原駅舎は、1931年2月の井ノ口 - 柵原間の開業時に建設されたもので、廃止後はバスの待合室として利用されていたため、損傷はほとんど無かった。このため、柵原ふれあい鉱山公園の開園に先駆けて改修され、現在は展示運転で実際に駅舎として使用されている。以前は片上鉄道の資料館にもなっていたが、一部の展示品の盗難が発生したため、現在は一般開放されていない。2006年3月2日には、登録有形文化財に登録された。

片上 - 吉ヶ原間の線路跡は、サイクリングロード(岡山県道703号備前柵原自転車道線、通称「片鉄ロマン街道」)として整備され2003年11月24日に開通した。運転上の要であった和気駅にはホームの痕跡がわずかに残っているほか、片上にあった駅舎と車庫は跡地にマックスバリュデオデオができて跡形もないが、駅前のロータリーと、操車場跡の西側にあった、鉱石の貯鉱上屋内のカーダンパーへ到る勾配線跡付近にある、起点を示す0キロポストの2つの施設だけが今でも生き残っている。また、旧天瀬駅と旧苦木駅は、駅舎は解体されずに残っていたが、「片鉄ロマン街道」開通に伴い改修され、休憩所及び鉄道史跡として保存されている。

静態保存車両は柵原ふれあい鉱山公園内の貨車3両のほかに、片上駅跡地に国鉄から購入したワム80000のうちの2両(ワム1805、1807 旧番号ワム184036、184740)とディーゼル機関車DD13-552、国道484号沿いの菊ヶ峠ドライブインにキハ311、備前市久々井生崎の備前市浄化センターにキハ801の計8両が静態保存されている。また、2006年3月頃までは佐伯町役場(現・和気町役場佐伯総合支所)にホハフ3001(旧番号オハ35 1058)が保存されていたが、解体された。

小坂鉄道には片上鉄道から譲渡されたディーゼル機関車1両 (DD13-556) が予備車両として在籍していたが、2009年4月1日付で小坂鉄道は廃止されたため、今後のDD13-556の去就が注目される。また、小坂鉄道からは余剰となったキハ2100形2両(キハ2108、2102)が1981年に譲渡され、キハ801、802となっている。キハ801は前述の通り静態保存されているが、キハ802は1995年に片上駅跡地にて解体された。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
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[編集] 外部リンク