赤穂線

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JR西日本 赤穂線
赤穂線で運用されている213系電車
赤穂線で運用されている213系電車
路線総延長 57.4 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V 架空電車線方式直流

赤穂線(あこうせん)は、兵庫県相生市相生駅岡山県岡山市中区東岡山駅の間を瀬戸内海に沿って結ぶ西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線地方交通線)である。

概要[編集]

起点の相生駅、終点の東岡山駅の両端で山陽本線に接続している。山側を走る山陽本線に対して当路線は海岸近くを走るが、実際に車窓から海が見える箇所は非常に少なく、日生駅で最も海が近くに見える。山陽本線が複線で特急列車貨物列車が走行するのに対し、当路線は全線単線ローカル線となっている。このうち相生駅 - 播州赤穂駅間が旅客営業規則の定める「大阪近郊区間」およびJR西日本のアーバンネットワークに含まれ、京都大阪神戸方面から新快速などが播州赤穂駅まで乗り入れる。

相生駅 - 備前福河駅間はJR西日本近畿統括本部、寒河駅 - 東岡山駅間は同社岡山支社が管轄している。岡山支社管内で独自に設定されているラインカラーは黄色()。

一部の区間ではIC乗車カードICOCA」を利用することができ、相生駅 - 播州赤穂駅間は近畿圏エリアに[1]、長船駅 - 東岡山駅間は岡山・広島エリアの岡山・福山地区に含まれている[2]。ただし播州赤穂駅 - 長船駅間を跨っての利用はできない。

路線データ[編集]

運行形態[編集]

旅客列車[編集]

2013年(平成25年)3月16日のダイヤ改正をもって、播州赤穂駅を境に運転系統が完全に分断され、全線を通して運転される定期列車はなくなっている。ただし、全列車が他線区に直通運転するため、赤穂線のみを走る定期列車は設定されていない。

日中1時間あたりの運転本数
(2011年3月12日現在)
種別\駅名 相生 播州赤穂 長船 東岡山
新快速 1本  
普通 1本 2本

相生駅 - 播州赤穂駅間[編集]

山陽本線・東海道本線(JR神戸線JR京都線琵琶湖線)の姫路・神戸・大阪・京都・米原方面などと直通運転する新快速・普通(JR神戸線・JR京都線区間の西明石駅 - 大阪駅 - 高槻駅間は快速)が運転されている。

日中時間帯は新快速と姫路駅 - 播州赤穂駅間を運行する普通がそれぞれ1時間あたり1本の計2本が運行されている。朝ラッシュ時の上り播州赤穂発と夕方の下り播州赤穂行きは新快速のみである。新快速は赤穂線内を含む姫路駅 - 播州赤穂駅間は各駅に停車するが、種別表示は新快速のままである。新快速の赤穂線直通運転は朝夕のみだったが2005年3月1日から日中にも運行されるようになった。播州赤穂駅の平日朝5時台の上り始発は時刻表上では近江塩津行きであるが、実際には米原駅止まりである[4]。このような事例は当該列車のほかにも、一例として主に北陸本線 - 網干駅以西の山陽本線、さらには赤穂線間を直通運転する新快速を中心にいくつか存在する。以前は朝に備前片上駅米原駅間と夕方に大阪駅 → 備前片上駅間の快速(大阪駅始発は須磨駅垂水駅舞子駅は通過)が1日1本ずつ設定されていたが、2000年3月11日のダイヤ改正で廃止された。最大8両編成で運転されるが、時間帯によっては4両編成の列車もある。最終の姫路行きは3両である。

毎年秋には、赤穂市内小学校連合の修学旅行列車が運転されている。以前は165系・167系12両編成が使用されたが、最近は117系12両編成が使用されている(2004年の修学旅行臨には221系の8両編成、また2007年の修学旅行臨には223系2000番台の8両編成が使用されていた)。なお、西相生駅坂越駅ではホームが8両分の長さしかないため、後方4両がドア締切扱いとなっている。

播州赤穂駅 - 東岡山駅間[編集]

すべての列車が山陽本線の岡山駅まで直通運転しているが、さらに岡山駅を越えて山陽本線では三原駅発着列車、伯備線経由で山陰本線出雲市駅(土曜・休日ダイヤでは米子駅)始発列車、伯備線備中高梁新見発着列車、新郷(休日ダイヤでは新見駅)始発列車、宇野線宇野行き、瀬戸大橋線児島行きが設定されている。山陰本線出雲市駅始発の列車は所要時間が7時間で、赤穂線を運行する列車の中で最も所要時間が長い。

日中は岡山方面から播州赤穂駅折り返し列車と長船駅折り返し列車が交互に運行されており、1時間あたり岡山駅 - 長船駅間で2本、長船駅 - 播州赤穂駅間で1本の運行となっている。朝晩には日生駅・備前片上駅や西大寺駅を始発・終着駅とする列車もあり、日生駅・備前片上駅で夜間滞泊する列車がある。2004年10月16日のダイヤ改正からは、一部の列車でワンマン運転が行われている。朝4.5往復(うち2往復は長船発着)と夜の日生行きは6両、ワンマン列車は2両、それ以外は3・4両編成での運転である。

国鉄時代は京都・大阪方面 - 播州赤穂駅間の列車と、姫路駅 - 赤穂線経由岡山駅間の列車の組み合わせで、それ以後から2004年10月15日までは相生駅 - 播州赤穂駅間の列車と相生駅 - 赤穂線経由岡山駅間の列車の組み合わせであった。赤穂線の列車は、相生駅以東と東岡山駅以西の駅での誤乗を防ぐため、行先板を赤い地色としていた。播州赤穂駅 - 岡山駅間を運行する普通の大半は、姫路駅 - 播州赤穂駅間の普通との接続を考慮したダイヤ編成になっている。

赤穂線全線を直通する列車は、2013年3月16日ダイヤ改正前日まで夜に上り1本のみ(備中高梁発姫路行き1936M列車)運行されていたが、同改正で播州赤穂駅止まりとなり、前述のとおり播州赤穂駅で完全に運転系統が分断された。なお同日以降、1936Mで使用された車両は播州赤穂駅で夜間滞泊とはならず、折り返し備前片上駅まで回送され、同駅始発倉敷行き1987Mとして使用される。

毎年10月第3土曜・日曜日には、同日に伊部駅周辺で開催される「備前焼まつり」に合わせて岡山方面からの長船止まりの列車を日生駅や備前片上駅まで臨時に延長運転している。

夜間を中心に、山裾の区間が多い香登駅以東では鹿などの小動物と列車が接触し、列車が遅れることがよくある。そのためJR西日本では頻繁に小動物が出没する箇所には、弱い電流が流れる電気柵を設置し対策に乗り出している。

貨物列車[編集]

全線にわたってJR貨物が第二種鉄道事業者となっており西浜駅という貨物駅もあるが、定期貨物列車の設定はない。まれに大物車を使用する変圧器輸送列車が西浜駅を発着するのみである。

利用状況[編集]

乗客は姫路方面と岡山方面に向かって増加するが、一部の新快速の始発駅でもある播州赤穂駅への流動も見られる。日生駅などから播州赤穂駅へ県境を超えて買い物や通院する乗客も多い。青春18きっぷの通用期間中は山陽本線の相生駅 - 岡山駅が激しい混雑となるが、そのような場合でも赤穂線はそれほど混雑しないので混雑回避に利用できる。赤穂線の相生駅 - 東岡山駅間の距離は山陽本線の同区間と比べると3.2km程短いが、線路規格が低く速度が出ないこと、単線のため列車交換があることから山陽本線経由に比べて約20分所要時間が長くなる。関西圏 - 岡山駅の移動の補助的な役割を持った路線だが、山陽本線の相生駅 - 岡山駅間を直通する列車が少ないため、時間帯によっては赤穂線を経由した方が後続の山陽本線経由の列車よりも先着する場合もある。

使用車両[編集]

全列車が電車で運転されている。

  • 113系(播州赤穂駅 - 東岡山駅間)
  • 115系(全線)
  • 117系(播州赤穂駅 - 東岡山駅間)
  • 213系(播州赤穂駅 - 東岡山駅間)
  • 221系(相生駅 - 播州赤穂駅間)
    • 以前は定期列車で備前片上まで、多客時には臨時列車「赤穂備前ホリデー号」で岡山まで乗り入れていた。
  • 223系1000・2000・6000番台(相生駅 - 播州赤穂駅間)
  • 225系0番台(相生駅 - 播州赤穂駅間)

過去の使用車両[編集]

電車

歴史[編集]

改正鉄道敷設法86号「兵庫縣有年ヨリ岡山縣伊部ヲ經テ西大寺附近ニ至ル鐡道及赤穂附近ヨリ分岐シテ那波附近ニ至ル鐡道」に該当する。船坂峠上郡駅 - 三石駅間)という難所を抱える山陽本線の代替線として建設された路線であり、戦前の新幹線計画である弾丸列車計画では、赤穂線に並行して同幹線を建設する予定であったといわれる。

しかしながら、赤穂線の全通時点で山陽本線の電化が完了し輸送力の増強が終わっていた一方、赤穂線自身は単線・一部非電化での全通であったため、当初想定されていた「山陽本線の輸送力を補う代替路線」ではなく、「地域住民のためのローカル線」という存在での開通となってしまった。その後赤穂線も全線が電化されたものの、現在に至るまでローカル線という存在に変わりはない。

1975年3月10日新幹線博多開業前には、当路線を経由して大阪と呉や九州を結ぶ優等列車(急行「安芸」・「つくし」など)が存在したが、新幹線開業とともに廃止され、それ以降定期の優等列車は設定されていない。

赤穂線が開通する以前、有年駅 - 播州赤穂駅間の赤穂鉄道と、西大寺駅 - 後楽園駅間の西大寺軌道(のちの西大寺鉄道両備バス西大寺鉄道線)という二つの軽便鉄道が存在したが、どちらも自社路線に並行して赤穂線が開業したことにより廃止された。また、戦前は山陽電気鉄道網干線を延長する形で、赤穂・片上・西大寺を経由して岡山に伸ばす構想を持っていたが、当時の鉄道省により「省線予定線との並行路線」という理由で延伸自体が却下され実現しなかった。

年表[編集]

  • 1951年昭和26年)
    • 12月12日国鉄赤穂線 相生駅 - 播州赤穂駅間 (10.5km) が開業。西相生駅・坂越駅・播州赤穂駅が開業。
    • 12月26日:姫路駅 - 播州赤穂駅間で直通運転開始[5]
  • 1955年(昭和30年)3月1日:播州赤穂駅 - 日生駅間 (11.6km) が延伸開業。備前福河駅・日生駅が開業。
  • 1958年(昭和33年)3月25日:日生駅 - 伊部駅間 (12.4km) が延伸開業。伊里駅・備前片上駅・伊部駅が開業。
  • 1961年(昭和36年)3月30日:相生駅 - 播州赤穂駅間が電化。
  • 1962年(昭和37年)
    • 4月1日:寒河駅が開業。
    • 9月1日:伊部駅 - 東岡山駅間 (22.9km) が延伸開業し全通。香登駅・長船駅・邑久駅・大富駅・西大寺駅・大多羅駅が開業。
  • 1963年(昭和38年)5月1日:天和駅・西片上駅が開業。
  • 1966年(昭和41年)10月1日:西浜信号場が開設。
  • 1969年(昭和44年)8月24日:播州赤穂駅 - 東岡山駅間が電化され全線電化。
  • 1983年(昭和58年)7月29日:備前福河駅 - 東岡山駅間で列車集中制御装置 (CTC) が導入。
  • 1987年(昭和62年)
    • 3月31日:西浜信号場が駅に変更され、貨物駅として西浜駅が開業。
    • 4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。日本貨物鉄道が全線の第二種鉄道事業者となる。
  • 1996年平成8年)3月16日:夕方ラッシュ時に新快速が設定。
  • 2002年(平成14年)9月1日:赤穂線全線開業40周年を記念して、キハ20形が運転される[6]
    赤穂線40周年記念号
  • 2003年(平成15年)11月1日:相生駅 - 播州赤穂駅間で「ICOCA」の利用サービスが開始[7]
  • 2004年(平成16年)10月16日:播州赤穂駅 - 岡山駅間の一部の列車でワンマン運転開始。
  • 2005年(平成17年)3月1日:日中にも新快速が設定される[8]
  • 2006年(平成18年)10月1日:相生駅 - 西浜駅間に「JR京都・神戸線運行管理システム」が導入[9]
  • 2010年(平成22年)12月1日:組織改正により、神戸支社が管轄していた相生駅 - 備前福河駅間が近畿統括本部の管轄に変更[10]
  • 2013年(平成25年)3月16日:この日のダイヤ改正により播州赤穂駅で運転系統が分断され、全線を通して運転される列車がなくなる。

駅一覧[編集]

便宜上、両端部の全列車が乗り入れる山陽本線姫路駅 - 相生駅、および東岡山駅 - 岡山駅間も合わせて記載する。

  • (貨):貨物専用駅
  • JR神戸線から乗り入れる快速(明石駅以西では普通列車)・新快速を含め、赤穂線の列車は全列車全旅客駅に停車する。
  • 線路(赤穂線内は全線単線) … ◇・∨・∧:列車交換可能、|:列車交換不可、∥:複線区間(山陽本線内)
路線名 駅名 駅間営業キロ 相生からの営業キロ 接続路線 線路 所在地
山陽本線 姫路駅 - 20.7 西日本旅客鉄道山陽新幹線山陽本線JR神戸線)・播但線姫新線
山陽電気鉄道本線山陽姫路駅
兵庫県 姫路市
英賀保駅 4.6 16.1  
はりま勝原駅 2.8 13.3  
網干駅 2.9 10.4  
竜野駅 5.9 4.5   たつの市
相生駅 4.5 0.0 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線(上郡方面) 相生市
赤穂線
西相生駅 3.0 3.0  
坂越駅 4.8 7.8   赤穂市
播州赤穂駅 2.7 10.5  
(貨)西浜駅 2.4 12.9  
天和駅 1.6 14.5  
備前福河駅 1.9 16.4  
寒河駅 3.2 19.6   岡山県 備前市
日生駅 2.5 22.1  
伊里駅 5.6 27.7  
備前片上駅 3.3 31.0  
西片上駅 1.3 32.3  
伊部駅 2.2 34.5  
香登駅 4.0 38.5  
長船駅 3.8 42.3   瀬戸内市
邑久駅 3.6 45.9  
大富駅 2.1 48.0  
西大寺駅 3.2 51.2   岡山市
東区
大多羅駅 2.9 54.1  
東岡山駅 3.3 57.4 西日本旅客鉄道:山陽本線(瀬戸方面) 岡山市
中区
山陽本線
高島駅 6.1 60.2  
西川原駅
(西川原・就実駅)
1.9 62.1  
岡山駅 2.6 64.7 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線・伯備線[* 1]宇野線瀬戸大橋線津山線吉備線
岡山電気軌道東山本線岡山駅前駅
岡山市
北区
  1. ^ 伯備線の正式な起点は山陽本線倉敷駅だが、運転系統上は岡山駅に乗り入れる

赤穂線の途中駅のうち、播州赤穂駅と西大寺駅はJR西日本直営駅。西相生駅と坂越駅はジェイアール西日本交通サービスに、日生駅・長船駅・邑久駅はジェイアール西日本岡山メンテックにそれぞれ受託された業務委託駅である。それ以外の駅は簡易委託駅もしくは無人駅である。なお伊部駅は簡易委託駅として扱われるが、平日のみ周辺の簡易委託駅を管理する営業管理室で、JR西日本直営のみどりの窓口が営業している。

脚注[編集]

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  1. ^ ご利用可能エリア 近畿圏エリア|ICOCA:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
  2. ^ ご利用可能エリア 岡山・広島エリア|ICOCA|ICOCA:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
  3. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB、1998年。ISBN 978-4-533-02980-6
  4. ^ 「時刻表上は近江塩津行きだが、実際には米原駅止まり」(=時刻表上設定されている全区間を直通しない)となる理由は、相生駅 - 米原駅(あるいは湖西線近江今津駅)間では12両編成での運転が可能ではあるものの、播州赤穂駅 - 相生駅間・湖西線近江今津駅 - 永原駅間・北陸本線米原駅 - 長浜駅間では最大でも8両編成、さらに湖西線永原駅 - 近江塩津駅間と北陸本線長浜駅 - 敦賀駅間では最大でも4両編成までしかそれぞれ停車できず、それぞれのホーム有効長に差異があることから、途中の駅での増解結作業が必要となるためである。
  5. ^ 『近畿地方の日本国有鉄道-大阪・天王寺・福知山鉄道局史』大阪・天王寺・福知山鉄道局史編集委員会 2004年 p.359
  6. ^ 『JR気動車客車編成表 '03年版』ジェー・アール・アール、2003年。ISBN 4-88283-124-4
  7. ^ 「ICOCA」いよいよデビュー! 〜 平成15年11月1日(土)よりサービス開始いたします 〜インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2003年8月30日
  8. ^ 平成17年春 新快速ネットワーク拡大 〜京阪神⇔播州赤穂間 新快速終日直通運転〜(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2004年12月3日
  9. ^ JR西日本2006年9月定例社長会見(インターネット・アーカイブ)では相生駅 - 備前福河駅間の導入であるが、「データで見るJR西日本」では、相生駅 - 西浜信号場間となっている。
  10. ^ 組織改正などについて - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2010年11月16日

参考文献[編集]

関連項目[編集]