悪魔が来りて笛を吹く
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| 悪魔が来りて笛を吹く | ||
|---|---|---|
| 著者 | 横溝正史 | |
| 発行日 | 1973年2月20日 | |
| ジャンル | 小説 | |
| 国 |
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| 言語 | 日本語 | |
| ページ数 | 472 | |
| コード |
ISBN 4041304040 ISBN 978-4041304044(文庫本) | |
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『悪魔が来りて笛を吹く』(あくまがきたりてふえをふく)は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。
本作を原作とした映画2本・テレビドラマ5本・ラジオドラマ1本・舞台1作品が、2018年7月までに制作された。また、女性漫画家JETにより漫画化されている。
目次
概要[編集]
探偵小説雑誌『宝石』において、1951年(昭和26年)11月から1953年(昭和28年)11月まで連載された。
大戦後の混乱の時期、『黒猫亭事件』と『夜歩く』の事件の間頃に起きた事件とみなされている。戦前まで栄華を誇った貴族の没落、さらに近親相姦というインモラルかつタブー視される性関係を濃厚に描写し、そこに生じた悲劇と愛憎劇を密に描いた作品である。帝銀事件や太宰治の『斜陽』などの要素を取り込み、横溝が得意とした田舎の因習とはまた異なった陰惨さや、本格推理小説の定番「密室殺人」を扱い、他作品とは異なった雰囲気をかもし出し、作者の人気作品のひとつとなっている。
本作は、1954年に「第7回探偵作家クラブ賞」候補にノミネートされる[注 1]。作者は本作を「金田一もの自選ベスト10」の6位に推している[注 2]。
天銀堂事件[編集]
この物語が始まるきっかけとなった事件で、宝石店「天銀堂」で「保健所から伝染病予防のために来た」と称する男が、店員全員に毒薬を飲ませて殺傷し、宝石を奪ったというもの。実在の事件である帝銀事件の被害者を銀行から宝石店に変更して借用している。帝銀事件は日本で初めてモンタージュ写真を捜査のために用いたことでも知られ、この点もこの作品に取り入れられている。
横溝正史による解説[編集]
横溝正史が雑誌『宝石』の求めに応じて本作の第1稿を起したのは昭和26年9月のことで、完結篇を書きあげたのは2年後の昭和28年の同じ9月のことだった。「時日も20日前後のことで、稿を起した日も、書き上げた日も、ともに、秋雨のしとど降る日であったと憶えている」と振り返っている。
この小説が完結するまでまる2年と1か月を要したのは、『宝石』に合併号が出たり横溝が病気休載したりしたことからで、このため連載回数は計21回とかなり長いものとなった。連載終了と同時に城昌幸編集長からは単行本化の慫慂をうけたというが、連載の長さと雑誌の都合で1回の枚数が違ってきたりしたため、テンポに狂いがありそうな気がした横溝はひとまず保留していた。
しかし、一度書きあげたものに手を加えるのは容易でないことと、読みなおしてテンポにそれほど狂いがなかったので、ごく僅少の手を加えるのみで1954年(昭和29年)3月に単行本化することにした。横溝は「こんなことならもっと早く出版してもよかったのにと、いまさらながら苦笑ものである」と述懐している。
横溝によると、本作のテーマの胚種が頭に芽生え始めたのは、1948年(昭和23年)8月に岡山の疎開地から成城に帰って間もないころのことだという。そのころ、横溝邸を訪れた葛山二郎から、葛山が帝銀事件(同年1月26日発生)の犯人のモンタージュ写真に似ている、として容疑者として密告されて困った、という話を聞かされる。同じころ、某子爵が失踪し、その後に自殺体で発見されるという事件[注 3]があり、その子爵もやはりモンタージュ写真と似ていたため取り調べを受けたことがある、と報じられた。このことから横溝は、モンタージュ写真の人物Xと似ている人間A、同じく似ている人間Bがいたとすると、AとBも互いに似ている(A=X B=X ∴A=B)、というアイデアを思いついた[3]。このとき『宝石』誌上で『落陽殺人事件』の題名で予告を行っている。しかし、うまくまとまらず、連載は開始されなかった。「担当者武田武彦君には大きな迷惑をかけてしまった」と振り返っている。その後もあたため続けていたこのテーマが結実しはじめたのは、昭和26年夏のことだった。
夏のことで、硝子戸を開けっぱなしにして横溝が物思いにふけっていると、夜毎フルートの音が聞こえてくる。家人に聞くと、「隣家の植村さん[注 4]の御令息泰一君が練習していらっしゃるのだ」ということだった。横溝はこのときの様子を、「隣家といってもテニス・コートひとつへだてているのだから、相当はなれているのだが、そして、それだけ離れて聞いているのでいっそう身にしみてよかったのだが」とし、「私はこのフルートの音に魅了されたのである」と語っている。
このフルートの音と『落陽殺人事件』のテーマを結び付けることを思い立ち、本作の第1弾とした横溝は、息子に命じて上述の植村泰一が練習しているフランツ・ドップラーの『ハンガリー田園幻想曲』のレコードを買ってこさせ、何度か聞いた上に泰一にも聞いてもらった。また息子の友人でフルート作曲に興味を持っている笹森健英にも来てもらって、両者からいろいろとフルートの知識を受けた[注 5]。
このとき横溝は笹森に『悪魔が来りて笛を吹く』の曲を作曲してもらって、適当なところへ譜面を挿入するつもりだった。ところが横溝いわく「付け焼刃の悲しさには、フルートについてとんでもない錯誤を演じてしまい、しかも雑誌連載中そこを訂正すると、いっぺんにトリックが暴露する恐れがあるので、結局、譜面を挿入することは見合わせなければならなくなった」という。その後その部分は単行本化にあたって訂正されたが、結局譜面挿入は諦めている[4]。
横溝が「フルートについてとんでもない錯誤を演じてしまい」と語っているのは、右手と左手を間違って書いてしまったことである。横溝は最後に楽譜を付けようと作曲を頼んだところ、笹森に「右手[注 6]の指2本ないんじゃ作曲しようがない」と言われたといい、「途中でそう言われたんでガッカリしちゃってね、途中から左でしたって書くわけにもいかないもんね」とこの失敗を笑っている。本作は華族階級の「斜陽」を描いているが、横溝には「トリックと同時にこういう斜陽の世界を書きたい」との思いがあったという。ちょうど太宰治の名前が出たころで、『落陽殺人事件』との当初の題名で「落陽」としたのも、「斜陽じゃ太宰の翻案みたいだから」という理由によった。執筆については「ぼくは歌舞伎のファンですから、歌舞伎でよく、世界って言いますね。今度は斜陽書いてみようかとか、今度農村書いてみようとか。」と本作取り組みのきっかけについて語っている[5]。
ストーリー[編集]
昭和22年(1947年)9月28日、金田一耕助の元を訪れたのは、この春、世間をにぎわした「天銀堂事件」の容疑を受け失踪し、4月14日に信州・霧ヶ峰でその遺体が発見された椿英輔・元子爵の娘、美禰子(みねこ)だった。
「父はこれ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ないのだ。由緒ある椿の家名も、これが暴露されると、泥沼のなかへ落ちてしまう。ああ、悪魔が来りて笛を吹く。」
父が残した遺書を持参した美禰子は、母・秌子(あきこ[注 7])が父らしい人物を目撃したと怯えていることから、父が本当に生きているのかどうか砂占いで確かめることになったと説明し、金田一にその砂占いへの同席を依頼する。
麻布六本木の椿家に出向いた金田一は計画停電を利用した砂占いに同席した。その停電が終了すると同時に、家の中に椿子爵作曲になる異様な音階を持つ曲「悪魔が来りて笛を吹く」のフルート演奏が響く。これはレコードプレーヤーによる仕掛けだったが、その間に砂占いに出た火焔太鼓のような模様に、家族の一部の者は深刻な表情を見せる。美禰子はその絵が死んだ子爵の手帳に「悪魔の紋章」の名で描かれていたことを金田一に告げる。その日の深夜3時ごろ、椿邸に居候している玉虫公丸・元伯爵が殺されているのが発見される。ほぼ同時に椿子爵と思われる男が子爵のフルートを持って屋敷に出現し、フルートの音も短く聞こえた。玉虫殺害現場には、前夜と同じ悪魔の紋章が血で描かれていた。警察は庭から子爵のフルートケースを発見、その中には天銀堂事件で奪われた宝石が入っていた。金田一は等々力警部から子爵を告発したのがタイプ打ちの匿名の手紙で椿家の内部事情に詳しいものであったことを知らされる。そこには、子爵が事件前後に姿を消しており、帰ってくると宝石の換金について書生の三島東太郎と相談したという経緯が記されていた。子爵は長くその行き先を警察に言わなかったが、追い詰められて神戸市の須磨であると白状し、確認が取れたことで解放されたのであった。金田一と警部が家人の聞き取りを進めているところへ、焼け出されて同居している秌子の兄・新宮利彦が酒を飲んで乱入、背中にある「悪魔の紋章」そっくりの痣を見せる。
翌日、美禰子は、子爵の遺書が書かれたのが「天銀堂事件」容疑の逮捕前であり、子爵の自殺はその事件以外に理由があることに気付いた。それを聞いた金田一は事件前後の子爵の行動には隠された意味があると判断し、若い出川刑事と共に西に向かった。まず、子爵が宿泊した須磨の旅館「三春園」の女将から、かつて近くに玉虫伯爵の別荘があり秌子もよく見かけたことや、近在の植木屋・辰五郎の娘・駒子が手伝いに上がっている間にそこの誰かの種で妊娠し、辰五郎の弟子の一人と結婚させられて小夜子という娘を産んだことを聞き取る。
金田一は子爵の行動をさらに追跡し、玉虫伯爵の別荘跡で子爵の手になる「悪魔ここに誕生す」という落書きを発見する。一方、出川は辰五郎から跡目を譲られた「植松」を訪ね、辰五郎が空襲で死んだことを知る。彼はなぜか常に強請れる「金づる」を持ち、植木屋をやめて仕事を転々とした挙げ句の死であった。彼の最後の妾はおたまといい、駒子と他の妾に産ませた子・治雄だけが彼の生きた身寄りであった。出川はおたまの居場所を探るが、最近の仕事場を出奔したばかり。そのおたまを、駒子と思われる淡路島の尼・妙海が、玉虫殺害が新聞報道された直後に訪ねてきていた。金田一と出川は淡路島に向かうが、妙海は一足先に殺されていた。彼らは妙海を現場の寺に世話した隣村の住持・慈道から、小夜子の父が新宮であること、小夜子が自殺したこと、妙海が新宮の死を予想したことを聞く。淡路島から帰った2人は新宮が殺されたことを聞かされる。
金田一は単身東京に戻った。彼はそこで新宮が絞め殺されたのが家人がほとんど外出していた間だったことを聞き、その状況が新宮の企みで作られたことを見抜く。新宮は妹から金をせびるために皆を追い出したのだ。
金田一は、モンタージュ写真で引っかかったくらい「天銀堂事件」の犯人と子爵は似ていたはず、今回の犯人は「天銀堂事件」の犯人を手下にしていたという推理を等々力警部に語り、当時の容疑者たちの最近の行動を確認するよう進言する。数日後、「天銀堂事件」の犯人・飯尾豊三郎が芝の増上寺にて惨殺死体で発見された。同日、金田一が岡山県警の磯川警部に調査依頼した返事があり、書生の三島は正体不明の別人であることが判明する。金田一は三島が話す言葉のアクセントからその正体に疑問を抱き、磯川警部に確認を依頼していたのである。同時に、おたまの証言が得られたという出川刑事からの調査報告もあり、小夜子が自殺した時に宿していた胎児の父親が治雄であるらしいこと、治雄の戦傷による右指2本の喪失という身体的特徴が三島と一致することが判明した。
等々力警部と金田一は大雨の中、椿邸に向かった。そこでは秌子の気まぐれで鎌倉に引っ越す準備中。しかも、その最中に秌子が「悪魔」を見て逃げ出すように家を出たという。全員で後を追うが、鎌倉に着いた時、秌子は主治医の目賀博士が調合した持病の薬に仕込まれた青酸加里により死んでいた。翌日、金田一は残った全員の前でトリックを解明する。その上で犯人を指摘しようとしたところ、当の三島は自ら犯人であると名乗り出る。彼は新宮が妹・秌子を犯して産ませた子・河村治雄であり、その左肩には父と同じ「悪魔の紋章」そっくりの痣があった。彼はそうとは知らずやはり新宮の子である小夜子を愛したが、出征した治雄を待つ間に異母兄妹であることを知った小夜子は治雄の子を宿したまま自殺した。治雄は彼や小夜子の運命を作った者たちに復讐すべく、子爵を脅して椿家に入り込んだのである。
彼は最後に「悪魔が来りて笛を吹く」を演奏して見せた。その曲は、戦争で右中指と薬指を欠いた彼でも演奏できるように作曲されていたのだ。彼はそれを演奏し終わると同時に、笛に仕込んだ青酸加里で死んだ。
登場人物[編集]
主要人物[編集]
- 金田一耕助(きんだいち こうすけ)
- 私立探偵。
- 等々力大志(とどろき だいし)
- 東京警視庁の刑事。階級は警部。異名は「警視庁の古狸」。東京および近郊で起きた事件における金田一の相棒。早とちりや目先のことに囚われやすく見当違いの推理を披露する。数え切れない「天銀堂事件」の犯人だという密告状の送り主も調べずに容疑者を拘束して[注 8]、結局は犯人を逮捕できないままでいた。
- 椿美禰子(つばき みねこ)
- 英輔の娘、依頼人、19歳。母と異なりいかつい顔の不美人。ショートヘア。普通より額が露出しており、眼が大きすぎる上に頬から顎へかけてこけているため、顔全体のバランスが取れていない。事件解決後、屋敷を売り払い伯母や従兄と共に新しい人生を歩み始める。
- 三島東太郎(みしま とうたろう)
- 椿家の書生。笑顔のいい愛嬌ある青年。英輔の旧友の息子を名乗っているが、実は英輔が選んで与えた偽名であり、本物の東太郎は既に戦病死している。書生・東太郎の正体は復讐劇を繰り広げた犯人「河村治雄」で、英輔が「悪魔」と呼んだ人物である。椿秌子とその兄・新宮利彦との間に生を受け、異母妹・小夜子が自身との禁忌の関係の末、妊娠・自殺したため、元凶の両親に復讐すべく椿家に潜入する。戦争で中指の半分ほどと薬指の3分の2ほどを失った。異父妹・美禰子と異母弟・一彦に華子と共に強く生きて欲しいとの遺書を残して自殺した。
警察[編集]
- 出川(でがわ)
- 警視庁の刑事。等々力警部の部下。金田一と共に須磨・淡路へ出向いた後、阪神地域に残って調査を続け、真相解明の手がかりとなる数多くの事実を明らかにした。
- 沢村(さわむら)
- 警視庁の刑事。等々力警部の部下。椿邸の防空壕で椿子爵のフルートのケースを発見した。
- 磯川常次郎(いそかわ つねじろう)
- 岡山県警の警部。シリーズの常連だが、本作では金田一との手紙のやりとりでのみ登場。岡山出身と称する三島東太郎の素性に疑問を抱いた金田一の依頼で調査を行い、東太郎は実在したが既に死亡していることを明らかにする。
椿家[編集]
- 椿英輔(つばき ひですけ)
- 椿家当主、元子爵。フルート奏者。約半年前に43歳で自殺。色は浅黒く額が広く、髪をきれいに左で分けている。鼻が高く、眉がけわしい。女性的印象を受ける人物。妻・秌子とその兄・利彦、2人の伯父である玉虫公丸の横暴に何も言わずにいたが、「悪魔」河村治雄の存在により椿の家名が泥沼に呑み込まれる屈辱に耐えられぬと自殺した。
- 沈黙を守って命を絶ったが、ゲーテの小説『ウィルヘルム・マイステルの修業時代』[注 9]と「屋敷の中の誰とも結婚してはならない」という言葉とフルート曲「悪魔が来りて笛を吹く」、玉虫家の別荘跡に残された石燈籠に青鉛筆の文字で「悪魔ここに誕生す」と記す等々で治雄の存在を示した。
- 椿秌子(つばき あきこ)
- 英輔の妻、40歳。大きな娘を持っているとは思えないほど若く見える、市松人形のような美しい女性。兄との性交渉による影響で絶えず性交渉をせねば満足できない身体となり、未だに悲劇を繰り返す元となる愚挙により治雄に深く憎悪され、毒殺された。
- お種(おたね)
- 椿家の女中。
- 信乃(しの)
- 秌子の乳母、芸術的な醜さの老婆。
- 目賀重亮(めが じゅうすけ)
- 秌子の主治医。52 - 3歳。平家蟹のような顔で脂ぎった精力的人物。ひどいがに股。蟇仙人(がませんにん)と呼ばれ、財産に対する欲が薄いことと強壮な肉体とを見込まれて、秌子とは英輔の自殺より1週間後に玉虫公丸の媒酌により内祝言を挙げていた。
新宮家[編集]
- 新宮利彦(しんぐう としひこ)
- 秌子の兄、元子爵。背のひょろ高い、神経質で人見知りする陰弁慶。
- 新宮華子(しんぐう はなこ)
- 利彦の妻。落ち着いた中年婦人だが、人生にうみ疲れた雰囲気を持つ。
- 新宮一彦(しんぐう かずひこ)
- 利彦の息子、美禰子の従兄。やや暗い影があるものの、父親に似ず上品な青年。父と叔母・秌子の呪われた関係、そのために悪魔と化した異母兄・治雄の悲劇に心を痛めた。
玉虫家[編集]
- 玉虫公丸(たまむし きみまる)
- 秌子・利彦の伯父。元伯爵で元貴族院議員。
- 菊江(きくえ)
- 公丸の小間使いで、妾。23 - 4歳位[注 10]でスタイルのいい美しい女性。普段の言動に似つかわしくない古風な価値観を有しており、秌子と目賀の内祝言と2人を軽蔑している。
河村家[編集]
- 河村辰五郎(かわむら たつごろう)
- 植木職人で通称「植辰」。治雄の出自をネタに玉虫公丸を脅迫して得た金で遊び暮らした。植木屋の株を「植松」に譲って板宿(いたやど[注 11])に移ったが、空襲のさ中、酔っ払って褌1つで家の外に飛び出して直撃弾により死亡した。
- おたま
- 河村辰五郎の最後の妾。出川が探し当てたときには、大阪天王寺区の下等な売春宿で売春および売春の斡旋を行っていた。
- 堀井駒子(ほりい こまこ)
- 辰五郎の娘で通称「おこま」、旧姓は「河村」。秌子との関係を知られた新宮利彦により犯され、小夜子を妊娠・出産する羽目に陥り、父の弟子・堀井源助の元に嫁がされた。その後、出家して尼・妙海になった。東太郎の命を受けた飯尾により殺害された。
- 河村治雄(かわむら はるお)
- 大正13年6月に誕生。戸籍上は辰五郎とその妻・はるの実子となっている。椿英輔に左肩の痣を証拠に名乗り出て「三島東太郎」と命名され、椿家の書生になった。
- 堀井小夜子(ほりい さよこ)[注 12]
- 駒子が新宮利彦に犯されて産んだ娘。恋仲だった治雄が出征している間に、その治雄が異母兄であるという呪われた事実を母親に教えられ、妊娠4か月の治雄の子供を宿したまま自殺した。位牌に記されている戒名は「慈雲妙性大姉」。
三島家[編集]
- 三島省吾(みしま しょうご)
- 本物の三島東太郎の父親。椿英輔の旧友。1942年(昭和17年)頃、岡山県立第×中学の教頭を務めたことがあった。1943年(昭和18年)、脳出血により死亡。
- 三島勝子(みしま かつこ)
- 三島省吾の妻。本物の東太郎の母親。1944年(昭和19年)、岡山市大空襲の際に死亡。
その他[編集]
- 飯尾豊三郎(いいお とよさぶろう)
- 「天銀堂事件」の最有力容疑者と目されていたが、実際に犯人その人だった。治雄により弱味を握られて共犯となったが、用済みになり惨殺されて芝の増上寺の境内で猿股のみの遺体が発見された。
- 慈道(じどう)
- 妙海尼(おこま)を山の中腹にある尼寺に住まわせるよう世話をした、隣村の法乗寺の住職。
映画[編集]
1954年版[編集]
『悪魔が来りて笛を吹く』は1954年4月27日に公開された。東映、監督は松田定次、主演は片岡千恵蔵。
1979年版[編集]
| 悪魔が来りて笛を吹く | |
|---|---|
| 監督 | 斎藤光正 |
| 脚本 | 野上龍雄 |
| 原作 | 横溝正史 |
| 製作 |
角川春樹 橋本新一(プロデューサー) |
| 出演者 |
西田敏行 宮内淳 斉藤とも子 二木てるみ 夏八木勲 鰐淵晴子 仲谷昇 |
| 音楽 |
山本邦山 今井裕 |
| 主題歌 | 榎本るみ「旅行く者よ」 |
| 撮影 | 伊佐山巌 |
| 編集 | 田中修 |
| 製作会社 | 東映東京 |
| 配給 | 東映 |
| 公開 |
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| 上映時間 | 136分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 日本語 |
| 配給収入 | 7億3000万円[6] |
『悪魔が来りて笛を吹く』は1979年1月20日に公開された。製作・配給、東映。監督は斎藤光正、音楽は山本邦山・今井裕。主演は西田敏行。
- 原作との相違
- お種は小夜子と同一人物であり、東太郎(治雄)との複数犯行である。
- 東太郎の指が欠損しているという設定は無く、したがってフルートの運指に関するトリックも無い。
- 東太郎とお種は椿家でも兄妹と認識されている。
- 三島東太郎という偽名の由来は不詳だが、戦争中に英輔の当番兵だった人物(故人)の息子ということになっている。
- 原作とは逆に、治雄は利彦と妙海尼(俗名は駒子ではなく妙子)の子であり、小夜子が利彦と秌子の子供である。
- 治雄と小夜子は互いに異母兄妹であると知らされても別れることができず、小夜子はお腹に子供を宿したまま手首を切って自殺しようとした。治雄が自殺を止めるが、苦しみとショックのあまり彼女は流産した。
- 妙海尼の死因は、息子・治雄の犯行を知っての首つり自殺に変更された。原作で妙海尼を殺害する飯尾は神戸や淡路島に現れない。
- 秌子は鎌倉の別荘で治雄と小夜子の怒りと憎悪をぶつけられ、窓から飛び降りて自殺した。
- 砂浜で服毒による心中を図り、先に息絶えた小夜子の後を追うように虫の息の治雄の心情を慮り、金田一は妙海尼の自殺の事実を伏せて淡路島の母親は元気だと嘘をついて安心させた。
- 製作
角川春樹のプロデューサーとしての手腕を見込んだ岡田茂東映社長の要請で[7][8][9]、角川は本作で初めて独立プロ(角川映画)のプロデューサーを離れ、メジャー内部に単独で乗り込みプロデュースを行った[7][9][10][注 13]。本作は全額東映の出資の東映映画で、角川は東映の雇われプロデューサーとしての申し入れを「これまでの恩返しにもなる」と承諾した[7]。依頼された時点では何をやるか全く決まっていなかったが、角川は岡田に損をさせてはいけないと慎重に企画を練り、"金田一シリーズ"は二番煎じとなるが、興行的な安全パイを考えると横溝作品は外せないし、西田敏行サイドから是非、映画に出たいという強いオファーがあり、西田に会ってみて、こういう金田一耕助像もありかなと思い、本作品を選んだ[7]。監督は毎日放送製作の「テレビドラマ版・獄門島」(1977年)の視聴率がよかった斎藤光正を起用した[7]。
- キャスト
-
- 金田一耕助 - 西田敏行
- 等々力(警部) - 夏八木勲
- 風間俊六 - 梅宮辰夫
- 椿美禰子 - 斉藤とも子
- 椿英輔 - 仲谷昇
- 椿秌子 - 鰐淵晴子
- 三島東太郎(河村治雄) - 宮内淳
- お信乃 - 原知佐子
- お種(小夜子) - 二木てるみ
- 目賀重亮 - 山本麟一
- 新宮利彦 - 石濱朗
- 新宮華子 - 村松英子
- 玉虫公丸 - 小沢栄太郎
- 菊江 - 池波志乃
- 風間敏江 - 浜木綿子(特別出演)
- 妙子(妙海) - 北林早苗
- 千代 - 中村玉緒(特別出演)
- 慈道 - 加藤嘉
- お玉 - 京唄子
- 作造 - 中村雅俊
- 沢村(刑事) - 三谷昇
- 山下(刑事) - 藤巻潤
- 電報局局員 - 秋野太作
- 雑炊屋 - 横溝正史
- 植松 - 角川春樹
ラジオドラマ[編集]
1975年8月11日(月)より23日(土)までNHKラジオ第1放送で17日(日)をのぞく毎晩15分ずつ放送。全12回。
原作に忠実な展開。玉虫の密室殺人の謎解きも、金田一の説明以外に、三島の回想をドラマ化して丁寧に説明している。
一方、椿秌子と新宮利彦の関係は従兄妹に変更され、三島と異母妹のエピソードは全面的にカット。妙海尼は単に椿家の事情に詳しい人物として金田一と等々力警部の訪問を受けるが、真相を話そうとした瞬間、ひそかに盛られた毒によって「悪魔…」と叫びふたりの目の前で息絶える。
放送開始に先立ってNHKテレビでは、日曜日に放映していたPR番組『スタジオからこんにちは』でこの作品を特集し、主演の宍戸錠が語り手の中西龍らと共にドラマの収録をスタジオで再現[注 14]。ミステリー評論家の中島河太郎もゲストで招かれ、横溝正史の魅力について語った。
また、毎回ではないが、ドラマの最後で出演者のトークコーナーがあった[注 15]。
- キャスト
テレビドラマ[編集]
1977年版[編集]
『横溝正史シリーズI・悪魔が来りて笛を吹く』は、TBS系列で1977年6月25日から7月23日まで毎週土曜日22時 - 22時55分に放送された。全5回。
原作から次の変更がある。
- 秌子は三島の背中の火炎太鼓の痣に気付いて取り乱し自室に寝かされたあと、起き出して三島の告白の冒頭部分をドア越しに聞いて真相を悟り、自殺する。原作とは異なり、秌子は兄に自由にされる我が身を恥じていた。三島は、母・秌子に自身の存在を知って欲しいのと母と呼びたかったという慕情ゆえ、敢えて痣を見せたという設定になっている。
- 新宮利彦殺害の数日後、早朝の散歩をしていた目賀博士が絞殺されて池に投げ込まれる。これは、飯尾豊三郎を殺害した三島が手袋に付いた血を洗い落としているところを目撃したためであった。
- 玉虫殺害の経緯説明が、換気窓(欄間)を通して絞殺したということを除いて省略されている。玉虫が自ら密室状況を作った後に絞殺されたことを示す諸状況は原作の通りであるが、そのことは全く説明されない。その一方で、金田一が初期に指摘した、紐を使って外から施錠することによって密室になった可能性が具体的に実演され、その実現性は直後にも終盤にも全く否定されない。
- 三島の指が欠損していることが序盤の砂占いや温室の場面で提示強調されるが、後半で原作のようにタイプライタ使用可能性や三島の正体解明に絡んで再度強調されることは無く、最後に三島のフルート演奏で運指のトリックが明らかになる場面が唐突な印象を与える結果になっている。
- 椿子爵の名前の読みは「ひですけ」から「えいすけ」に変更されている。
- 原作では明らかでない信乃の名字が、利彦殺害時の偽電報の宛先で「飯島」となっている。
- 小夜子の死因は服毒自殺から海への投身自殺に変更されている。
なお、英輔の遺したフルート曲が「右手の中指と薬指が無くても演奏できる」という設定は維持されているが、実際に演奏されている楽曲はこの設定条件を満たしていない。その結果、演奏している俳優の指の動きは楽曲に合致していない。特に、冒頭で生前の英輔が演奏する場面では、楽曲に合致しないのみならず、右手の中指と薬指を使わないという条件も満たしていない。
オールスターキャストのため、クレジットでは、本来一枚看板でおかしくない早川保・観世栄夫・岩崎加根子・中山麻里・加藤嘉が二人ないし三人並記となっている(岩崎加根子・中山麻里は、最終回のみ一枚看板)。
毎日放送製作。
- キャスト
1992年版[編集]
『名探偵・金田一耕助シリーズ・悪魔が来りて笛を吹く』は、TBS系列で1992年4月9日の木曜日21時 - 22時54分に放送された。
原作から次の変更がある。
- 東太郎は使用人ではなく家族として「椿」姓を名乗っており、当初から美禰子の兄と認識されている。指の欠損は9歳のときに野犬に襲われた結果で、欠けている指は右手の「小指と薬指」[注 17]に変更されている。
- 東太郎自身が知らずに近親相姦してしまった設定は無く、関連する人物は登場せず、淡路島も舞台とはならない。東太郎は5歳までを須磨の玉虫家別荘で乳母・お松と2人で過ごしている。お松は神戸の新天地(新開地がモデルと思われる)でバー(出川刑事によると「怪しげな呑み屋」)を経営しており、金田一・出川・美禰子が訪問する直前に飯尾が殺害した。このとき美禰子は飯尾が「英輔に似た別人」であることを確信する。
- 東太郎は戸籍上の父・英輔を慕っており、犯行動機は英輔のための復讐である。英輔が「悪魔」と呼んだのは主に利彦のことであり、東太郎は「悪魔の子」に過ぎない。英輔を天銀堂事件の犯人として密告したのも利彦である。
- 飯尾によるフルート演奏は、実際には物陰で東太郎が演奏していた。
- 美禰子もフルートが吹けるという設定であり、英輔の遺した曲が東太郎にも演奏可能であることに金田一より早く気付くが、そのことを金田一に告白できずにいた。
- キャスト
1996年版[編集]
『横溝正史シリーズ・悪魔が来りて笛を吹く』は、フジテレビ系列の2時間ドラマ「金曜エンタテイメント」(毎週金曜日21時 - 22時52分)で1996年10月25日に放送された。
原作から次の変更がある。
- 椿家(子爵ではなく伯爵)は岡山県の農村の旧家であり、悪魔の紋章は砂占いではなく庭の仕掛け花火で示される。
- 利彦と秌子は兄妹ではなく従兄妹、公丸は利彦の父親であり「玉虫伯爵」ではなく「新宮子爵」である。目賀・一彦・信乃は登場しない。
- 東太郎自身が近親相姦してしまった過去は無く、おこまは養母として登場するが、小夜子は登場しない。東太郎は秌子を苦しめるために異父妹・美禰子と通じようと企んでおり、美禰子も東太郎に恋心を抱いている。悪魔の紋章を負っているのは利彦ではなく秌子である。
- 天銀堂事件(神戸で発生)は公丸と利彦が英輔に汚名を着せたうえ殺害するために仕組んだものである。利彦は東太郎の目的を知った秌子が家名を守るために殺害する。
- 運指のトリックは、磯川警部の姪・八千代が楽曲を聞き取りで楽譜化することによって気付く。
なお、原作設定通りの運指になっているフルート曲を実際に演奏した映像作品は、本作が最初である。
- キャスト
2007年版[編集]
『金田一耕助シリーズ・悪魔が来りて笛を吹く』は、フジテレビ系列の2時間ドラマ「金曜プレステージ」(毎週金曜日21時 - 22時52分)で2007年1月5日に放送された。視聴率14.4パーセント。
原作から次の変更がある。
- 利彦と秌子との性描写のシーンは描かれていない(事実の説明はある)。秌子は殺されず、金田一に正体と真相を暴かれた治雄から「生き恥を晒して下さい」と言われた。
- 玉虫公丸は利彦と秌子の父親になっており、利彦や一彦の名字は「新宮」ではなく「玉虫」である。華子と信乃は登場しない。
- 玉虫殺害は密室状況ではなく、単純に雷神像で撲殺されている。
- 金田一・橘・美禰子は淡路島での初日には駒子(妙海)に面会できたが、途中で駒子が興奮して中断し、翌日に続きを聞こうとしたところ殺害されていた。その結果、原作で慈道から得た程度の情報を駒子自身から得ている(慈道は登場しない)。
- キャスト
2018年版[編集]
『スーパープレミアム・悪魔が来りて笛を吹く』は、NHK BSプレミアムで2018年7月28日21時 - 22時59分に放送された[12]。
原作から次の変更がある。
- お種と信乃は登場せず、東太郎と菊江が使用人としての実務を全て負っている。
- 原作とは逆に秌子が利彦の姉であり、近親相姦も積極的に主導していた。
- 新宮殺害現場は防空壕である。殺害された夜にレコードが再生されるが、死体発見経緯との関連が明らかになる場面は無い。
- 東太郎(治雄)が自分の出生の秘密を金田一が解明するまで知らなかったという設定に変更されており[注 19]、それに連動して、秌子は東太郎による刺殺、東太郎は等々力警部による射殺に変更されている。
- 東太郎がフルートを吹くことは無く、金田一は事件終結後に一彦が演奏するのを見て運指のトリックに気付く。
- キャスト
※エンディングクレジット順
- 金田一耕助 - 吉岡秀隆
- 椿美禰子 - 志田未来[13]
- 三島東太郎 - 中村蒼[13]
- 玉虫公丸 - 中村育二[13]
- 椿英輔 - 益岡徹[13]
- 目賀重亮 - 山西惇[13]
- 新宮利彦 - 村上淳[13]
- 新宮華子 - 篠原ゆき子[13]
- 新宮一彦 - 中島広稀[13]
- 沢村刑事 - 市川知宏[13]
- 堀井小夜子 - 小林涼子[13]
- 堀井駒子 - 黒沢あすか[13]
- おすみ - 橋本マナミ[13]
- おかみ - 山村紅葉[13]
- 菊江 - 倉科カナ[13]
- 等々力警部 - 池田成志[13]
- 河村辰五郎 ‐ 白井哲也
- 駒子(回想) ‐ 見里瑞穂
- 植松 ‐ 山西規喜
- 近所の人A ‐ 宮川サキ
- 近所の人B ‐ 岡崎美和子
- 磯川警部(声のみ) ‐ 小市慢太郎
- 椿秌子 - 筒井真理子[13]
- 慈道 - 火野正平[13]
- せつ子 - 倍賞美津子[13]
- スタッフ
- ※「音楽」全般の担当者クレジットは無い。
舞台[編集]
- 劇団ヘロヘロQカムパニー 悪魔が来りて笛を吹く (2010年8月8日 - 8月14日、 前進座劇場)
- ほぼ原作通りに舞台化されているが、タイプライターのトリック、ウィルヘルム・マイステルで金田一がヒントを得た件(くだり)は存在しない。
- ラストに一彦が「悪魔が来りて笛を吹く」を演奏するオリジナルの展開を見せる。
- キャスト
-
- 金田一耕助 - 関智一
- Y先生 - 中博史
- 椿美禰子 - 沢城みゆき
- 椿英輔 / 飯尾豊三郎 - 井上和彦
- 椿秌子 - 三石琴乃
- 三島東太郎 - 小西克幸
- お種 - 杉崎聡美
- 目賀重亮 - 楠見尚己
- 新宮利彦 - 世田壱恵
- 新宮華子 - 那珂村タカコ
- 新宮一彦 - 大谷秀一郎
- 玉虫公丸 - 近藤浩徳
- 菊江 - 長沢美樹
- 信乃 - 橋本亜紀
- 三春園女将 - 林智子
- おすみ - 松本和子
- 慈道 - 藤田けん
- 植松 - 松浦俊秀
- 松月の女中 - 沼田梨沙
- 河村小夜子 - 藤井京子
- 河村 駒子 - 盛田瑞恵(娘時代:安藤彩絵)
- 出川(刑事) - 永松寛隆
- 沢村(刑事) - 宇藤秀和
- 山田(巡査部長) - 上田伸哉
- 等々力(警部) - 辻親八
漫画[編集]
女性漫画家JETによりコミカライズされて『名探偵・金田一耕助シリーズ 悪魔が来りて笛を吹く』として「ミステリーDX」(角川書店)に掲載後、あすかコミックスDXよりコミックスが刊行された[注 20]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ このときは受賞作なしであった[1]。
- ^ 正確には、田中潤司が選んだベスト5(1. 『獄門島』、 2. 『本陣殺人事件』、 3. 『犬神家の一族』、 4. 『悪魔の手毬唄』、 5. 『八つ墓村』)を「妥当なもの」とした上で、次にくるものとして本作を挙げている[2]。
- ^ おそらく高木正得元子爵の自殺事件(1948年7月8日失踪、11月1日遺体発見)と思われる。
- ^ 植村泰二。元ピー・シー・エル映画製作所社長。
- ^ 植村泰一は、その後東京芸術大学に進んでNHK交響楽団在籍のプロ奏者として活躍。1979年の本作映画化の際には招かれて山本邦山作曲のオリジナル主題曲を演奏している。
- ^ 実際のフルートの構造から考えて「左手」の誤りである。単行本においても、訂正した結果が「右手」である。即ち、横溝によるこの解説自体が左右を取り違えている。
- ^ 「秌」は火偏に禾(のぎ)、すなわち「秋」の偏と旁を逆に配置した異体字であり、一部の日本語環境では表示できない。
- ^ 総体的に警察が密告を奨励しているような体質で、等々力自身も同様である。
- ^ 作品中、実の兄妹がそうとは知らずに愛し合って娘を儲けた結果、3人とも不幸な死を遂げる。
- ^ 美禰子が最初に金田一に家族構成を説明した際に年齢を「23、4」と言っている。等々力警部の聴取に対して、16歳で「一人前の女にしていただ」いて足掛け9年と答えているので、このことから算出すると24歳ということになる(本作品では年齢が数え年であると冒頭に明記されているので、「足掛け年数」から1を減じて単純に加算すれば良い)。
- ^ 本作品の初期の版では「いたじゅく」とルビが振られていた。角川文庫の古い版では「いたじゅく」と「いたやど」が混在しているが、1996年(平成8年)9月25日の改版でルビが大量に補われた際に「いたやど」に統一された。
- ^ 作中では「お小夜」「小夜」「小夜子」が混在しており、どれが「本名」であるかは決定不能である。傾向として会話では「お小夜」、地の文では「小夜子」が多いが、例外も少なくなく、作者には厳密に使い分ける意思が無かった可能性が高い。なお「小夜」は、現行版では出川刑事の報告書3通のうち1通目の内容を述べる地の文に「小夜子」と混在して現れるのみである。初期の版では駒子が持っていた位牌に記載されていた俗名を慈道が読み上げた科白が「小夜」であったが、作者の没後、1996年(平成8年)9月25日の角川文庫本改版の際に出版社の判断で「小夜子」に改められた。これは多数に揃えるという趣旨の改変と推定できる。なお、2007年(平成19年)4月1日に出版芸術社より出版された自選集では、位牌についての記述は「小夜」のままである。以上のような状況を踏まえたうえで、会話部分以外の圧倒的多数が「小夜子」であり、特に作品世界中の文書をそのまま掲載した設定の部分に出現する唯一の事例である東太郎(治雄)の告白状(遺書)で「小夜子」に統一されていることと、映像作品や演劇作品に登場する場合には全て「小夜子」が採用されている実情に合わせると記述が簡略になることとの2つの理由で、本ページでは「小夜子」を採用する。これは便宜的な選択であり、他を否定するものではない。
- ^ 本作がヒットしたことで岡田は以降も『白昼の死角』(1979年)『魔界転生』(1981年)など、角川に東映映画のプロデューサーを要請し、角川は単独で東映映画のプロデューサーを務めた[9][8][11]。
- ^ 宍戸錠は当時、NHKテレビで放映中のアメリカドラマ『警部マクロード』で主役のマクロード警部の声を吹き替えていたことから、番組中、『警部マクロード』でマクロードの上司・クリフォード刑事部長の声を吹き替えていた加藤武が乱入し、「マクロード。こんなところで何をしている。」と叱りつける演出がなされた。
- ^ 草野大悟は、「あこがれの宍戸錠さんと共演し緊張しています」と語り、当時、テレビドラマの悪役が多かった高木均は、「わたくしムーミンパパにして悪役」と挨拶。最終回の前の回では池田秀一が、「三島東太郎役の池田秀一です。どうやら、僕が大変なことになっているようです。おたよりお待ちしています。」と語った。その回は、三島が自分の正体を明かすところで終わっていた。
- ^ 新宮華子、一彦は登場はするものの、語り手のナレーションで処理されており、俳優は演じていない。
- ^ このように変更すると、使える音が増えて作曲が極めて容易になるが、運指が不正規のものになってしまう欠陥がある。
- ^ 金田一は習慣的に「署長さん」と呼んでいるが、既に署長ではない。本作での現職は不明だが、須磨や淡路島の調査に自ら出向いている。
- ^ この変更の結果、東太郎は公丸や利彦が小夜子の死にどう関与したのか判らないまま、それを聞き出そうとさえしていないにもかかわらず、概ね原作通りの経緯で殺害したことになってしまっている。
- ^ 同じくJETが漫画化した短編「雌蛭」も一緒に収録されている。
出典[編集]
- ^ 1954年 第7回 日本推理作家協会賞 日本推理作家協会公式サイト参照。
- ^ 横溝正史 『真説 金田一耕助』 角川書店〈角川文庫〉、1979年1月5日、63-64頁。
- ^ 横溝正史 『真説 金田一耕助』 角川書店〈角川文庫〉、1979年1月5日、156-158頁。文中、「K君」とあるのは葛山二郎のことである。(谷口基、「葛山二郎」、江藤茂博; 山口直孝; 浜田知明編 『横溝正史研究 2』 戎光祥出版、2010年8月10日、300-301頁。ISBN 978-4-86403-007-6。)
- ^ 『悪魔が来りて笛を吹く』(岩谷書店)あとがき(昭和29年3月)参照。
- ^ 『歌手が来りて推理小説を語る』(『音楽の友』、1974年(昭和49年)1月、大橋国一らとの対談)参照。
- ^ 中川右介 「資料編 角川映画作品データ 1976-1993」『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』 角川マガジンズ、2014年、281頁。ISBN 4-047-31905-8。
- ^ a b c d e 角川春樹・清水節 『いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命』 角川春樹事務所、2012年、82-84頁。ISBN 978-4-7584-1295-7。
- ^ a b 『映画界のドン 岡田茂の活動屋人生』 文化通信社、2012年、109、142、249-250、352-366頁。ISBN 978-4-636-88519-4。岡田茂 『悔いなきわが映画人生:東映と、共に歩んだ50年』 財界研究所、2001年、182-183頁。ISBN 4-87932-016-1。
- ^ a b c 「岡田茂をめぐる七人の証言 角川春樹『最後の頼みの綱という心強い存在』」、『キネマ旬報』2011年7月上旬号、キネマ旬報社、 63-64頁。
- ^ 【今だから明かす あの映画のウラ舞台】角川編(上) 『人間の証明』『野生の証明』… 春樹流メディア戦略の始まり 潤沢な宣伝費で大量の新聞広告 (1/2ページ)
- ^ “角川春樹氏、思い出語る「ひとつの時代終わった」…岡田茂氏死去(archive)”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2011年5月10日). オリジナルの2011年5月28日時点によるアーカイブ。 2016年11月22日閲覧。
- ^ 吉岡秀隆さんが金田一耕助役!「悪魔が来りて笛を吹く」 NHKドラマトピックス、2018年5月14日
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 事件の鍵を握る新たなキャストを発表! スーパープレミアム「悪魔が来りて笛を吹く」 NHKオンライン、2018年6月8日
関連項目[編集]
- 帝銀事件(天銀堂事件のモデル)
- 金田一京助 - 第25章「アクセントの問題」で言及されている「ぼくと同姓の言語学者」のモデル。
- フルート
- 1979年の映画
- 聖飢魔II〜悪魔が来たりてヘヴィメタる - 聖飢魔IIの初アルバム
外部リンク[編集]
- 1979年の映画
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