香水心中

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金田一耕助 > 香水心中

香水心中』(こうすいしんじゅう)は、横溝正史の短編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。

概要と解説[編集]

本作は1958年(昭和33年)に『オール讀物』11月号にて発表された。角川文庫殺人鬼』(ISBN 978-4-04-355504-8) 、春陽文庫『蝋美人』(ISBN 978-4-394-39518-8) に収録されている。

金田一はかつて『犬神家の一族』事件や『不死蝶』事件の捜査に関係したことから信州の警察界では有名なため、本作で捜査主任の岡田警部補から恭しく迎えられている[1]

あらすじ[編集]

「香水王国」こと大手化粧品会社トキワ商会の女社長・常盤松代から軽井沢の別荘に招かれた金田一耕助は、費用は自分が出すからいっしょに避暑にいかないかと等々力警部に誘いをかけ、2人で彼女の若き側近・上原省三の迎えで軽井沢へ向かう。しかし軽井沢に着いた翌朝、依頼したかった件は思い違いであったから、このまま手を引いてほしいという松代の伝言が省三からあった。

釈然としない金田一たちは、いささか面白くない気分でホテルに滞在していたところ、千ガ滝の近くのある別荘で男女の心中死体が見つかったという噂話を耳に入れる。さらに松代の孫娘の松子から、松代が改めて依頼したいことがあるとの伝言を聞かされる。気が進まない様子の金田一だが、松子に説得されて等々力警部とともに同行することにした。依頼内容は、先ほど見つかった心中事件に関することで、男の方は松代の孫の常盤松樹だという。

金田一たちは別荘で待ち受けていた松代からキャンセルの謝罪と、等々力警部が同行していたため一家の秘事をさらすのにためらわれたとの釈明を受ける。さらに松代は、松樹は心中を装って何者かに殺されたのだ、その犯人を突き止めて欲しい、それが例え肉親であったとしても、と依頼する。

別荘では人妻の青野百合子の死体がベッドに横たわり、からは松樹の首吊り死体がぶら下がっていた。そして現場にはむせかえるような香水の匂いがした。何者かにより現場に大量の香水を振りまかれていたのだ。

登場人物[編集]

金田一耕助(きんだいち こうすけ)
私立探偵。
等々力大志 (とどろき だいし)
警視庁警部。
常盤松代(ときわ まつよ)
「トキワ商会」の女社長。数え年で70歳。
常盤松樹(ときわ まつき)
松代の長男・松太郎の遺児。数え年で26歳。少し人間が堅く、万事に細かすぎて包容力に欠ける。
常盤松彦(ときわ まつひこ)
松代の次男・松次郎の遺児。数え年で24歳。童顔のあどけなさを残すが、ふてくされた態度には太々しい野性みがある。
常盤松子(ときわ まつこ)
松代のひとり娘・松江の遺児。数え年で21歳。素直な性格。
上原省三(うえはら しょうぞう)
松代の亡き夫・竜吉の兄の孫。数え年で30歳。
小林美代子(こばやし みよこ)
上原のふたいとこ。22,3歳。妊娠している。
青野太一(あおの たいち)
ブローカー。42歳。
青野百合子(あおの ゆりこ)
青野の妻。26歳。
岡田(おかだ)
長野県警軽井沢署の警部補。本事件の捜査主任。

脚注[編集]

  1. ^ 岡田警部補は、後に『霧の山荘』でも、事件の捜査主任として再登場する。

関連項目[編集]