任天堂VS.システム
任天堂VS.システム(にんてんどうブイエスシステム)は、1984年に任天堂が開発したアーケードゲーム基板。
概要[編集]
任天堂のゲーム機「ファミリーコンピュータ」の構造を応用して開発されたものである[1]。そのため、ファミコンからの移植が容易であり、任天堂からだけでなくナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)などのサードパーティーからもゲームがリリースされた。『レッキングクルー』など、VS.システムからファミコンに移植されたゲームも多数ある。アーケードゲーム基板として、ファミリーコンピュータの本来の仕様から拡張された機能もあり、例えばキャラクターの動きに合わせた画面縦方向のスクロールが追加されたゲーム(『VS.バルーンファイト』)がある。
筐体は日本版の場合、赤いボディの対面座式(ディスプレイ2台)で、片側に2名座っての同時プレイも可能。最大同時プレイ人数は『テニス』の4名。
海外版はアップライトタイプとなっており、2台のアップライト筐体をハの字型に角度をつけたような造りとなっていた(相手スクリーンが見えないように工夫されている)。
純粋に任天堂VS筐体に搭載されるケースが殆どであったが、一部はアーケード版『ドンキーコングJR.』、『ポパイ』等の旧テーブル・アップライトに搭載できるキット、任天堂社外搭載キットも後々リリースされた。
ソフト的には海外版であってもNintendo of America等の一部表記以外はほとんど国内版と同様である。但し、日本未発売タイトルも多い。任天堂は当時、アメリカではパブリッシャーとディストリビューターを兼ねていたため、他社で開発されたアーケードゲームの発売元や販売元となることが多かったことなどから、特にサードパーティー製品の逆移植作が多く発売されていた(これらのほとんどは国内未発売である)。
1986年に任天堂が国内でのアーケードゲーム事業より撤退するが、その後しばらくはサードパーティよりゲームの供給が続いた。また海外では任天堂も1990年頃(『VS. Dr.マリオ』)まで供給を続けていた。
ナムコ製のソフトに交換する際に、交換用のボタンが供給されたため、ナムコ製のソフトが稼働している筐体では純正のボタンではなく交換されたボタンが使われていた。純正のボタンは連射などに向かないための措置と思われる。またナムコのソフトタイトルは原則、ナムコ直営店でしか稼動しておらず、人気を呼んだ同システムの中においても他のメーカーのものに比べ普及率が低い。
ファミコンのRGB出力化改造のために部品取りに使われることが多く、本来の状態のものはかなり減っているとみられる(本来の基板の大半が、並行輸入された『VS.スーパーマリオブラザーズ』として稼働していると思われる)。なお、部品取りにはマイコンピュータテレビC1の中古品や編集ファミコンも使われる。
2016年9月10日から2017年3月12日にかけて川口市のSKIPシティ内映像ミュージアムで開催された展示会「あそぶ!ゲーム展 ステージ2:ゲームセンターVSファミコン」では任天堂VS.システムの筐体が展示され、『VS.エキサイトバイク』や『VS.アイスクライマー』などを実際にプレイすることができた[2]。
2017年からは、ニンテンドースイッチ用のアーケードアーカイブスでVS.システムのゲームが順次配信されている。
2018年5月31日にゲーム周辺機器メーカーのコロンバスサークルより、本機を模した対面型アーケードスタンドがニンテンドースイッチ用に発売された。片面あたり、本体1台とジョイコン(コントローラー)2個をセットすることができ、オリジナル版と同様の雰囲気でゲームを楽しむことができる。
発売ソフト[編集]
※印のソフトは日本では発売されなかったタイトル。
任天堂[編集]
- VS.麻雀
- VS.テニス
- VS.ベースボール
- VS.サッカー
- VS.ピンボール
- VS.ゴルフ
- VS.アーバンチャンピオン
- VS.アイスクライマー
- VS.クルクルランド
- VS.レッキングクルー
- VS.エキサイトバイク
- VS.バルーンファイト
- VS.マッハライダー
- VS.バンゲリングベイ(制作:ハドソン)
- VS.ダックハント ※
- VS.ホーガンズアレイ ※
- VS.ガムシュー ※
- VS.スラローム ※
- VS.スーパーマリオブラザーズ ※
- VS.グラディウス(制作:コナミ)(ネメシスではない)※
- VS.グーニーズ(制作:コナミ)※
- VS.キャッスルヴァニア(制作:コナミ)※
- VS.ドクターマリオ ※
ナムコ(現・バンダイナムコアミューズメント)[編集]
- スーパーゼビウス ガンプの謎
- バトルシティー
- スターラスター
- バベルの塔
- ファミリーテニス
- プロ野球ファミリースタジアムシリーズ(87年版と88年版)
- ワルキューレの冒険
- スーパーチャイニーズ
- ファミリーボクシング
- カイの冒険(日本では最後のVS.システム作品)
ジャレコ[編集]
テクモ(現・コーエーテクモゲームス)[編集]
- マイティボンジャック(未発売)
コナミ(現・コナミアミューズメント)[編集]
- VS.トップガン ※
サン電子[編集]
- プラトーン ※
- スカイキッド ※
- マドゥーラの翼(未発売)
- かんしゃく玉なげカン太郎の東海道五十三次(未発売)
- ライオネックス(VS.システムオリジナル作品だが未発売)
アタリゲームズ[編集]
- テトリス ※
- R.B.I.ベースボール ※
脚注[編集]
- ^ “【任天堂「ファミコン」はこうして生まれた】第7回:業務用機の仕様を家庭用に、LSIの開発から着手(2/3)”. 日経BP. 2014年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月22日閲覧。
- ^ 編集部:早苗月 ハンバーグ食べ男 (2016年9月13日). “企画展「あそぶ!ゲーム展 ステージ2:ゲームセンターVSファミコン」が開催。アーケードとコンシューマが競いながら進歩を重ねた1980年代の雰囲気を味わえる”. 4Gamer.net 2017年6月23日閲覧。
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