昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦

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桑田佳祐 > 昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦
桑田佳祐 Act Against AIDS 2013
昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦
桑田佳祐ライブ・ビデオ
リリース
録音 2013年11月30日 - 12月1日12月3日 - 12月4日
パシフィコ横浜 国立大ホール
ジャンル 歌謡曲
グループ・サウンズ
ロック
J-POP
レーベル タイシタレーベル
ビクターエンタテインメント
SPEEDSTAR RECORDS
プロデュース 桑田佳祐
チャート最高順位
  • 週間1位(DVD総合・オリコン[1]
  • 週間1位(Blu-ray総合・オリコン)[2]
  • 2014年度年間23位(DVD音楽・オリコン)[3]
桑田佳祐 映像作品 年表
桑田佳祐 LIVE TOUR & DOCUMENT FILM 「I LOVE YOU -now & forever-」完全盤
2013年
昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦
(2014年)
THE ROOTS 〜偉大なる歌謡曲に感謝〜
2016年
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桑田佳祐 Act Against AIDS 2013 昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』(くわたけいすけ アクト・アゲインスト・エイズ にせんじゅうさん しょうわはちじゅうはちねんど! だいにかいひとりこうはくうたがっせん)は、桑田佳祐のライブ・ビデオ。2014年3月12日DVDBlu-rayで発売。発売元はタイシタレーベル / ビクターエンタテインメント(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)/ SPEEDSTAR RECORDS

背景[編集]

2013年11月30日から12月4日パシフィコ横浜・国立大ホールにて、「Act Against AIDS」(AAA)の一環として行った同名ライブイベントを収録した作品。前回の2008年に行われた「ひとり紅白」の公演数を1日増やして4公演にしたのだが、チケットは秒殺で完売してしまい、報道やメディアなどで公演の一部が放送されたり、12月8日にWOWOWで放送されると[4]、当日会場に行くことができなかったファンから、映像化を求める声が殺到した。しかし、桑田やスタッフは当初商品化は考えていなかった[5][注 1]

リリース[編集]

毎回何らかのテーマを設けて選曲が行われる桑田のAAAだが、今回は「ひとり紅白歌合戦」と称し、昭和20年代の昭和歌謡曲懐メロ)から平成のJ-POPまでさまざまなヒット曲を桑田がカバーする作品であるため、楽曲の一部には管理楽曲洋楽が含まれていた。ソフト化が難航されると思われたが、権利元と交渉の上、映像化された[5]

プロモーション[編集]

発売当日の朝日新聞の番組欄の右端の部分にこの作品の広告が掲載された[8]

なお、ライブ・DVD・Blu-rayにおいての収益金の一部は、AAA事務局を通じ、さまざまなエイズ啓発活動に使用される。

ライブ[編集]

スケジュール[編集]

エピソード[編集]

このイベントが開催されるきっかけは2013年に2020年夏季オリンピックの東京での開催が決定したことであり、「1964年の東京五輪が開催された頃の日本の元気の良さを思い出し、前を向いていこうという機運がある。今回のライブにも、古き良き時代を振り返り、楽しみながら、明るい未来を目指していこうというテーマがある」ことが語られており[9]、事実、オープニングで桑田扮する甘皮静夫(元ネタは山川静夫)が五輪開催に触れ「日本も世界も平和と友好の新しい時代がやって参りますね」と発言する、「東京五輪音頭」が歌唱されるなどの一幕が存在している。なお、かねてから桑田は1982年の『NHK紅白歌合戦』や1995年に開催されたサザンの単発コンサート『ホタル・カリフォルニア』などで三波春夫の物まねなどをすることはあったが、楽曲をカバーするのはこれが初めてのことだった[10]。選曲にあたり、桑田は200曲ほどの楽曲を聴いたうえでリストアップしており、自分が知らなかったいい曲もあった旨も述べている[11]

昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦』の流れを踏襲し、総合司会は桑田扮する甘皮静夫、白組司会のマッタイラサダトモ(元ネタは松平定知)、紅組司会の黒乳首徹子(元ネタは黒柳徹子)が進行を行った。マッタイラと黒乳首はマネキンであり、声はスタッフがあてていた[12]。オープニングのナレーションは前回同様クリス・ペプラーが務め、「特別審査員」として爆笑問題がVTR出演しており、「傷だらけのローラ」では、ファッションモデルローラ[注 2]のものまねで桑田と同じアミューズ所属の福田彩乃がVTR出演している。また、「チョットだけョ! 全員集合」「ドリフのズンドコ節」「ドリフのビバノン音頭」では、ドリフターズメンバーに扮し松田弘関口和之原由子野沢秀行がゲスト出演し、サザンオールスターズとしての歌唱となった。配役は桑田 - いかりや長介、松田 - 加藤茶、関口 - 高木[注 3]、原 - ブー[注 4]、野沢 - 志村けん。「なごり雪」ではバックモニターに歌詞に沿い、「男女の別れ」を描いた映像が上映されたが、最後には女性が女装した桑田に変わっていたというオチが含まれており、観客の笑いを誘っている[11]。「TOKIO」ではパラシュートを模したパラソルを背中に装着し、曲の途中でフライングを披露した[11]。「どうにもとまらない」では曲中にはたけやま裕のパーカッションソロや、「シング・シング・シング」「ストップ・イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ」のフレーズが引用されるといった大幅なアレンジが加えられた。「ボーン・ディス・ウェイ」「東京五輪音頭」では、桑田がレディー・ガガ[注 5]をもじった「ジジィ・ガガ」という滝川クリステルIOCの夏季東京五輪誘致で発した「お・も・て・な・し」に圧倒され「エロパワー」が沸き、果てには健康を取り戻したという「とある漁村」出身の90歳の老人に設定されたキャラに扮し登場した[4]。また、「東京五輪音頭」では松田・関口・原・野沢も和太鼓で演奏に参加し、和洋折衷なサウンドが展開された[11]。「アンパンマンのマーチ」「愛のさざなみ」は開催年に亡くなったやなせたかし島倉千代子への追悼として披露された[11]。「川の流れのように」では、美空ひばりを彷彿(ほうふつ)とさせる衣装をまとい、途中でスカートの裾が大きく広がり、桑田が徐々に高くせり上がるという小林幸子を思わせる演出が行われた[11]。「笑って許して」では、和田アキ子をモデルにして制作された着ぐるみ“和田アキ男”が映画『ジョーズ』のテーマに乗せて登場した[4]

中村中三代目桂春蝶(11月30日)[16]aiko(12月1日)[17]いとうあさこ(12月3日)[18]がこのライブを観に行っている。

チャート成績[編集]

2014年3月24日付のオリコンチャートで、DVD部門で初週2.0万枚、Blu-ray部門で初週1.9万枚を売り上げて、DVDおよびBDランキング総合1位に初登場した。男性ソロの音楽作品が両ランキングを同時制覇したのは史上初となった[19]

DVD部門での首位は『桑田さんのお仕事 07/08 〜魅惑のAVマリアージュ〜』以来6年ぶり通算2作目の首位となり、Blu-ray部門では初週間1位を獲得した[19]

収録曲[編集]

  • セットリスト出典[20]。DVD版は32.までがDisc1、33.以降がDisc2。
白組 紅組
曲順 オリジナル歌手 曲順  オリジナル歌手
紅白ベテラン対決
1 藤山一郎 東京ラプソディ 1936 2 高峰秀子 銀座カンカン娘 1949
GS・ビート歌謡対決
3 ザ・タイガース 銀河のロマンス 1968 4 中村晃子 虹色の湖 1967
5 オックス スワンの涙 1968 6 ピンキーとキラーズ 涙の季節 1969
7 パープル・シャドウズ 小さなスナック 1968 8 西田佐知子 涙のかわくまで 1967
9 ザ・テンプターズ エメラルドの伝説 1968 10 渚ゆう子 京都の恋 1970
フォークソング〜ニューミュージック対決
11 ザ・ブロードサイド・フォー 若者たち 1966 12 森山良子 この広い野原いっぱい 1967
13 はしだのりひことシューベルツ 1969 14 イルカ[注 6] なごり雪 1974
15 22才の別れ 1975 16 中島みゆき わかれうた 1977
バブルからの贈り物対決
17 尾崎豊 I LOVE YOU 1991 18 小林明子 恋におちて -Fall in love- 1985
19 井上陽水 リバーサイドホテル 1982 20 髙橋真梨子 桃色吐息 1984
21 槇原敬之 遠く遠く 1992 22 松任谷由実 春よ、来い 1994
昭和歌謡大ヒットメドレー
23 ザ・キング・トーンズ グッド・ナイト・ベイビー 1968 24 伊東ゆかり 小指の想い出 1967
25 西郷輝彦 星のフラメンコ 1966 26 青い三角定規 太陽がくれた季節 1972
27 西城秀樹 傷だらけのローラ 1974 28 由紀さおり 手紙 1970
29 森進一 港町ブルース 1969 30 奥村チヨ 恋の奴隷 1969
31 布施明 シクラメンのかほり 1975 32 あべ静江 みずいろの手紙 1973
33 内山田洋とクール・ファイブ
桑田佳祐[注 7]
東京砂漠
おいしい秘密
1976
2013
34 都はるみ 北の宿から 1975
35 坂本九 見上げてごらん夜の星を 1963 36 ちあきなおみ 喝采 1972
時空を超えた異色対決
37 ザ・ドリフターズ チョットだけヨ!全員集合
ドリフのズンドコ節
ドリフのビバノン音頭
1973
1969
1973
38 平原綾香 Jupiter 2003
やっぱり現役も負けてられないよね!!コーナー
41 奥田民生 イージュー★ライダー 1996 39 aiko[注 8] カブトムシ 1999
42 斉藤和義 やさしくなりたい 2011 40 いきものがかり ありがとう 2010
TOKIOロックスター対決
44 沢田研二 TOKIO 1980 43 アン・ルイス 六本木心中 1984
スーパー・アイドル対決
46 郷ひろみ 男の子女の子 1972 45 小泉今日子 なんてったってアイドル 1985
R15指定! 愛と欲望の守護神対決
48 レディー・ガガ
三波春夫[注 9]
ボーン・ディス・ウェイ
東京五輪音頭
2011
1964
47 山本リンダ どうにもとまらない 1972
アンコール
49 佐野元春 SOMEDAY 1981 50 Le Couple ひだまりの詩 1997
51 ドリーミング アンパンマンのマーチ 1988 52 島倉千代子 愛のさざなみ 1968
53 北島三郎 帰ろかな 1965 54 美空ひばり 川の流れのように 1989
特別枠大トリ・「男と女の枠を超えた本当のひとり紅白」
和田アキ子[注 10]笑って許して」(1970)[注 11]

参加ミュージシャン[編集]

  • 桑田佳祐:Vocal,Guitar
  • 斎藤誠:Guitar,Chorus
  • 中重雄:Guitar
  • 角田俊介:Bass
  • 河村“カースケ”智康:Drums
  • はたけやま裕:Percussion
  • 片山敦夫:Keyboards
  • 深町栄:Keyboards
  • 山本拓夫:Sax & Flute
  • 吉田治:Sax
  • 鍬田修一:Sax
  • 佐々木はるか:Sax
  • 西村浩二:Trumpet
  • 菅坡雅彦:Trumpet
  • 横山均:Trumpet
  • 村田陽一:Trombone
  • 広原正典:Trombone
  • 東條あづさ:Trombone
  • 朝里勝久:Bass Trombone
  • CHICA:Violin
  • 笠原あやの:Cello
  • TIGER:Chorus
  • 田中雪子:Chorus
  • 佐藤嘉風:Chorus
  • 角谷仁宣:Synth & Programming
  • EBATO:Choreographer
  • AAA“ひとり紅白DANCERS”:Dancer

映像関連[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ちなみに、ライブ中にも上映されたVTR内で桑田扮する甘皮静夫が「中西 なんでもDVDで売っちゃうんじゃないよ! ライブやる度に!」と述べ、会場にいたファンの笑いを誘う一幕があった。「中西」とはサザンのマネージャーとタイシタレーベルミュージックの代表取締役社長を兼任している中西正樹の事である[6][7]
  2. ^ ちなみに桑田は「ミュージックステーション」2012年7月13日放送分でローラ本人と共演した経験がある[13]
  3. ^ 関口は高木ブーウクレレ仲間として交流があり、ソロ活動ではライブやイベントで共演している[14]
  4. ^ 本来なら仲本工事であるはずだが、桑田は「仲本は今日はいない」と述べている。
  5. ^ 桑田はかねてからガガのことを「素晴らしいですね。あれが売れるのは健全。親日家で日本のことを思ってくれて、インテリジェンスもあってね」と認めていた[15]
  6. ^ オリジナル歌唱はかぐや姫
  7. ^ ライブ内および映像内の字幕ではヅラ山田洋とクール・ファイブ feat. 桑田佳祐と表記されている。
  8. ^ 前述の通り2日目(2013年12月1日)にはaiko本人が観客として訪れていた事が桑田によって証言されている[17]
  9. ^ ライブ内および映像内の字幕ではジジィ・ガガと表記されている。
  10. ^ イベント終了後に桑田が和田に一連の着ぐるみ演出の意図を説明する主旨の手紙とシャンペンを送っていた事が語られている[21]
  11. ^ ライブ内および映像内の字幕では前回同様和田アキと表記されている。

出典[編集]

  1. ^ 第二回ひとり紅白歌合戦 オリコン 2016年2月5日閲覧
  2. ^ 【Blu-ray】昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦 オリコン 2016年2月5日閲覧
  3. ^ 2014年 年間音楽&映像ランキング発表 オリコン 2015年11月17日閲覧
  4. ^ a b c 桑田佳祐『ひとり紅白』で4時間・55曲大熱演 ジジイ・ガガ、和田アキ男も オリコン 2016年12月12日閲覧
  5. ^ a b 桑田佳祐『ひとり紅白』、全55曲を“完全”映像化 オリコン 2016年12月12日閲覧
  6. ^ 桑田佳祐 - 昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦(トレーラー)Youtube
  7. ^ TAISHITA Label Music:タイシタレーベルミュージック株式会社
  8. ^ 朝日新聞 2014年3月12日分 36面より。
  9. ^ 桑田佳祐 「ひとり紅白」再び!東京五輪決定で決断”. スポニチアネックス (2013年10月24日). 2014年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月10日閲覧。
  10. ^ 桑田佳祐 “ジジイ・ガガ”に変身し三波春夫さん歌う”. スポニチアネックス (2013年12月3日). 2013年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月10日閲覧。
  11. ^ a b c d e f ガガからアンパンマンまで!桑田佳祐「ひとり紅白歌合戦」 ナタリー
  12. ^ 桑田佳祐 Act Against AIDS 2013 「昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦」 特設サイト
  13. ^ 【エンタがビタミン♪】ローラが『Mステ』で生歌披露。桑田佳祐に意外な悩みを相談。 2012年7月14日 Techinsight
  14. ^ 高木ブー“ハッピー米寿”Tシャツを着て意気盛ん、目指すは「100歳のウクレレ弾き」TechinsightJapan 2021年3月10日配信 2021年4月9日閲覧
  15. ^ 規制だらけの音楽業界への挑戦 桑田佳祐「AKBの姐ちゃんとおっぴろげ」歌詞の裏事情日刊サイゾー 2011年8月10日配信 2021年10月10日閲覧。
  16. ^ 桂春蝶オフィシャルブログ 桑田佳祐ひとり紅白歌合戦 2013年11月30日ライブドアブログ
  17. ^ a b TOKYO FM桑田佳祐のやさしい夜遊び」2013年12月14日放送分より。
  18. ^ いとうあさこ @asako1970 2013年12月3日のツイート
  19. ^ a b 【オリコン】桑田佳祐、男性ソロ初のDVD&BD同時制覇 オリコン 2016年12月12日閲覧
  20. ^ サザンオールスターズ応援団会報『代官山通信』Vol.125 P06〜11,アミューズ
  21. ^ ニッポン放送アッコのいいかげんに1000回」2013年12月7日放送分より。

外部リンク[編集]