アーモンドアイ

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アーモンドアイ
Almond Eye Ouka Sho 2018(IMG1).jpg
2018年桜花賞
現役期間 2017年 - 2020年[1]
欧字表記 Almond Eye[2]
香港表記 杏目
品種 サラブレッド[2]
性別 [2][3]
毛色 鹿毛[2][3]
生誕 2015年3月10日(6歳)[2][3]
死没 (存命)
登録日 2017年6月1日
抹消日 2020年12月19日[1]
ロードカナロア[2][3]
フサイチパンドラ[2][3]
母の父 サンデーサイレンス[2][3]
生国 日本の旗 日本北海道安平町[2][3]
生産 ノーザンファーム[2][3]
馬主 (有)シルクレーシング[2][3]
調教師 国枝栄美浦[2][3]
厩務員 根岸真彦・椎本英男[4]
競走成績
タイトル 牝馬三冠(2018年)
JRA賞年度代表馬(2018年・2020年)
JRA賞最優秀3歳牝馬(2018年)
JRA賞最優秀4歳以上牝馬(2020年)
TRC世界年度代表馬(2020年)
生涯成績 15戦11勝
中央競馬)14戦10勝
ドバイ)1戦1勝
獲得賞金 19億1526万3900円[5][注 1]
(中央競馬)15億1956万3000円[2]
(ドバイ)360万USドル[9][注 2]
WBRR 2018年 124(L) [11][12]
2019年 124(I)[13][14]
2020年 124(ML)[15]
勝ち鞍
GI 桜花賞 2018年
GI 優駿牝馬 2018年
GI 秋華賞 2018年
GI ジャパンカップ 2018年・2020年
GI ドバイターフ 2019年
GI 天皇賞(秋) 2019年・2020年
GI ヴィクトリアマイル 2020年
GIII シンザン記念 2018年
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アーモンドアイ: Almond Eye: 杏目2015年3月10日 - )[2][3]とは、日本の元競走馬、繁殖牝馬。

2018年に史上5頭目の牝馬三冠を達成、ジャパンカップを芝2400mの世界レコードで勝利し年度代表馬JRA賞最優秀3歳牝馬を受賞。日本で初めて国内外の芝G1レースを9勝しており、芝G1レースの勝利数日本歴代1位。獲得賞金日本歴代1位。2015年生まれの競走馬の中で獲得賞金世界1位[16]。2020年の年度代表馬JRA賞最優秀4歳以上牝馬[17]。2020年TRC世界ランキング1位[18]

主な勝ち鞍は2018年桜花賞優駿牝馬秋華賞ジャパンカップ2019年ドバイターフ天皇賞(秋)2020年ヴィクトリアマイル天皇賞(秋)ジャパンカップ

現役時代[編集]

デビュー前[編集]

2015年3月10日北海道安平町ノーザンファームフサイチパンドラの7番仔[19]として誕生。一口馬主法人シルクレーシングより総額3,000万円(一口6万円×500口)で募集された[20]

その後はノーザンファーム早来で育成が進められた[21]。育成厩舎に移ってきた時の印象について、担当した岡厩舎長は「ガッシリとしていてパワータイプだった母とは違い、育成厩舎に移ってきた当初は華奢で、どこか頼りなさげな印象がありました」とコメントしている[21]。育成が進められるにつれ、2歳春を迎える頃には「いつしか騎乗歴の長いスタッフが乗っても、押さえるのが大変になっていました」と言われるほどの成長ぶりを見せていた[21]。入厩を間近に控える頃にはノーザンファーム天栄や入厩を予定している国枝厩舎でも評判になっていたという[21]

早来での育成終了後、予定通り美浦国枝栄厩舎に入厩した。

馬名の由来は「美人とされる顔の目の形」[3]

2歳(2017年)[編集]

デビュー戦は2017年8月6日2歳新馬新潟競馬場 芝1400m)を鞍上クリストフ・ルメールで出走[22]単勝1.3倍の圧倒的1番人気に推される[22]。中団でレースを進め最後の直線でやや外にヨレながら馬群を縫って伸びるも、先に抜け出したニシノウララを捉え切れず2馬身差の2着に敗れた[22][23]

その後10月8日、2歳未勝利東京競馬場 芝1600m 牝馬限定戦)に出走[24]。またも単勝1.2倍の1番人気に推される[24]。中団後ろあたりでレースを進め、4コーナー付近で進出し持ったまま抜け出すとほとんど追うことなく1着でゴール。2着馬コスモフェリークに3馬身半差つける圧勝で初勝利を挙げた[24]

3歳(2018年)[編集]

年明け始動戦として1月8日シンザン記念に出走[25]。ルメールの騎乗停止により、鞍上が戸崎圭太に乗り替わってのテン乗りでの出走となったが、2.9倍の1番人気に推される。レースでは最後の直線で後方から先団を一気に差し切り、粘った2着馬ツヅミモンに1馬身3/4差付け勝利、重賞初制覇を飾った[25]

牝馬三冠[編集]

4月8日牝馬三冠の1戦目、桜花賞に出走。シンザン記念から直行での出走で、実に3か月ぶりの実戦となった。また鞍上がルメールに戻っての出走となった。本競走には前年の阪神ジュベナイルフィリーズトライアル競走チューリップ賞を制しデビューから無敗の4連勝で臨んできたラッキーライラックや、その阪神JFで2着、チューリップ賞で3着に入ったリリーノーブルマウレアフェアリーステークス勝ち馬でアーモンドアイと同馬主のプリモシーンなどが集まった中、ラッキーライラックに次ぐ2番人気に推される。

レースではスタートでやや後手を踏み後方2番手で控えたが、最後の直線で外に出し、先頭で粘るラッキーライラックらをムチを入れることなく一気に差し切り優勝、GI初制覇を飾った。勝ちタイム1分33秒1はかつて国枝が管理した2010年の牝馬三冠馬アパパネのレースレコードを0.2秒更新するタイムであった。またこの勝利は、ロードカナロア産駒のGI初制覇となった。

シンザン記念勝ち馬からは牝馬三冠馬ジェンティルドンナ以来2頭目の桜花賞勝ち馬となった[注 3]

5月20日牝馬二冠を懸けて優駿牝馬に出走[26]。アーモンドアイの父・ロードカナロアは現役時代に短距離で活躍し[27]、加えて1600m以上の距離のレースに出走したことがなかったため[28]2400mという距離への不安が懸念され[27]、また桜花賞出走馬たちに加えてフローラステークスの勝ち馬サトノワルキューレなど別トライアルからの出走馬が集まったものの、1.7倍で圧倒的1番人気に推される。

レースでは、桜花賞と同じく7枠13番からの発走となったが、桜花賞とは異なりラッキーライラックを見ながら中団前あたりに位置を取る。最終コーナーで進出を開始し、ラッキーライラック鞍上の石橋脩がレース後「4コーナーでもうこんな位置にいるのか」[29]と回顧したように、早めに動いて前にいたラッキーライラックに並び掛けると最後の直線すぐでそのまま交わし、またリリーノーブルにも並ばれるが残り200m付近で抜け出し、そのままリードを広げ2着に入ったリリーノーブルに2馬身差つけて優勝[26]

2012年に達成したジェンティルドンナ以来、6年ぶり史上14頭目となる春の牝馬二冠を達成した[26][30]。勝ちタイム2分23秒8はジェンティルドンナのレースレコードに0.2秒迫るタイムであった。

当日は鞍上のルメールの39歳の誕生日であった[26]。騎乗したルメールは、「桜花賞の後に言ったね。『トリプルクラウンを考えることができる』と。秋2000mも行けそう」[27]とコメントした。また、海外への可能性について「特別な牝馬だと思います。彼女のポテンシャルはとても高いです。海外でも行けると思う」[27]と述べ、これ以後も度々「特別な馬」との表現を用いている。

10月14日、史上5頭目の牝馬三冠を懸けて秋華賞に出走[31]。過去の牝馬三冠馬はすべてローズステークスを経由していたため、オークスから直行するというローテーションが不安視されるも、前日最終オッズは1.1倍、最終的には1.3倍と圧倒的な1番人気に支持されての出走となった。また2番人気ラッキーライラックは7.3倍と大きく差を開いての1番人気であった。

レースでは、やや遅れたスタートではあったが馬群の中団に位置を取ると、最終コーナーでは外から一気に進出を開始し、最後の直線では逃げ粘るミッキーチャームを並ぶ間もなく交わし、2着の同馬に1馬身半差つけ完勝。勝ちタイムは1分58秒5、上がり3ハロンはメンバー最速の33秒6であった[32]

この勝利でジェンティルドンナ以来6年ぶりとなる史上5頭目の牝馬三冠を達成した[31]。ローズステークスを経由しない牝馬三冠は初となる。また、デビューから6戦での三冠達成は、牡牝合わせても最少のキャリアであった。

ルメールは、「素晴らしい馬です。(自身が)3冠を取ったのは世界で初めて。信じられない」「ファンタスティックホース。日本で1番強い馬」[31]。「ホッとしたよ」と述べた。国枝は、2010年のアパパネ以来2度目の牝馬三冠を達成する史上初の偉業を成し遂げた[33]。また、口取り式後に歩様が乱れた場面があったものの、国枝は「オークス後と同じで、熱中症のようなもの。脚元に問題はなかった」[32]調教助手の根岸真彦は「簡単に勝っているようにも見えるけど、この子なりにいつも一生懸命走っているんでしょうね。脚元は問題ないです」と述べた[34]

世界レコードでのジャパンカップ勝利[編集]

11月25日第38回ジャパンカップでは、大阪杯勝ち馬スワーヴリチャードや前年覇者シュヴァルグラン菊花賞キセキなど年上の牡馬を相手に最軽量の負担重量53kgでの出走。単勝オッズ1.4倍の圧倒的1番人気に推される。

前走までと打って変わり最内の1番枠から発走し、そのまま2、3番手に位置を取った。最後の直線では粘るキセキを追走し、残り200m過ぎで交わし、2着馬キセキに1馬身3/4差付け優勝[35]。勝ちタイム2分20秒6は、2005年のジャパンカップでアルカセットが記録した東京競馬場のレコードタイムのみならず、世界の2400メートルの従前の記録を更新した[36][35][37]

このジャパンカップにおける騎乗についてルメールは「リズム良く流れに乗れたので、向こう正面では大丈夫だと思った。あとはただのパッセンジャー(乗客)だったね」と話したが、国枝は「レースの時計、上がりタイムを考えたら、あの位置でなければキセキを捕らえることはできなかったと思う。まるで、はじめからこういうレースになることが分かっていたみたいだった。折り合いもついていて安心して見ていられたし、完璧な騎乗だったね」と話すなど、従来は中団や後方からの差し・追い込みを武器としていたアーモンドアイを先行させて勝利に導いた騎乗は、関係者から高い評価を受けた[38]

3歳牝馬のジャパンカップ制覇は、2012年の第32回ジャパンカップを制したジェンティルドンナ以来6年ぶり2頭目。レコードタイムについて国枝は「ロンジン[注 4]の時計は優秀だから、こんなに速いタイムになったんだろ。すごく期待していたし、たぶん大丈夫だろうと思っていたけど、その通りの結果になってホッとしたよ」とジョークを交えて喜びを語った[39]

この年は5戦無敗でGI4勝の実績が評価され、JRA賞年度代表馬、最優秀3歳牝馬共に満票で選出された。年度代表馬に満票で選出されたのは2000年テイエムオペラオー以来であり、牝馬では史上初であった[40]

2019年1月24日に発表された2018年度ロンジンワールドベストレースホースランキング(2018年1月1日~12月31日の出走馬が対象)では、124ポンドのレーティングを獲得し、同年の愛1000ギニージャック・ル・マロワ賞を完勝したアイルランドのアルファセントーリと並んで、3歳牝馬としては世界最高の評価を受けた[11]

また、今回獲得した124ポンドのレーティングは、2012年にジェンティルドンナが獲得した122ポンド[41]を2ポンド上回り、歴代の日本牝馬では最高の評価となった[42]

合田直弘は「ニューヨーク・タイムズ」紙のインタビューで、「(我々は)アーモンドアイは日本競馬史上最良の牝馬だと確信している」と述べた[40]

4歳(2019年)[編集]

ドバイ遠征[編集]

国枝は早くから、4歳の最終目標は、日本馬として史上初の凱旋門賞制覇だと明言していた[43]。そのうえで2019年の初戦は3月30日ドバイミーティングアラブ首長国連邦メイダン競馬場)になると述べていた[43]

アーモンドアイには既にオーストラリアのウィンクスやイギリスのエネイブルに匹敵するとの評判になっていた[44]。しかし本当にその評価に見合う実力があるかどうかはドバイでの結果が試金石になるとみられ、ジャパンカップと同距離のドバイシーマクラシックに出るのか、ドバイターフを選ぶのか注目が集まった[44][43]。結局、ジャパンカップ以来の休み明けでの出走になることやコーナーが1回だけのドバイターフのほうが日本での競馬に近いということでドバイターフに出ることになった[44][43]。この競走はアーモンドアイの2019年の初出走であるとともに、海外での初出走として、日本中から注目を集めることになった[43][45]。「ブラッド・ホース」誌のBob Kieckheferは、ドバイミーティングのメインレースはドバイワールドカップであるにも関わらず、「勝負はやってみなければわからないとはいうが、この日の全出走馬のうち最高の競走馬はアーモンドアイになるだろう」と述べていた[44][注 5]。イギリスのブックメーカーも揃ってアーモンドアイを本命にした[46][注 6]

ドバイターフで、開催地ドバイの地元勢ゴドルフィンの主力となるのはウートン (Wootton)であった[48]。しかし、ウートンに騎乗するウィリアム・ビュイック騎手は、2018年のジャパンカップではサトノクラウン (9着)でアーモンドアイに敗れており、「アーモンドアイは速くてスタミナもあり、ドバイミーティングの主役になるだろうね[注 7]」と述べていた[48]。ウートンを管理するチャーリー・アップルビー調教師にいたっては、アーモンドアイに勝てるかと訊かれ、「アーモンドアイより先にスタートさせてもらうとか?[注 8]」と答えるのみであった[48]

スタート後、横に広がった先行争いから徐々に隊列が固まるとクリストフ・ルメール騎手は前半はアーモンドアイをゆっくりと走らせ中団後方の外目に位置させた[45]。最終コーナーで他馬が仕掛ける中、アーモンドアイは馬なりのまま楽な手応えであっさりと先団を捉え、残り200m地点で馬上のルメールがちらりと後方を振り返ってムチを入れると、本格的にスパートを開始した。すぐに先頭に立って後続を引き離し、最後は外から脚を伸ばした同じ日本馬のヴィブロスを抑えると1馬身1/4差をつけ、1分46秒78でゴールした[45]。これによりデビュー2戦目から7連勝、そのうち直近はG1競走5連勝となった[47]。2着にヴィブロス[注 9]、さらに半馬身遅れた3着にイギリスのロードグリッターズ (Lord Glitters)[45]、4着に日本のディアドラが入り、日本調教馬の牝馬が1・2・4着を占める結果となった。

ルメールはインタビューで、「今日は今シーズンの初戦だし、今年はまだまだ先があるから余裕をもたせた競馬をしたよ」と述べた[47]。国枝は、秋の凱旋門賞挑戦を見据え、このあとは夏のヨーク競馬場インターナショナルステークス出走が選択肢にあることを示唆した[47]

凱旋門賞断念[編集]

4月17日、所属先であるシルクホースクラブは公式サイトにて、凱旋門賞への登録を見送ることを発表した[49]。理由として「ドバイ遠征における新たな環境への対応やレース後の体調などを精査した結果、凱旋門賞への挑戦は更に厳しい条件で臨むことになり、現時点において最良の選択ではないと判断した」としている[49]。国枝は、アーモンドアイの凱旋門賞登録を見送ったことについて「オークス、秋華賞、そしてドバイのレース後、熱中症みたいな症状が出て危ない状況だった。凱旋門賞については負担重量なども考慮して今回は見送ることにした」と語り、今後については「安田記念が候補にはなると思う。秋には天皇賞や、昨年勝ったジャパンカップもあるけど、今後については馬の体調などを考慮して決めることになると思う」とした[50]

安田記念[編集]

5月5日にシルクホースクラブから安田記念へ正式に出走することが発表された[51]

迎えた第69回安田記念は一昨年の朝日杯フューチュリティステークス勝ち馬で古馬になってから重賞2連勝中のダノンプレミアム[52]との二強対決が注目された他[53][54]、昨年の勝ち馬モズアスコット東京新聞杯勝ち馬インディチャンプが参戦し[54]、その中でアーモンドアイは単勝1.7倍の1番人気に支持された。しかしレースでは、スタート直後のロジクライ斜行で不利があり[55][注 10]、直線は上がり最速32秒4の末脚で追い込んだが3着に終わり、新馬戦以来の黒星でGI連勝が5でストップした[56]。国枝調教師はレース後、「スタートが全て。外枠は不利なのに、もっと不利だったよ」とコメントした[56]

天皇賞(秋)[編集]

安田記念の敗戦後、シルクホースクラブから秋は前哨戦を挟まず天皇賞(秋)から始動すると発表があった[57]

迎えた第160回天皇賞(秋)は、アーモンドアイを含む10頭のGI優勝馬が集まり[58]、アーモンドアイが単勝1.6倍の1番人気、2番人気にはサートゥルナーリア、3番人気にダノンプレミアムという人気順となった[59]。アーモンドアイは最後の直線で内から抜け出すと、2着に3馬身差をつけて優勝した[60][61]。ルメールは向正面の地点で早くも「勝てる」と思ったといい[62]、アーモンドアイを評するために何度も使ってきた“特別な馬”という表現をこの日も用い、「能力が違う。楽勝だった」と語った[62]

香港遠征(回避)[編集]

天皇賞制覇後は連覇が懸かるジャパンカップ出走や香港遠征など幾つかの選択肢があった[63]が、最終的に香港カップへ出走する事が決まった[64]。しかし、出国前日の11月29日に微熱を発症。翌日には平熱にまで戻ったが、「輸送とかでぶり返す可能性があるので、大事を取った。これだけの馬ですから」(国枝)と大事をとって香港遠征回避が決まった[65]

有馬記念[編集]

香港遠征は回避したものの、直ぐに平熱に戻ったことから12月1日には調教を再開。年末の有馬記念にはファン投票1位で選出されており、12月10日に正式に参戦を発表した[66]。出走馬はこの年の宝塚記念とコックスプレートを勝ったリスグラシューなど、11頭のG1優勝馬が名を連ねた[67]。レースは大外から抜け出したリスグラシューが2着馬に5馬身差をつけて優勝、アーモンドアイは初めての掲示板外となる9着に終わった[68]。ルメール騎手は「スタンド前で冷静さを欠いた」といい、国枝調教師は「状態は良かったが1周目の直線ファンの歓声によってスイッチが入ったままとなりガス欠になった」と敗因を分析した[69]

5歳(2020年)[編集]

ドバイターフ(中止)[編集]

2020年は連覇が懸かるドバイターフからの始動を予定、予備登録の後、招待馬として選出を受けた[70]。その後ドバイターフへの正式な参戦が決定し、放牧に出ていたアーモンドアイも2月27日に帰厩[71]、ルメールを背に国内最終追い切りが行われ[72]、予定通り3月18日に出国、19日にドバイ国際競走に招待された他のJRA所属馬と共に現地入りした[73]

しかし、同時に世界ではCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症)の感染拡大が進行、世界各国の競馬が無観客開催や中止となっており[74]、ドバイ国際競走もこのような状況を受けて、3月12日時点で無観客開催が決定していた[75]。そのためアーモンドアイの主戦であるルメールも直前の日本での騎乗をキャンセル、早めのドバイ入りを選択した[76]

しかし、さらなる感染拡大の影響で22日にドバイ国際競走の中止が決まった[77]。この決定を受けてアーモンドアイ含むJRA所属馬は順次帰国することとなり、既に現地入りしていたルメールは帰国後2週間の隔離措置が取られる事となった[78]

その後アーモンドアイらJRA所属馬は無事に帰国[79]。ルメールも検査で陰性が確認された[80]

ヴィクトリアマイル[編集]

帰国後のアーモンドアイの今後のローテーションは未定となっていたが、4月25日に所属のシルクホースクラブより引き続きルメール鞍上で、ヴィクトリアマイルへ参戦する事が発表された[81]

迎えたヴィクトリアマイルは新型コロナウイルス感染症の影響から無観客で開催された。重賞3連勝中のサウンドキアラ、前年のオークス馬ラヴズオンリーユー、連覇を狙うノームコアらが集まった中[82]、単勝1.4倍の1番人気に支持された[83]。道中は中団前目に位置を取り、直線半ばでは持ったままの楽な手応えで先頭に立つと、軽い肩ムチ程度で最後まで追われることもなく、2着サウンドキアラに4馬身差つけて勝利[84]。歴代最多タイのGI7勝目を飾った[84]

アーモンドアイは1分30秒6(上がり3ハロンは出走馬中最速の32秒9 (速度は65.6 km/h))というタイムで走っており、これは前年のノームコアが記録した1分30秒5のレコードタイムからコンマ1秒に迫る優秀な時計であった。また、良馬場発表ではあったものの、前日に雨が降った馬場であることを考えれば出色のタイムである。

生産者のノーザンファーム吉田勝己代表はレースを振り返り、「すごかったですね。感心しちゃった。世の中にこんな馬がいるのかと思いながら見ていました」と賛辞をおくると、騎乗したルメールは勝利ジョッキーインタビューで「もうこれから負けないね。アーモンドアイは特別な馬です」と語り、さらに自身が新型コロナウイルスの影響で美浦への移動が制限される中、アーモンドアイの調教に跨がった三浦皇成に感謝の言葉を述べた[85]

この勝利で国内獲得賞金が10億円を突破[84]。牝馬としてはブエナビスタジェンティルドンナウオッカに次いで史上4頭目[84]。また海外含む総獲得賞金は14億0663万3900円に達し、歴代7位となった[86]

安田記念[編集]

中2週というローテーションの中、前年3着に敗れた第70回安田記念に参戦した。

ヴィクトリアマイル同様、安田記念も新型コロナウイルス感染症の影響から無観客で開催された。本競走には前年の春秋マイルGIを制しておりディフェンディングチャンピオンのインディチャンプ、前年の香港マイルの覇者アドマイヤマーズ、同じく前年の桜花賞馬グランアレグリアなど、GI勝ち馬10頭が参戦する安田記念史上、稀に見る好メンバーが揃った一戦となった。そんな中、アーモンドアイは単勝1.3倍の支持を集め、圧倒的な一番人気となった。

前日に関東地方を襲った強い雷雨の影響で稍重馬場で行われたレースでは、ゲートの中で気持ちが高ぶった結果、タイミングが合わず1馬身ほど後手を踏んだ[87]。道中は後方の外目から前方のグランアレグリア、インディチャンプを見るようなかたちでレースを進めると、第4コーナーで鞍上のルメールが促しながらアーモンドアイを外に導き、進出を開始した。直線では末脚を伸ばし、ゴール直前で粘るインディチャンプを何とか交わしたものの、先に抜け出していたグランアレグリアとの差は縮まらず2馬身半差の2着に敗れた。

ルメールはレースを振り返り、「出遅れはうまくリカバーできた。勝ち馬を見ながらスムーズに直線を向いた。最後も脚は使っている。でも、本来の彼女ならもっといい脚を使うはず」と首をかしげ、「勝った馬が強かった。一番怖かった」と、前年末まで自身が手綱をとっていた勝ち馬を讃えた[88]。(詳細は第70回安田記念を参照)

天皇賞(秋)[編集]

前年同様、安田記念から5カ月の間隔を開けて天皇賞(秋)に出走。GI馬7頭が集結した中、単勝1.4倍の1番人気に支持された。レースでは、スタートを決めると道中は4番手の外目を追走[89]。直線では抜け出し、2着のフィエールマンに半馬身差をつけて優勝した[90][91][92]

この勝利でアーモンドアイの芝GI勝利数(海外レース含む)は「8」に達し、シンボリルドルフテイエムオペラオーディープインパクトウオッカジェンティルドンナキタサンブラックを超える日本歴代単独最多の記録となった[92]。また、2002年、03年のシンボリクリスエス以来、牝馬では初となる天皇賞(秋)連覇[90]、鞍上のルメールは2018年の秋から天皇賞5連勝を達成した[90]。さらに、海外含む総獲得賞金は16億1202万9900円となり、歴代4位[93]。JRAでの獲得賞金は歴代9位となった[90]。(レースに関する詳細は第162回天皇賞を参照。)

ジャパンカップ[編集]

11月12日、29日に行われるジャパンカップへの参戦、このレースを最後に現役を引退することが発表された[94]。既にこのレースには無敗の牝馬三冠馬デアリングタクト[95]、無敗のクラシック三冠コントレイル[96]も参戦を表明しており、実現すれば史上初の三冠馬3頭による対戦となる見通しとなっていた[94]

レースでは先述の2頭を含むGI馬8頭が出走した中、単勝2.2倍の1番人気に支持された。スタートを決めると道中は4番手を追走し、直線で抜け出して2着のコントレイルに1馬身1/4差をつけ優勝。引退レースを勝利で締めくくった。この勝利でJRAG1勝利数が8(海外含め9)となり、単独1位となった。またこの勝利により優勝賞金3億円を獲得し、通算獲得賞金が19億1526万3900円に到達[要検証]。日本における歴代の総獲得賞金ランキングでキタサンブラック(18億7684万3000円)を抜き、1位に浮上した[97]。レースの売上も前年比47.5%増の272億7433万4600円となった[98]

レース後、シルクレーシングの米本昌史社長により12月19日に中山競馬場で引退式を行うことが発表された[99]。(レースに関する詳細は第40回ジャパンカップを参照。)

12月10日には、競走馬としては初めて朝日スポーツ賞を管理する国枝栄とともに受賞した。2020年12月19日に中山競馬場で引退式が行われ、同日付でJRAの競走馬登録を抹消。引退後は北海道勇払郡安平町のノーザンファームで繁殖牝馬となる[1]

クラシック三冠馬コントレイル(44票)を抑えて、2020年度の年度代表馬に選出された(236票)[100]。同時にJRA賞最優秀4歳以上牝馬に選出された[100]

競走成績[編集]

以下の内容は、netkeiba.comの情報[101]に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上がり3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2017.08.06 新潟 2歳新馬 芝1400m(良) 17 6 12 001.30(1人) 02着 R1:24.0(34.3) -0.3 C.ルメール 54 ニシノウララ 472
0000.10.08 東京 2歳未勝利 芝1600m(良) 15 6 11 001.20(1人) 01着 R1:35.1(33.5) -0.6 C.ルメール 54 (コスモフェリーク) 466
2018.01.08 京都 シンザン記念 GIII 芝1600m(稍) 11 3 3 002.90(1人) 01着 R1:37.1(34.4) -0.3 戸崎圭太 54 (ツヅミモン) 464
0000.04.08 阪神 桜花賞 GI 芝1600m(良) 17 7 13 003.90(2人) 01着 R1:33.1(33.2) -0.3 C.ルメール 54 ラッキーライラック 462
0000.05.20 東京 優駿牝馬 GI 芝2400m(良) 17 7 13 001.70(1人) 01着 R2:23.8(33.2) -0.3 C.ルメール 55 リリーノーブル 466
0000.10.14 京都 秋華賞 GI 芝2000m(良) 17 6 11 001.30(1人) 01着 R1:58.5(33.6) -0.3 C.ルメール 55 ミッキーチャーム 480
0000.11.25 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 14 1 1 001.40(1人) 01着 R2:20.6(34.1) -0.3 C.ルメール 53 キセキ 472
2019.03.30 メイダン ドバイターフ G1 芝1800m(良) 13 7 001.20(1人) 01着 R1:46.78 -1.25 C.ルメール 55 Vivlos 計不
0000.06.02 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 16 7 14 001.70(1人) 03着 R1:30.9(32.4) -0.0 C.ルメール 56 インディチャンプ 484
0000.10.27 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 16 1 2 001.60(1人) 01着 R1:56.2(33.8) -0.5 C.ルメール 56 ダノンプレミアム 480
0000.12.22 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 16 5 9 001.50(1人) 09着 R2:32.3(36.9) -1.8 C.ルメール 55 リスグラシュー 486
2020.05.17 東京 ヴィクトリアM GI 芝1600m(良) 16 6 12 001.40(1人) 01着 R1:30.6(32.9) -0.7 C.ルメール 55 サウンドキアラ 486
0000.06.07 東京 安田記念 GI 芝1600m(稍) 14 4 5 001.30(1人) 02着 R1:32.0(33.9) -0.4 C.ルメール 56 グランアレグリア 488
0000.11.01 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 12 7 9 001.40(1人) 01着 R1:57.8(33.1) -0.1 C.ルメール 56 フィエールマン 490
0000.11.29 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 15 2 2 002.20(1人) 01着 R2:23.0(34.7) -0.2 C.ルメール 55 コントレイル 490
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す。

繁殖成績[編集]

2021年3月10日、繁殖として初年度はエピファネイアの初子を受胎したことが発表された[102]

馬名 誕生年 毛色 厩舎 馬主 戦績
1 - 2022年予定 エピファネイア

血統表[編集]

アーモンドアイ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 キングマンボ系
[§ 2]

ロードカナロア
2008 鹿毛
父の父
キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo Mr. Prospector
Miesque
*マンファス
Manfath
*ラストタイクーン
Last Tycoon
Pilot Bird
父の母
レディブラッサム
1996 鹿毛
Storm Cat Storm Bird
Terlingua
*サラトガデュー
Saratoga Dew
Cormorant
Super Luna

フサイチパンドラ
2003 栗毛
*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
母の母
*ロッタレース
Lotta Lace
1992 栗毛
Nureyev Northern Dancer
Special
Sex Appeal Buckpasser
Best in Show
母系(F-No.) Best in Show系(FN:8-f) [§ 3]
5代内の近親交配 Nureyev 5×3 Northern Dancer 5×4 [§ 4]
出典
  1. ^ [103]
  2. ^ [104]
  3. ^ [103]
  4. ^ [103][104]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 日本国内での獲得賞金とドバイの賞金を日本円に換算した場合の合計値については、情報源によりばらつきがある。「19億1202万9900円」[6]、「19億1524万8000円」[7]、「19億1526万3900円」[8]など。
  2. ^ 現地通貨ではAED13,220,712[10]
  3. ^ なおジェンティルドンナはシンザン記念と桜花賞の間にチューリップ賞に出走している。
  4. ^ スイスの時計メーカー。2014年よりジャパンカップのオフィシャルスポンサーを務めており、公式計時を行っている。
  5. ^ “The proof will be in the pudding but it's possible the best horse at Meydan on Dubai World Cup night March 30 will be Almond Eye[44]
  6. ^ イギリスでの馬券の倍率は「6対5」(2.2倍)[47]
  7. ^ “She's the star attraction of the night. She's fast. She stays.[48]
  8. ^ “Start before her?[48]
  9. ^ ヴィブロスは2017年にドバイターフを勝っており、2018年も2着だった。
  10. ^ これを受けて、ロジクライ鞍上の武豊騎手は翌週開催1日間の騎乗停止処分を受けた[55]

出典[編集]

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外部リンク[編集]