ブラック・ジャック (実写版)

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ブラック・ジャック > ブラック・ジャック (実写版)

当記事では手塚治虫の人気医療漫画『ブラック・ジャック』の、実写版について解説する。

2012年現在まで5作作られているため、当記事では作品発表年順に並べている。なお5作とも主演俳優や公開形態が異なる。

原作漫画の基本情報、および原作漫画と実写版における同じ部分、舞台劇、ラジオドラマ、朗読劇、アニメなど実写版以外のメディア化は 「ブラック・ジャック」または「Category:ブラック・ジャック」を参照。

映画(1977年・宍戸錠版)[編集]

1977年11月26日公開。制作はホリプロ系のホリ企画制作、配給は東宝。正式な題は『瞳の中の訪問者』。併映作は花の高三トリオの卒業コンサートを記録したドキュメンタリー昌子・淳子・百恵 涙の卒業式〜出発〜』。

原作漫画「春一番」の映像化だが、患者である千晶を主人公とし、BJは脇役(メインゲスト)である。手塚は原作の絵を意識し過ぎたBJ(白黒の髪、顔半分の青い皮膚)を見て「こんな人間がどこにいる!」と苦情を叫んだという[1][2]。宍戸の頬の詰め物を落とす案もあった[3]。大林は手塚から「大林さん、ヒョウタンツギは僕の恥部でもありますよ。その恥部まで出されちゃあね」と怒られたと話している[4]。『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式〜出発〜』と同時上映だったが、二週間で上映打ち切りになった[4]。すると『HOUSE ハウス』のヒットを妬んだ人たちが「ほらみろ、あれが大林の実力だ」などと言い出し、大林は「これで引き下がるわけにはいかなくなった」と述べている[4]

後述の本木版と同じくDVD化され、その際にレンタルも実施されている。

ストーリー[編集]

小森千晶はインターハイを目指してテニスの特訓を続けていた。ある日、コーチの今岡の打ったボールが左目に当たった千晶を診察した医師は、回復は絶望だと今岡に言い渡す。

密かに千晶を愛していた今岡は責任を感じ、思案の末に人里離れたブラック・ジャックの家を訪ねる。自分の目を使って欲しいという今岡の言葉に、ブラック・ジャックは手術を引き受ける。手術は成功し、キャンパスに戻った千晶を、テニスでペアを組む京子が迎えた。千晶は再びテニスを始め、昔と変わらぬ生活を送れるように思えた。

ところがある日、周りの人には見えず千晶にだけ見える幻の男が現れる。心配した今岡はブラック・ジャックのもとへ行く。千晶に移植された角膜は、実は今岡がアイ・バンクから盗んだものだった。今岡の調査で、その角膜は湖で殺された若い女性のものであったことがわかる。

一方、千晶はいつしか幻の男に恋し始めていた。ある日、街角で千晶はその男を見つけ、あとを追う。男は幻ではなく実在していたのだ。殺人容疑で逮捕される今岡、実在する幻の男。千晶をめぐる謎は深まる一方であった。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

エピソード[編集]

  • 日活のプロデューサーで、かつて大林とマンダムCMなどを作っていたホリプロの笹井英男から大林は、1974年に山口百恵初主演作『伊豆の踊子』監督の打診を受けたが断り、この年再び笹井から、「うちから片平なぎさという子をデビューさせるので、この子でブラック・チャック(笹井はよく知らなかった)、撮ってちょうだいよ」と頼まれた[4]。大林は石上三登志とのCMの仕事でカーク・ダグラスを撮りにロスへ行く準備をしていて、笹井に「またにしようよ。俺がやらなきゃ、やめるでしょう?」と言ったら笹井が「大林さんがやめるなら他の誰かでやるよ」と言われてしまったため、「手塚治虫だろう?それは俺がやらなきゃいかん」と、結局カーク・ダグラスを先延ばしにして本作をやることになった[4]。石上が俳優兼アドバイザーとして参加しているのはこのため。
  • 主演の片平と共演の志穂美悦子は、シャワーシーンの撮影に大林監督に「綺麗に撮りたいから脱いで欲しい」などと口説かれた。女優を脱がす名人といわれる大林に柔らかい物腰で口説かれ1日かけて悩み続け、遂に志穂美が折れ「なぎさちゃんが脱ぐんだったら私、脱ぎます」と言った。しかし片平が譲らず、妥協策としてブラジャーの紐をちょん切り完全ガードのソフトなシャワーシーンとなった。結局、志穂美も片平同様ソフトなシャワーシーンのみとなった。片平、志穂美ともその後も脱ぐことはなく、最大の危機だった。特に志穂美は片平に救われた。片平はその後仕事のオファーが減ったという[7]

連続ドラマ(1981年・加山雄三版)[編集]

初のテレビドラマ化作品。正式題は『加山雄三のブラック・ジャック』。制作は松竹株式会社。原作を大幅にアレンジし、普段は画廊を経営する実業家・坂東次郎(顔の傷も消してある)を名乗り、必要なときのみマントを羽織った無免許医師BJの正体を明かすという設定となっている。ピノコ以外にも多くの助手を持つなど大幅なアレンジをしているが、物語そのものは原作のエピソードを比較的忠実に映像化している。

「奇妙な関係」では、毎回BJの正体を暴こうと登場する倉持警部との関係を原作の1エピソードに織り込む形で決着づけ、事実上の最終回としてまとめあげた。

なお、宍戸版も加山版も脚本のジェームス三木が企画を持ち込んで映像化を実現した[8]

3話で横浜放送映画専門学院(現・日本映画学校)に在籍していた三池崇史が助監督として業界入りしている[9]

放映後28年にわたりソフト化はされていなかったが、2009年12月4日に初のパッケージソフトとしてDVD-BOXが発売された(後述の事情で第8話除く)[1]

1981年3月5日放送の第8話「血がとまらない」は血友病を取り扱った作品であったが、放送直後の同年3月18日に大阪・京都・兵庫の3つの血友病患者団体から「血友病の表現などに事実と反する部分があり、一般の人に偏見を抱かせ、患者が進学・就職において無用な差別を受ける恐れがある」との抗議を受けたため[10]、それ以後欠番となり、再放送やDVD-BOXへの収録はなされていない。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

原作及びアニメ版との相違点[編集]

  • 加山自身の冠タイトルが付けられている。
  • BJが普段実業家・坂東次郎という姿で仕事をし、必要なときだけマントを羽織って変身する。
  • 原作及びアニメ版に登場しないキャラクターが登場しており(ケイコ他)、ピノコ以外の多くの助手が登場している。
  • BJのライバルドクターキリコを含めた原作で登場する一部のキャラクターが登場していない。

各エピソードとゲスト[編集]

テレビ朝日系列

話数 タイトル 脚本 監督 放送日 ゲスト出演者
第1話 かりそめの愛を ジェームス三木 番匠義彰 1981年1月8日 池上季実子弓恵子宅麻伸
第2話 春一番 渡邊祐介 1981年1月15日 中条きよし五十嵐めぐみ田中真理星正人
第3話 ふたつの愛 番匠義彰 1981年1月22日 村野武範吉沢京子高岡健二
第4話 えらばれたマスク 渡邊祐介 1981年1月29日 山内明日色ともゑ坂上忍
第5話 魔王大尉 番匠義彰 1981年2月5日 ジェリー伊藤大月ウルフ森田理恵
第6話 復讐こそわが命 1981年2月12日 音無美紀子
第7話 B・J(ブラックジャック)入院す ジェームス三木
山下六合雄
山根成之 1981年2月26日 橋本功結城しのぶ
第8話 血がとまらない ジェームス三木 1981年3月5日 真行寺君枝稲葉義男川合伸旺今井健二
第9話 助けあい 番匠義彰 1981年3月12日 前田吟
第10話 灰色の館 山根成之 1981年3月19日 入川保則ジャネット八田
第11話 鬼子母神の息子 番匠義彰 1981年3月26日 松尾嘉代徳石光浩佐藤B作
第12話 奇妙な関係 山根成之 1981年4月2日 根岸季衣岩谷隆広
第13話 終電車 番匠義彰 1981年4月9日 江波杏子中野誠也北村総一朗

ビデオ(1996年・隆大介版)[編集]

BJがパソコンを使うなど現代風にアレンジされている部分はあるが、内容は極めて原作に忠実。DVD化はされていない。

スタッフ[編集]

当初より三部作として企画されたため、監督、脚本他スタッフは同じである。

キャスト[編集]

サブタイトルとゲスト[編集]

リリースは1本目が1996年4月25日で、以降一か月ごとに順次リリースされた。

  1. 『ブラック・ジャック』 出演:香川照之西田健南原宏治山口リエ梅津栄東銀之介斉木しげる伊丹幸雄大杉漣
  2. 『ブラック・ジャック2 ピノコ愛してる』 出演:藤木悠土門廣鈴木清順手塚眞馬渕晴子
  3. 『ブラック・ジャック3 ふたりの黒い医者』 出演:草刈正雄小牧かやの

単発ドラマ(2000年・本木雅弘版)[編集]

第1作は完全なオリジナルストーリー。2作目以降は路線を変更し、ある程度原作の内容を盛り込むようになった。DVD化されており、DVDレンタルもされている。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

ブラック・ジャック:本木雅弘
基本的設定は変わらず。但し原作とは異なり、顔に傷はあるが皮膚の色は左右とも同じで、自宅も海辺ではない場所にある。また、原作と比べるとピノコにノリツッコミを交わしたり、生卵をゆで卵にしようと電子レンジを使用したり、IIIエンディングでは食材の詰め込みすぎでミキサーを壊してしまうなどメカニックに弱かったり、メスで刺身をさばくなど多少コミカルな部分が強くなっている。
ピノコ中山詩央里中山紗央里
本作は双子となっている。本名は不明で二人とも「ピノコ」と名乗り、喋るときは同時に話す。先生の奥さんであると二人で自称している。しかし子供の権を利用しBJにわがままを言う時は街中で「誘拐されるー」と大声で叫ぶこともある。ノートパソコンを持っている。了解したときは「アイアイサー」と言う。BJの手術をサポートするが、1作目の患者の砕けた骨を取り出す際には震えていた。二人の意見が合わないと互いに「ブス!」と罵倒する。なお、BJが「俺が作った」と発言しているが、詳細は不明。

各エピソードとゲスト[編集]

2時間スペシャルドラマとして製作された。

カルテI[編集]

ブラック・ジャック
テレビドラマ:ブラック・ジャック
監督 堤幸彦
制作 山崎恆成
放送局 TBS
放送期間 2000年3月31日 - (単発)
話数 1話
テンプレート - ノート
臓器農場行き幽霊バス(オリジナルストーリー)
裏取引でもめて重傷を負った松崎は、恋人に連れられて奇跡が起きると噂される教会へ。そこには奇妙な双子の姉妹ピノコがいた。ピノコの手引きで、天才外科医BJに法外な治療費と引き換えに、命を救ってもらった松崎。だが松崎は警察に捕らえられてしまう。一方、松崎らの組織を追う女性刑事の礼子は、単独で捜査を敢行、謎に近づこうとしていた。そんな時、松崎がバラバラ死体で発見される。
佐山玲子(永作博美
刑事で努の母親。夫も刑事だったが殉職している。臓器密売事件を追い、麻酔で動けない諸岡を追い詰めるも諸岡の配下によってBJの目の前で銃で撃たれ、BJに「私の心臓を努に移植して」と言い残して死んでしまう、その後葬儀されたと思われる。
佐山努(三觜要介
礼子の息子。心臓移植をしないと治らない心筋症を患っている。そのため死ぬことばかりを考えているが、死んだ礼子の心臓を移植して助かったおかげで生きることを決心する。子供の割に自動車の修理が得意。
白木秀一(白竜
諸岡の手先となって臓器売買のドナーとなる人間を集める。また秘密を知った人間を闇に葬ることで彼らの臓器を横流しし、利益を得ている。松崎五郎や井上真智子はその犠牲者。諸岡に臓器横流しを知られて粛清される。死に際に諸岡の悪行をなじるなど、嬉々として殺人を犯しておきながら相手の殺害には悪辣な言葉を吐くなど、異常なまでに自分勝手な性格なのが分かる。その魂は諸岡に移植された心臓に憑依していた。
松崎五郎(吹越満
組織の運び屋。白木と共謀し、報酬を貰おうとした仲間を銃で殺すが直後に自分自身も白木に撃たれてしまう。近くの闇医者からも見放されるも恋人の啓子がBJに彼の手術を依頼したお陰で救われるが、病院にて体調は万全だったが意識が戻らないまま組織によって誘拐される形で殺されバラバラ死体で発見されてしまう。
戸山啓子(柴咲コウ
松崎の恋人。BJに松崎の手術を依頼するが、松崎が持っていた鞄の中身が実は治療額の二億円入りではなく一億五千万円だったと知り、自分の身体を売ってでも稼ぐとBJに約束した。松崎が殺された後どうなったのかは不明。
井上真智子(赤坂七恵
努の担当の看護婦。インターネットで噂になっている幽霊バスを探していると努に言われ、噂の真偽を確かめるため幽霊バスのページを開き、午前0時に幽霊バスが出るという書き込みを発見。その時間通りにその場に行って幽霊バスを目撃、後を着けるも噂の裏で暗躍する臓器売買組織の人間を見てしまったため、白木に命を狙われ逃げる途中、鉄骨の先端が胸を強打し、肋骨を折る重傷を負う。命からがら、居酒屋に逃げ込み居合わせたBJの手術で一命を取り留めたのも束の間、白木によってBJ宅から誘拐後に殺害され、バラバラ死体になり臓器を売りさばかれてしまう。BJが治療をしたのに殺されてしまう二人目の犠牲者になった。
諸岡修三(岸部一徳
表向きは大病院の院長だが、裏では臓器売買組織の主犯。BJが彼に闇の仕事の手伝いを頼んだところOKし、指定された少年の心臓を移植す るようBJに頼む。礼子の必死の捜査により裏の顔が世間に露見するも、顧客である大物政治家たちの力を借りて法の裁きを免れる。しかしBJは諸岡が指定された心臓では適合せず、代わりに諸岡本人が殺した白木の心臓を移植した。結果、心臓に憑依していた白木の魂が引き起こした心不全で死んでしまう。ちなみに本作でBJが稼いだ金は合計六億五千万円也。
猪俣課長(升毅
礼子の上司。BJを逮捕し損ねる。船の銃撃戦にもかかわらず、防具も無しでほぼ生身でぶつかっていった命知らず。
部下(甲本雅裕
少しとぼけていて、あらゆる課長や医者などにボケをかます刑事。佐山が単独捜査に見かねた際に「欲求不満ですかね・・・?課長にチャーンス♪」と発言した。諸岡病院の捜査のため、入院患者に扮した。船ではBJが放ったメスから当たって吹き出したガス漏れに苦しそうにしている課長と東北なまり部下に気づかず普通に近づいた後苦しみだして倒れた。
東北訛りな部下(前原一輝
その名のとおり、東北訛りの部下。BJが放ったメスをマトリックスのごとく背中をのけぞり、「あーらら、はんずれだ」と笑いながらかわしたが、刺さった管からガスが漏れ苦しんだ。
居酒屋ひょうたんつぎのおばちゃん(山口美也子
BJの暗躍を知る港で店をかまえているおばちゃん。なんらかの裏のつながりがある。

カルテII[編集]

ブラック・ジャックII
テレビドラマ:ブラック・ジャックII
監督 堤幸彦
制作 山崎恆成
放送局 TBS
放送期間 2000年9月29日 - (単発)
話数 1話
テンプレート - ノート
天才女医のウェディングドレス(原作:「タイムアウト」「ブラッククイーン」「BJ入院す」)
交通事故の現場に遭遇したBJは、鉄骨の下敷きになっている子どもを助けるためその場で手術を。しかし執刀中に鉄骨が再び崩れ落ち、大事な右腕に大けがを負ってしまう。天才美人女医と名高い高野綾子が現れ、BJを助けるが、怪我がひどく手の神経を一度切断しなければならなかった。
高野綾子(松雪泰子 少女時代:井端珠里
天才女医。BJとタカシを手術で助けた。資産家との結婚が決まっている。実は源三の娘。源三が彼女と母を捨てたことで母が死んだ事を憎み、源三を許さなかった。源三の手術をBJに依頼され「医者の義務としてオペする」と引き受けたものの途中で拒もうとするが、BJに源三の隠された真実を聞かされる。それは彼女が中学3年のとき腎臓の移植手術でBJが執刀し、その時に移植した腎臓は源三のものだということだった(その理由は源三が彼女のためにBJに頼んだから)。そのことを知って以降、源三を憎むのをやめる。タカシを助けたとき、原作ではBJが怪我をしていないが、ドラマではBJが負傷して彼女が手術をしたことになっている。
源三(いかりや長介
BJ邸を立てた老大工(原作では丑吾郎)。スリやギャンブルを繰り返す荒んだ生活を送っている。実は綾子の父で綾子の手術のために腎臓を提供するも、自身はその後の無理がたたって仕事が出来なくなったのが原因。綾子をカメラマンの恐喝から守るためヤクザ橋本組の金を盗むが、そのことを橋本組組長に知られてしまい、暴行を受ける。BJがカメラマンを罠にはめたことで綾子は守られたが、彼自身は腎臓癌で倒れ、オルゴールを綾子に渡してほしいとBJに頼む。その後、綾子の手術によって助かり、綾子の結婚式に姿を見せる。
町山タカシ(大高力也
事故に遭った子供。
タカシの母(横山めぐみ
カメラマン (山崎一)
源三のスリを盗撮した。その後源三を喫茶店に呼び出し、盗み撮りした写真と娘の高野の写真を見せ、雑誌への掲載をやめるのと引き換えに一千万を要求する。しかし、その受け渡しの場でBJに投げメスを突き立てられ、治療費として一千万を奪い返され「おめたち、グルだな」と絶叫する。
槍杉孝夫(板東英二
交通事故を起こした槍杉建設の社長。弁護士を刑事に見せかけて被害者の町山タカシの証言をさせ、その声を盗聴し不起訴にしていたが、BJにもう一度人間ドックで検査を受けするように言われる。BJのいうとおりにした彼は医師から癌だと聞かされるが、実はBJの罠にはまっていた。
小山田隆介(山西惇
伊吹祐一(深江卓次
綾子の母(唐木ちえみ
結婚式の司会者(鈴木史朗
源三の麻雀仲間(高橋克典

カルテIII[編集]

ブラック・ジャックIII
テレビドラマ:ブラック・ジャックIII
監督 堤幸彦
制作 山崎恆成
放送局 TBS
放送期間 2001年9月29日 - (単発)
話数 1話
テンプレート - ノート
悲劇の天才料理人(原作:「ふたりの黒い医者」「弁があった!」)
政治家の奇病を治したBJは政治家一家に超高級なフレンチレストランに招待される。BJが「味が落ちた」とレストランの天才シェフ明石に告げると、明石は腹を立ててBJを店から追い出してしまう。実は明石は脳腫瘍のため舌の感覚が落ちていた。明石の娘や愛弟子の頼みもあり、BJは非常に難しい腫瘍除去手術に挑戦する。しかしBJにつきまとう安楽死医のドクター・キリコは失敗すると断言する。
ドクター・キリコ(森本レオ
原作でもおなじみのBJのライバル。キリコが兵隊を安楽死させたのは原作ではどの戦場か明記されていないが、ドラマでは某戦争で負傷した米軍に設定された。なお安楽死の仕事になる前は原作では眼帯をしているが、ドラマではその当時は眼帯をしていない。終盤ではBJの実力を認めるも「私が上だ」と言い残しピノコとブラック・ジャックの名前を口ずさみ去っていった。
鳩中幸一郎(大林丈史
胸が空気で膨らむ病気になった政治家。危篤状態になり、やむなく体内に酸素を送られたことにより体中が膨れてしまう。先祖代々この奇病患っており、父親の遺言通りキリコに安楽死を施されそうになったが、BJに助けられる。空気が臓器から漏れ出す原因は器官の穴がゴアテックスのように気体のみを通すミクロ粒子レベルの穴であり、それに気づいたBJがドライアイスを器官に流して穴を発見。手術は成功した。
後日、その礼にBJを高級レストランに招待する。しかし当の目的は治療費代わりとし高級料理に値切ろうとするもBJが再発防止の薬と証したビタミン剤ならぬ下剤を渡され、泣く泣く治療費5億円を払う羽目になった。
鳩中カネ子(片桐はいり
明石誠一郎(蟹江敬三
高級レストラン「マフィーユ」の天才(オーナー)シェフ。BJに「味が落ちている」と指摘されるが、無視してBJを追い出す。翌日フランス首相の会食の依頼を受けて意気込んで食材を手に取った矢先、突然倒れて病院に脳腫瘍と診断される。BJに手術を依頼するが「私でも成功するとは限らない」と注意される。そこへドクター・キリコが現れ「あんたの味覚は狂ったままになってしまう」と指摘するが、それでもBJは引き受け高級業者からのハイパーレーザーメスで手術をする。途中落雷により病院が停電になったため、一時は困難を極めたが手術は成功。
その後1週間病院食ですごした後、味覚の確認の為健とみゆきの弁当を食するも、はじめは甘みと辛味と塩味と酸味が感じるようになったが、苦味を感じなくなった。退院後に厨房でソースの製作中に加納から食材を奪われ、料理が作れなくなった状況にもめげず仕込みを開始するもソースの味見をきっかけに全ての味覚を感じなくなってしまう。
「砂を噛んでいるようだ」と電話でBJに訴え、これを苦に飛び降り自殺しようとする。だが、弟子の健に受け止められ近くの茂みに落ちたので無傷だった。自殺を止めるために大怪我をした健を、BJは舌の代わりの人になると健を手術で助ける。
その間に自身の記憶と料理の勘を用いてフランス首相の会食を進めようとするが、手術と入院の影響で肝心の肉料理の甘酢ソースの匂いが解らなくなる。危機一髪のところで健が目を覚まして味付けを手伝い、娘のみゆきが待つのに苛立っていたフランス首相一行を帰るのを止めさせ、聞き入れた首相は再び待ち、味を見て「美味しい、また来てみたい」と答えた。おかげで彼の店は繁盛してその後健とみゆきと共に生活する。ちなみに彼と健の手術でBJが受け取った報酬は(BJ本人の希望により)マフィーユの料理三人前。
河合健(池内博之
明石の弟子で、彼の味覚障害を指摘して店を解雇された(一番の理由は味覚障害で作った明石のソースを心配して自分で作ったソースに入れ替えたことが逆鱗に触れたから)。明石の自殺を止めた事が原因で肋骨を折り骨が内臓を圧迫する大怪我を負うが、彼の持ってきた食材で明石を勇気付け、明石が困ったときの舌の代わりになった。その後明石とみゆきと共に生活する。
明石みゆき(須藤理彩
明石の娘。破門後に河合が新しく開いた店で働いている。フランス語を歌の本で覚え、フランス首相一行が帰るのを止める。エンディングでは子供を儲ける。母親を癌で亡くしている。
加納
明石の側近の弟子だったが、明石が脳腫瘍で倒れて味覚が無くなったのをいいことに、弟子たちをそそのかして注文した食材を横取りした。だが明石のレストランは健の持ってきた食材で難を逃れ、しまいには側近が健の一流の味覚を(皮肉で)認めた発言をしたことからBJに窮地を解決するヒントを与えてしまった。一方、彼が立ち上げた方のレストランはマフィーユが高く評価されすぎてしまい客が来なくなり、得意先の銀行も費用を工面されず経営破綻してしまう。更に食材の費用を借金したヤクザにもみくちゃにされながら連れて行かれる。
岸田生輝
画家。赤石と同じ脳腫瘍で、BJの手術を受けたが後遺症で両手を動かせなくなってしまう。それでも彼はBJのために口で描いた絵をメッセージとして描くが、後に駅のプラットホームに落ちて死んでしまう。妻は生輝死亡後の3日後に病死し、息子は自殺したと思われる父を助けるよう依頼したBJに打ち明けていた。BJは彼の息子とキリコの言葉に苦悩する。終盤、自殺といわれていたが、実際には事故死だったに違いないと明石が語った。
おじいさんとおばあさん
常に二人で仲良く手を台の上に合わせて乗せていて、河合の店の無料クリームソーダを飲みに来る客。ピノコのアッチョンブリケを真似した。
高級医療品業者
かなり金回りのいい服装をし、法外な額でハイパーレーザメスを売った方言なまりの男。BJは「これは医者のプライドの問題だ」と言い購入したが・・・。
叶姉妹
本人役で特別出演。(恐らくVIPに招待される形で)マフィーユの客として登場。きらびやかに光る彼女らを見てBJとピノコたちの瞳からも星がこぼれるというコミカルな演出がなされた。更にピノコはリンゴを使って叶姉妹のように胸を大きくするように見せたがBJに一喝され、リンゴを胸から落とした。

備考[編集]

  • BJが手術をする際、上半身は裸のまま手術服を着ていた。
  • 源三に頼まれてBJが源三の娘である高野に渡したオルゴールの彫刻の絵、道路にあるお酒の看板の絵、源三のお酒のビンの絵は同じ。
  • 魚をメスでさばいているBJの役は、実際には別人が演じている。
  • カルテIIは本木雅弘といかりや長介の競演が、最初で最後の作品である。
  • カルテIIの槍杉社長を診断した医師と、カルテIIIのシェフを診断した医師は、同じ役者(佐藤二朗)が演じている。ちなみにこの医師は病状を伝えるのはなぜか間髪を開けながら喋るのが癖。
  • BJと健が車を止めるシーンは道路交通法が改正される前。
  • BJの銀行口座は富士銀行
  • ロケに使った病院は複数。

単発ドラマ(2011年・岡田将生版)[編集]

ヤング ブラック・ジャック』という題名で2011年4月23日に日本テレビ系列で放送された。視聴率13.3%。

ブラック・ジャックがその名を名乗る前のエピソード。オリジナルストーリーで構成され、BJの生い立ちも本名といった設定も原作と異なるが、BJとピノコのイラスト、ヒョウタンツギの像やドクター・キリコの名が登場するなど、原作を思わせる要素を含んでいる。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

間時生 / ブラック・ジャック:岡田将生(幼少期:大江駿輔
24歳。名前の読みは「ときお」。幼い頃に事故で植物状態になり眠り続ける母・美都子の意識を回復させようと医者を志す大学生。不法滞在者やヤクザなど、訳ありの患者相手に無免許医療を施している。原作とはファーストネームが異なるが、医療器具受領のサインとして「間黒男」の偽名を用いる。
八坂優奈:仲里依紗
東慶大学病院理事長・陽三の娘。彼女もまた医者志望。ある出来事から時生と出会い、興味を深めていく。
辰巳勝也:賀来賢人
辰巳製薬会社の御曹司。時生は彼から医薬品を私的に調達している。
桐生直樹:小澤征悦
東慶大学病院に勤める医師。優奈とは恋人関係にあり、陽三からも将来性を期待されている。終盤では、本作以降、ドクターキリコになったことが以下のように示唆されている。「桐生直樹」の名前から「優奈」を抜き、並べ替えると「キリコ」(KIRyu naOKI - yuna = KIROKI → KIRIKO)。
八坂渚:波瑠
八坂家の次女。絵本作家を目指しており、優奈は彼女の自由奔放な生き方を羨ましく思っている。化膿レンサ球菌により臓器が壊死していくという難病を発症する。
八坂陽三:中原丈雄
八坂家当主にして東慶大学病院理事長。本間とも付き合いがある。
八坂真理子:紺野美沙子
陽三の妻。
間美都子:戸田菜穂
時生の母。15年前夫に捨てられたショックで声が出なくなり、それからほどなく爆破事件に巻き込まれ昏睡状態に陥る。現在は生命維持装置を付けた状態で人工冬眠に入っており、その姿は事故当時と全く変わらない美しさを保っている。
本間丈太郎:市村正親
事故に遭い半死半生だった時生を奇跡的な医術で命を繋ぎ止めた医師。現在でも時生を見守り続ける師的存在。
ニュース速報のアナウンサー:丸岡いずみ
タカシ:石山イザリオン
時生の学校の友だちで、黒人のハーフ。重傷の時生に移植用の皮膚を提供する。
BJの患者:HIRO(安田大サーカス)
BJの依頼客:本田博太郎
その他:いせゆみこ日向丈松林慎司杉内貴向野章太郎池田香織坂田直貴松島理絵椎名るか加藤敦塩村伴美林遼威 ほか

原作との違い[編集]

  • BJの本名と経歴。原作では不発弾の爆発で重傷を負っているが、本作では市街地での爆破事件。このときは怪我のみの被害であり、頭髪が白く変色したのは本作劇中となっている。
  • ドクター・キリコが生まれた背景。

脚注[編集]

  1. ^ 手塚真「わが父・手塚治虫」『朝日ジャーナル臨時増刊 手塚治虫の世界』朝日新聞社、1989年、p132
  2. ^ 原作漫画の「二人三脚」でもピノコがBJを「先生の宍戸錠!」と非難するシーンがある。
  3. ^ 「Pickup Interview 宍戸錠」『別冊映画秘宝 円谷プロSFドラマ大図鑑』 洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2013年、145頁。ISBN 978-4-8003-0209-0
  4. ^ a b c d e 大林宣彦・中川右介 『大林宣彦の体験的仕事論 人生を豊かに生き抜くための哲学と技術』 PHP研究所2015年、242-252頁。ISBN 4-569-82593-9
  5. ^ 大林宣彦 『映画、この指とまれ』 徳間書店アニメージュ#レーベルアニメージュ文庫〉、1990年、12-19頁。ISBN -4-19-669627-9。
  6. ^ a b c 大林宣彦 『映画、この指とまれ』 徳間書店アニメージュ#レーベルアニメージュ文庫〉、1990年、30-31頁。ISBN -4-19-669627-9。
  7. ^ 「片平なぎさインタビュー」『映画秘宝』 洋泉社、2010年8月号、45頁。
  8. ^ ジェームス三木「私が愛した手塚治虫 ずばぬけた独創性と卓越したドラマ性」『朝日ジャーナル臨時増刊 手塚治虫の世界』朝日新聞社、1989年、p23
  9. ^ 三池崇史『監督中毒』ぴあ、2003年、p16-p30。
  10. ^ 天野ミチヒロ『放送禁止映像大全』文藝春秋、2009年、p57