はるか、ノスタルジィ

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はるか、ノスタルジィ
監督 大林宣彦
脚本 大林宣彦
原作 山中恒
出演者 勝野洋
石田ひかり
松田洋治
尾美としのり
音楽 久石譲
撮影 阪本善尚
編集 大林宣彦
配給 東映
公開 日本の旗 1993年2月20日
上映時間 165分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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はるか、ノスタルジィ』は、山中恒が映画のために書き下ろした同名小説を原作とする日本映画。東映系で公開。山中恒の故郷である北海道・小樽を舞台に、人気小説家の男が、高校時代の自分とともに過去の記憶をたどっていく様を描く。

あらすじ[編集]

小樽を舞台とした少女小説で人気の小説家・綾瀬慎介(勝野洋)は、少年時代の痛ましい記憶を胸の奥深く閉じこめていた。しかし小説の挿絵を描いていた紀宮(ベンガル)の突然の死をきっかけとして、再び故郷である小樽を訪ねる。そこで慎介は記憶の中の少女・遙子(石田ひかり)にそっくりな、はるか(石田ひかり)という名の少女と出会う。はるかと出会うことで慎介は封印したはずの記憶が蘇る。そんな時、綾瀬の前に佐藤弘(松田洋治)という少年が現れる。佐藤弘とは綾瀬の本名であった。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

エピソード[編集]

大林は山中恒の原作をもとにして大林の故郷である尾道を舞台に『転校生』『さびしんぼう』を撮ったが、『さびしんぼう』のロケの際、尾道のふいの雪に遭遇した朝、山中から「尾道は小樽とそっくりだ!」「今度はぼくの古里・小樽で撮って下さいよ」と頼まれて山中の故郷である小樽を舞台にした本作が1989年企画された[1]。同じ山中恒を原作とするほかの大林作品はまず原作が先なのに対し、『はるか』は映画の企画の方が先だった[2]。映画化にあたり、最初に訪れた小樽のロケーションハンティングにおいては内容すらまったく決まっていなかったという[3]。大林の手による最初のシナリオが完成したのは翌1990年1月[4]、1990年夏に撮影された『ふたり』の撮影中もシナリオは手元にあり、ずっとスポンサーを探していたようだ。しかし、なかなか企画自体は進まず一時制作は中断するが、『ふたり』のスポンサーであったギャラックプレミアムが制作に名乗りを上げたことで再び復活し、1991年の初夏に撮影がスタート。実に映画が完成するまで4年もの歳月がかかることになる(全国公開まで含めると5年)。

映画自体は次回作『青春デンデケデケデケ』よりも前に撮影して完成していたが、公開もなかなか決らなかった。そのため『青春デンデケデケデケ』よりも後の公開となった(『青春デンデケデケデケ』は1992年10月公開)。同作品のパンフレットによると1991年11月[5]に完成とあり、翌1992年には公開を当初予定していたという。全国公開1年前の1992年2月のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で招待作品としてはじめて一般公開されている。またロケ地である小樽でも1992年秋に先行ロードショー公開された模様。

撮影カメラマンは前作『ふたり』に続いて当初は長野重一で予定されていたが、体調不良のため降板となり阪本善尚に変わった。冬景色の撮影のみが長野重一により撮影されているのはそのためで、本編を撮影する前に撮影されていた映像がそのまま使われている[6]

ほぼ小樽およびその周辺でのロケ撮影であるが、一部は砧の東宝スタジオにオープンセットが組まれて撮影されている。

もうひとつの別ヴァージョン[編集]

この映画にはもうひとつのヴァージョンが製作されている。公開前の前年1992年10月25日にWOWOWでスペシャルディレクターズカット版として放送されたものがそれにあたり、WOWOWでの長時間にわたる日本映画の特集放送企画「26時間日本映画の日 にっぽんが観たい!!」の中でのトリを飾る目玉番組として放送。これは劇場公開が放送の時点では未定であったということもあり、先行プロモーション的意味合いも兼ねて放送されたものと思われる。

正式タイトルは「はるか、ノスタルジィ:スペシャル・ディレクターズ・カット・WOWOWヴァージョン」で、本編は118分。大林監督自らができあがっていた劇場版を再編集している。大筋は劇場版と同じだがまったく同じではなく、のちに公開される劇場版において、すべてが明らかとなるような締めくくり方で終わっている。このヴァージョンでカットされたシーンの一部は、ラストのエンドロールのバックで劇場公開版にはない綾瀬慎介(勝野洋)によるナレーションとともに紹介され、また劇中のセリフも含めた音声面でも独自の細かい編集が成されていた。本編放送前には大林監督、勝野洋、石田ひかりの3人による対談が放送された。再放送も検討されたようだが、1回だけの放送に終わり、DVDなどのソフト化も一切されていない。

脚注[編集]

  1. ^ 『大林宣彦の映画談議大全《転校生》読本 ジョン・ウェインも、阪東妻三郎も、… 1980-2008 a movie』 角川グループパブリッシング2008年、47-49頁。ISBN 978-4-04-621169-9
  2. ^ 映画のための書き下ろしはこの作品のみである
  3. ^ 映画のパンフレットに寄せた山中恒の文章に詳しくかかれている
  4. ^ 大林宣彦著「映画、いいひとばかり」P122、P167-170
  5. ^ プロデューサーである大林恭子がそう書いている
  6. ^ この部分は「ふたり」よりも前に撮影されていた。大林宣彦著「4/9秒の言葉―4/9秒の暗闇+5/9秒の映像=映画」P183

参考文献[編集]

  • 4/9秒の言葉―4/9秒の暗闇+5/9秒の映像=映画(大林宣彦著、創拓社、1996.7)
  • 映画、いいひとばかり(大林宣彦著、アドリブ、1993.3)
  • 「はるか、ノスタルジィ」映画パンフレット

外部リンク[編集]