廃市

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廃市
監督 大林宣彦
脚本 内藤誠
桂千穂
原作 福永武彦
製作 佐々木史朗
大林恭子
島田親一
ナレーター 大林宣彦
出演者 小林聡美
山下規介
根岸季衣
峰岸徹
撮影 阪本善尚
編集 大林宣彦
製作会社 ATG、PSC、新日本制作
配給 ATG
公開 日本の旗 1983年12月21日
上映時間 105分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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廃市』(はいし)は、福永武彦の同名小説を原作にした1983年公開の日本映画

あらすじ[編集]

古い歴史を持った小さな運河の町が火事で焼けたというニュースに、江口(山下規介)は10数年前卒業論文執筆のため、この町を訪れた時のことを思い出す。泊まり込んでいた一軒の旧家、そこの美しい娘・安子(小林聡美)、そしてその姉・郁代(根岸季衣)のことを……。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

製作[編集]

1983年、大林のスタッフ全員が偶然二週間の夏休みが取れ、その期間を使い小さな16mmカメラ柳川に持ち込み、スタッフも小規模の編成で、 大林念願の福永作品を撮影した[1]。撮影は1983年9月10日から9月21日までの12日間[2][3]。設定は架空の街であるが、撮影は福岡県柳川市オールロケ[4]。原作の持つ私小説的な雰囲気を出すために16mmカメラで撮影した[2]。大林は「憧れの福永さんの世界、きわめて純度の高い世界を描くには16mmこそが最良の媒体であると思います。35mmがあまりにも最大公約数的な商業主義の技法に定着し、8mmがすっかり同好会的オモチャとなった現在、ちょっと中途半端なサイズだと思われがちだった16mmがプロフェッショナルなエンターテイメントによく似合う、豊かで密やかで趣味的、参加性にも充分に応えられるメディアであるというわけです」などと話した[2][3]

撮影[編集]

柳川での撮影日数はわずか2週間ほどで[5]、撮影は多忙を窮め、死体役となって横たわっていた峰岸、入江は実際にそのまま寝てしまった。江口を演じる山下も寝起きのシーンで寝てしまい、カメラマンのスタッフも寝てしまったという[6]

映画に出てくる路線は旧国鉄佐賀線。冒頭とラストシーンに出てくる駅は筑後柳河駅。1987年に廃線となっており、列車も駅も今ではもう見ることができない[5]

公開[編集]

埋もれた名画を支援していた東京上板橋の上板東映での封切りを予定していたが[7]、同館が1983年12月31日に閉館が決まり、ファイナルは『大殺陣』『血槍富士』などの時代劇に決まったため[7]、同館での封切りはならず[7]。大林が作った[8]目黒区駒場の映画館「アゴラ」(現・こまばアゴラ劇場)の杮落しとして[2]、1983年11月4日・7日、11月29日~12月11日に初公開され、1983年12月21日からATGで公開された[2]

エピソード[編集]

  • 生前、福永武彦の夫人はこの映画がお気に入りで再上映される度に劇場に足を運び、暗闇にひっそりと身を沈めて映画を鑑賞していたという[9][10]
  • 映画の撮影前も「廃市」という題が行政や観光関係者に不評で[1][7]、「映画の題名は変えられませんか」と言われた[7][11]。しかし映画の撮影が終わるころには「わが古里は廃市です」と誇りを持たれるようになったという[11]。本作の撮影が縁で大林は柳川観光大使を務めていた[5]
  • 2012年12月から2013年2月までニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された戦後の日本映画の特集「アートシアターギルドと日本のアンダーグラウンド映画 1960~1984 年」では、大林作品では『転校生』とともに本作が上映された[12]

脚注[編集]

  1. ^ a b asahi.com:僕と安子 - トラベル「愛の旅人」 - 朝日新聞デジタル
  2. ^ a b c d e 「映画NEWS 大林宣彦、憧れの福永文学を16mmで映画化」『プレイガイドジャーナル』1983年11月号、プレイガイドジャーナル社、 29頁。
  3. ^ a b 「製作ニュース『廃市』」『映画時報』1983年10月号、映画時報社、 37頁。
  4. ^ top of yanagawa-odekake web 「映像の中の柳川」- おでかけ web
  5. ^ a b c 廃市 | 柳川フィルムコミッション
  6. ^ 大林宣彦『夢の色、めまいの時』(桐原書店、1986年)P172-175
  7. ^ a b c d e 「シンポジウム・Ⅰ竹中労桂千穂他/シンポジウム・Ⅱ PM.8・10 低迷の現状をえぐる! ―パネル・ディスカッション竹中労、小林紘(上板東映支配人)、若松孝二内藤誠山根成之中村幻児石井聰亙、北川れい子(映画評論家)、柿田清二(映画監督協会事務局長)」『ムービーマガジン』1985年12月20日発行 Vol.29、ムービーマガジン社、 39、42頁。
  8. ^ 「ぴーぷる オーナー 大林宣彦」『週刊文春』1983年10月13日号 p.55、文藝春秋、 55頁。
  9. ^ 大林宣彦『むうびい・こんさあと』(音楽之友社、1987年)P217
  10. ^ 大林宣彦/PSC監修『大林宣彦ワールド 時を超えた少女たち』近代映画社、1998年、39頁。ISBN 4-7648-1865-5
  11. ^ a b 『大林宣彦の映画談議大全《転校生》読本 ジョン・ウェインも、阪東妻三郎も、… 1980-2008 a movie』角川グループパブリッシング、2008年、250頁。ISBN 978-4-04-621169-9
  12. ^ ニューヨーク近代美術館(MoMA)で日本映画特集を開催 監督も舞台挨拶

外部リンク[編集]