ドラえもん のび太と鉄人兵団
『ドラえもん のび太と鉄人兵団』(ドラえもん のびたと てつじんへいだん)は、月刊コロコロコミック1985年8月号から1986年1月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の漫画作品、およびそれを元に1986年3月15日に公開された映画作品。大長編・映画ともにシリーズ第7作。
映画監督は芝山努。配給収入12億5000万円、観客動員数260万人。同時上映は『オバケのQ太郎 とびだせ! バケバケ大作戦』『プロゴルファー猿 スーパーGOLFワールドへの挑戦!!』。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
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[編集] 概要
- 映画化7周年記念作品として製作され、これまでの「のび太の-」だったタイトルから「のび太と-」というタイプが初めて採用された。予告では、何度かの爆撃音の後、「今度の映画は、何が何だかとにかくすごいぞ」というセリフが流れる。
- 作者である藤子・F・不二雄が「ドラえもんの映画史上最強の敵」(1991年7月執筆当時)と語る[1]メカトピア星鉄人兵団による地球侵攻作戦は、地球人の総奴隷化を目的とした、『ドラえもん』作品中でも特に熾烈なものである。
- 本作では、基本的にしずかは戦闘には立ち会わず怪我をしたリルルの介抱に専念し、鉄人兵団と戦闘するドラえもんやのび太ら他の4人とは別行動をとっているところが特徴であり、大長編の中では最もしずかの出番が多い。リルルと別れるシーンでも、しずかのみが立ち会っている。
[編集] あらすじ
のび太は偶然北極で巨大なロボットの足を拾い、自宅に持ち帰った。それ以来、家の庭に次々と降ってくるロボットの部品を、ドラえもんと協力して鏡面世界で組み立ててザンダクロスと名づけ、しずかを呼んで遊んでいた。
だがその最中、そのロボット(ザンダクロス)に恐るべき兵器が組み込まれていたことが判明。安全のため、ロボットを3人の秘密にすることを誓ったが、のび太のもとにロボットの持ち主と名乗る少女リルルが現れ、のび太はうっかり口を滑らせてしまう。のび太はロボットを返すことを断れず、さらに鏡面世界へ入り込むために必要なひみつ道具「おざしきつり掘」まで貸してしまった。
実は、ロボット惑星メカトピアから派遣された少女型スパイロボットであるリルルは、メカトピアの地球侵略作戦の足がかりとして、尖兵である他のロボットとともに鏡面世界で前線基地を建設し始めた。偶然現場近くで真相を知って逃げたドラえもんたちを追うため、リルルたちが鏡面世界の入り口を無理やり広げようとした結果、時元震による爆発が発生し入り口は塞がれた。それにより危機は免れたかに見えた。
しかしそれも束の間、メカトピアから鉄人兵団が地球へ送り込まれてくることを知り、のび太たちはジャイアンやスネ夫と協力し、取り返した巨大ロボを改造して味方につけ、鏡面世界を舞台に鉄人兵団を迎え撃つことになる。
[編集] 舞台
- 鏡面世界
- 「入りこみ鏡」及び「逆世界入りこみオイル」を投与した水面から入り込むことのできる特殊な異世界。鏡の中のように左右が逆転した世界で、人間・動物は一切いない。詳しくは先に述べたひみつ道具を参照とするが、加工品についてはその限りではなく、スーパーマーケットにはハムやステーキ肉などの食品が陳列してあり、電気水道も機能している[2]。
- メカトピア
- 約3万年前に神によって開国された鉄人兵団の母星。歴史を紡ぐ内に支配階層があらわれ、貴族によって奴隷制度が始まり自由を求めての戦争が勃発。やがて奴隷制廃止が決定、市民は自由を勝ち取り新たな労働力を確保するため、地球の人間を奴隷にしようとしたのが全ての始まりとなる。
- メカトピアは以下の伝説が伝わり、自らを神の子と称し宇宙の支配者として運命づけられたと信じている。しかしそれは伝説に隠された事実を多少歪めた形で伝わった物であり、神が望んだ願いとは違う歴史を歩んでいた結果であった。
- 遠い過去に文明の栄えた人間の世界があった。しかし神は傲慢な人間達を見放し、無人の惑星に降り立つとアムとイムというロボットを創り「天国のような社会を作れ」と命じた。神によって創られたアムとイムは子孫を増やした。メカトピアの住民はこのアムとイムの子孫である。
[編集] ゲストキャラクター
[編集] 鉄人兵団
メカトピア住民によって構成された侵略部隊。奴隷狩りを目的としターゲットを地球に絞った。 性別という概念があるのだが、今回登場する面々が男か女か正確には不明。
- リルル(声:山本百合子)
- 調査のために地球人の少女そっくりに容姿を作り送り込まれた工作兵。祖国に忠誠を誓い、地球人狩りを遂行するため前線兵站基地を建設しようと北極に赴いたが、先に来ていた筈の相方が行方不明となり探していた。当初は祖国への忠誠することしか知らなかったため、人間らしい心や感情は持っていなかったがのび太やしずからとの触れ合いの中で、心が生まれ、地球侵略の理念に疑問を抱き始める。
- 劇場版の女性ゲストの中でも人気が高く、視聴者向けアンケート「ドラデミー大賞」でゲストキャラクター賞に選ばれた。
- 個人的能力として空を飛べたり、指から熱線を発する。
- ザンダクロス/ジュド(声:加藤治)
- リルルのパートナーである巨大ロボット(リルルによると土木工事用ロボット、鉄人兵団によると工作用ロボット)。主武装は腹部レーザ-砲。
- 球体の頭脳のみ先に北極へ到着し、巨大な本体はバラバラの状態でメカトピアから転送していたが、偶然のび太が最初に落ちた右足の一部を自宅へ持っていった為に日本へ移動。言葉が通じないために頭脳はただの転送誘導装置と思われてしまい、組み立てられた体と離れ離れになった上のび太の母親によって物置にしまわれる。そのため、未来のスーパーでのバーゲン品(それでもドラえもんにとっては高額)のコンピューターを代用。それを「サイコントローラー」による脳波操縦方式として一応は完成した。
- 球体にある黒い丸三つを点滅させ意思表示を表し、ほんやくコンニャクを乗っけることで地球人の意思疎通が可能となった。かなり口の悪い性格をしている。しかし見つけたドラえもんによって荷物包みされた上でのび太の部屋の天井へ吊るされ、改造を施され体に戻って仲間となった(以降しゃべらなくなる)。
- 本名はジュドだが、ドラえもんは北極で発見したことからサンタクロースをもじって「ザンダクロス」と名づけた(しずかの提案した「ラッコちゃん」に対して、のび太が「マジンガー」や「ガンダム」みたいな強そうな名前[3]がいいと言ったため)。
- 一部書籍においてデザイン担当は大河原邦男と記述されているがこれは誤認であり、実際のデザインは当時藤子プロでアシスタントをしていたたかや健二によるものである。
- 意匠が『機動戦士Ζガンダム』の百式に似ていると言われていたが、これについてデザインしたたかやは「Neo Utopia」40号のインタビューで百式を元にデザインしたことを語っている。
- ロボット隊長(声:田中康郎)
- メカトピアの鉄人兵団を総括する司令官。配下のロボット兵士とはまったく異なる形態をしている。
- ロボット兵士(声:広瀬正志、橋本晃一)
- 鉄人兵団の主力を担う戦闘用ロボット。工事・工作用ロボットと違い互いに会話をし熱線を放つ武器を携帯しており(また指先から熱線を放つことができるタイプも存在する)、飛行能力も有している。また兵士の中にはマントを付けた者など階級が区分されている。奴隷として人間を捕獲するのが主な任務であり地球侵攻作戦の中心的な役割を担った。
- 工事・工作用ロボット
- リルルと共に尖兵として前線基地の建設用に送り込まれたロボット達。様々なタイプが存在する。
[編集] 協力者
- ミクロス(声:三ツ矢雄二)
- ラジコンマニアであるスネ夫の従兄弟・スネ吉が作ったラジコンロボット。プロペラの飛行能力や相当な遠距離でもリモコン電波が届くなど画期的な機能を持っているが、リルルには只のおもちゃ扱いされている。従兄弟が追加のアカンベー機能を施した後、ドラえもんの改造によって人間並み(映画:スネ夫並みの頭脳)の知能を持ち、言語も話せるようになった。ただしとんちなど難しいことを考えると頭がショートを起こす。重いテーマの本作ではコメディリリーフとして活躍するが、映画の終盤で彼のある一言が地球人を救うきっかけに繋がった[4]。
- 博士(声:熊倉一雄)
- 約3万年前、人間社会に嫌気が差し、機械によるユートピア(理想郷)を願ってメカトピアを建国した科学者。現在のメカトピアでは人間であることが伝わらず、人を見限った神として呼ばれている。メカトピア最古のロボット、アムとイムを作り後の理想郷を託したが、「競争本能」(他人よりも少しでも優れた者になろうとする本能)を植えつけていたため、子孫達は自分のためなら他者を犠牲にするのも厭わない部分を持ってしまい、彼の想いとは違った形でメカトピアは発展していくことになった。登場時すでに高齢で体も衰弱しきっていた。
[編集] スタッフ
- 原作・脚本:藤子・F・不二雄
- レイアウト:本多敏行
- 作画監督:富永貞義
- 美術設定:川本征平
- 美術監督:高野正道
- 録音監督:浦上靖夫
- 音楽:菊池俊輔
- 効果:柏原満
- 撮影監督:斎藤秋男
- 特殊撮影:原真悟
- 監修:楠部大吉郎
- プロデューサー:別紙壮一、小泉美明、波多野正美
- 監督:芝山努
- 原画:大塚正実、一川孝久、神村幸子 他
- 制作協力:藤子スタジオ、旭通信社
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] 登場するひみつ道具
- どこでもドア
- タケコプター
- かるがる手袋
- お座敷釣堀
- 逆世界入り込みオイル
- サイコントローラー
- 糸なし糸電話
- 空気砲
- 翻訳コンニャク
- 金属探知チョーク
- メカ救急箱
- コンピューター睡眠薬
- 瞬間接着銃
- スモールライト
- タイムテレビ
- 改良型やまびこ山
- 探し物ステッキ
- ショックガン
- スペアポケット
- ひらりマント
- 即席落とし穴
- ビッグライト
- 入り込み鏡
- タイムマシン
- 壁紙シェルター
[編集] 主題歌
レーベルは全てコロムビアレコードである。
- オープニングテーマ『ドラえもんのうた』
- 作詞:楠部工、作曲:菊池俊輔、歌:大杉久美子
- エンディングテーマ『わたしが不思議』
- 作詞:武田鉄矢、作曲:菊池俊輔、歌:大杉久美子
- 挿入歌『ポケットの中に』
- 作詞:武田鉄矢、作曲:菊池俊輔、歌:大山のぶ代
※「のび太の恐竜」で使用された「ポケットの中に」とは歌いまわしが異なり、今作に使われたものはヤング・フレッシュによるコーラスがない。
[編集] その他
- テレビ朝日版で2回目の絵柄が変わった後の最初の作品である。
- 今では定番となっている、主題歌が入る直前ののび太の叫び声「ドラえも〜ん」が初めて採用された作品。声は比較的小声である。
- また、原作者が何度も加筆修正した作品であり、連載当初と単行本の終わり方が異なっている。連載当初は鏡面世界から戻ってきたところで終わる。単行本ではドラえもんたちが戻ってきたシーンはカットされ、後日談が加筆された。なお、この後日談のラスト3ページ分は、単行本発刊(1987年2月)前に、本作が再掲載された「別冊コロコロコミックスペシャル9号」(1986年4月発行)の時点で既に加筆されていた。他にも、のび太がスネ夫に自分は巨大ロボットを持っていると言い放つシーンが冒頭から中盤(映画も同様)に変更されている(初期の中盤ではミクロスがのび太の部屋に果たし状を置いている)。
- 映画版では、のび太たちが警察などに協力を依頼して相手にされないシーンの後には、「この映画を見ている人以外は、無理だよ」という観客にいきなり語りかけるメタフィクショナルな場面がある。
- 映画館で赤と青の3Dメガネが配られた、これは同時上映のオバケのQ太郎を見るためである。
- 『ドラえもん』のアニメ制作会社であるシンエイ動画にあやかって、「シンエイ物産」という建物も登場する。
- 鏡面世界内の地球で戦うという設定上、左右が逆で無人の住友ビル、新宿三井ビルディング、伊勢丹、新宿中央公園、東京タワー、国会議事堂、霞ケ関駅、自由の女神、ビッグ・ベン、凱旋門など、実在の建造物が数多く登場する。なお自由の女神は、コロコロ連載時の原稿では誤って元のまま(左右逆になっていないまま)掲載された。
- なお、公開当時は本作品の上映後に『のび太の大魔境』と『忍者ハットリくん』のビデオ紹介が上映されていた。
- ドラえもん (1979年のテレビアニメ) の「レプリコッコ」(第914話、1987年5月1日放送)では、スネ夫の家のテレビにザンダクロスがCMに登場している(後の「プラモが大脱走」にも登場)。「プラモが大脱走」(第1474話、1997年11月28日放送)では、メカトピアの鉄人兵団がプラモデルとしてほぼ登場しており、ザンダクロスはドラえもんの道具として出された巨大なプラモデルとして登場している。
[編集] リメイク
詳細は「ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」を参照
2010年に公開された『のび太の人魚大海戦』の最後に流れたおまけ映像に、本作に登場した青いボールが登場したことからリメイク版の製作が示唆されていた。その後、月刊コロコロコミック2010年7月号および藤子・F・不二雄公式サイト『藤子・F・不二雄ワールド』にて本作のリメイク作品『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』が正式に発表され、2011年3月に公開された。監督は寺本幸代、脚本は清水東が担当。
[編集] 原作との相違点
- 冒頭で原作ではジャイアンはいないが、映画ではいる。
- ドラえもんが原作では自主的に北極に行くが、映画では「ケチ、頭でも冷やして来い!」と言うのび太と言い争ってから北極へ行く。
- 原作ではのび太は僕も「頭を冷やしてこよう!」といって北極に行くが、映画ではドラえもんを追うようにして行く。
- ドラえもんが未来デパートから購入した『サイコントローラー』を「ちょっと高かったんだけどね」と言ってる。
- 著作権の関係からロボットの名前の候補が異なる。詳細については上の記述を参照。
- しずかのボタン発射でビルを壊してしまった後、三人はロボットの中から出てこない。
- パパとママの釣り堀と鏡の話の内容が異なっている。
- 原作では頭脳をとりつけられたジュドが「どうぞお乗りください」とだけしゃべるが、映画では全くしゃべらない。
- ケガをしたリルル以外、しずかから部屋の外へ追い出された時にミクロスが「男だっけ?」と自答する。
- 買い物のシーンで『ドラえもん のび太の恐竜』と『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』でおなじみの『ポケットの中に』が流れる。
- 映画ではジャイアンとスネ夫が寝る家を交換したり、眠れないのび太たち三人が夜更かしをするシーンはなし。
- リルルに飲ませる睡眠薬は、映画では「コンピューター睡眠薬」という名称がついている。
- 原作では鉄人兵団の攻撃が始まってからしずかを探しに行くが、映画では始まる前に探しに行く。
- 隊長が「リルルを送り込んでおいたのに」と怒鳴らない。
- リルルの「自分の回路がおかしくなった」という台詞がない。
- 原作ではミクロスが自ら「自分で残る」と言っていたが、映画ではドラえもんの方から「ミクロス、頼んだよ」と言っている。
- エネルギーが切れた『ショックガン』を捨てるのが、ジャイアンからスネ夫になってる。
- しずか達がタイムマシンに乗り込む前に、ミクロスがのび太のママに「奥さまはいつまでもお若いですね」とお世辞を言い残す。
- ジュドがレーザーで攻撃する前に追い回している。
- 3万年前のメカトピアで博士を探すシーンで、ミクロスが「僕はなんてお利口なんだろう」と自画自賛する。
- 競争本能に関する説明がカットされており、競争本能と言う名称も映画では登場しない。
- アムとイムの改造によってリルルが消えることが明言されない。
- リルルが消えるシーンでは、ほかの鉄人兵団と異なった消え方をする。
- リルルが消えたあと、ミクロスが「涙が出る装置が欲しい」と嘆く。
- ラストの教室に佇むのび太のところへドラえもんがやって来ない。
[編集] 小説
- 2011年に前述のリメイクアニメ映画公開にあわせ、漫画版を元にしたノベライズ版『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』が瀬名秀明によって同年2月25日に出版(ISBN 978-4-092-89726-7)された。ドラえもん初の長編小説となる。
- この作品には、かつてパーマン3号であった星野スミレが登場する。また、オリジナルのシーンも登場する(ザンタクロスの頭脳がドラえもんの声で話す、リルル救出後にしずかの家を兵団が襲撃する、スネ夫がザンタクロスに乗り込んで操縦して戦う(頭脳が自己修復能力で元に戻ったため)など)。
[編集] 脚注
- ^ 公式サイト内インタビュー
- ^ 『ドラえもん のび太の人魚大海戦』のエンドロール後のおまけ映像でも、「お座敷釣り堀」の中に写っている。
- ^ アニメ版では「アントニオ」、「ダンプ」に差し替えられている。
- ^ 藤子不二雄 (w, p, i). "のび太と鉄人兵団" 大長編ドラえもん vol. 7, 186頁/5コマ目 (1987年2月25日), 小学館, ISBN 4-09-140607-6
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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