ドラえもん のび太の宇宙開拓史

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ドラえもん のび太の宇宙開拓史』(どらえもんのびたのうちゅうかいたくし)は、藤子・F・不二雄によって執筆され、月刊コロコロコミック1980年9月号から1981年2月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を元に1981年3月14日に公開された映画作品。大長編、映画ともに第2作。

映画監督は西牧秀夫配給収入17億4000万円、観客動員数360万人。併映作は、『怪物くん 怪物ランドへの招待』。

この作品から絵柄が変更された(この作画は1985年度『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』まで)。

2009年にリメイク版の『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』が公開された。


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


目次

[編集] あらすじ

超空間の事故により、のび太の部屋のとロップルの宇宙船の倉庫とがつながった。宇宙の惑星、コーヤコーヤ星を第2の遊び場としたのび太は、ロップルやチャミーと共に楽しい日々を過ごす。

しかし、コーヤコーヤ星を含めた小宇宙の各星に鉱脈をはる鉱石「ガルタイト」の独占を企む大企業ガルタイト鉱業は、コーヤコーヤ星に移住し始め採掘の邪魔になる開拓住民の追い出しを画策していた。そのためロップルらはガルタイト鉱業の攻撃の標的となって執拗な脅迫や嫌がらせの中、生活していた。

そのことを知ったのび太らは、ロップルたちの生活を守るため、ガルタイト鉱業に戦いを挑む。

[編集] 舞台

宇宙(コーヤコーヤ星)
地球(銀河系)から遠く離れた小宇宙に存在する「コーヤコーヤ星」と「トカイトカイ星」が舞台。コーヤコーヤ星は、トカイトカイ星の人類の移住した開拓星。どちらの星も重力が地球よりも格段に小さいため、住人の体力や建材も地球に比べて非常に弱く、逆に地球人は(たとえのび太でも)スーパーマンの如き力を発揮できる。超空間を隔てて繋がっているためか時間の流れが地球と違い、一日が地球では1時間程度にあたる。また地球よりも空気が清浄。逆にコーヤコーヤの人間にとって地球の空気は汚く重力が重く感じるため、体に悪影響がある。星は反重力エネルギーを発生させるガルタイト鉱でできている。彼らの文明は石器時代からこの鉱石を基盤として発展してきたため、プロペラなどの地球にある一部の機械は発明されていない。
には猛吹雪、先には大洪水が起きるという環境のため、冬の間は家を地下に格納して冬ごもりをしている。冬は草一本もない一面の荒野。冬季の最後に湖が氾濫して洪水が起き、大量の水とともに養分に富んだ土を運んでくる。そのためコーヤコーヤは農業に適した土地となっている。植物の生育が早く、洪水から一日で緑が芽吹くほど。また秋になると紅葉も発生する。雪の色は白ではなく、赤と青の2色で混ざり合って紫になる。月も赤い月と青い月があり、普段はそれぞれの月が交代で昇り、大洪水の起きる冬の終わりのみ二つがいっぺんに昇る。入植前の調査により活火山が一つもないことがわかっている。
トカイトカイ星は周囲の島宇宙の中心の星で、大都会が形成されている。星間連合本部、シティーホール、博物館などがある。またガルタイト鉱業の本社も置かれている。ロップルたちの人類は元々この星で進化した種族だが、既に星がビルで埋め尽くされるほどの状態にあるため、現在は約1000光年の範囲内、200余りの開拓星で人類の移住が行われている。コーヤコーヤ星もその中のひとつ。

[編集] ゲストキャラクター

ロップル
- 菅谷政子
開拓星・コーヤコーヤ星開拓民の少年。異次元空間によって自分の宇宙船とのび太の部屋が接続したことからドラえもんとのび太と友情を育み、冒険を繰り広げる。射撃はあまり得意ではない模様。
チャミー
声 - 杉山佳寿子
ロップルと共に行動する、全体がピンクの毛で覆われたぬいぐるみのような宇宙動物。性別は雌。映画版では、人語を文末に「○○だわサ」、「○○わサ」とつけて話す。ドラえもんに貰ったどら焼きを気に入る。最後の別れでは特にドラえもんとの離別を惜しんでいた。原作と劇場版では見た目がかなり異なる。
クレム
声 - 小山茉美
ロップルの妹。あやとりを教えてもらうなど、特にのび太を慕っている描写がある。最後の別れの際にはのび太に雪の花を贈った。
声 - 塚田恵美子
ロップルとクレムの母。夫とは死別。
ロップルとクレムの父。既に故人。死因は小惑星帯での事故死とされているが、ガルタイト鉱業による謀殺の疑惑が高い。
カモラン
声 - 二見忠男
ロップル一家の隣人。
ブブ
声 - 山田栄子
カモランの息子。クレムに密かに好意を抱いており、のび太たち地球人がちやほやされることに嫉妬心を抱く。
ボーガント
声 - 内海賢二
ガルタイト鉱業の主任。ゴスとメスの上司。コーヤコーヤ星のガルタイト独占のため住民を強制的に追い出そうと指示を出すが、最後には社の無法が発覚し本社屋が強制捜索を受けるのと同時に逮捕される。
ゴス
声 - 今西正男
ガルタイト鉱業の社員。二人組のうち、太っている方。ロップル達をコーヤコーヤ星から追い出そうとあの手この手で住民に嫌がらせをするが、のび太達の活躍により散々な目に遭う。名前の由来は牛頭馬頭の「牛頭」から。
メス
声 - 北村弘一
ガルタイト鉱業の社員。二人組のうち、背が高い方。ゴスと共にコーヤコーヤ星の住民に嫌がらせをしている。名前の由来は牛頭馬頭の「馬頭」から。
ギラーミン
声 - 柴田秀勝
ガルタイト鉱業に雇われた腕利きの用心棒。コーヤコーヤ星の独占を邪魔するドラえもんらを殺そうとする。さらには、「コア破壊装置」を星に取り付け、強制的に住民を追い出そうとする。人を殺す事も厭わない人間ながら「どんなに強い相手も恐れず、どんなに弱い相手も見くびらない」というポリシーを持ち、強者との闘いを望む一面も覗かせる。初対面でのび太の実力を見抜き「このガキ、只者ではないな」と心の中で思うほど(のび太の方も「恐ろしい相手」とギラーミンの力を見ぬいた)。のび太との一対一の早撃ち勝負を行うも敗北。映画版ではロップルに額を撃たれ敗北。
キャプテン
声 - 桜本昌弘
のび太達のいつもの空き地を占領した中学生の野球団体(野球部ではない)のキャプテン。野球部には、野球が下手なため入れてもらえないらしい。
中学生
声 - 龍田直樹二又一成
野球団体の一員。

[編集] 本作のメカニック

宇宙戦艦ブルドレイン
ボーガントとゴス、メスとギラーミンが乗る戦艦。緊急時には脱出カプセルが備えられている。最期は、しずかが投げた後ジャイアンが打ったガルタイトによってエンジンが破壊されその後、戦没した(脱出カプセルは宇宙パトロールの宇宙船によって捕まる)。原作では前半と終盤でデザインが異なるが映画ではずっと同じデザインのまま(原作の終盤に登場したデザインになってる)。
フレンドシップ号
ロップルとチャミーが乗る宇宙船。このタイプの船はコーヤコーヤ星住人にとっての足であるとともに農作業にも欠かせない存在である。反重力推進のほかワープ航法も可能。一回のワープで2光年を跳躍できる。年季の入った船のため動作不良を起こすが、叩けば直る。コックピット部分と本体を分離する事が可能である。本体はゴスとメスが仕掛けられた爆弾によって爆破された。尚、フレンドシップ号という名称は映画版のみの名称であり、原作版での名称は“カーゴ(貨物船)”で統一されている。

[編集] コーヤコーヤ星の動物

ウオガエル
魚とカエルの合成生物。冬にはカエルのように冬眠する。
タマゴ鳥
タマゴから羽が生えている鳥。山岳地帯の岩の中に巣を作るが、ガルタイト採掘のために山が掘り崩されているため絶滅の危機にある。劇場版ではジャイアンとスネ夫が殻を割るがいくら割ってもタマゴのまま。
オトト鳥
魚と鳥の合成生物。ガルタイト鉱石を使って冬にはトカイトカイ星に飛び立つ。
パンク
体内に空気が詰まっているパンダ。体内の空気を一気に放出して空を飛べる。秋になると冬眠に備えてカボチャのような野菜を食べて栄養を蓄える。
ナメクジ(名称不明)
コーヤコーヤ星のナメクジは人間より大きい。
デンデンワニ
人の背丈ほどあるカタツムリワニの合成生物。
パオパオ
人の背丈ほどの二本足の。胴体はなく、顔から足が生えている。野生動物ではあるが人間を怖がらず、頼めば背に乗せてくれるほど人懐こい。原作では緑色、映画では水色、リメイク版では黄色であった。
ダックスキリン
普段はダックスフントのように胴長の体型をしているが、高いところのえさを取るときには胴が短くなり、首が伸びる。劇場版ではジャイアンとスネ夫が胴と首を同時に引っ張って伸ばそうとする。

[編集] 登場したひみつ道具

[編集] スタッフ

[編集] 主題歌

オープニングテーマ『ぼくドラえもん
作詞/藤子・F・不二雄、作曲・編曲/菊池俊輔、うた/大山のぶ代こおろぎ'73コロムビア・レコード
エンディングテーマ『ポケットの中に
作詞/武田鉄矢、作曲・編曲/菊池俊輔、うた/大山のぶ代ヤングフレッシュ(コロムビア・レコード)
主題歌『心をゆらして』
作詞/武田鉄矢、作曲・編曲/菊池俊輔、うた/岩渕まこと(コロムビア・レコード)
ドラえもん映画作品では通常主題歌はエンディングに用いられるが、本作に限りエンディングの直前のドラえもん達とロップル達の別れのシーンで流れている。また、『ポケットの中に』と同様、アレンジされて作品のBGMに用いられ、その後も主に感動系のTV作品でしばしば流用されている辺りも、その他の映画作品とは一線を画す。
挿入歌『ドラえもんのうた
作詞/楠部工、補作詞:ばばすすむ、作曲・編曲:菊池俊輔、うた/大杉久美子、セリフ:大山のぶ代ドラえもん

[編集] 原作と映画の相違点

  • 原作ではロップルの宇宙船はオリジナルでは「カーゴ=貨物船」名前で呼称されているのに対し、映画では「フレンドシップ号」という名前が付いている。なお、映画版を単行本に書き下ろした作品でも「カーゴ」が使用されている。
  • 原作ではワープの説明に紙を使用しているが、映画ではベルトを使ってる。
  • 原作のチャミーは猫のような目をもつ白い毛の動物だったが、映画では見た目が大きく変更された。目は人間に近い雰囲気となり、髭が生えていない。また、しっぽがハート型になっている。また、映画ではチャミーがドラえもんの鬚を引っ張るシーンがあるが、これは映画オリジナルシーンである。
  • ガルタイト工業のカーゴは原作では序盤と後半では異なるが、映画では序盤、後半ともに同じカーゴ。また「ブルドレイン」という名前が付いている。
  • 原作ではロップルが屋外でショックガンの試し撃ちをするが、映画では家の中から撃っている。またこのとき原作では木の幹を撃ってるが映画では枝を撃ち落としている
  • 映画では超空間飛行(ワープ)が乗り心地の悪いものとされている。
  • 原作でのび太とドラえもんがゴスとメスを倒したあとの祝勝会のあと、ロップルから父の形見であるショックガンをもらうが、映画ではのび太とドラえもんがコーヤコーヤ星の名誉市民となり、クレムから記念品をもらっている。
  • 映画ではロップルの宇宙船に仕掛けられた爆弾にチャミーが気づくが、原作ではロップルもチャミーも爆弾が仕掛けられていることには気づかなかった。また、爆発後の、のび太の部屋の畳とを繋ぐ宇宙船の扉は、原作では地面に並行に倒れているのに対して、映画では地面に垂直に立っている。
  • 原作では川に毒を流されているが映画では作物を焼き払われている。
  • 映画のギラーミンは訛りのあるしゃべり方をする。
  • 原作では丁寧に描かれたドラマの多くが映画では存在しない。主なシーンとして「いつ消えるとも知れぬ超空間の出入り口(地球との繋がり)にロップルとクレムが不安を見せる」「コーヤコーヤでロップル達の歓迎を受けたのび太が、思わず感激の涙を流す」「のび太とドラえもん、ロップル・クレム・チャミーが「いつまでも友達でいよう」と誓い合う」「コーヤコーヤが爆発間近という危機的状況において、姿を見せないのび太達にカモランが不満を爆発させるが、ロップルはのび太達を庇い、助けを求めにいくことも拒む」などが挙げられる。その他、のび太とドラえもんがロップルの農作業を手伝うといったシーンが、映画では画面を4分割したダイジェストという形で描かれている(この中には原作にない映画オリジナルのシーンも含まれる)。
  • 原作にはのび太、ドラえもん、ロップル、チャミー、クレムが小舟に乗っているシーンがあるが、映画ではこのシーンの時間帯が夕方になっており、ロップルが登場しない。小舟のデザインも変更されているほか、紅葉した葉の形が星型になっている。
  • 原作のクライマックスではのび太とギラーミンとの決闘が描かれているが、映画では一騎打ちではなく、のび太がショックガンの照準を合わせ、ロップルが引き金を弾いてギラーミンを倒すという展開になっている。またこの際に原作では登場しなかった「災難訓練機」の大型が登場している。
  • 映画ではコア破壊装置はドーム状の建物の中にありそのため『通り抜けフープ』が使用されている。
  • 爆発寸前のコーヤコーヤ星をコア破壊装置にタイムふろしきを被せることで事無きを得るくだりは、原作では風によって偶然タイムふろしきが飛ばされたのに対し、映画版ではロップルの機転でという展開に改編されている。
  • ラストシーンでクレムがのび太に雪の花を渡すシーンがあるが、原作では3本渡しているのに対して、映画では1本しか渡していない。
  • 原作では1コマで描かれているのび太達とロップル達との別れのシーンは、映画では大幅にアレンジされている。主題歌「心をゆらして」が流れる中、手を振るコーヤコーヤ星の住民一同の映像、その後のび太達とロップル達との思い出を振り返る映像が流れ、最後に超空間の繋がりが外れる直前、クレムがのび太にあやとりを披露するという感動的なシーンとなっている。
  • 原作では「超空間の出入り口が開く事は二度となかった」といった台詞を始めとして、二度と会えない悲壮感を際立たせた別れが演出されているが、映画版では上記の台詞もなく、原作と比べて楽観的な演出が施されている(但し、上記の台詞は映画上映前の雑誌連載版には存在しない)。また、映画版では超空間の繋がりが消えた後、のび太の両親に怪しまれて畳を開けると多数のネズミが飛び出し野比一家を慌てさせるギャグオチになっている。

[編集] その他

  • コーヤコーヤ星の動物として、『ジャングル黒べえ』の珍獣(パオパオ他)が登場する。
  • 一方、のび太の二大特技である射撃とあやとりが、物語において重要な役割を果たしており、「大長編においては格好良いのび太」の図式を、ストレートな形で確立した最初の作品である。
  • 作中ではSF作品では頻出の超光速航行(ワープ航法)について説明をするシーンがある。この作品では離れた二点間での移動を空間を曲げてその二点をくっつけることで一瞬の移動を可能にするという空間歪曲型のワープ方式を採用しており、その原理を一枚の紙に書いた二点を紙を曲げることで接触させるという方法(映画版では宇宙船のベルトを使いのび太の部屋とロップルの宇宙船が偶然空間がねじれてくっついたという風に表現)で視覚的に分かりやすく説明している。
  • この作品のヒントとなったのは、映画の『シェーン』(ジョージ・スティーブンス監督、1953年)と『ブリガドーン』(ヴィンセント・ミネリ監督、1954年)であると作者が語っており(『キネマ旬報』1990年3月下旬号)、加えて「西部劇をモチーフとして、のび太の特技である銃の腕前を思い切り振るわせること」「弱い人間ばかりの世界なら、のび太でもスーパーマンになれる」という考えが作品コンセプトとなっている[1]
  • 1979年のSF短編『ベソとコタツと宇宙船』で宇宙船のハッチとコタツが繋がるという描写があり、畳と宇宙船のハッチが繋がるというアイディアの原点が見受けられる。
  • 原作は月刊コロコロコミック1980年9月号から1981年2月号までの6ヶ月間に分けて連載された。前作である『ドラえもん のび太の恐竜』が1980年1月号から3月号までの3ヶ月と短期だったのから大幅に引き伸ばされた。また、この年から大長編ドラえもんの連載が夏に始まり翌年春に終わる形式となる(そのため大長編作品の出だしは夏休みが多いが、映画公開は春先の為、春休みに変更されているものがある[2])。
  • 1994年に刊行された雑誌「ドラえもんクラブ」の3号には、本作以前のロップルたちの物語を描いた外伝小説『コーヤコーヤ星物語』が掲載された[1]
  • 大長編の中では、ジャイアン・スネ夫・しずかの登場シーンが少ない作品である。

[編集] 脚注

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  1. ^ a b 塚原正廣編 「タイムシアター1981 のび太の宇宙開拓史」『藤子・F・不二雄ワンダーランド ぼく、ドラえもん』10、小学館、2004年、24-27頁。雑誌 28823-7/20。
  2. ^ のび太の大魔境』など

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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