ドラえもん のび太の創世日記
『ドラえもん のび太の創世日記』(ドラえもんのびたのそうせいにっき)は藤子・F・不二雄によって執筆され、月刊コロコロコミック1994年9月号から1995年3月号に掲載された大長編ドラえもんシリーズの作品。および、この作品を元に1995年3月4日に公開された映画作品。大長編シリーズ第15作、映画シリーズ第16作。
映画監督は芝山努。配給収入12億8000万円、観客動員数260万人。同時上映は『2112年 ドラえもん誕生』。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
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[編集] 概要
- 本作はコロコロコミック掲載時、「大長編シリーズ15作記念作品」と冠していた(映画としては16作目)。藤子・F・不二雄自身、創世記をライフ・ワークだとも公言しており、「創世日記」などの自身のSF短編やドラえもんの短編数本など、同様のテーマの作品の集大成にすべく、多くの資料を使って練り上げられたという。同時上映もドラえもん映画であったため、パンフレットでは『Wドラマチック!!ドラえもんフェスティバル!!』と題された。
- 基本的にのび太たちは新世界の観察に終始しており、第三者的な役割を担っている。そのため、のび太たちが力を合わせて困難に立ち向かうパターンが多数の大長編ドラえもんのなかでは異色な存在である。
- 生命の起源と進化、文明の発展、そして宗教の妄信で過ちを繰り返す歴史など、大長編ドラえもんでも珍しい難解な題材を扱っている事も特徴。その為、次回作『ドラえもん のび太と銀河超特急』は子供も楽しめるようなビジュアル主体の賑やかな物語になっている。
[編集] あらすじ
夏休みの自由研究に行き詰まっていたのび太たちは、ドラえもんのひみつ道具「創世セット」で新たな宇宙を作り、地球型惑星の歴史を観察することになった。
新地球に誕生した人類の中には、のび太によく似た人間もいた。のび太は自分に似た人間たちについ肩入れし、その世界の神様となって彼らに力を貸してゆく。そして現代に近い時代、のび太に似た野美のび秀は、南極の大洞窟探検に出発する。そして彼らが目にしたものは、なんと地球の中の空洞に広がる、昆虫人による大文明だった。
昆虫人らは、この新地球では昆虫が進化するはずが、のび太が意図的に人類を進化させたため、昆虫は地底に隠れ住んでいた、と主張する。昆虫人たちは地上へ進出し、地上世界を取り戻そうとしていた。このままでは地上は戦火に覆われてしまう。果たして、新世界の運命の行方はいかに。
[編集] 舞台
のび太がドラえもんのひみつ道具「創世セット」で作り出した、もうひとつの地球。現在の地球に良く似た地形で、よく似た歴史を辿っている。地上では人類が文明を築いているが、実は内部は空洞で昆虫人による文明が築かれている。この世界の太陽は本物より少しだけ小さいらしく、そのせいもあって30年に1度ほどの割合で異常気象に見舞われている。
[編集] ゲストキャラクター
[編集] 新地球人
のび太が作った新しい地球に住む人間。
- ノンビ(声:林原めぐみ)
- 石器時代ののび太に似た少年。スネ夫に似たスモやジャイアンに似たジモに苛められている。
- ノビ彦(声:林原めぐみ)
- 神話時代ののび太に似た兵士。スネ夫似のスネ若隊長に命じられ、神への生贄となったジャイアン似の少女・ジャイ女(ジャイめ)を見張る。
- ヒメミコ(声:巴菁子)
- 神話時代、村を支配している老婆の巫女。白神様へ少女を生贄にせよとの神の御告げを申し渡す。元ネタは卑弥呼。
- 王弟(声:加藤治)
- ヒメミコの弟。ヒメミコの御告げを外に伝える役目をしている。
- 野比奈(声:辻村真人)
- ノビ彦の子孫で、平安時代頃の薬草売りの老人。スネ夫似の都一の薬師・スネ麻呂に仕える。貧しいが優しい心を持つ。ジャイアン似の長者に多数の穀物の借りがある。ある事をきっかけに莫大な財産を手に入れる。恐妻家。
- スネ子(声:山田恭子)
- スネ麻呂の娘。紅葉狩りで迷子になる。
- 源頼光(声:稲葉実)
- 実在の人物。侍たちの大将。紅葉狩りの際に迷子になったスネ麻呂の娘・スネ子の捜索と山に住む鬼の退治の為山狩りを決行する。原作では小太りの中年だが、映画では凛々しい外見の男性。
- 野美のび秀(声:井上和彦)
- 野比奈の子孫で、野比奈が遺した富をもとに築かれた野美コンツェルンの社長。出木松博士を資金援助し、南極の大洞窟への探検に挑む。
- 出木松博士(声:速水奨)
- 出木杉に似た科学者。気球で南極点通過を成し遂げて南極点の大穴を発見した後、のび秀と共に南極探検に挑む。
- 源 しず代(声:玉川紗己子)
- しずかに似たのび秀の秘書。一流の登山家でもあり、のび秀たちの探検に同行する。
[編集] 昆虫人
新地球の地底空洞に文明を築き上げた昆虫人類たち。学名は「ホモ・ハチビリス」。姿は蜂に似ているが、人間たちとコンタクトを取る際は人間そっくりに変身できる。彼らの文明は人類を遥かに上回っている。ドラえもんとのび太が5億年前に行った進化作業の際に、昆虫の祖先が進化退化放射線源の光を浴びたのが切っ掛けで、人類と同時に昆虫の進化が始まった。
ハチから進化した昆虫人ホモ・ハチビリスが主流派だが、他にもカマキリやクワガタムシに似た昆虫人もいる。なお、地底空洞には、地上のような草や花はなく、コケや巨大なキノコなどが生えている。
- チュン子(声:こおろぎさとみ)
- カブトムシのような昆虫人の少女。怪我をしたところを野比奈に助けられ、そのお礼に財宝を授ける。後に地底世界で似たような昆虫人が登場する。
- 男女(声:中村大樹、伊藤美紀)
- 山に住むホモ・ハチビリスの昆虫人。チュン子の世話をしてくれた野比奈に、財宝を授けた。
- 大統領(声:村松康雄)
- 昆虫人ホモ・ハチビリスの大統領。探検に訪れたのび秀と会見し、地上進出を宣言する。原作では人間に擬態している時は白髪で老年のような姿だが、映画の姿は原作よりも若い。
- ビタノ(声:林原めぐみ)
- 昆虫人ホモ・ハチビリスの大学生で、大統領の息子。古生物学の卒業論文で、地球誕生の経緯の研究をしている。彼らの使うタイムマシンは青虫のような形をしている。
- エモドラン(声:山田恭子)
- 未来から訪れ、ビタノの面倒を見ている昆虫型ロボット。ドラえもんに似ているが、体は緑色で、鼻やヒゲがなく、背中に昆虫のような翅がある。原作でのビタノの「(タイムマシンは)まだないよ。22世紀に発明されるんだ」と言う台詞から、ビタノが使用しているイモムシ型タイムマシンも、元々はエモドランが用意した物である可能性が高い。
- 神の幻影(声:大塚明夫)
- 南極大陸でのび秀たちの飛行船の前に現れ、警告を発した神様のような幻影。正体はホモ・ハチビリスの昆虫人たちが多数集まって構成した幻影である。
- 昆虫人(声:大滝進矢)
[編集] その他
- タイムパトロール隊員(声:秋元羊介、掛川裕彦)
- 昆虫人たちのタイムマシンを追跡した。時空間の支流を知らなかったため、昆虫人が突然消えたことに驚いていた。
- 運転手(声:岸野一彦)
- 未来デパートの商品配送タイムマシンの運転手。のび太のところに「創世セット」を届けた。
- 本屋(声:田口昂)
- のび太が創世神話を立ち読みしていた本屋の店主。のび太の他に立ち読みしている者もいたにもかかわらず、立ち読みをしていたのび太を追い出した。
[編集] 登場した秘密道具
- タイムマシン
- 創世セット
- ベースマット
- フワフワリング
- コントロールステッキ
- 宇宙の元
- タケコプター
- UFOカメラ
- モニター
- 神様雲
- つかみ取りバズーカ―
- 進化退化放射線
- 翻訳コンニャク
- 木材磁石
- 伝書バット
- おとりロボット
- バショー扇
- エアコンボール
- 無敵矛と盾
- スペアポケット
- フエルミラーコンパクトタイプ(原作のみ)
- タイムテレビ(映画のみ)
- 石ころぼうし
- どこでもドア
- お医者さんカバン
- 植物改造エキス
- 訪ね人ステッキ
- ゴーゴーカザグルマ
- 正体スコープ
- タイムふろしき(原作のみ)
[編集] スタッフ
- 製作総指揮・原作・脚本:藤子・F・不二雄
- 作画監督:富永貞義
- 美術設定:沼井信朗
- 美術監督:森元茂
- 撮影監督:高橋秀子
- 特殊撮影:渡辺由利夫
- 編集:岡安肇
- 録音監督:浦上靖夫
- 監修:楠部大吉郎
- 音楽:菊池俊輔
- 効果:柏原満
- プロデューサー:別紙壮一、山田俊秀、小泉美明、木村純一
- 監督:芝山努
- 演出:塚田庄英、平井峰太郎
- 美術レイアウト:川本征平
- 制作協力:藤子プロ、ASATSU
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ『ドラえもんのうた』
- 作詞:楠部工、作曲・編曲:菊池俊輔、唄:山野さと子(コロムビアレコード)
- エンディングテーマ『さよならにさよなら』
- 作詞:武田鉄矢、作曲:千葉和臣、編曲:藤原いくろう、唄:海援隊(ポリドール)
[編集] 原作と映画の相違点
- 原作でのび太は小さい子供から絵本を借りて、創世神話のことを知るが、映画では本屋で立ち読みをしている。
- 映画ではジャイアンは珍しく短パンを履いている。
- 映画ではスネ夫は溶けた風船が肥料になると説明している。
- 原作ではのび太の両親がのび太に自力で宿題をさせようと話し合うシーンがあるが、映画には無く、あくまでどんな進み具合か聞く程度。
- 映画ではのび太に「地球を作っている」と聞かされたママとパパが「地球儀を作っている」と解釈する。また、「そろそろ恐竜が出る頃」と言う台詞はアニメの話と解釈する。
- スネ夫のお礼の品に問題があると言ったジャイアンは原作ではその場で思いついて新曲をマイクで直接歌っているが、映画では予め用意したラジカセで流してる。また、新曲と謳いつつも映画で流れた曲はいつもの『おれはジャイアンさまだ』。
- 原作ではドラえもんが「恐竜にそんな事(のび太が創造主である事)を言ってもわかんない」と恐竜に追いかけられながら言っているが、映画では宇宙に出てから言っている。
- 映画ではのびたが恐竜のことを日記に書いた絵が実際に登場している。原作ではドラえもんから「トカゲか?」と言われるが、映画では「お化けみたい」とまで言われている。
- 原作ではジャイアンが渡した漫画の中に共同研究を申し出る手紙が入っているが、映画では漫画を即座に返そうとした為に手紙があったのかは不明。
- 漫画がトラックに乗って行ったのは原作ではドラえもんが投げた為だが、映画ではうっかり落とした為。
- 原作ではノンビ達に伝書バットを渡しに行く役割をジャンケンで決めたが、映画では初めに世界を作ったと言う事で無条件にのび太に決まる。
- 白神の読み方は原作では「しらかみ」で映画では「しろかみ」。
- 生贄の女性の住む家は、原作では一軒家だが、映画では山村にある。
- 原作では白神の岩屋まで一日掛かりで行ったが、映画ではその日の夜に着いている。従って、途中の食事のシーンもタイムマシンで戻るシーンも無い。
- 生贄の女性に食事を勧めるのが、原作ではノビ彦だが、映画では他の兵士。
- 原作のみ、新地球の気象などの設定が詳しく語られる。
- 原作のみ白神に矛を突き立てるも、通じないと言う描写がある。また、原作と映画で盾のデザインが違う。
- 原作では生贄の女性は布をかぶってるが、映画では仮面になっている。
- のび太がドラえもん達と別行動を取ると決まった時、原作のみフエルミラーで神さまセットを増やす描写がある。また、原作ではドラえもんがのび太の行動を怒っている。
- 原作ではノビ彦の子孫をノビ彦の髪の毛のDNA情報を頼りにUFOカメラで探すが、映画ではタイムテレビですぐに発見する。
- 野比奈がのび太の干渉を「仏様の思し召し(御蔭)」と言ってのび太が不機嫌になる描写は原作も映画も同じだが、映画ではのび太の「神さまのおかげ!」と言う台詞を野比奈が聞いて、空耳かと混乱するシーンがある。
- 昆虫人間が擬態した鬼は、原作では布切れ一枚と言う日本風の姿だが、映画では中国風の鎧を着ている。また、映画では喋らない。
- 原作のみ鬼退治に向かった人間達が森の火事でボロボロになる。
- スネ子は原作では寝ている所を発見される(発見された後も寝ている)が、映画では川の辺で泣いている所を発見され、少し薄汚れていた。
- ホモ・ハチビリスは原作では人間よりも大分小さい身体であり、擬態時のみ人間サイズになる。映画では昆虫形態の時も人間サイズ。
- 原作では飛行船は実際に撃ち落とされる(後にタイムふろしきで修理)。映画では撃ち落されるシーン、及びその後の地上が侵攻される様子が映し出されるが、これらは全て映像であった。
- 昆虫人が第三の地球に移住すると言う案を、原作ではドラえもん達が大統領に軽く提案するが、映画ではビタノが「ここに移住しよう」と話し、大統領も理想の社会を築く決意を語る。
- 原作ではのび秀達との別れのシーンでのび秀が「皆に神さまの事を伝える」と言ってのび太に「いえ、忘れてください」と言われる。映画ではのび太達も飛行船に乗って地下世界から出るが、特に別れの挨拶は無く、飛行船を見送りながらのび太が「もう神様は必要無いね」と創世を締め括る台詞を言う。
- ラストシーンにて原作ではしずか以外の全員が昼寝をする間も無く創世日記を仕上げる事に不満を漏らすが、映画ではのび太だけで、ドラえもんもスネ夫もジャイアンも乗り気。また、スタッフロールでは創世日記の全ページが映し出され、最後は先生から「大変よくできました」との評価を得ている。
[編集] その他
- 新地球の近代世界において、昆虫人が地上人への攻撃手段として地上に大地震(=関東大震災)を起こそうとするというエピソードも考えられており、撮影もされたが、その頃に発生した阪神・淡路大震災の影響を考慮してカットされた[1]。なお、新地球では、東京に相当する都市は「京東」。
[編集] 出典
- ^ 「QuickJapan」64号、太田出版、2006年
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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