ドラえもん のび太と竜の騎士
『ドラえもん のび太と竜の騎士 』(ドラえもんのびたとりゅうのきし)は、月刊コロコロコミック1986年11月号から1987年3月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を原作にして1987年3月14日に公開された映画作品。大長編、映画ともにシリーズ第8作。地底世界を舞台に、恐竜人をモチーフにした作品。
大長編の連載は当初は1986年8月号から予定されていたが、作者の体調不良と静養のため上記の号までずれ込んでいる。
映画版の監督は芝山努。配給収入15億円、観客動員数310万人。同時上映は『プロゴルファー猿 甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!』と『オバケのQ太郎 進め! 1/100大作戦』。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
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[編集] 概要
- 物語序盤ではスネ夫が恐竜の存在を否定しようとする展開で進行し、大長編には珍しくスネ夫が話の中心になっている。また、以前に「アフリカを衛星写真で調べたことがある」と『ドラえもん のび太の大魔境』の話の後に起こったことが示唆されている。
- 序盤でスネ夫が行方不明になるが、主要メンバーの1人が行方不明になり、残りのみんなが助けに行くことから冒険が始まる展開は大長編初であり、後のシリーズにも受け継がれている(『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』のしずか、『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』のドラえもんなど。なお、のび太は冒険途中で行方不明になることが多い)。
- 地底人による祖先の恐竜の大絶滅を阻止しようとする計画「大遠征」をのび太らが知り、人類の祖先を滅ぼすのではという誤解から(恐竜の大絶滅を阻止したら哺乳人類は誕生できなくなるため充分な脅威であるという見解もあるが)地底人とは対立の様相を呈する。
- 地底人とは話し合いで和解し、終始一貫している悪役が存在しない作品(一部文献では彗星が敵ということになっている)。
[編集] あらすじ
恐竜が今でも生き残っていると言い張って、スネ夫らに笑い者にされたのび太は、ドラえもんのひみつ道具「○×うらない」でも「地球上に生き残っている恐竜はいない」と判定されてがっかりする。
ところが、多奈川で巨大な生物を発見したスネ夫は、それが恐竜ではないかという疑問にかられてすっかり動転してしまい、挙げ句の果てにノイローゼになってしまう。一方、のび太は0点の答案を隠すためにひみつ道具の「どこでもホール」を使い、地底にある大空洞を発見する。のび太とドラえもんは、しずかやジャイアン、スネ夫と一緒に地底の大空洞を秘密の遊び場にするが、スネ夫だけが仲間からはぐれて地底に取り残されてしまう。
壊れた「どこでもホール」の代わりに多奈川の河底から再び地底に入り込んだのび太たちは、河童そっくりな地底の野蛮人ナンジャ族に捕まってしまう。あわや地底人の生贄にされそうになったところで、竜の騎士バンホーが彼らを救い出す。地上で滅亡した恐竜は地底で生き残り、トゥロオドン(旧名:ステノニコサウルス)から進化した恐竜人(ディノサウロイド)は高度な文明を築き上げていたのだ。バンホーの案内で、地底国の首都エンリルに保護されていたスネ夫と再会したのび太たちだったが、武装した竜の騎士たちが不穏な計画を立てていることを知る。
[編集] 舞台
- 恐竜と恐竜人が暮らす広大な地底の空洞世界
- アメリカ大陸の地下に存在する首都エンリルを中心に祭政一致の文明を築く地底人の王国。24時間周期で活動する光る苔によって昼夜が存在する大地底空間で、大陸と呼称する空間で恐竜から進化した恐竜人が生活している。地下100キロメートルの位置に存在するという。
- 恐竜人たちは神に対する信仰心の篤い者多く、風習は中世を思わせる。だが歴史の中で数多くの発明と発見を繰り返し、そのテクノロジーは現時点での地上技術より数世代分飛び出ている。一方で文明から取り残されたナンジャ族のような原始人に近い生活を送っている者もいる。
- 前述した大陸と大陸を隔てる地層およびマグマ層の移動には、地磁気動力の次元転換船を利用する。陸上ではオルニトミムス型恐竜の引っ張る馬車や、磁気を動力とする鉄道など、排気ガスを出さないものとなっており環境に配慮した作りになっている。その他、医療技術に関してはレントゲンや伝染病の調査など徹底しており、まれに地上人が地底に来た際には帰還時の記憶消去を実施するなどしている。
- 地底世界の片隅には、恐竜人から「聖域」と呼ばれる直方体の空間があり、6500万年前の大絶滅の際、一部の恐竜がこの「聖域」に避難して生き延び、進化を遂げたという。
[編集] ゲストキャラクター
- バンホー (声:堀秀行)
- 勇敢で心優しい恐竜人の騎士。恐竜を御している時は兜をかぶっている。下洞穴で迷子になったスネ夫を救助する。ラジコンを改造するなど、電子工学の知識がある。任務上ドラえもんたちと対立する運びとなるが、最後には和解する。
- ロー (声:神代智恵)
- バンホーの妹。地帝国にいる間、のび太たちのガイドを引き受ける。
- 祭司長 (声:大塚周夫)
- 恐竜人が崇める神の祭司長。法王の部下(代理)として「大遠征」計画を実施する責任者である様子で、遠征にも同行した。
- 軍団長 (声:田中信夫)
- バンホーが所属する竜の騎士団を率いる長。「大遠征」計画の前線指揮官。
- 法王 (声:巖金四郎)
- 恐竜人の長で、称号名は法王。ロー曰く「神様におつかえするえらい人」。
- 部長(声:北村弘一)
- 訊問官(声:加藤正之)
- ドラえもんたち地上人の訊問をした。
- 地底人(声:北川米彦、田の中勇、広中雅志、堀川亮、柴本広之、柏倉つとむ)
- 男の子(声:小粥よう子)
[編集] スタッフ
- 原作・脚本:藤子・F・不二雄
- 音楽:菊池俊輔
- レイアウト:本多敏行
- 作画監督:富永貞義
- 美術設定:川本征平
- 美術監督:沼井信朗
- 録音監督:浦上靖夫
- 整音:中戸川次男
- 効果:柏原満
- 撮影監督:斎藤秋男
- 特殊撮影:三沢勝治(J.S.C)
- プロデューサー:別紙壮一、小泉美明、波多野正美
- 監督:芝山努
- 原画:大塚正実、一川孝久、堤規至 他
- 制作協力:藤子スタジオ、旭通信社
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] 登場するひみつ道具
- ○×うらない
- どこでもホール
- 日光ゴケ(映画での名称はピッカリゴケ)
- 岩細工セット(大長編のみ)
- インスタントルームセットお湯つき(映画のみ)
- どこでも蛇口(大長編のみ)
- るす宅警報テレビ
- バギーカー
- 夢風鈴
- 水中酸素あめ(映画での名称はタント酸素アメ)
- ミニ探検隊セット
- タケコプター
- 救いの手(大長編のみ)
- ほんやくコンニャク
- 通り抜けフープ
- こけおどし手投げ弾
- 風雲ドラえもん城
- みせかけの武器
- 天地逆転オイル
- ポップ地下室
- シミュレーションホログラム
- 桃太郎印のきびだんご
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ『ドラえもんのうた』
- 作詞/楠部工、作曲・編曲/菊池俊輔、うた/大杉久美子(コロムビアレコード)、セリフ:大山のぶ代/ドラえもん
- エンディングテーマ、挿入歌『友達だから』
- 作詞/武田鉄矢、作曲/山木康世、編曲/菊池俊輔、うた/大山のぶ代、森の木児童合唱団
- ※後に『ザ☆ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!』でカバーされ(所謂セルフカバー)、主題歌に使用される。
- 挿入歌『あした・あさって・しあさって』
- 作詞/高田ひろお、作曲・編曲/菊池俊輔、うた/小原乃梨子、森の木児童合唱団
[編集] 大長編の制作背景
恐竜が大好きであった藤子・F・不二雄は、かつて執筆した「のび太の恐竜」に続き、恐竜を題材とした長編の執筆に意欲を抱いた。そしてこのストーリーにエピソードとして、彗星衝突による恐竜滅亡説、恐竜人ディノサウロイドを盛り込むことにした[1]。
藤子は恐竜の大絶滅の原因として彗星衝突説を先に知り、絵にもなりストーリーもドラマティックになるという理由で本作にと入り入れた[2]。しかし、後から考えると隕石衝突説の方が有力だったと思うようになったという[3]。
対談によれば、地底人については、1982年にカナダの古生物学者デール・ラッセルが提唱したディノサウロイドの写真を雑誌で見て、地底人のデザインの参考にしたという[3]。デザインとしてモチーフにしたとの明言はないが、このディノサウロイドより作品のインスピレーションを得たということについては、別の著書においても語られている[4]。
また本作は、なにかかっこいいタイトルをということで『のび太と竜の騎士』として連載を開始したが、連載3回目くらいまでこの竜の騎士が善玉であるか悪玉であるかさえも決めておらず[5]、物語の結末も連載の半ば辺りまで決まっていなかった[6]。
[編集] 大長編と映画の相違点
- ドラえもんが『ドラえもん のび太の大魔境』のことを話題にしない。
- ママとのび太の会話時に○×うらないが反応する。
- スネ夫が河原で首長竜に会った後、ジャイアンに出会わない。
- スネ夫の家に恐竜が出た時、パパが登場しない。
- いくら0点取っても隠し場所に困らないというシーンがない。
- 大長編で登場する「日光ゴケ」はスプレー状だが、映画で登場する「ピッカリゴケ」は袋に入ってる。
- 地底世界に部屋を作るときに使った道具が違う(大長編では岩細工セット、映画ではインスタントルームセットお湯つき)。
- どこでも蛇口が登場しない。
- 大長編で神成さんがどこでもホールをゴミ捨て場に捨てるシーンがカットされている。
- 「どこでもホール」は大長編では神成さんに壊されるが、映画では子供たちが転がしてトラックに轢かれて壊されている。
- 大長編ではスネ夫はママに2泊3日と言っていたが、映画では3泊となっている。
- 映画では川に潜るのが明け方になってる。
- 水中酸素あめがタント酸素アメになってる。
- 水中から出た後「ピッカリゴケ」を使用している。
- ティラノサウルスに追いかけられるとき原作ではいろいろと道具を出すが、映画では出さない。
- 大長編では転んだのび太を助けようと救いの手を出すが、映画では出さない。
- ナンジャ族に関する説明がカットされており、「ナンジャ族」という単語自体も映画内では出てこない。これは前作の競争本能と同様。
- 首都エンリルに着くのに一日かかってる。
- 大長編にはワンワンとないて火をはく恐竜が登場する(のび太は「ちっちゃなゴジラ」と言った)が、映画版では鎖に繋がれ火は吐かず、外見も変わっている。
- のび太が地底世界の天井に頭をぶつけた時に付いた「日光ゴケ」をドラえもんが不思議がるという地底世界誕生に関する伏線は、映画版では描かれていない。
- 大長編では森の中でナンジャ族に捕まるが。映画では渓谷の洞窟の中で捕まる。
- 大長編では天地逆転オイルが両手で抱えるほどのサイズだが映画では片手で持てるサイズになってる。
- 映画では地下室が北海道ぐらいとなってる。
- 映画のラストでスネ夫が自分のラジコンのことを思い出す。またのび太が自分のテストは送らなくていいと言ってる。
- 大長編のラストでは、送られてきた0点の答案をママが見てのび太が逃げ出すシーンが、映画では変更されている。
[編集] 出典
[編集] 参考文献
- 藤子・F・不二雄、1989、『藤子・F・不二雄まんがゼミナール』、小学館.
- 藤子・F・不二雄、2000、『藤子・F・不二雄のまんが技法 (改題・文庫版)』、小学館 ISBN 4-09-404331-4.
[編集] 外部リンク
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