ドラえもん のび太と竜の騎士

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ドラえもん のび太と竜の騎士』(ドラえもん のびたとりゅうのきし)は、月刊コロコロコミック1986年11月号から1987年3月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を原作にして1987年3月14日に公開された映画作品。大長編、映画ともにシリーズ第8作。地底世界を舞台に、恐竜人をモチーフにした作品。

大長編の連載は当初は1986年8月号から予定されていたが、作者の体調不良と静養のため上記の号までずれ込んでいる。

映画版の監督は芝山努配給収入15億円、観客動員数310万人。同時上映は『プロゴルファー猿 甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!』と『オバケのQ太郎 進め! 1/100大作戦』。

解説[編集]

藤子不二雄名義としては最後のドラえもん映画作品。恐竜が大好きであった藤子・F・不二雄は、かつて執筆した『のび太の恐竜』に続き、恐竜を題材とした長編の執筆に意欲を抱いた。そしてこのストーリーにエピソードとして、彗星衝突による恐竜滅亡説、恐竜人ディノサウロイドを盛り込むことにした[1]

藤子は恐竜の大絶滅の原因として彗星衝突説を先に知り、絵にもなり、またストーリーもドラマティックになるという理由で、本作に取り入れることにした[2]。しかし、後から考えると隕石衝突説の方が有力だったと思うようになったという[3]

地底人については、1982年にカナダの古生物学者デール・ラッセルが提唱したディノサウロイドの写真を雑誌で見て、地底人のデザインの参考にしたという[3]。デザインとしてモチーフにしたとの明言はないが、このディノサウロイドより作品のインスピレーションを得たということについては、別の著書においても語られている[4]

また本作は、なにかかっこいいタイトルをということで『のび太と竜の騎士』として連載を開始したが、連載3回目くらいまでこの竜の騎士が善玉であるか悪玉であるかさえも決めておらず[5]、物語の結末も連載の半ば辺りまで決まっていなかった[6]

物語序盤ではスネ夫が恐竜の存在を否定しようとする展開で進行するなど、大長編には珍しくスネ夫が話の中心になっている。また、以前に「アフリカを衛星写真で調べたことがある」と『のび太の大魔境』の話の後に起こったことが示唆されている。

序盤でスネ夫が行方不明になるが、主要メンバーの1人が行方不明になり、残りのみんなが助けに行くことから冒険が始まる展開は大長編初であり、後のシリーズにも受け継がれている(『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』のしずか、『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』のドラえもん、『ドラえもん のび太の宇宙漂流記』のスネ夫とジャイアンなど。なお、のび太は冒険途中で行方不明になることが多い)。

地底人による祖先の恐竜の大絶滅を阻止しようとする計画「大遠征」をのび太らが知り、人類の祖先を滅ぼすのではという誤解から地底人と対立するものの最終的には話し合いで和解し、終始一貫している悪役が存在しない作品である。ただし、一部文献では彗星が敵ということになっている。

コロコロコミックでの大長編連載時に通常連載のドラえもんが休載する形となったのは本作からである。

あらすじ[編集]

恐竜が今でも生き残っていると言い張って、スネ夫らに笑い者にされたのび太は、ドラえもんのひみつ道具○×うらない」でも「地球上に生き残っている恐竜はいない」と判定されてがっかりする。

ところが、多奈川で巨大な生物を目撃したスネ夫は、それが恐竜ではないかという疑問にかられてすっかり動転してしまい、挙げ句の果てにノイローゼになってしまう。一方、のび太は0点の答案を隠すためにひみつ道具の「どこでもホール」を使い、地底にある大空洞を発見する。のび太とドラえもんはしずかジャイアン、スネ夫と一緒に地底の大空洞を秘密の遊び場にするがスネ夫が地底で迷子になり、その後で「どこでもホール」が不祥事で壊れてしまう。

しかし多奈川の河底から地底への入口があると知り、再び地底へ入り込むがそこでのび太たちは、河童そっくりな地底の野蛮人ナンジャ族に捕まってしまう。あわや地底人の餌にされそうになったところで竜の騎士バンホーが彼らを救い出す。地上で滅亡したと思われていた恐竜は地底、すなわち「地球上」ならぬ「地球内」に生き残り、トゥロオドン(旧名:ステノニコサウルス)から進化した恐竜人(ディノサウロイド)が高度な文明を築き上げていたのだった。バンホーの案内でのび太たちは地底国の首都・エンリルで保護されていたスネ夫と再会したが、首都観光の最中にのび太が乗った恐竜の暴走によってみんなからはぐれてしまう。そして偶然に入り込んでしまった施設でのび太は武装した竜の騎士たちが不穏な計画を立てていることを知ってしまうのだった。

舞台[編集]

恐竜と恐竜人が暮らす広大な地底の空洞世界
アメリカ大陸の地下に存在する首都エンリルを中心に祭政一致の文明を築く地底人の王国。24時間周期で活動する光る苔によって昼夜が存在する大地底空間で、大陸と呼称する空間で恐竜から進化した恐竜人が生活している。地下100キロメートルの位置に存在するという。
恐竜人たちは神に対する信仰心の篤い者多く、風習は中世を思わせる。だが歴史の中で数多くの発明と発見を繰り返し、そのテクノロジーは現時点での地上技術より数世代分飛び出ている。一方で文明から取り残されたナンジャ族のような原始人に近い生活を送っている者もいる。
前述した大陸と大陸を隔てる地層およびマグマ層の移動には、地磁気を動力に利用した次元転換船を利用する。陸上ではオルニトミムス型恐竜の引っ張る馬車や、磁気を動力とする鉄道など、排気ガスを出さないものとなっており環境に配慮した作りになっている(閉鎖された地底空洞の世界であるため排気ガスを出す動力を極力避ける方向で発展してきた)。その他、医療技術に関してはレントゲンや伝染病の調査など徹底しており、まれに地上人が地底に来た際には帰還時の記憶消去を実施するなどしている。
地底世界の片隅には、恐竜人から「聖域」と呼ばれる直方体の空間があり、6500万年前の大絶滅の際、一部の恐竜がこの「聖域」に避難して生き延び、進化を遂げたという。

ゲストキャラクター[編集]

バンホー
- 堀秀行
勇敢で心優しい恐竜人の騎士で、恐竜を御している時などは兜をかぶっている。騎士団の中でも一定の地位を築いているようで、部隊を率いる立場にある。また普段は地下空洞の巡視なども行っており、その過程で地下洞窟で迷子になっていたスネ夫を発見し救助したりもした。この他、ラジコン飛行機を改造するなど、電子工学の知識も持っている。
任務上ドラえもんたちと対立する運びとなるが、最終的には真実を知って和解する。
ロー
声 - 神代智恵
バンホーの妹。地帝国にいる間、のび太たちのガイドを引き受ける。
祭司長
声 - 大塚周夫
恐竜人が崇める神の祭司長。法王の部下(代理)として「大遠征」計画を実施する責任者である様子で、遠征にも同行した。
軍団長
声 - 田中信夫
バンホーが所属する竜の騎士団を率いる長。「大遠征」計画の前線指揮官。地上人を敵視していた。
法王
声 - 巖金四郎
恐竜人の長で、称号名は法王。ロー曰く「神様におつかえするえらい人」。
部長
声 - 北村弘一
訊問官
声 - 加藤正之
ドラえもんたち地上人の訊問をした。
ナンジャ族
声 - 北川米彦田の中勇広中雅志堀川亮柴本広之柏倉つとむ
ドラえもんたちが地底で最初に出会った部族で頑固に文明を拒否する乱暴な性格。狩猟民族であり恐竜狩りを行う。言語も一部描写された。映画では名前は登場しない。
男の子
声 - 小粥よう子

登場するひみつ道具[編集]

スタッフ[編集]

原画
池ノ谷安夫 窪田正史 大塚正実 一川孝久 木村陽子 飯山嘉昌
堤規至 斉藤文康 原博 徳田悦郎 生野裕子 若山佳治
数井浩子 西岡哲夫 鈴木玲子 徳田益男 斉藤哲人 徳田幸子
土肥一宏
協力
オーディオ・プランニング・ユー アトリエ・ローク 旭プロダクション
トミ・プロダクション 亜細亜堂 アニマル屋
スタディオ・メイツ スタジオ古留美 竜の子アニメ技術研究所
スタジオ・タージ スタジオ・キャッツ スタジオ九魔
井上編集室

主題歌[編集]

オープニングテーマ - 「ドラえもんのうた
作詞 - 楠部工 / 作曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 大杉久美子コロムビアレコード) / セリフ - 大山のぶ代ドラえもん
エンディングテーマ・挿入歌 - 「友達だから」
作詞 - 武田鉄矢 / 作曲 - 山木康世 / 編曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 大山のぶ代、森の木児童合唱団
後に『ザ☆ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!』でカバーされ、主題歌に使用される。
挿入歌 - 「あした・あさって・しあさって」
作詞 - 高田ひろお / 作曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 小原乃梨子森の木児童合唱団
エンディングのスタッフロールでは無表記。

出典[編集]

  1. ^ 『まんが技法』 pp.154 - 158
  2. ^ 『まんが技法』 p.176
  3. ^ a b 『ドラえもんふしぎ探検シリーズ 恐竜大探検』における藤子・F・不二雄と小畠郁生との対談
  4. ^ 『まんが技法』 p.168
  5. ^ 『まんが技法』 p.166
  6. ^ 『まんが技法』 p.174

参考文献[編集]

  • 藤子・F・不二雄、1989、『藤子・F・不二雄まんがゼミナール』、小学館
    • 藤子・F・不二雄、2000、『藤子・F・不二雄のまんが技法 (改題・文庫版)』、小学館 ISBN 4-09-404331-4

外部リンク[編集]