ドラえもん のび太の大魔境

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ドラえもん
のび太の大魔境
監督 西牧秀夫
脚本 藤子・F・不二雄
原作 藤子・F・不二雄
製作 シンエイ動画テレビ朝日小学館
出演者 レギュラー
大山のぶ代
小原乃梨子
野村道子
たてかべ和也
肝付兼太
音楽 菊池俊輔
主題歌 岩渕まことだからみんなで
撮影 小池彰、鈴木明子
編集 井上和夫、坂本雅紀
配給 東宝
公開 日本の旗 1982年3月13日
上映時間 91分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 12.1億円
前作 ドラえもん のび太の宇宙開拓史
次作 ドラえもん のび太の海底鬼岩城
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ドラえもん のび太の大魔境』(ドラえもん のびたのだいまきょう)は藤子・F・不二雄によって執筆され、月刊コロコロコミック1981年9月号から1982年2月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を元に1982年3月13日に公開されたドラえもん映画作品。大長編、映画ともにシリーズ第3作。

同時上映は『怪物くん デーモンの剣』『忍者ハットリくん・ニンニン忍法絵日記の巻』。

また、2014年に本作のリメイク作品である、『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』が公開された。

解説[編集]

アフリカの秘境にある犬の王国「バウワンコ王国」を舞台に、ドラえもん、のび太らの活躍を描いた作品。犬の王国が舞台ということで、本作ではペコたち犬の異人類が登場する。大長編ドラえもんの題材として、地球において人間のいる地上とは隔絶された地域で異進化を遂げた人類とその世界での冒険が何度か取り上げられるが、その観点では本作が最初となる。作中でも犬の進化について進化論を基にした科学的な説明がなされており、サイエンス・フィクションとしての性質も持っている。

大長編および映画としては出木杉が初登場する。出木杉は冒険に参加することはないものの、本作の冒頭部分でヘビー・スモーカーズ・フォレストについてドラえもんとのび太に解説。以降の登場作品でも、出木杉は冒頭部分でのび太達や読者・視聴者に知識を解説する役割を果たす。原作連載当時はアメリカ合衆国ソビエト連邦冷戦の最中であり、出木杉は「アメリカとソ連が人工衛星を打ち上げまくってる」と話をしている。

映画版であると、いじめっ子ではなく、いいところを見せるジャイアンが、当映画において、その部分を発揮しており、第二の主役として、大活躍をする。

藤子・F・不二雄は「作品の出来はいい」としたものの、「私の世界を理解していない。監督を変えてほしい」とシンエイ動画楠部三吉郎に指示した。その為、次作より監督が芝山努に変更された[1]

後作『ドラえもん のび太と竜の騎士』は本作の後に起こった話であることが示唆されている。

あらすじ[編集]

春休み。胸躍るような大冒険を求めて、のび太たちは偶然拾った野良犬・ペコを引き連れ、謎の巨神像があるというヘビー・スモーカーズ・フォレストへやって来た。ひみつ道具が少ない中で数々の危機を潜り抜けた末に彼らが辿り着いたのは進化した犬の国・バウワンコ王国。そしてペコはその国の王子・クンタックだった。

しかし、王国はダブランダー大臣に支配され、禁断の古代兵器を用いての外界侵略が始まろうとしていた。クンタックと一緒にいた、ドラえもんたちはおたずね者として指名手配され、似顔絵が貼り出されてしまう。

クンタックの亡き父王の親衛隊長・ブルススによれば、王家には「王国が危機に陥った時、10人の外国人が巨神像の力をもって国を救う」という言い伝えがあるという。外国人はのび太たち5人しかいないものの、一同はこの危機を打開するため、巨神像の所に向かう。

舞台[編集]

ヘビー・スモーカーズ・フォレスト
アフリカにあるザイール(現・コンゴ民主共和国)のコンゴ盆地に存在する秘境。英語で「タバコ好きの森」を意味する名前の通り、上空が常に霧で覆われており、衛星写真でも全く撮影のできない現代の秘境である。ドラえもんのひみつ道具である小型人工衛星の透視機能によって、その内部に謎の巨神像が存在することが初めて確認された。
バウワンコ王国
ヘビー・スモーカーズ・フォレストの奥にある王国。周囲全体を深い谷に囲まれ、絶えず濃い霧に包まれている特殊な地形によって外界から隔離されており、その中ではサル目でなくイヌ科が人間のように進化し、王国を築き上げた。その歴史は5千年にも及び、人間界の古代ローマに似た文化を持つ(ただし、使役用の家畜として馬ではなく大型のツチブタが飼われているなど、若干の違いはある)。王国が成立した5千年前にはすでに「火を吐く車」「空飛ぶ船」(現在の戦車爆撃機に相当すると見られる兵器)といった強力な兵器が開発されていたらしいが、平和主義者であった初代国王バウワンコ1世の政策によって軍事研究が一切禁止され、その代わりに王国の守り神として巨神像が造られたという。それから5千年後の現在、悪大臣のダブランダーによるクーデターで軍事政権が誕生し、再軍備と外界(人間世界)の征服を目論んでいる。
なお、ダブランダーも含めてこの国の住民たちは外界(人間世界)についての知識が全くないらしく(ペコも国の外へ出るまでは人間世界の存在を全く知らなかったと語っていた)、ダブランダーに仕える兵士はのび太たち人間を「サル」と呼んでいて、ドラえもんのことは「タヌキ」と呼んでいた(余談だがアフリカにタヌキは生息していない、にもかかわらず外の世界のことを知らないはずの兵士がなぜタヌキを知っていたのかは不明)。

声の出演[編集]

ゲストキャラクター[編集]

ペコ(クンタック王子)
- 清水マリ
のび太がいつもの空き地で拾った野良犬。見た目は普通の白い小型犬だがその正体はバウワンコ王国の王子で前国王であるバウワンコ108世の息子。文武に長け、優しさと勇敢さを兼ね備えていて責任感も強く、民衆からの人望も厚い。悪大臣ダブランダーのクーデターにより前国王の父が暗殺され、自身も生き埋めにされかけるもトラブルによって国外へ流れ着き、人間界の船に乗って日本にたどり着いた。のび太のママが落とした大事なバッグを発見したことで動物嫌いのママから唯一受け入れられた。人間界の中で普通の犬として振る舞いながらドラえもんたちを国へと導き、無事に帰国。首にぶら下げているペンダントは巨神像のホログラムを映し出す。正体を明かした後はのび太やドラえもんだけでなくジャイアンとも厚い友情で結ばれ、彼らの助けを借りてダブランダーの野望を阻止するべく活動を始める。正体を明かしてからは基本的に真面目で凛々しい王子であり、剣の名手でもあるが所々抜けていたりする。「ペコ」という名前は正体を知らないのび太が「ずっとハラペコだったから」と付けたもの。事件解決後は、民衆からの歓迎と祝福の下、新国王「バウワンコ109世」として正式に即位した。
チッポ
声 - 杉山佳寿子
バウワンコ王国の幼い犬。両親を含めた村人全員が兵器製造に駆り出されたために孤独となり、空腹に耐え切れずにダブランダーの兵士の弁当を盗み食いし、追われているところをペコに助けられた。その後はのび太たち一行を荷車の中に隠して彼らを巨神像へ案内するなど、兵士たちの目を盗んで手助けをした。事件解決後は両親や村人たちと共に元の村へ帰った。
ブルスス
声 - 村瀬正彦
バウワンコ108世の親衛隊長だった戦士。王国一の怪力を誇ると言われ、バウワンコ108世とペコ(クンタック王子)に絶対の忠誠を誓っている信頼厚い重臣であった。ダブランダーたちに捕まり投獄されていたが、ドラえもん達の手によって救出される。巨神像へ向かうペコとドラえもん達をダブランダーの追っ手から逃がすため、身を挺して追っ手の兵士たちと戦った。事件解決後はバウワンコ109世となったペコの親衛隊長として復帰した模様。
スピアナ姫
声 - 栗葉子
バウワンコ王国の王女でペコの婚約者。ダブランダーの手で王宮の奥に軟禁され、ダブランダーの妻になるよう執拗に迫られながらも消息を絶ったペコ(クンタック王子)の生存を信じ、彼の帰還を待ち続けている。事件解決後はバウワンコ109世となったペコの王妃になった模様。
ダブランダー大臣
声 - 滝口順平
バウワンコ王国の大臣で、王国支配の野心に燃える策謀家。王国代々の掟に背いて外の世界(人間界)への侵略を企んでおり、そのために邪魔な存在であった前国王のバウワンコ108世を暗殺した上、自らが新たな国王を名乗って民衆を強制労働に駆り出し、5千年にわたって開発を禁止されていた古代兵器「火を吐く車」「空飛ぶ船」の大量生産に乗り出している。しかし独裁者同然の武力による弾圧的な政策を強行しているために民衆からの人望はなく、ペコやドラえもん達を捕らえるよう賞金までかけて民衆に命令しても誰1人協力しなかったほどで兵士の1人も独り言で「今の王様は人気がないからな」とつぶやいていた。原作では巨神像の攻撃によって崩れ落ちた石材の下敷きになり気絶するという結末を迎えたが、映画では巨神像に追い回された末にペコ(クンタック王子)の怒りを込めた剣によって王冠を頭の毛もろとも切られ敗北した。
コス博士
声 - 永井一郎
ダブランダーに仕える闇の科学者。外の世界(人間界)への侵略を企んでいるダブランダーの命令により、5千年前の古代兵器「火を吐く車」「空飛ぶ船」(どちらも機体は木造。「空飛ぶ船」はプロペラで飛行する)を再現した。王国に伝わる伝説や歴史にも詳しく、ドラえもんたちが目指す最終目的地を見抜いて待ち伏せし、彼らを巧妙に追い詰めるなど、ダブランダーの参謀的役割も果たしている。戦闘の場では空飛ぶ船の船団を率いてドラえもん達を襲ったが、巨神像の攻撃により船を破壊され、あえなく敗北した。
サベール隊長
声 - 柴田秀勝
ダブランダーの親衛隊長を務める隻眼の戦士。ダブランダーの命令により兵士たちを総動員して、ペコやドラえもん達を捕らえるために執拗な追跡を行っていた。その剣の腕は凄まじく、原作では持った者を剣の達人にするひみつ道具「秘剣電光丸」を持ったのび太とも互角の戦いをした末に階段から転落したが、映画ではのび太ではなくペコと巨神像の歯車の上で戦い(のび太はサベールの部下と戦っていた)、剣の対決には勝利するも歯車が動き始めたことにより歯車から転落していった。その後の消息は描かれていない。
侍女
声 - 麻生美代子
スピアナ姫の世話係をしている年配の女性。民衆の噂でペコ(クンタック王子)の帰還を知り、そのことをスピアナ姫に伝えた。
村長
声 - 田中康郎
アフリカのジャングルにある村の長。村人達と共に川でワニに襲われそうになったドラえもん達を助けた。
ドラえもん達にバウワンコの神について教えるが、ジャイアンが神を怒らせる様な言動を口にしたため、ドラえもん達を災いを招く者として村から追い出した。
兵士
声 - 二又一成島田敏郷里大輔佐藤正治松岡文雄

登場ひみつ道具[編集]

  • 自家用衛星
  • 壁紙犬小屋
  • 六面カメラ
  • どこでもドア
    • 原作では空き地に置いたままだったため神成さんにゴミと勘違いされて焼かれてしまうが、映画ではワニの大群に噛み砕かれて壊されてしまった。
  • 出前電話
    • 探検ムードをぶち壊してしまうという理由で使用されなかった。
  • 植物改造エキス
    • 料理のアンプルを注射すると、その料理の入った木の実ができる。
  • 植物改造注射
    • 植物の形状を改造できる。
  • 猛獣さそいよせマント 
  • 即席エレベーター
  • 桃太郎印のきびだんご
  • スモールライト
  • ショックガン
  • スーパー手袋
  • 時差修正マシン(原作のみ)
  • 探検ごっこ用船
  • ほんやくコンニャク
    • 原作ではドラえもんがこれを食べて原住民の言葉を通訳しているが、映画では酋長に食べさせている。
  • キャンピングハット
  • 電車ごっこロープ
    • 原作ではドラえもんが山登りのために出したが、のび太とスネ夫に「幼稚園児じゃあるまいし!」と反対される。
  • 重力ペンキ
  • さかのぼりボート
  • 通りぬけフープ
  • かべがみハウス
  • 先取り約束機
  • タケコプター
  • ひらりマント(映画のみ)
    • 未来のドラえもんが背中につけていて名前も登場しないため、実際はひらりマントかは不明。
  • 空気砲
  • “電光丸”
    • 原作での電光丸の呼称は「秘剣」だが、映画では「名刀」に変更。
  • マジックハンド(原作のみ)
    • 原作では巨神像の目玉を外すのに使用しているが、映画では額の窓から外を見ているため登場しない。

※植物改造エキスは「I」と「II」があり、「I」は「植物改造エキス」、「II」は「植物改造注射」と呼ばれている。

スタッフ[編集]

  • 原作・脚本 - 藤子・F・不二雄
  • レイアウト - 椛島義夫
  • 作画監督 - 富永貞義
  • 美術監督 - 川本征平
  • 撮影監督 - 小池彰、鈴木明子
  • 録音監督 - 浦上靖夫
  • 音楽 - 菊池俊輔
  • 監修 - 楠部大吉郎
  • プロデューサー - 別紙壮一、菅野哲夫
  • 監督・絵コンテ - 西牧秀夫
  • 演出助手 - 高須賀勝巳
  • 動画チェック - 中山晴夫
  • 色設計 - 若尾博司 
  • 仕上監査 - 益子かおる、三橋曜子
  • 特殊効果 - 土井通明
  • 美術補 - 沼井信朗
  • 編集 - 井上和夫、坂本雅紀
  • 効果 - 柏原満
  • 文芸 - 水出弘一
  • 制作担当 - 佐久間晴夫
  • 制作デスク - 田村正司
  • 制作進行 - 加藤勝、藤沢一夫、田中敦、井上修、生嶋真人、吉岡大、川口亘
  • 制作協力 - 藤子スタジオ、旭通信社
  • 制作 - シンエイ動画小学館テレビ朝日

主題歌[編集]

オープニングテーマ・挿入歌「ドラえもんのうた
作詞 - 楠部工 / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大杉久美子コロムビアレコード
のび太の恐竜』から挿入歌としても使用されているが、今回は3番が流れる。また、映画のラストでドラえもんたちが駆け出すシーンでこの曲のイントロが使用されている。このラストは後作『のび太の魔界大冒険』まで続いた。
エンディングテーマ「だからみんなで
作詞 - 武田鉄矢 / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 岩渕まこと(コロムビアレコード)
『のび太の魔界大冒険』のビデオ・DVD版の主題歌は、この曲に差し替えられている。

リメイク[編集]

映画34作目として、同作品のリメイク『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』が2014年3月8日に公開された。監督は八鍬新之介、脚本は清水東が担当。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「ドラえもん」への感謝状 楠部三吉郎著 小学館

外部リンク[編集]