ドラえもん のび太とふしぎ風使い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ドラえもん
のび太とふしぎ風使い
監督 芝山努
脚本 岸間信明
原作 藤子・F・不二雄
製作 シンエイ動画テレビ朝日小学館
出演者 レギュラー
大山のぶ代
小原乃梨子
野村道子
たてかべ和也
肝付兼太
ゲスト
かないみか
愛河里花子
山口奈々
音楽 堀井勝美
主題歌 またあえる日まで/ゆず
編集 岡安肇
配給 東宝
公開 日本の旗 2003年3月8日
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 25.4億円
前作 ドラえもん のび太とロボット王国
次作 ドラえもん のび太のワンニャン時空伝
テンプレートを表示

ドラえもん のび太とふしぎ風使い』(ドラえもん のびたとふしぎかぜつかい)は、2003年3月8日に公開されたドラえもん映画作品。および、岡田康則(藤子・F・不二雄プロ)によって漫画化され、『月刊コロコロコミック』2003年2月号から3月号に掲載された大長編ドラえもんシリーズの作品。映画シリーズ第24作、大長編シリーズ第23作(まんが版映画シリーズ6)。

同時上映は『Pa-Pa-Paザ★ムービー パーマン』。

解説[編集]

登場するキーキャラクターである「フー子」は、小学館〈てんとう虫コミックス〉『ドラえもん』第6巻に収録の短編「台風のフー子」を原案としている。しかし、作品の舞台、設定などは完全なオリジナルとなっており、封印を解くためのアイテム、ボスの存在などファンタジー、RPG的な要素が強い作品である。

ドラえもん のび太の大魔境』と同様に、物語の舞台は現代の地球上の秘境とされている(ただし地球上のどこにある秘境かは明かされていない点が大魔境の場合と異なる)。秘境のキャラクター達の名称や服装など、アジアモンゴルチベットあたりを秘境のモデルとしている。

ドラえもん のび太と銀河超特急』と同じくスネ夫が敵に体をのっとられ悪役になる。だが、登場当初から「フー子」をのび太から奪おうとしたりと、他のレギュラーキャラクターたちと異なる不穏な行動を取っており、悪の心から目を覚ました後も、村人から悪人と誤解され逆に悪役からは崇拝されるなど、終始スネ夫の扱いが特異である。

制作当時、のび太役の声優・小原乃梨子の長年飼っていた猫が危篤に陥っており、のび太がフー子を失う場面では、小原はフー子に愛猫の姿を重ねて号泣していたという[1]。結局その猫は本映画の初日舞台挨拶の後に亡くなったことから、小原はのび太がフー子の最期に呼びかける姿は自分そのものだといい、本映画を『ドラえもん のび太の恐竜』と並んで印象深い作品だと語っている[1]

本作と次作『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』の主題歌は、映画上映までにTVシリーズで使われたエンディングテーマを選抜する形となっており(当初からTVシリーズと劇場版両方での使用を前提にしていたかは不明)、担当歌手が声優としても出演している(本作ではゆず)。

この作品より制作方法がセル画からデジタルアニメへ移行した。また、作画監督が『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』以来担当し続けてきた富永貞義から渡辺歩へと交代となり、キャラクターのタッチも大きく変化した。渡辺は総作画監督を担当。作画監督は加来・金子・藤森・柳田の4人が担当している。なお、富永は併映作の『Pa-Pa-Paザ★ムービー パーマン』の作画監督を担当している。また、音響も本作からドルビーデジタル・サラウンドEXに変更されている。

公開当時、試写会用に間に合わせで作成された未完成版と、その後完成した正式版とが混同して全国で上映されていた。未完成版と正式版との違いが顕著にみられるのは、作品後半でストームが正体を現し飛行船に乗って後方へ退くシーン。正式版はハッチを閉めながら退くが、未完成版は編集ミスによりハッチが開いたまま退き、突然ハッチが閉まるようになっている。併映作品『Pa-Pa-Paザ★ムービー パーマン』も同じく未完成版と正式版の2パターンが混同して上映されていた。こちらの方が両者の違いが明確である[要出典]

劇中で登場する巨大凧「ドラ・で・カイト」は、本作の公開を記念して実際に畳40畳分の巨大凧として製作され、東京武蔵野市の「武蔵野カイトフェスティバル」に参加して話題となった[2]

雑誌『藤子・F・不二雄★ワンダーランド ぼくドラえもん』の誌上で開催された特集記事「ドラえもんなんでもランキング 輝け! ドラデミー大賞」の映画部門ではベスト作品賞グランプリを受賞[3]

あらすじ[編集]

台風一過の朝、のび太は台風の子供と出会い、フー子と名付けて可愛がる。ある日、広い草原でフー子と遊ぼうと、どこでもドアで出かけた。しかし、崖の不思議な洞窟に吸い込まれ、違うところに出てしまう。そして不思議な「風の村」に行き着き、テムジン少年たちと知り合う。そこでは風と共に生きる風の民と、風の力を悪用する嵐族が対立していた。

嵐族は古代の風の怪物マフーガを復活させることを企み、そのためにフー子を奪おうとする。しかも突然スネ夫が豹変し、嵐族の陣頭に立って風の民を襲い始める。スネ夫に何が起きたのか。嵐族が狙うフー子の秘密とは何か。風の大平原を舞台に、のび太たちの新たな冒険が始まる。

舞台[編集]

風の民の村
風を操り風と共に生きる「風使い」と呼ばれる人々が暮す村。地形はチベットを、住民の服装はモンゴルを思わせる。険しい岩山と強い風により外界からほぼ隔絶された地域にあるため、その存在は知られていない。ただし外界との交流が全く無かったわけではなく、大航海時代には大きな帆船に必ず風使いが乗り込み、風を操って航海を助けていたという。
また、風を扱って生きる風の民の影響なのか、生物も独自の進化を遂げており、周辺には「風獣」という、風を利用して生きる動物が多数生息している。
マフーガ島

:赤道付近に位置する島。赤珠と封印の剣が眠る。付近に赤道無風帯がある。島の中心には今にも噴火しそうな活火山がある。

ゲストキャラクター[編集]

フー子
- かないみか
黄色い玉から生まれたのび太を慕う台風の子供。暖かい空気が食料で冷たい空気が苦手。自分に触れた物が風で飛ばないようにひみつ道具の「フリーサイズぬいぐるみカメラ」で作ったぬいぐるみ[注 1]に入っている。その正体はマフーガを封印した時に分けられた三つの玉の一つである。最後は単身でマフーガに激突し、両者ともに消滅した。
フー子が入っているぬいぐるみの色は、コロコロコミック掲載の最初の予告では薄いピンク色だったが、その後オレンジ色へと変更された。
テムジン
声 - 愛河里花子
風の村に住む風使いの少年で、村の少年たちのリーダー的存在。のび太たちと共に嵐族に立ち向かう。由来はチンギス・ハーンの幼名テムジンから。
スン
声 - 西原久美子
テムジンの妹。嵐族に襲われたところをドラえもんたちに助けられる。
テムジンとスンの母
声 - 山口奈々
トムジン、ヤムジン、クンジン
声 - 佐藤ゆうこ北川悠仁岩沢厚治
テムジンの友人達。名前はトムヤムクンから。
ゆずの北川と岩沢がゲスト出演している。
カンジン
声 - 秋元羊介
長老
声 - 穂積隆信
風の村の長老。風の民を率いて嵐族の野望に立ち向かう。
ストーム
声 - 屋良有作
風の村の侵攻を企む嵐族の族長。マフーガを復活させるべく、フー子に秘められた力を狙っている。その正体は、未来(22世紀)から来た考古学者で本作の真の黒幕である。ドラえもんが自分と同じく未来から来た事に気付き、ネズミの幻覚を見せて気絶したドラえもんからポケットを奪い、どこでもドアも破壊した。ウランダーにマフーガを復活させた後、彼を四次元ペットボトルに吸収させて始末し、マフーガに地上の全てを破壊させた後、自らの手で新世界を構築し、その王になる事を目論む。しかし、マフーガがフー子に倒され、自身もタイムマシンで逃亡した所をテムジンと共に追ってきたジャイアン(漫画版ではドラえもん)の放った空気砲で撃墜され、最後はタイムパトロールに逮捕された。時空犯罪者の登場は『のび太の南海大冒険』のMrキャッシュ以来である。
嵐族
声 - 田中一成高戸靖広堀之紀広瀬正志小関一稲葉実
ストームの手下達。ウランダーに忠誠を誓い風の村を襲撃したり、マフーガを復活させようと協力する。その後、ストームに見捨てられるが風の民に助けられ、マフーガを倒すべく苦戦するフー子に協力する。ちなみに小柄の部下は宴会に酔っている際、ドラえもんの四次元ポケットを帽子と勘違いして被っている。
ウランダー
声 - 小林清志
嵐族の邪悪な呪術師だが、現在は実体を持たず霊魂の姿となっている。かつて風の民の長ノアジンの力で封印されたが、ストームの手により復活し、スネ夫の体を乗っ取る。その後、自らの手でマフーガを復活させるがその直後にストームに用済みと見なされ、四次元ペットボトルに吸収されてしまった。
ヤーク
声 - 小林修
白い毛をしたヤクに似た生物で風の村では山神と崇められている。年齢は数千歳。相手の心に話すことができマフーガとフー子に纏わる伝承をのび太に語る。
ゴラド
青い玉から生まれたフー子と同じ風の子供でマフーガの一部。フー子とは対照的に凶暴な性格をしている。映画では名前は登場しない。
マフーガ
ウランダーの呪術により生み出され、はるか昔に封印された巨大な風の怪物。竜のような姿をしていて、超大型の台風を伴う。ウランダーの霊によってインド洋と思しき場所で復活する。
タイムパトロール隊長
声 - 中庸助
TVアナウンサー
声 - 渡辺宜嗣
オオカミ
風の村に生息する狼。復活したウランダーによって体を乗っ取られた。その後、スネ夫の体に乗り移られ姿を消すが、漫画版ではウランダーに引き連れられ風の村に戻る。

マフーガの伝説[編集]

作中でヤークが語ったマフーガの伝承。
はるか昔から風を利用して生活する風の民と風を使って世界を支配しようとする嵐族は対立していた。そして嵐族の呪術師ウランダーは自身の呪術を使いマフーガを生み出した。マフーガは40日間、暴れまわったが風の民の長ノアジンが封印の剣を持ってマフーガとウランダーに挑み遂にウランダーを倒しマフーガは三つに分断しそれぞれ赤色、青色、黄色の玉に閉じ込められた。そして青色と黄色い玉はウランダーの遺体と共に風の村に封じられ最も邪悪な赤い玉は竜の頭の形をした島(原作ではマフーガ島)に封印の剣によって封印された。その後、マフーガ復活の予言を記したペンダントが嵐族によって作られた。

登場するひみつ道具[編集]

  • フリーサイズぬいぐるみカメラ
  • なんでも分析機
  • どこでもドア
  • タケコプター
  • ドラ・で・カイト
  • 風がっせんてぶくろ(原作のみ)
  • 竜巻ストロー(映画のみ)
  • 風がっせんバット(原作のみ)
  • お祭り団扇(映画のみ)
  • こけおどし手投げ弾(映画のみ)
  • お化けつづら
  • 四次元ペットボトル
  • タイムマシン
  • 空気砲
  • ビッグライト

スタッフ[編集]

原画
尾鷲英俊 丸山宏一 山森英司 大杉宜弘 柴田和子 小柳信行
山崎絵里 志田晴美 山崎猛 末吉裕一郎 池田和美 上野真里子
吉岡忍 篠原真紀子 大城勝 大久保修 松井理和子 鈴木大司
浅野文彰 六崎光幸 佐藤卓志 杉江敏治 粉川剛 赤城博昭
道旗義宣 田中敦子 青山浩行 矢野雄一郎 増田敏彦 赤城由高
長浜博史 村田耕一 川添博基 原田峰文
協力
京都アニメーション 亜細亜堂 テレコムアニメーションフィルム
夢弦館 OH!プロダクション スタジオ忙画社
アニメーションDo Ani Village アニメTORO TORO
無錫馬良動画有限公司 東京アニメーションセンター スタジオ・タージ
アトリエ・ローク アニメフィルム ライトフット
岡安プロモーション フィズサウンド クリエイション

主題歌[編集]

オープニングテーマ - 「ドラえもんのうた
作詞 - 楠部工 / 作曲・編曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 山野さと子コロムビアミュージックエンタテインメント
エンディングテーマ - 「またあえる日まで
作詞 - アドベンチャーキャンプの子供たちと北川悠仁 / 作曲 - 北川悠仁 / 編曲 - 寺岡呼人・ゆず
歌 - ゆず(セーニャ・アンド・カンパニー

キャッチコピー[編集]

  • 風のドラえもん、はじまる。
  • 風が友だちを運んできた。

参考文献[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ モデルはのび太の部屋にあったマンガの表紙のキャラクターから作られた。
  2. ^ a b 「原作」としてクレジットされている藤子・F・不二雄は「キャラクター原作」程度の意味で用いられている。原案となった作品を描いた者ではあるが、この映画作品の原作者ではない。また、ここでの「原作作画」は漫画版を執筆した岡田康則をさすものであり、やはりこの映画作品の原作者ではない。

出典[編集]

  1. ^ a b 『藤子・F・不二雄★ワンダーランド ぼくドラえもん』12巻、11頁。
  2. ^ ドラえもん、大空へと羽ばたく! 「ドラ ・ で ・ カイト」 in 武蔵のカイトフェスティバル”. 東宝 (2003年1月19日). 2010年9月20日閲覧。
  3. ^ 塚原正廣編 『藤子・F・不二雄★ワンダーランド ぼくドラえもん』第7号 小学館、2004年、8-9頁。

外部リンク[編集]