サル目

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サル目[1]
Primates
生息年代: サネティアン現世
Yakusaru monkey.JPG
ヤクシマザル Macaca fuscata yakui
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: サル目(霊長目) Primates
学名
Primates L.1758
亜目下目

サル目(サルもく)は脊椎動物亜門 哺乳綱の1目。霊長目(れいちょうもく)とも呼ばれる[2]キツネザル類オナガザル類類人猿ヒトなどによって構成され、約220種が現生する。

生物学的には、ヒトはサル目の一員であり、霊長類(=サル類)の1種にほかならないが、一般的には、サル目からヒトを除いた総称を「サル」とする。

目次

[編集] 分布

(以下の記述はヒトを除いたサル目の種に関するものである)

熱帯系の動物であり、その分布は熱帯域に集中する。東アジアには温帯域まで分布する種があり、特にニホンザルは最も北に分布するサルとして有名である。曲鼻猿亜目及びメガネザル類アジアアフリカの熱帯域、広鼻猿類中南米の熱帯、類人猿を含む狭鼻猿類アジアアフリカの熱帯域から温帯域の一部にかけて分布している。ヨーロッパにはほとんど棲息せず、ジブラルタル海峡ごしにバーバリーマカク1種が棲息するのみである。また、北アメリカにも分布しない。

[編集] 形態

体重100g以下のコビトガラコ (Galago demidovii) から、200kgを超すゴリラまで、多様な種が属している。

サル目は、哺乳類としては比較的基本的な体制を維持している。などには大きな特殊化は起こっていない。その中で、サル類を特徴づけるのは、以下のような点である。

  • 5本のをもち、親指が他の4本と多少とも対向しているため、物をつかむことができる。
  • 前肢と後肢の指の爪は、ヒトを含めた狭鼻下目のすべての種ではすべての指の爪が平爪である。曲鼻猿亜目と広鼻下目の一部では平爪のほかに鉤爪をそなえる種もある。
  • の正面に位置しており、遠近感をとらえる能力に優れている。

これらの特徴は、樹上生活において、正確に枝から枝に飛び移るために不可欠な能力である。多くの樹上性の哺乳類では、鉤爪を引っかけて木登りをするが、サル類の平爪はこれをあきらめ、代わりに指で捕まるか引っかかるかする方向を選んだものである。また、それが指先の器用さにもつながっている。

  • 色覚を有し、緑色のの間から、さまざまな色をした果実などを見つけるのに有利になっている。

また、

  • 頭部の前方に眼が並び、その面がやや平らになって顔面を形成する。往々にしてこの部分には毛がなく、皮膚が露出する。
  • 大脳がよく発達する。

そして個体間で表情や声によって互いに情報交換をするものが多い。

[編集] 生態

曲鼻猿類はキツネザル類に昼行性が多いのを除けば夜行性がほとんどだが、直鼻猿類はメガネザル類と広鼻猿に属するヨザル類を除いてほぼ全てが昼行性である。生活環境は樹上生活から地上生活まで幅広い。

食性も昆虫食、果実食、草食など、多岐にわたる。ただし、全体としてみれば、樹上性のものが多い。地上性のものはそこから派生したと考えられる。

[編集] 分類

「霊長」という言葉において、霊は魂や幽霊という漢字そのものの意味より、優れたもの、不思議な力を持っているという意味が強い。つまり、これはヒトや、ヒトを含むサルの仲間を、動物の進化の最終形態とする認識から付けられた名前である。英語名のPrimateも、大主教や最高位を意味する単語であり、やはり同様の観点から付けられた名前である。

かつては、比較的「原始的」なキツネザル類・ロリス類・メガネザル類をまとめて「原猿類原猿亜目)」 Prosimii、それ以外のいわゆるサルらしいサルを「真猿類真猿亜目)」 Anthropoidea, Simiiformes としていたが、研究の進展により、メガネザルがいわゆる原猿類の他のグループよりも真猿類により近いことが判明した。このことから、現在ではキツネザル類・ロリス類をまとめて「曲鼻猿類(曲鼻猿亜目、曲鼻類、曲鼻猿亜目)」、メガネザル類を含むその他の霊長類を「直鼻猿類(直鼻猿亜目、直鼻類、直鼻亜目)」と呼び、正式な分類体系では、「原猿類」という名称は用いなくなっている[3]

PrimatesTreeJa.svg

[編集] 曲鼻猿亜目(曲鼻亜目) Strepsirrhini

[編集] 直鼻猿亜目(直鼻亜目) Haplorhini

(ヒト科の分類については、最近多様な意見が提出され、研究者の間でも意見の一致を見ていない)

[編集] 種の保全状態評価

[編集] 進化

真主齧上目
Euarchontoglires
真主獣大目 Euarchonta



サル目 Primates



プレシアダピス目 Plesiadapiformes




ヒヨケザル目 Dermoptera




ツパイ目 Scandentia



グリレス大目 Glires

ネズミ目 Rodentia



ウサギ目 Lagomorpha




1990年代ごろまでは現存生物種(ゴリラやチンパンジー)からの類推にて霊長類の起源がアフリカであるとの説が一般的であったが、最新の研究によると霊長類の起源はアジアであることが分かってきた(Beard)。

なお霊長類の最古の化石は、白亜紀末期の北アメリカ西部から発見されており、プレシアダピス類(偽霊長類)と呼ばれる。このように、霊長類の進化は約6500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている[4]。霊長類は、尿酸アラントインに分解する尿酸オキシダーゼが失活して偽遺伝子となっている。霊長類以外の哺乳類は尿酸オキシダーゼの活性を有している[5]

新生代に入り暁新世になるとアダピス類とオモミス類が繁栄した。いずれもまだ原始的な種類で、アダピス類は後の曲鼻猿類に、オモミス類が直鼻猿類に進化したと考えられる。彼らはヨーロッパと北アメリカに分布したが、北アメリカの霊長類は絶滅し、旧世界を舞台に霊長類の進化は進んだ。曲鼻猿類の一部は海によって他の大陸から隔絶されていたマダガスカル島にアフリカから進出し(恐らくは流木等に掴まっての漂着)、キツネザル類に進化していった。

その後、直鼻猿類が中新世にはアジア・アフリカに住む狭鼻猿類と南アメリカの広鼻猿類とに分かれる。上述のように北アメリカの猿類は絶滅したので、南米の広鼻猿類の祖先はアフリカから渡って来たとの説が有力であるが(当時、アフリカ大陸と南米大陸は既に分裂していたが、両大陸間の大西洋は現在と比較すれば狭く、距離は近かった。そのため小型の猿類ならば流木等を使って漂着できた可能性がある)、北米の猿類の一部が絶滅前に南米に移動して進化した可能性も考えられる。

[編集] 人間との関係

[編集] 日本の霊長類研究

第二次世界大戦後、今西錦司らが宮崎県幸島(こうじま)および高崎山で野生ニホンザル群の餌付けに成功して以来、日本の霊長類研究は飛躍的な発展を遂げた。今西らのニホンザルの文化的行動についての研究は世界中から注目され、その後の霊長類研究の方向性に重大な指針を与えた。

その後もニホンザルにとどまらず、伊谷純一郎など多くの日本人が、ゴリラチンパンジーボノボなどの類人猿をはじめ、東南アジアからインドにかけてのオナガザル南米における新世界ザルなど、ほとんどすべてのサルを網羅したフィールドワークを行い、先導的な研究を続けている。

日本のサル学は生態学的研究だけでなく、社会学生理学遺伝学、形態学、運動学など多岐に渡り、主に京都大学大阪大学において今日も活発な研究がなされている。

[編集] 脚注

  1. ^ Groves, Colin (16 November 2005). in Wilson, D. E., and Reeder, D. M. (eds): Mammal Species of the World, 3rd edition, Johns Hopkins University Press, 111-184. ISBN 0-8018-8221-4.
  2. ^ 1988年文部省(現・文部科学省)による『学術用語集 動物学編』の改訂以降、前者の呼び方が正式とされている。ただし、この呼称改定は、必ずしも十分な議論と合意形成の上で決定されたものではなく、現在も議論を呼んでいる。哺乳類#目名の問題を参照。
  3. ^ 松沢哲郎・高井正成・平井啓久(2007)「霊長類学への招待」,京都大学霊長類研究所 編『霊長類進化の科学』京都大学学術出版会.ISBN 978-4-87698-723-8
  4. ^ http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitou/jyu/jyu.html
  5. ^ http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/deg_na.htm

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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