絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約
| ワシントン条約 | |
|---|---|
| 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 | |
| 署名 | 1973年4月3日 |
| 署名場所 | |
| 効力発生 | 1975年7月1日 |
| 現況 | 10 ratifications |
| 加盟政党 | 175[1] (2011年7月時点) |
| 寄託者 | |
| 言語 | Chinese, English, French, Russian and Spanish |
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ぜつめつのおそれのあるやせいどうしょくぶつのしゅのこくさいとりひきにかんするじょうやく、英:Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)とは、希少な野生動植物の国際的な取引を規制する条約である。条約が採択された都市の名称をとって、ワシントン条約(英:Washington Convention)、または英文表記の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれる。法令番号は昭和55年条約第25号。
目次 |
概要 [編集]
野生動植物の国際取引が乱獲を招き、種の存続が脅かされることがないよう、取引の規制を図る条約である。輸出国と輸入国が協力し、絶滅が危ぶまれる野生動植物の国際的な取引を規制することにより、これらの動植物の保護を図る(国内での移動に関して、制限は設けていない)。絶滅のおそれのある動植物の野生種を、希少性に応じて3ランクに分類、これらを条約の附属書I、IIおよびIIIに分けてリストアップし、合計約30,000種の動物を取引制限の対象としている。
絶滅の恐れのある野生動植物は、英語の呼称で「レッドデータアニマルズ」と呼ばれることもあるが、ワシントン条約の附属書リストに登録されている生物種は、国際団体や原産国によって、いわゆる「レッドデータブック」に登録されている種と必ずしも一致するわけではない。これは、この条約自体はレッドリスト作成・公表している国際自然保護連合(IUCN)とは直接的な関係がなく、あくまでも経済活動としての国際取引によって種の存続が脅かされる生物の種の保全を目的とするものであるためであり、経済生物として国際取引される生物のうち、種の絶滅が危惧される生物が選ばれているためである。そのため、いかに絶滅が危惧されていようとも、経済的な国際取引の対象となり得ない生物はこの条約の対象とはならない。また、条約により国際取引が規制されるのは動植物種の生体だけではなく、死体や剥製、毛皮・骨・牙・角・葉・根など生体の一部、およびそれらの製品も対象となる。
経緯 [編集]
1972年の国連人間環境会議において、「特定の種の野生動植物の輸出、輸入及び輸送に関する条約案を作成し、採択するために、適当な政府又は政府組織の主催による会議を出来るだけ速やかに招集すること」が勧告された。
これを受けて、米国政府および国際自然保護連合(IUCN)が中心となって野生動植物の国際取引の規制のための条約作成作業を進めた。 1973年3月3日にアメリカのワシントンD.C.で採択、締結国が10カ国になった1975年7月1日に発効。2008年3月現在、締約国は172か国。日本は1980年11月4日に締約国となった。
附属書I~III [編集]
附属書Iには、絶滅のおそれのある種で取引により影響を受ける種が掲げられる。そのため附属書Iに掲げられた種の商業目的のための国際取引が全面的に禁止される。ただし学術研究目的(主として動物園や大学などでの展示、研究、繁殖)のための取引は可能(輸出許可書・輸入許可書が必要)である。約900種。
附属書IIには、必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その種の存続を脅かすような利用を制限するために掲げられる。そのため附属書IIに掲げられた種の商取引の際には、輸出国の輸出許可書(その取引が種の存続を脅かすものではなく、また、その個体が適法に捕獲されたものであることを認めるもの)が必要となる。
附属書IIIは、各条約締約国が、世界的には絶滅のおそれが小さいがその国内では保護を必要とする場合、他の締約国に商業目的のための国際取引の禁止について協力を求めるものである。附属書IIIに掲げられた場合、輸出国の輸出許可書又は原産地証明書(附属書IIIの協力を求めた国以外である証明)等が必要である。
上記の動物について、特に附属書Iに属し、繁殖や研究目的で輸出入の許可を得たゴリラやチンパンジーといった類人猿のテレビ番組(多くは動物バラエティ番組)への出演について、飼育者である動物園が商業目的の疑いをかけられて問題になるケースが多い。
罰則 [編集]
条約そのものには罰則規定がないため、各加盟国が独自に条約運用のための法整備を行っている。日本では絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)がこれにあたる。
なお条約違反行為等に関しては、後述の締約国会議の下に常設委員会が設けられており、同委員会は締約国会合において採択された諸決議に即し、条約違反国に対する貿易制裁を締約国政府に勧告する権限を有している。同委員会の貿易制裁勧告措置が行われた場合、条約違反とされた大多数の国は同委員会勧告を受けて是正措置を講じており、環境条約の履行問題に対する一つの解決策を提示しているものと主張されている[2]。
締約国会議 [編集]
第11条により、締約国会議は2年に1回開催されることになっているが、実際には3年の間があいたことも何度かある。1992年の第8回締約国会議は日本で行われた。2010年3月13-25日にかけてカタールで開催された第15回締約国会議におけるタイセイヨウクロマグロの禁輸案の否決は、日本では「食卓の一大事」などと大きく報じられた[3]。
| 開催回 | 開催年 | 開催国 | 開催回 | 開催年 | 開催国 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 1976年 | 第9回 | 1994年 | |||
| 第2回 | 1979年 | 第10回 | 1997年 | |||
| 第3回 | 1981年 | 第11回 | 2000年 | |||
| 第4回 | 1983年 | 第12回 | 2002年 | |||
| 第5回 | 1985年 | 第13回 | 2004年 | |||
| 第6回 | 1987年 | 第14回 | 2007年 | |||
| 第7回 | 1989年 | 第15回 | 2010年 | |||
| 第8回 | 1992年 | 第16回 | 2013年 |
脚注 [編集]
- ^ “pdf Traités internationaux pour lesquels la Suisse assume les fonctions de dépositaire: Convention sur le commerce international des espèces de faune et de flore sauvages menacées d'extinction” (French). Federal Department of Foreign Affairs. 2011年7月20日閲覧。
- ^ Rosalind Reeve, Policing International Trade in Endangered Species: The CITES Treaty and Compliance (London: Earthcan, 2002)
- ^ 友清 哲,協力/プレスラボ (2010年3月31日). “経済・時事 News&Analysis【第162回】水産市場の「ドーハの悲劇」はこれから?禁輸否決でもマグロ騒動が終わらない理由”. ダイヤモンド・オンライン. ダイヤモンド社. 2010年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月16日閲覧。
関連項目 [編集]
- Category:ワシントン条約
- レッドリスト
- レッドデータブック (環境省)
- 絶滅危惧種
- 生物多様性
- 生物多様性条約
- ラムサール条約
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)
- 天才!志村どうぶつ園(オランウータンの「チカ」を起用していたがワシントン条約に抵触し降板)
- 狩猟
- 環境法令一覧 環境法 日本の環境と環境政策
- 銘木