尿酸オキシダーゼ

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尿酸オキシダーゼ
識別子
略号 UOX
Entrez 7377
HUGO 12575
OMIM 191540
他のデータ
EC番号 1.7.3.3
遺伝子座 Chr. 1 p22

尿酸オキシダーゼ(urate oxidase)または尿酸酸化酵素(にょうさんさんかこうそ)は、次の化学反応触媒する酸化還元酵素である。

構造[編集]

尿酸オキシダーゼは等しい4個のサブユニットからなるホモ四量体酵素で、それぞれの接合部分に計4ヶ所の活性部位がある。Aspergillus flavusの尿酸オキシダーゼは301のアミノ酸残基からなり、その分子量は33,438Daである。酸化酵素としては珍しく、金属イオンや有機補因子を持たない。

ヒトでの重要性[編集]

尿酸オキシダーゼはバクテリアから哺乳類に至るまで広範囲で見られ、その代謝的役割はその有機体の種類に依存する。しかし、ヒトでは尿酸オキシダーゼのための遺伝子を持っているにも関わらず機能はしていない。これは霊長類ヒト上科への進化の過程における突然変異が原因とされている。ゆえに、尿酸はヒトのプリン異化の最終生成物となっている。一方で、尿酸は強力な抗酸化物質であり、尿酸オキシダーゼタンパク質発現の欠損はヒト科の動物にとって有利であったとの考え方もある[1]

霊長類の進化は約6500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている[2]霊長目L-グロノラクトンオキシダーゼビタミンC合成酵素)の活性が失われたのは約6300万年前であり、直鼻猿亜目(酵素活性なし)と曲鼻猿亜目(酵素活性あり)の分岐が起こったのとほぼ同時である。ビタミンC合成能力を失った直鼻猿亜目にはメガネザル下目真猿下目サル類人猿ヒト)を含んでいる。ビタミンC合成能力を有する曲鼻猿亜目には、キツネザルなどが含まれる[3]

霊長類狭鼻下目であるヒト上科がオナガザル上科から分岐したのは、2800万年から2400万年前頃であると推定されている[4][5]。5種のヒト上科(テナガザルオランウータンチンパンジーゴリラヒト)の肝臓から尿酸オキシダーゼ活性は検出されなかったが、ヒト上科以外の旧世界のサルと新世界のサルでは尿酸オキシダーゼ活性が検出された。ヒト上科の共通の祖先が旧世界のサルから分枝した際に、尿酸オキシダーゼ活性が消失したものと推定される[6]。尿酸オキシダーゼ活性の消失の意味付けは、尿酸が抗酸化物質として部分的にビタミンCの代用となるためである[7]。しかし、ヒトを含むヒト上科では、尿酸オキシダーゼ活性の消失により難溶性物質である尿酸をより無害なアラントインに分解できなくなっている。尿酸が体内に蓄積すると結晶化して関節に析出して痛風発作を誘発する。

脚注[編集]

  1. ^ Ames BN, Cathcart R, Schwiers E, Hochstein P (November 1981). [http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=349151 “Uric acid provides an antioxidant defense in humans against oxidant- and radical-caused aging and cancer: a hypothesis”]. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78 (11): 6858–62. PMC 349151. PMID 6947260. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=349151. 
  2. ^ 高井正成 霊長類の進化とその系統樹 (霊長類の進化を探る)
  3. ^ Pollock JI, Mullin RJ (May 1987). “Vitamin C biosynthesis in prosimians: evidence for the anthropoid affinity of Tarsius”. Am. J. Phys. Anthropol. 73 (1): 65–70. doi:10.1002/ajpa.1330730106. PMID 3113259. 
  4. ^ サルとヒトとの進化の分岐、定説より最近か ミシガン大 AFPBB News 2010年07月16日
  5. ^ Nature2010年7月15日号
  6. ^ Friedman TB, Polanco GE, Appold JC, Mayle JE (1985). “On the loss of uricolytic activity during primate evolution--I. Silencing of urate oxidase in a hominoid ancestor”. Comp. Biochem. Physiol., B 81 (3): 653?9. PMID 3928241. 
  7. ^ Peter Proctor Similar Functions of Uric Acid and Ascorbate in ManSimilar Functions of Uric Acid and Ascorbate in Man Nature vol 228, 1970, p868.

関連項目[編集]