カフェイン

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カフェイン
カフェインの構造式
識別情報
CAS登録番号 58-08-2
KEGG D00528
特性
化学式 C8H10N4O2
モル質量 194.19
外観 白色結晶
密度 1.23, 固体
融点

238

出典
ICSC
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

カフェイン: caffeine英語発音: [kæˈfiːn] キャフィーン)は、アルカロイドの一種。プリン環を持つプリンアルカロイドの一種で、コーヒー類に含まれることからこの名がある[1]IUPAC名は 1,3,7-トリメチルキサンチン。

コーヒーコーラ緑茶紅茶ウーロン茶ココアチョコレート栄養ドリンクなどに含まれる。また、一部の医薬品にも含まれる。なお、茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつくためにその効果が抑制されることから、コーヒーのような興奮作用は弱く緩やかに作用する。 結晶は一水和物 (C8H10N4O2・H2O) もしくは無水物(無水カフェイン、C8H10N4O2)として得られる。白色の針状または六角柱状結晶で匂いはなく、味は苦い。昇華性がある。

1819年(一説には1820年)にドイツフリードリープ・フェルディナント・ルンゲによってコーヒーから世界で初めて単離された。分析化学者であったルンゲに、コーヒーの薬理活性成分の分離を勧めたのはゲーテであったと伝えられている[2]

作用[編集]

カフェインの作用

主な作用は、中枢神経を興奮させることによる覚醒作用及び強心作用、脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果[3]、脳細動脈収縮作用、利尿作用などがある。医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるが、副作用として不眠、めまいがあらわれることもある。。

多くの人がコーヒーや緑茶などからカフェインを日常的に摂取しているが、過剰な摂取は健康に害をおよぼすことが知られている。カフェインは法的に禁止・制限された薬物ではないが、脳神経系に作用するものである。そのため、限度を超えた摂取や投薬中・妊娠中のカフェインの摂取に関しては医者の指示を仰いだ方がよい。

覚醒作用[編集]

不眠症がある場合には、カフェイン摂取は制限するか控えることが望ましい。

身体的作用[編集]

利尿作用があるため、コーヒー等カフェインを多く含む飲料は水分補給としての効果が薄い。

カフェインは一時的に頭痛を止める働きがある一方で、常用するとかえって頭痛が起こりやすくなる。これは、カフェインの脳血管収縮作用により頭痛が軽減される[4]ためで、時間の経過とともにこの血管収縮作用が消えると反動による血管拡張により頭痛が生ずることがある。

カフェインの常用で血圧が4〜13mmHgほど上昇する可能性も報告されている[5]。カフェインはエストロゲンの分泌を亢進させる働きがあるため、乳腺症などのエストロゲンによる症状がある場合、カフェインの摂取を控えることで症状が改善する場合がある。また、カフェインは一部の薬とも相性が悪く、薬物代謝酵素の一種であるCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジンフルボキサミンオランザピンなど)との併用では中枢神経作用が強く出現することがあり、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。これは、カフェインがCYP1A2を阻害するとともに、カフェインの代謝はCYP1A2及びモノアミン酸化酵素により行われることに起因する。コーヒーや紅茶と一緒に薬を飲んでいけないと言われている理由は主にここにある。

カフェインの摂り過ぎは骨を弱くする[6]

依存と耐性[編集]

カフェインを繰り返し摂取すると、身体的依存精神的依存が発生するとされる。またカフェインの作用(特に自律神経への働き)は、使用していくごとに効果が減少し、これは薬物耐性とされる。いくつかの作用(全てではない)への耐性はすぐに形成され、特にコーヒーやエネルギードリンクの常用者には顕著である[7]。一部のコーヒー飲用者では、カフェインの覚醒効果には耐性が出来ているが、それ以外の人には形成されてない[8]

離脱症状[編集]

カフェインの離脱症状には、頭痛、短気、集中欠如、疲労感、不眠、胃・上半身・関節の痛みなどがある。カフェイン摂取の中断してから12-24時間後に発生し、ピークはおよそ48時間後で、通常は2-9日間で収まるとされる[9]。離脱性頭痛は、カフェインを一日平均235mg摂取していた人の場合、中断後の2日目で52%が経験する[10]。長期間のカフェイン摂取者の場合、離脱時症状は抑うつ、不安、胃腸不快感、筋肉痛、カフェイン摂取欲求などが報告されている。経験者の知識・助言・サポートなどは離脱の助けになるであろう。

カフェイン離脱症状はDSM-5において精神疾患に分類されている[11]。過去の版ではカフェイン中毒は含まれていたが、離脱は含まれていなかった。

薬理[編集]

カフェインは、クモに作用し、巣作りに影響を及ぼす(下写真)

カフェインはアデノシン受容体に拮抗することによって、覚醒作用を示す。また、メチルキサンチン誘導体に共通の活性として、ホスホジエステラーゼの非選択的な阻害作用があり、細胞内cAMP濃度の上昇を引き起こす。これにより、心筋収縮力の増大、気管支平滑筋の弛緩、脳細動脈の収縮のような交感神経興奮様作用を示す。これらの作用の結果、血管拡張により糸球体濾過量 (GFR) が増大し、さらに尿細管での水分の再吸収の抑制により利尿作用を現わす。また膀胱括約筋に取り付いてその作用を抑制しているアデノシンの働きをカフェインが妨害するために頻尿になるという説もある。さらに、cAMPの濃度の増大は胃酸を産生する細胞では、プロトンポンプを活性化し、胃酸分泌を亢進する。また、わずかではあるが骨格筋収縮力を増大させる作用もあり、2004年まではドーピングに対する禁止薬物リストにも含まれていた。

カフェインの半数致死量 (LD50) は約 200 mg/kg で、一般的な成人の場合、10–12 g 以上が危険といわれる(詳しくはカフェイン中毒を参照)。医療分野において薬事法では1回(1錠・1包等)あたりに500mg以上のカフェインを含むものを劇薬に指定している。カフェインは体内で代謝され、主に尿酸となって尿と共に排泄される。

カフェインの体内での半減期は約4.9時間である[12]

医薬品として[編集]

主に無水カフェインとして、一般消費者向けの総合感冒薬に用いられることが多い。これは、カフェインの作用である鎮痛補助目的が主で、配合された塩酸ジフェンヒドラミンマレイン酸クロルフェニラミンなど催眠性の強い抗ヒスタミン剤副作用を緩和する目的ではない(実際のところ、催眠性成分の緩和には至らない)。しかし、逆に風邪を引いているときにぐっすり眠れるようにと、意図的にカフェインを配合していない感冒薬もあるように、消費者の心理的作用を利用したものもある。また、安息香酸ナトリウムカフェイン(アンナカ)はカフェインに安息香酸ナトリウムを加えて水に溶けやすくしたものである。 芳香族化合物である安息香酸ナトリウムカフェインは、清涼飲料等の保存料のほか、単体と同じく強心・興奮作用を期待して使われる。

カフェイン含有量[編集]

食品・医薬品に含まれるカフェイン[13][14][15][16][17]
品名 数量 数量あたりカフェイン含有量(mg) 1リットルあたり
カフェイン含有量(mg)
エキセドリンタブレット 1 tablet &000000000000006500000065
ミルクチョコレートバー (カカオ45%) 1 bar (43g) &000000000000003100000031
ミルクチョコレートバー (カカオ11%) 1 bar (43g) &000000000000001000000010
パーコレートコーヒー 207mL &000000000000008000000080–135 &0000000000000386000000386–652
ドリップコーヒー 207mL &0000000000000115000000115–175 &0000000000000555000000555–845
デカフェコーヒー 207mL &00000000000000050000005–15 &000000000000002400000024–72
エスプレッソコーヒー 44–60mL &0000000000000100000000100 &00000000000016910000001,691–2,254
黒茶緑茶など、3分煎じ) 177mL &000000000000002200000022–74[16][17] &0000000000000124000000124–416
Guayakí マテ茶 (loose leaf) 6g &000000000000008500000085[18] &0000000000000358000000approx. 358
コカ・コーラ Classic 355mL &000000000000003400000034 &000000000000009600000096
マウンテンデュー 355mL &000000000000005400000054 &0000000000000154000000154
ペプシ Max 355mL &000000000000006900000069 &0000000000000194000000194
ジョルト・コーラ 695mL &0000000000000280000000280 &0000000000000403000000403
レッドブル 250mL &000000000000008000000080 &0000000000000320000000320
  • 緑茶 235ml: 30-50mg
  • 紅茶 235ml: 47mg
  • コーヒー(インスタント)235ml: 62mg
  • コーヒー(豆から抽出したもの)235ml: 95mg
  • コカ・コーラ 350ml: 35mg
  • コーヒー味アイスクリーム(ハーゲンダッツ、1/2カップ): 30mg
※水出しにした場合、抽出時間にもよるが、これよりずっと少なくなる。
出典: [1]

食品添加物[編集]

天然のカフェイン(コーヒーの種子又はチャの葉から得られたもの)は既存添加物名簿に収載されており、食品添加物として使用が認められている[19]。なお、合成のカフェイン(尿素から人工的に合成したものなど)は使用できない。


代替品[編集]

カフェインの副作用を考慮して、嗜好品の中には、カフェインの含有量を通常のものより抑えた代替品が存在する。これらはカフェインレスとして知られ、コーヒー、コーラ、茶類などのうち、カフェインの含有量の少ないもしくは含まないものとしては、ノンカフェインコーヒー(デカフェ)、ノンカフェイン紅茶、ノンカフェインコーラ、また杜仲茶麦茶黒豆茶そば茶甜茶ゴーヤ茶昆布茶柚子茶ハーブティールイボスティーたんぽぽコーヒーなどがある。

デカフェ[編集]

西欧人にはアルコール耐性が高い人が多く、酒を飲んでも表情に出ず酔いつぶれにくいということがあるが、反面、カフェインへの耐性が無い、または低い人が多く、このような人はしばしばコーヒー酔いを起こす。デカフェ(カフェイン除去済みのコーヒー)の需要が多い。アジア系でカフェイン耐性が無い人は比較的少ないといわれている。[要出典]

2005年にアメリカ合衆国で発売されたフォー・ロコは、カフェイン入りアルコール飲料であり、飲みやすさから若年層に人気があったが、カフェインが酔いを助長させ多数の急性アルコール中毒患者を出したことから、後にカフェインなどの成分を取り除く見直しが行われた[20]

参考文献[編集]

  1. ^ Caffeine” (英語). Dictionary.com (2010年). 2010年7月10日閲覧。
  2. ^ Weinberg, BA; BK Bealer (2001). The World of Caffeine. Routledge. ISBN 0-415-92722-6. 
  3. ^ 池ケ谷 賢次郎「茶の機能と衛生」、『食品衛生学雑誌』第30巻第3号、1989年doi:10.3358/shokueishi.30.254NAID 40001844412
  4. ^ カフェイン,無水カフェイン,安息香酸ナトリウムカフェイン
  5. ^ http://www.mayoclinic.com/print/blood-pressure/AN00792/
  6. ^ 中屋豊『よくわかる栄養学の基本としくみ』秀和システム、2009年6月、ISBN 978-4-7980-2287-1
  7. ^ Information about caffeine dependence”. 2012年5月25日閲覧。
  8. ^ Fredholm BB, Bättig K, Holmén J, Nehlig A, Zvartau EE (1999). “Actions of caffeine in the brain with special reference to factors that contribute to its widespread use”. Pharmacol. Rev. 51 (1): 83–133. PMID 10049999. 
  9. ^ Juliano LM, Griffiths RR (2004). “A critical review of caffeine withdrawal: empirical validation of symptoms and signs, incidence, severity, and associated features”. Psychopharmacology (Berl.) 176 (1): 1–29. doi:10.1007/s00213-004-2000-x. PMID 15448977. オリジナルの29 January 2012時点によるアーカイブ。. http://webcitation.org/6533BsxXt. 
  10. ^ Silverman K, Evans SM, Strain EC, Griffiths RR (October 1992). “Withdrawal syndrome after the double-blind cessation of caffeine consumption”. N. Engl. J. Med. 327 (16): 1109–14. doi:10.1056/NEJM199210153271601. PMID 1528206. 
  11. ^ Matt Peckham (2013年5月31日). “Caffeine Withdrawal Is Now a Mental Disorder”. Time. http://newsfeed.time.com/2013/05/31/caffeine-withdrawal-is-now-a-mental-disorder/#ixzz2VGUqUg1D 
  12. ^ Drug Interaction: Caffeine Oral and Fluvoxamine Oral”. Medscape Multi-Drug Interaction Checker. 20120105閲覧。
  13. ^ Caffeine Content of Food and Drugs”. Nutrition Action Health Newsletter. Center for Science in the Public Interest (1996年). 2007年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月3日閲覧。
  14. ^ Caffeine Content of Beverages, Foods, & Medications”. The Vaults of Erowid (2006年7月7日). 2009年8月3日閲覧。
  15. ^ Caffeine Content of Drinks”. Caffeine Informer. 2013年12月8日閲覧。
  16. ^ a b Chin JM, Merves ML, Goldberger BA, Sampson-Cone A, Cone EJ (October 2008). “Caffeine content of brewed teas”. J Anal Toxicol 32 (8): 702–4. doi:10.1093/jat/32.8.702. PMID 19007524. 
  17. ^ a b Richardson, Bruce (2009年). “Too Easy to be True. De-bunking the At-Home Decaffeination Myth”. Elmwood Inn. 2012年1月12日閲覧。
  18. ^ Traditional Yerba Mate in Biodegradable Bag”. Guayaki Yerba Mate. 2010年7月17日閲覧。
  19. ^ 平成8年4月16日厚生省告示第120号
  20. ^ 23人病院送りの缶飲料「Four Loko」に禁止令、米大学が学生に通達(グリー・ニュース2010年10月19日)2012年5月19日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]