チンパンジー
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チンパンジー Pan troglodytes
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| 保全状況評価[1][2][3][4][5][6][7][8] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Pan troglodytes (Blumenbach, 1799) |
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| 和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| チンパンジー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Chimpanzee Common chimpanzee |
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チンパンジーの分布
1. Pan troglodytes verus、 2. P. t. vellerosus、 3. P. t. troglodytes、 4. P. t. schweinfurthii |
チンパンジー(英: chimpanzee、学名: Pan troglodytes)は、動物界脊索動物門哺乳綱サル目(霊長目)ヒト科チンパンジー属に分類される類人猿である。487万年前±23万年[9]にチンパンジー亜族とヒト亜族が分岐したとされる。
目次 |
分布 [編集]
- P. t. troglodytes ツェゴチンパンジー
- P. t. ellioti カメルーンチンパンジー、もしくはナイジェリアチンパンジー
- P. t. schweinfurthii ケナガチンパンジー
- P. t. verus マスクチンパンジー
形態 [編集]
体長オス85センチメートル、メス77.5センチメートル[11]。体重オス40-60キログラム、メス32-47キログラム[11]。全身の毛衣は黒く、顎の毛衣は白い[11]。脳容積は397 mL前後である[12]。
顔は黒や肌色[11]。成長に伴い額がはげ上がり(オスで顕著)、顔が黒ずむ[10]。
- P. t. troglodytes ツェゴチンパンジー
- 胴体や四肢の皮膚が黒い[10]。成長に伴う額のはげ上がりが顕著[10]。成長に伴い顔に黒い斑点が入り、顔全体が黒くなる[10]。
- P. t. schweinfurthii ケナガチンパンジー
- 胴体や四肢の皮膚が赤褐色[10]。体毛が長く、顔が細長い[10]。成長に伴い顔が赤褐色になり、顔全体が灰黒色になる[10]。
- P. t. verus マスクチンパンジー
- 成長に伴い顔上部が蝶状に黒くなり、顔全体が黒くなる[10]。
分類 [編集]
種小名troglodytesはギリシャ語の「穴居人」に由来し、転じて「原人」の意[10]。
国際チンパンジー22番染色体解読コンソーシアム(The International Chimpanzee Chromosome 22 Consortium, 理化学研究所なども参加)によってチンパンジーの第22番染色体がほぼ完全に解読され、これに対応するヒトの第21番染色体の比較が報告されている[13]。
DNAレベルの比較では、ヒトとチンパンジーの間で1.44%の一塩基置換(点突然変異)とそれに加えて68,000箇所の配列の挿入または欠失が生じていた。翻訳される231種類のタンパク質について比較したところ、83%でアミノ酸レベルの変化が生じていた。
チンパンジーとヒトのDNAの違いは1-4%程度との報告がある[14][15][16]。上記の報告でもDNAについてはその範囲に収まるが、タンパク質レベルでの相違は大きく、これら二つの生物種の相違はかつて考えられていたよりも大きい可能性がある。
3-4亜種に分かれる。亜種マスクチンパンジーは160万年前に他亜種と分化したと考えられ、遺伝的距離が大きいとされる[11]。
- Pan troglodytes troglodytes (Gmelin, 1799) ツェゴチンパンジー Tchego chimpanzee
- Pan troglodytes schweinfurthii (Giglioli, 1872) ケナガチンパンジー Eastern chimpanzee
- Pan troglodytes verus Schwartz, 1934 マスクチンパンジー Masked chimpanzee
生態 [編集]
地上では前肢の指関節外側を接地して四足歩行(ナックルウォーク)するが、樹上もよく用いる[11]。昼行性。夜間になると樹上に日ごとに新しく寝床を作って休むが、同じ寝床を再利用したり地表に寝床を作ることもある[11]。10-20平方キロメートルの行動圏内で生活するが、乾燥した地域では行動圏が数百平方キロメートルに達することもある[11]。
蟻塚に棒を差込みシロアリを捕食する、石や倒木を使って堅い果実の殻を割る、木の葉を使って樹洞に溜まった水を飲む、木の葉を噛みちぎる音を使って求愛するなど様々な用途で道具を使う[11]。これらの道具および行動には地域変異があり、文化的行動と考えられている[11]。たとえば、ウガンダの森に棲むものは、日常的に木の枝を使ってサスライアリなどを捕食することが報告されている[17]。
食性は雑食で、主に果実を食べるが種子、花、葉、樹皮、蜂蜜、昆虫、小型から中型哺乳類なども食べる[11]。サルを集団で協力して狩猟することもある[10]。母子間では食物分配がよく見られる。肉食の際には大人同士でも分配されることが多い[11]。
繁殖形態は胎生。生後8-11年で性成熟し、生後14-15年で初産を迎える[11]。寿命は50年と考えられ、飼育下では57年の飼育記録がある[11]。
社会・行動 [編集]
複数頭の異性が含まれる20-100頭ほどの群れ(単位集団、コミュニティ)を形成して生活するが、普段は、主に母子関係やオス間の同盟を元に構成される小さい集団(パーティ)に分かれて遊動する(頻繁に「離散集合」を繰り返す)。特定のオスメス関係にもとづいた繁殖はせず、雌雄ともに複数の異性と交尾をする。そのため、産まれてくる子の父親は明らかでない。オスは産まれた群れに一生留まるが、性成熟したメスは産まれた群れを離れて別の群れに移籍することが多い。メスが出自群をでることによって近親交配の回避をしていると考えられている(第一子を出自群で生む例や、子供を連れた群間の移籍例など、例外も知られている)。群れ内の個体間には順位差があり、とくにオス間には順位を巡った争いがあることが知られる。野生下・飼育下共にオス間での連合の形成が見られる。
チンパンジーの特筆すべき習性として「子殺し」がある。オス達が他の集団の赤ん坊を襲う、オスが同じ集団の赤ん坊を殺す、さらに、メスが同じ集団の赤ん坊を殺す、など様々なパターンが観察されている。いずれの場合でも、殺した赤ん坊を食べてしまうことがある。子殺しによって、他のオスの血統を減らし、自らの遺伝子をより多く残す繁殖戦略であるという説もあるが、ライオンなどの子殺しと違ってどの子が自分の血を引いていないか明確でなく、この習性がチンパンジーの社会でどのような役割を果しているのかはよく分かっていない。
群れ間の関係は敵対的で、集団で他の群れの行動圏にのりこみ殺し合いになることもある。集団から離れて一頭でいるところを数頭で狙うことが多い。単位集団内のオス、メスの比が出生時は1:1であるのに対し成獣では1:2に偏っているのは、ここに一因があると考えられる。同属別種のボノボのオス、メス比が1:1であるのと比べると特筆されるべきことである。
チンパンジーには笑いがある。くすぐったり、追いかけ合ったりして笑い声を出す。ただし、テレビ番組でチンパンジーが芸などを披露する[18]際、歯を見せて笑っているように見えることがあるが、これはグリマスという表情でチンパンジーが恐がっている時の顔である。
チンパンジーは乱婚で、優位のオスに交尾の機会が多いが、野生では下位のチンパンジーが「かけおち」することが観察されている。草陰に隠れていた気の弱いオスのところに、いつのまにか一頭の発情中のメスが寄り添っている。そして、一日、長い時は一週間以上も群れの中心から離れて遊動範囲の周縁へと「かけおち」する。時には、オスに手荒に叩かれたりしながらしぶしぶ「かけおち」するペアもいる。ニホンザルのDNA解析から、ボスよりも下位のオスの子孫の方が多かったという研究結果があることから、チンパンジーも同じようなことが予想されるが、まだ報告はされていない。
文化 [編集]
チンパンジーは道具使用や挨拶行動を含め、さまざまな文化的行動が報告されてきたが、1999年のホワイテンらの論文[19]以降2000年代急増している[20]。ホワイテンらが取り扱った文化的行動は物の操作に関するものが多い。
ここで使われている「文化」の定義は、ある行動レパートリーが集団の多くのメンバーによって共有され、世代から世代へと社会的に情報が伝達される現象ということである。行動レパートリーのうち、社会的学習によって伝播または伝承され、なおかつ地域間の行動上の差異が単に生態的要因の差異によるものではないものを指している。
人間との関係 [編集]
飼育と保護 [編集]
名前はコンゴの方言、基亜種の名前チェゴは生息地での本種の呼称に由来する[10]。森林伐採や開発による生息地の破壊、食用やペットにするための密猟、内戦による混乱[21]などにより生息数は減少している[11]。またエボラ出血熱、急性灰白髄炎や呼吸器系の疾患などによっても生息数が減少している[22]。一方、生息地でのチンパンジーの保護も行われ、人為的な保護区(保護施設)が作られている[21]。
日本では1927年に天王寺動物園で初めて飼育された[23]。日本では1962年に福岡市動植物園が初めて飼育下繁殖、1982年に京都大学霊長類研究所が人工授精(動物園では1985年に恩賜上野動物園)、1998年に広島市安佐動物公園が死亡したオスの冷凍精子を用いた人工授精に成功した[23]。
チンパンジーは知能が高く、人間の真似が行えるため、1989年には、京都大学霊長類研究所のアイとアキラが檻の鍵を開けて脱走する事故があり、その際にはオランウータンも逃がしてやった。また、人間の代わりに、チンパンジーは宇宙にも行った。米国のロケットにチンパンジーが乗った。1961年のハムや「エノス」の活躍が知られ、チンパンジーも宇宙で行動可能なのを実証した。
チンパンジーは人間に近いため、動物実験によく用いられた。ポリオや、A型肝炎、B型肝炎のワクチン開発などに役立った[24]。もっとも多くのチンパンジーを飼育したのは米国である。しかし20世紀の終わりごろから動物実験に廃止する立場から批判・攻撃をうけ[25]、21世紀になると、動物実験用のチンパンジーの飼育頭数が徐々に減っていき、米国でさえ、C型肝炎のワクチン開発と、がん性腫瘍の治療法開発に限って実験を行う方向に大きく舵を切った[26]。動物実験から引退したチンパンジーは、野生復帰は難しいため、人為的な保護区で余生を送っている。
「Category:著名な類人猿」も参照
人間が襲われる事故 [編集]
成獣のオスは、他の群れのチンパンジーを襲って殺すことがあるほど獰猛で攻撃的な一面を持っているため、猛獣と認識されている。腕力が強く、車のフロントガラスを素手で叩き割ることができると言われる。一説に成獣は200kgから500kgもの握力があると推定されている。動物園で檻や柵があっても、石や糞を投げてくることがあるので、油断できない。台湾・高雄市の寿山動物園で、チンパンジーの群れに向かってターザンの真似をして大声で叫んで騒ぎたてた高校生の一団に対して、ボスの莉忠が激怒して石を投げ付け、間を隔てていた強化ガラスを割ったケースがある。
アメリカでは、CM出演経験のあるチンパンジー「トラビス」(14歳のオス)は、鍵を使って逃亡した後、連れ戻すのを手伝うよう頼まれて駆けつけた飼い主の友人チャーラ・ナッシュに襲いかかった。ナッシュは眼球と顔面の皮膚、右手の親指以外の指をトラビスに噛みちぎられ、むしり取られた。顔にはトラビスの抜け落ちた歯が残っていたため、普通の精神状態で噛みついたとは考えにくく、錯乱していた可能性が指摘されている。この事故の原因は、飼い主が精神的な副作用の報告がある人間用の抗不安薬ザナックスを、お茶に混ぜてチンパンジーに与えたことが原因ではないかと指摘されている。ザナックスの副作用には、記憶喪失、協調性の欠如、性欲の抑制などがある。動物園でも噛みつき事故はあり、日本では2012年の「パン」の事故がある。 歌手のマイケル・ジャクソンは「バブルス」と名付けたチンパンジーをペットにして、かわいがっていた。が、バブルスの成長に伴って個人宅での飼育は危険と助言され、マイケルはバブルスを手放し、専用の飼育施設で余生を送らせた[27]。
脚注 [編集]
- ^ “Appendices I, II and III”. CITES (2012年4月3日). 2012年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e “The IUCN Red List of Threatened Species”. 2012年9月10日閲覧。
- ^ Oates, J.F., Tutin, C.E.G., Humle, T., Wilson, M.L., Baillie, J.E.M., Balmforth, Z., Blom, A., Boesch, C., Cox, D., Davenport, T., Dunn, A., Dupain, J., Duvall, C., Ellis, C.M., Farmer, K.H., Gatti, S., Greengrass, E., Hart, J., Herbinger, I., Hicks, C., Hunt, K.D., Kamenya, S., Maisels, F., Mitani, J.C., Moore, J., Morgan, B.J., Morgan, D.B., Nakamura, M., Nixon, S., Plumptre, A.J., Reynolds, V., Stokes, E.J. & Walsh, P.D. (2008年). “Pan troglodytes”. IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. 2012年9月10日閲覧。
- ^ Humle, T., Boesch, C., Duvall, C., Ellis, C.M., Farmer, K.H., Herbinger, I., Blom, A. & Oates, J.F. (2008年). “Pan troglodytes verus”. IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. 2012年9月10日閲覧。
- ^ Tutin, C.E.G., Baillie, J.E.M., Dupain, J., Gatti, S., Maisels, F., Stokes, E.J., Morgan, D.B. & Walsh, P.D. (2008年). “Pan troglodytes troglodytes”. IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. 2012年9月10日閲覧。
- ^ Wilson, M.L., Balmforth, Z., Cox, D., Davenport, T., Hart, J., Hicks, C., Hunt, K.D., Kamenya, S., Mitani, J.C., Moore, J., Nakamura, M, Nixon, S., Plumptre, A.J. & Reynolds, V. (2008年). “Pan troglodytes schweinfurthii”. IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. 2012年9月10日閲覧。
- ^ Oates, J.F., Dunn, A., Greengrass, E. & Morgan, B.J. (2008年). “Pan troglodytes ellioti”. IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. 2012年9月10日閲覧。
- ^ 亜種ごとのIUCNレッドデータも同じ
- ^ “DNA人類進化学 ~ 3.ヒトがサルと分かれた日 ”. 遺伝学電子博物館. 2012年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 岩本光雄「サルの分類名 (その4: 類人猿)」、『霊長類研究』第3巻第2号、1987年、 124-125頁、 doi:dx.doi.org/10.2354/psj.3.119。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』 講談社、2000年、148-149頁。
- ^ 三上章允. “化石人類の脳”. 中部学院大学. 2012年9月10日閲覧。
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- ^ WILD LIFE 「"文化"をつけ継ぐチンパンジー~ウガンダの森~」 (NHK-BS) 2010年9月27日放映
- ^ ワシントン条約で保護されている種であるため、テレビ出演は商業目的と見なされ問題となるケースがある
- ^ Whiten A; Goodall J,McGrew WC,Nishida T,Reynolds V,Sugiyama Y,Tutin CEG,Wrangham RW,Boesch C (1999). “Cultures in chimpanzees”. NATURE (6737).
- ^ Nakamura M (2009). “Culture in nonhuman primates”. REICHORUI KENKYU/ PRIMATE RESEARCH: 229-240.
- ^ a b ニュース - 動物 - 赤ちゃんチンパンジーを保護、コンゴ - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)
- ^ 竹ノ下祐二「大型類人猿の保護における感染症問題」『霊長類研究』Vol.21 No.1、日本霊長類学会、2005年、48-50頁。
- ^ a b 落合-大平知美、倉島治、赤見理恵、長谷川寿一、平井百樹、松沢哲郎、吉川泰弘 「日本国内の大型類人猿の飼育の過去と現在」『霊長類研究』Vol.26 No.2、日本霊長類学会、2006年、128-131頁。
- ^ 動物展示法変遷 2.動物園における動物展示の変遷概観博物館と動物園での学び 並木美砂子 千葉市動物公園
- ^ チンパンジーを使った動物実験を制限へ、米国 国際ニュース2011年12月20日 11:51 発信地:ワシントンD.C./米国 AFPBB News 2013-2-6閲覧
- ^ 実験用チンパンジーに「引退勧告」 利用中止の動き加速 米2013.02.04 Mon posted at 15:12 JST CNN.co.jp 2013年2月6日閲覧
- ^ “Our Great Apes | Bubbies”. Center for Great Apes. 2012年12月13日閲覧。
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]