ダイカー亜科

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ダイカー亜科
コシキダイカー
コシキダイカー Cephalophus sylvicultor
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
: ウシ科 Bovidae
亜科 : ダイカー亜科 Cephalophinae
学名
Cephalophinae Gray, 1871[1]
和名
ダイカー亜科[2][3][4]
属・種

ダイカー亜科(ダイカーあか、Cephalophinae)は、鯨偶蹄目ウシ科に含まれる亜科。

分布[編集]

サハラ砂漠以南のアフリカ大陸[2][3]

形態[編集]

最大種はコシキダイカー体長115 - 145センチメートル、体重45 - 80キログラム[2]。体型は丸みを帯び、下半身が発達する[3][4]

脳頭蓋(眼窩より後方の頭骨)よりも顔面頭蓋(眼窩後端より前の部分)がわずかに大きい[3][4]。サバンナダイカーを除き雌雄共に直線的な角があり、角は耳介よりも小型[3][4]。眼は大型[3][4]。眼と鼻の間に1列に並んだ小型かつ複数の臭腺(眼下腺)がある[2][3]。眼下腺の開口部周辺には体毛がない[3]。吻端にある体毛で被われない板状の皮膚(鼻鏡)が唇に接する[3][4]胆嚢がない[3]。四肢は短い[4]。第2・5指趾の蹄(側蹄)は小型[3]

乳頭の数は4個[3]

分類[編集]

分類はMSW3を基に、和名は(今泉, 1988)に従う[3]。ただしMSW3にてオギルビーダイカーにおそらく含む・(今泉, 1988)にてオギルビダイカーの亜種として扱われていたC. brookeiは独立種として扱わず、ハーヴェイダイカーはMSW3でアカダイカーの亜種として扱っているが独立種として扱う[3]

生態[編集]

主に森林に生息するが、サバンナダイカーはサバンナに生息する[2][3]。単独またはペアで生活する[2][3]。飼育下での観察例から眼下腺を物に擦りつけて縄張りを主張すると考えられている[2][3]。ダイカーはアフリカーンス語で英語のdiverと同義で、危険を感じると茂みに逃げ込む習性に由来すると考えられている[2]

食性は植物食傾向の強い雑食で、主に木の葉を食べるが茎、樹皮、芽、果実昆虫鳥類、小型哺乳類、動物の死骸なども食べる[2]

繁殖形態は胎生。1回に1頭の幼獣を産む[2][3]

人間との関係[編集]

生息地では食用とされることもある[4]

森林伐採による生息地の破壊、ブッシュミート用の狩猟、害獣としての駆除などにより生息数が減少している種もいる[4]

参考文献[編集]

  1. ^ Peter Grubb, "Cephalophinae". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, pp.712-716
  2. ^ a b c d e f g h i j 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科4 大型草食獣』、平凡社1986年、116-118頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 今泉吉典 「ダイカー亜科の分類」『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1988年、27-35頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 小原秀雄 「アダースダイカー」「ソメワケダイカー」「アボットダイカー」「シマダイカー」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2000年、54-55、159-160頁。
  5. ^ Marc Colyn, Jan Hulselmans, Gontran Sonet, Pascal Oude, Jan De Winter, Armand Natta, Zoltan Tamas Nagy, Erik Verheyen, "Discovery of a new duiker species (Bovidae: Cephalophinae) from the Dahomey Gap, West Africa", Zootaxa, Volume. 2637, 2010, pp. 1-30.

関連項目[編集]