強化ガラス

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強化ガラス(きょうかガラス、英語:toughened glass)とは、一般的なフロート板ガラスに比べ3-5倍程度の強度を持つガラスである[1]。破損しても粒状になり比較的安全なため、車両や学校などで利用されているが、防犯性能は低い。高い弾性率剛性率をもちながら透明であるガラスは非常に有用な素材であるが、脆いため衝撃を受けると割れてしまうという致命的な欠点が存在する。そこで、ガラスが容易に割れないようにするために、表面を圧縮して破壊に対する抵抗性を高める方法が考案された。強化ガラスはその構造上、それを加工することが出来ないため、強化のプロセスは製品製造工程の最後で行われる。

強化ガラスはその表面が圧縮によって強化されているため、強化されていないガラスと較べて破壊に至るための力は大きくなるが、圧縮層を超えて割れが進行すると、内部には逆に引っ張りの力が存在しているため、ガラス全体が瞬間的に破砕する。このため、強化ガラスが割れると粉々に割れる特徴があるが、これは割れた時の安全性の点からするとむしろ好ましい特徴である。しかし、破損時にガラス全体が破損してしまうため防犯上の性能は良くない。

用途[編集]

その性質から、自動車の窓や子供の多い学校などで広く利用されている。ただし、前面のウィンドシールドについては事故時に粉々に割れた強化ガラスが運転者や助手席の乗員の眼球を直撃し失明する事故が多発したため合わせガラスとなっている。バットでフルスィングしても割れない程度の強度を持っている為、歩行者保護にはならない。電子レンジを使用する場合に、耐熱ガラスの代わりに使用される場合があるが、強化ガラスは急激な温度変化で割れる場合があり危険である。

製法[編集]

イオン交換法[編集]

ナトリウム(Na)イオンを含有したガラスを、カリウム(K)イオンを含有した水溶液に浸けておくと、ガラス表面のNaイオンと溶液中のKイオンが交換し、Kイオンがガラスの表面層に進入していく。

ここで、KイオンはNaイオンよりも大きい。そのため、狭い隙間につっかえ棒を押し込んだような状態になり、ガラスの表面には圧縮応力の層が生じる。するとガラスを破壊するためには、分子間の結合を破壊する力だけでなく、表面の圧縮応力を取り除く力も必要となる。このため、このガラスを破壊するには通常のガラスよりも大きな力が必要となり、このガラスは強化されたと言える。

風冷強化法[編集]

板ガラスを約650-700℃まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹きつけ、急激に冷やすことにより生成する[1]。表面に圧縮応力層を形成するという点ではイオン交換法と同じであるが、風冷強化法では熱処理によって表面層と内部の密度差をつけることによって応力場を形成する。ガラス板の厚さに制約がある(薄いガラス板は不可)。金属加工における焼入れとの類似性から、「焼きを入れる」などと称される。

製品[編集]

情報端末向け

脚注[編集]

  1. ^ a b ものづくりへのこだわりと挑戦”. 日本板硝子株式会社. 2013年11月13日閲覧。

関連項目[編集]