ホッキョクグマ

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?ホッキョクグマ

ホッキョクグマ Ursus maritimus
分類
動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
哺乳綱 Mammalia
食肉目 Carnivora
亜目 イヌ亜目 Caniformia
下目 クマ下目 Arctoidea
小目 クマ小目 Ursida
上科 クマ上科 Ursoide
クマ科 Ursidae
亜科 クマ亜科 Ursinae
クマ属 Ursus
ホッキョクグマ U. maritimus
学名
Ursus maritimus
Phipps, 1774
和名
ホッキョクグマ
英名
Polar Bear

ホッキョクグマ北極熊Ursus maritimus)は、哺乳綱食肉目クマ科に分類されるクマ。動物愛護管理法の規定による特定動物

目次

[編集] 形態

オスの成獣で体長220~280cmで体重250~500kg。メスは一回り小さく体長180~250cmで体重100~300kgほど。生息地や食糧事情での個体差が激しく、中には800kgにも達するオスも確認されている。 その過酷な生息環境から、雑食獣であるクマ類の中で最も肉食性が強い種である。同類では最大のサイズを誇り、ヒグマ以上に巨大化することも多々あることから「地上最大の肉食獣」と称される事も多い。 野生下では主にアザラシなどを主食とし、植物性のスゲ昆布なども食べる[1]。分厚い脂肪を持ち、ヒグマと比べると、頭骨や肩の盛り上がりが小さく、他種のクマより長い首を持つ。 ちなみに南極でも北極と同じように生息できることが、ワシントン条約締結前の実験によってわかっている。

飼育下では主に馬肉や魚類など[2]のほか、栄養バランスを考慮し、果物や野菜などの植物性の餌も与えられる[3]。たとえば、日本平動物園で飼育されていたホッキョクグマのピンキー(雌。2007年死亡)の好物はサツマイモだった[4]恩賜上野動物園では、ときどきサケも与えられる。旭山動物園の場合、1日に与える馬肉は9kg、オオナゴが2.5kgである[5]

体制は寒冷地に適応している。独特の体毛を有するほか、介の小ささも適応の結果と考えられる(アレンの法則を参照)。足の裏には肉球の部分を除き全体に毛が生えている。これは氷から足を守ることと滑り止めの役割がある。

なお泳ぎが上手いことで知られ、移動や狩りにおいては氷上だけでなく、海上でも頻繁に姿を確認されている。

[編集] 体毛

全身が白い体毛に覆われているため、シロクマ白熊)とも呼ばれる。多くの哺乳類の体毛がたとえ白色であっても光を透過しないのに対し、ホッキョクグマの体毛は光を透過し、内部が空洞になった特殊な構造のために、散乱光によって白くかがやいて見える。

ホッキョクグマの透明の体毛は陽光の通過を妨げず、陽光は体毛の奥にある皮膚にまで届き、そこではじめて熱をもたらす。もたらされた熱はぶ厚い体毛に保護され、容易に失われることはない。重ねて、体毛内の空洞も蓄熱の役割を果たす、という、巧みな保温機構を、この体毛によって成立させている。

体温がほとんど外に逃げないため、体から輻射される赤外線の量が非常に少ない。この特性から、赤外線カメラによる空中撮影の際には、雪の反射光にまぎれてしまい、ほとんど姿を捉えられないことが知られている。

動物園などに飼育されている個体の場合、体毛の空洞に汚れが入り込むことで黄色っぽく変色したり、ときには空洞内に藻が発生し緑みがかかった色になってしまうことがある。

[編集] ホッキョクグマとヒグマ

ホッキョクグマは分岐分類学的にヒグマに極めて近い位置にあり、互いに交配して生殖能力のある子孫を残せる。野生でも稀にこのような個体が存在している。このためヒグマとホッキョクグマの生殖的隔離は不完全である。

昨今では温暖化の影響もあり、北上してきたヒグマと陸地に上がってきたホッキョクグマの生息域が重なり「ハイブリッド」と呼ばれるヒグマとホッキョクグマの交配種が確認されている。 ハイブリッドは体毛はホッキュグマのように白いが、盛り上がった肩と土を掘るための湾曲した長い爪などヒグマの特徴を強く受け継いでいる。

[編集] 生態

アラスカグリーンランドシベリア等、北極周辺の陸地および氷上に生息している。

肉食性の強い雑食で、アザラシ等の鰭足哺乳類、魚類のほか、海鳥、イチゴなどの果実、コンブなども食べる。泳ぎが得意で、時速6.5km程で65km 程度の距離を泳ぐことができると言われる。しかし、あまり深く潜ることはできない。種小名maritimusラテン語で「海にすむ」という意味である。

また嗅覚、聴覚も非常によく、ことに嗅覚においては氷の下を泳いでいるアザラシの臭いを判別することができるため、これらの能力を駆使して狩りをする。粗食、絶食にも耐え、アザラシ1頭で半年以上生き延びられる。成功率は低いが、セイウチに襲い掛かる映像も確認されている。イヌイットや動物学者達はホッキョクグマとセイウチが雄同士なら陸でいい勝負と見ている。通常、ホッキョクグマの爪や歯ではセイウチの厚い皮膚を貫くことは出来ない。一方、セイウチも、牙を熊に突き刺す以外致命傷を負わすことは出来ない。

繁殖期やメスが仔育てをしているとき以外は、単独で行動する。繁殖期は3-6月ごろ。このとき交尾相手のメスをめぐり、オス同士が戦いを繰り広げる。妊娠したメスは地中に作った巣穴にこもり冬眠をし、11月-1月に通常2頭の仔を出産する。まれに1または3頭の場合もあり、4頭の出産記録もある[6]。出生時の仔の体重は1kg程度と、成獣に比べ非常に小さい。その後、2年ほど仔は親と行動を共にする。なお、仔の2頭に1頭は生後1年以内に死亡し、この中にはホッキョクグマのオスの成獣に捕食される個体も含まれる。このため、子グマをつれたメスはオスをひどく怖がる。

オスや妊娠をしていないメスは冬眠をしない。

本来の体毛は透明で、これによって太陽の光を効率的に吸収し、身体を保温する事が出来る。この事とホッキョクグマに天敵がいない事から、「これは保護色でない」と断定調で紹介される事もあるが、白く見える体毛が(トラの縞柄のように)狩りの際にターゲットから気付かれにくいという利点があるのは事実で、特にブリザード発生時にはその特性が顕著となる。ジャコウウシホッキョクギツネを警戒してブリザード時に見晴らしの良い高台に移動しようとする事からも、極地において白い体毛を持った捕食者が他の動物から危険視されていると分かる。そもそも「保護色」という語は『弱い者の特徴』のみを指す言葉ではなく、純粋に迷彩を指す事もある中立的な語であり、天敵の有無は関係無い。

ちなみに天敵と呼ばれるものはほとんど存在せず、武器を使う人間やシャチ程度である。氷の下からの奇襲でシャチに水中に引きずり込まれた場合は、もうどうすることもできないが、ほとんどシャチはホッキョクグマを襲わないとされている。また、小グマを捕食する動物として、前述でも述べた同じホッキョクグマのオスや、ワシやタカの猛禽類、ホッキョクギツネ等の肉食獣があげられる。

[編集] 種の保全状態評価

地球温暖化の影響によって絶滅の危機が高まり、IUCNレッドリスト2006年版では、それまでの「保護対策依存種」(LR/cd)から、さらに絶滅のおそれの高い「危急種」(VU)に変更された[7]

VULNERABLEIUCN Red List Ver.3.1(2001)

Image:Status iucn3.1 VU.svg

[編集] 人間との関係

野生時の寿命は25-30年だが、飼育下では34年7か月の記録がある。愛媛県立とべ動物園では母親に育児放棄された雌の「ピース」によって国内での人工飼育の個体の生存記録が更新され、公式WEBサイト上で映像資料が公開されている(2007年12月4日現在満8歳、誕生日は12月2日)。「ピース」は人工飼育された影響からか、けいれんやひきつけを起こしていた。現在は手術を受け解消している。ほかにも、ドイツで同様に2006年末に母親に育児放棄されたものの、無事に人工飼育されている「クヌート」がいる。

ホッキョクグマは肝臓に高濃度のビタミンAを含有しており、これを人間が口にすると死亡することもある。そのため、北極圏に住むイヌイット達の間では、ホッキョクグマの肝臓は食べてはならないと伝えられている。また、彼らは、ソリ用のイヌにも食べさせない。

かつて日本に2頭流れ着いた記録がある。

[編集] 日本で飼育実績のある施設

[編集] 脚注

  1. ^ 「ホッキョクグマ」 マイクロソフト エンカルタ 総合大百科 2005。
  2. ^ 「TOKYO発 上野動物園 - 自然なシロクマ舎 80年」 東京新聞 2007年12月14日朝刊、中日新聞東京本社。
  3. ^ 熊本市動植物園 「ホッキョクグマ
  4. ^ [1]
  5. ^ [2]
  6. ^ [3]
  7. ^ Schliebe, S. Wiig, O., Derocher, A. & Lunn, N. 2006. Ursus maritimus. In: IUCN 2007. 2007 IUCN Red List of Threatened Species.

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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