ツキノワグマ
| ツキノワグマ | |||||||||||||||||||||||||||
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ツキノワグマ Ursus thibetanus
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| 保全状況評価[a 1][a 2] | |||||||||||||||||||||||||||
| VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Ursus thibetanus (G. Cuvier, 1823) | |||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
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Selenarctos thibetanus |
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| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||
| ツキノワグマ | |||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Asian black bear Asiatic black bear Himalayan black bear Moon bear |
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ツキノワグマ(月輪熊、Ursus thibetanus)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)クマ科クマ属に分類される食肉類。別名アジアクロクマ、ヒマラヤグマ。
目次 |
分布 [編集]
- U. t. thibetanus ヒマラヤツキノワグマ
- インド北部、バングラデシュ[1][2][3]
- U. t. gedrosianus
- イラン南東部、パキスタン[2]
- U. t. formosanus
- 台湾[2]
- U. t. japonicus ニホンツキノワグマ
- 日本(本州、四国)[1][2][3]
- U. t. laniger
- カシミール[2]
- U. t. mupinensis
- 中華人民共和国(四川省)[2]
- U. t. ussuricus
- ロシア(ウスリー)[2]
日本におけるツキノワグマの分布をみると、まず東北から関東・中部さらに近畿から岡山・鳥取の県境付近(東中国山地)まで、連続した分布域が存在する。本州ではその他、紀伊山地と西中国山地(広島・島根・山口県境)に隔離された孤立分布域が認められる。四国の分布域は、剣山山系(徳島・高知県境)に限られており、繁殖は確認されているものの、このままでは絶滅の可能性が高いとされている。
九州では、クマと断定された目撃情報すら極めて少なく、現在でも繁殖しているという確実な証拠は得られておらず、すでに絶滅したと考えられる。2012年8月28日、環境省はレッドリストの改訂版を公開し、その中でニホンカワウソとともに九州のツキノワグマを「絶滅」に指定した。九州では、1987年に大分県豊後大野市の山中でオスが射殺されたものが最後の記録である[4]。
形態 [編集]
体長120-180センチメートル[2]。尾長6-11センチメートル[2]。体重オス50-150キログラム、メス40-90キログラム[2]。肩が隆起せず、背の方が高い[3]。全身の毛衣は黒いが、赤褐色や濃褐色の個体もいる[1][2]。胸部に三日月形やアルファベットの「V」字状の白い斑紋が入り[2](無い個体もいる[5])、旧属名Selenarctos(月のクマの意)や和名の由来になっている[1][3]。
分類 [編集]
- Ursus thibetanus thibetanus G. Cuvier, 1823 ヒマラヤツキノワグマ
- Ursus thibetanus formosanus Swinhoe, 1864
- Ursus thibetanus gedrosianus Blanford, 1877
- Ursus thibetanus japonicus Schlegel, 1857 ニホンツキノワグマ
- Ursus thibetanus laniger (Pocock, 1932)
- Ursus thibetanus mupinensis (Heude, 1901)
- Ursus thibetanus ussuricus (Heude, 1901)
生態 [編集]
森林に生息する[2]。夜行性で、昼間は樹洞や岩の割れ目、洞窟などで休むが果実がある時期は昼間に活動することもある[2]。夏季には標高3,600メートルの場所でも生活するが、冬季になると標高の低い場所へ移動する[2]。
食性は植物食傾向の強い雑食で、果実、芽、昆虫、動物の死骸などを食べる[2]。
繁殖形態は胎生。シベリアの個体群は6-7月、パキスタンの個体群は10月に交尾を行う[2]。主に2頭の幼獣を産む[2]。授乳期間は3か月半[2]。幼獣は生後1週間で開眼し、生後2-3年は母親と生活する[2]。生後3-4年で性成熟する[2]。寿命は24年。飼育下の寿命は約33年[2]。
人間との関係 [編集]
家畜や人間への被害例もある[3]。少なくとも亜種ニホンツキノワグマは主に6-7月にカラマツ、スギ、ヒノキなどの直径15-20センチメートル以上の針葉樹の樹皮を剥いで形成層を食べるため、植林した針葉樹を食害する害獣とみなされている[1]。全周剥皮では枯死、部分剥皮では剥皮が大規模なら衰弱、また腐食などにより材木の価値が下がるなどの被害が生じる[1]。樹皮剥ぎの理由はよく分かっておらず、樹液による栄養補給、餌であるニホンミツバチの巣となる樹洞の形成のため、縄張りのマーキング、繁殖行動のためのメスの誘引などの説がある。樹皮剥ぎの被害は、従来は西日本の太平洋側が中心と言われてきたが、近年では西日本の日本海側や東北地方でも深刻なことが確認されている。 参考 - ツキノワグマによる林木剥皮被害(森林総合研究所関西支所年報 第38号)また、未だ多数の支持を得るには至ってはいないが、多く植えられたスギの木を、森の生態復元のために減らそうとしている[要出典]、冬眠穴になる樹洞を形成するために行っている、などという説もある。
開発による生息地の破壊、毛皮や胆嚢、手目的の乱獲、駆除などにより生息数は減少している[3]。アフガニスタンでは見られなくなり、バングラデシュや朝鮮半島では絶滅の危険性が高い[3]。保護の対象とされることもあるが密猟されることもあり、中華人民共和国や朝鮮半島へ密輸されているとされる(国際的商取引は禁止されているが、例として1970-1993年に大韓民国へ2,867頭が輸入された記録がある)[3]。旧ソビエト連邦での1970年代における生息数は6,000-8,000頭、1985年における生息数は4,600-5,400頭と推定されている[3]。中華人民共和国での1995年における生息数は12,000-18,000頭と推定されている[3]。日本では九州の個体群は捕獲例が1941年、確実な目撃例が1957年以降はなく絶滅したと考えられている[6]。1987年に捕獲例もあるがミトコンドリアDNAの分子系統学的解析から、琵琶湖以東の個体あるいは琵琶湖以東の個体に由来する個体が人為的に移入された後に捕獲されたと考えられている[6]。だが近年においても祖母・傾山系や九州山地では目撃例が多々あり、生存している可能性もある[7][8]。
- U. t. japonicus ニホンツキノワグマ
絶滅のおそれのある地域個体群(環境省レッドリスト)[a 3]
日本国内における個体数は、10,000頭前後と推定されていた。しかし堅果類の凶作年の2004年に約2,300頭、2006年に約4,600頭のクマが捕殺[9] された後も、大量に目撃されていることから実態数は不明である。2010年の大量出没年の際に朝日新聞が、各都道府県の担当者に聞き取り調査を行った数では16,000頭-26,000頭[10] と幅が大きい上、数十頭の個体数と考えられていた岡山県などで推測数の半分近くが捕獲される例が相次ぎ、誤差の大きさをうかがわせている。これは、平均生息密度が1平方kmあたり1頭以下と極めて低いことなどに理由があり、個体数の推測に用いる区画法、ラインセンサス法、ヘアートラップ法などでは限界があるためである。
上記の樹皮剥ぎをスギやヒノキ等、造成林で行うことによって発生する林業被害や、果樹や農作物、養蜂、家畜及びその飼料を食害するなどの農業被害が存在する。また、個体そのものに遭遇し、危害を加えられるケースもある。そのため、日本では本種は危険動物として認識されている。出没は森林内はもとより、森林と人間の居住エリアとの境界付近で、出遭い頭であることが多い。こうした場所に行くときは、聴覚が鋭いクマの特性を利用して、よく鳴る笛や鈴を必ず携行するなど、人間の存在をクマに知らせることが重要である[11]。また、クマは背中を見せて逃げるものを追う習性があるため、出遭ってしまったときは、静かに後ずさりすべきである[12]。 なお、熊は死肉を食す習性もあり、遭遇したときに死んだふりをするというのは、イソップ寓話『熊と旅人』の話の一部であり、自ら死を招くような行為である。
近年でのクマの異常出没の原因、要因として、短期的(直接・至近)要因では、堅果類の大凶作、ナラ枯れ等によるナラ枯損面積の拡大が挙げられる。 また、長期的背景として、生息数の回復・増加(?)、奥山林の変化、拡大造林地の成熟と生息地シフト、里山地域の放棄と生息変化、誘引要因の増加(カキなど放置果樹、果樹の大量放棄、残飯、ゴミ)、新世代グマの登場などが挙げられる[13]。
行政からは廃棄果樹、ゴミなどの撤去を強く指導しているほか、カキなどの誘引果樹の早期除去、追い払い体制の整備(煙火弾、轟音弾)、警戒と捕獲体制の整備(罠、駆除隊)が今後の行政の課題となっている[14]。中期的対応課題としては、ハザードマップの作成と警戒地区の指定、ベアドッグの訓練と解禁(地区、期間限定の放し飼い)、里山の整備、回廊状構造の整備が挙げられる。
また、進入防止用の電気柵の設置や樹皮剥ぎ防止用資材の設置といった非致死的防除手法が導入されるケースもあるが、こういった非致死的防除手法は設置や維持の手間がかかること、導入のコストが高いなどの理由もあって、普及は進んでいない。
脚注 [編集]
- ^ a b c d e f 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社、1986年、109-111頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、74-75頁。
- ^ a b c d e f g h i j k 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、144-145頁。
- ^ “九州のツキノワグマも「絶滅」…地元はショック”. 読売新聞. (2012年8月29日)
- ^ “ツキノワグマ”. けんぱくのおすすめ. 三重県立博物館. 2013年2月22日閲覧。
- ^ a b 大西尚樹、安河内彦輝 『九州で最後に捕獲されたツキノワグマの起源』「哺乳類科学」Vol.50 No.2、日本哺乳類学会、2010年、177-178頁。
- ^ 栗原 智昭. 2010. 九州における2000年以降のクマ類の目撃事例 . 哺乳類科学, 50: 187-193 .
- ^ その反面、大西・安河内論文を事実とすれば、九州における実質上の絶滅(個体群の消滅)は1950年代まで遡る可能性も浮上することになる(坪田敏男・山崎晃司 編『日本のクマ ヒグマとツキノワグマの生物学』東京大学出版会、2011年、P191-192)。
- ^ ツキノワグマの大量出没への対応を!政府と環境省に要望 - WWF日本ホームページ2010年10月28日
- ^ クマの大量出没(朝日新聞2010年11月26日夕刊17面)
- ^ ただし、一度人間を襲ってその味を覚え、かつ、人間の無防備さを学習した個体が存在する場合、却ってクマに人間の位置を知らせてしまう危険があり、これがあらゆる状況において有効ではないことに留意する必要がある。
- ^ 環境省:クマに注意!-思わぬ事故をさけよう-他
- ^ 環境省:研究プロジェクト成果集「ツキノワグマ大量出没の原因を探り、出没を予測する」 独立行政法人 森林総合研究所 2011年2月 ISBN 976-4-902606-77-5
- ^ 環境省:クマ類出没対応マニュアル -クマが山から下りてくる
参考文献 [編集]
- 宮澤正義 『クマは警告する』 ほおずき書籍、1999年3月、282頁。ISBN 4-795-28641-8。
- 米田一彦 『生かして防ぐ クマの害』 農山漁村文化協会、1998年6月。ISBN 4-540-98021-1。
- ニホンツキノワグマ (Ursus thibetanus japonicus) によるクマハギの発生原因の検討 Analysis of Causes of Bark Stripping by the Japanese Black Bear (Ursus thibetanus japonicus)、哺乳類科学 Vol.42, No.1 (20020630) pp. 35–43
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
- ^ CITES homepage
- ^ The IUCN Red List of Threatened Species
- Garshelis, D.L. & Steinmetz, R. 2008. Ursus thibetanus. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.
- ^ 環境省 自然環境局 生物多様性センター
- 環境省 自然環境局 生物多様性センター
- 生物多様性情報システム :RDB種情報検索。
- 日本クマネットワーク
- 信州ツキノワグマ研究会
- NPO法人日本ツキノワグマ研究所
- 第17回国際クマ会議
- 東京のクマ
- アウトバック
- 国際クマ協会