アリ

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アリ科 Formicidae
生息年代: 130–0 Ma
白亜紀 - 現世
Fire ants.jpg
カミアリ(ファイアーアント)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目 Hymenoptera
亜目 : ハチ亜目 Apocrita
下目 : 有剣下目 Aculeata
上科 : スズメバチ上科 Vespoidea
: アリ科 Formicidae
学名
Formicidae Latreille1809
英名
Ant

アリ)は、昆虫綱・ハチ目・スズメバチ上科・アリ科Formicidae)に属する昆虫である。体長は1mm-3cmほどの小型昆虫で、人家の近くにも多く、身近な昆虫のひとつに数えられる。原則として、産卵行動を行う少数の女王アリと育児や食料の調達などを行う多数の働きアリが大きな群れを作る社会性昆虫。種類によっては食用となる。

スズメバチ上科

シエロロモフファ科





コツチバチ科




ミコバチ科



アリバチ科







ベッコウバチ科



ロパロソーマ科





アリ科




スズメバチ科



ツチバチ科







アリ科の系統分類学上の位置[1]。ミツバチはミツバチ上科に含まれこのなかには含まれない。

目次

[編集] ハチとの関係

一般認識としてハチとアリは区別されている。これは日本のアリの多くが毒針を持たないこと、生殖目的以外では翅を持たずに地面で生活することから区別されたと考えられる。しかし、実際にはスズメバチやベッコウバチに近縁なグループで、アリ科の動物は全てハチそのものである。スズメバチから見ても、同じハチとして認識されているミツバチよりアリ類の方が近縁である。

なお、シロアリは大きさや集団生活をすることなどがアリに似るが、アリとは全く別の仲間の昆虫である。

[編集] 分布

熱帯から冷帯まで、砂漠草原森林など陸上のあらゆる地域に分布する。多くは地中にを作って家族単位で生活するが、枯れ木や竹に巣を作るものや、幼虫共々移動しながら生活する種類もいる。

[編集] 特徴

Pachycondyla verenaeの働きアリの形態と各部の名称

基本的には、ハチと共通の特徴を持つ。体はおおむね円筒形で細長く、頭部、胸部、腹部のそれぞれの間がくびれ、大きく動かすことができる。社会性昆虫であり、同種であっても、カーストによって形態が異なる。繁殖をする雌雄(雄と女王)、それに働き蟻(雌)は形態的に区別できる。働き蟻の中に、さらに複数の形態差が見られる場合もある。繁殖行動を行う雄アリと雌アリにはがある。女王は、後に翅を切り離して無翅になる。それに対して、働き蟻は当初から翅を持たない。数の上では、これが圧倒的に多いので、一般的にはアリは無翅の昆虫との印象がある。なお、腹部の前方の節が細くくびれて柄のようになった「腹柄節」は、昆虫でもアリだけにある器官であり、狭い穴の中での生活に適応すべく役割を果たしている。体色は黒いものが多いが、黄色、褐色、赤色などの種類もいる。

大顎が発達し、餌をくわえたり外敵に噛みついたりできる。さらに腹部先端にはハチと同じように毒腺を持ち、針で刺すことのできるものも少なくない。

[編集] 針と毒腺

日本で人家の周囲に見られるアリの多くは針を持たず、持っていても針が脆弱であまり刺さない種類が多いので、日本では一般にはアリには針がないと思われており、昆虫学にかなり造詣のある人でも原始的な一部の種だけに針があると思っていることが多い。しかし、特殊化の進んだヤマアリ亜科やカタアリ亜科のアリを除けば、系統的には針を持つものが多数派である。熱帯には、積極的に針で攻撃する種が多い。かなり高等な分類群でも、フタフシアリ亜科は針を持つ。

針を持たなかったり、刺すほど強靭な針を持たないアリは多くの場合、毒液を敵や獲物の体表に付着、或いは飛ばして相手を攻撃する。針を持つ種類はハチと同様に針を使って毒液を注入する。毒液の主成分は蟻酸とされていることが多いが、これはヤマアリ亜科に限られる。これと同様に針を持たないカタアリ亜科や、針を持つフタフシアリ亜科の中でも、刺すだけではなく噴き出した毒液を直接相手にかける使い方もする。シリアゲアリ属のアリは、別の種類の刺激性物質が主成分である。針で刺して攻撃するアリの毒は、多くのハチと同様、タンパク質やペプチドその他の生理活性物質の混合物であり、そうしたアリの熱帯性の大型種に刺されると、スズメバチに刺されたのと同程度の激しい症状を起こして死亡に至る場合もあるので、注意を要する。日本でも、暖地にある人家周辺に多いハリアリ亜科のオオハリアリ、寒冷地では草木の上でよく活動しているフタフシアリ亜科のクシケアリ類がかなり強力な毒針を持つので、刺されて不快な痛みを味わうことがしばしばあるし、人家内に生息するフタフシアリ亜科のイエヒメアリも、微細ながら積極的に針で人体を刺すので、ちくちくした不快感を持つ被害がある。

[編集] 生態

[編集] 食性

アリの食性の基本は肉食だが、種類によって草食、菌食、雑食が分化している。生きた動物を襲う種類から自ら栽培した菌類を主食にする種類まで、多種多様な食性が知られているが、エネルギー源として植物の蜜やアブラムシの甘露、タンパク質源として肉食をする種が多い。肉食の種では、特に土壌性の小型種で、トビムシ、ムカデ、ササラダニなど、ほぼ特定の生物のみを襲って獲物にしている種が多く知られている。

巣の外で餌を見つけると、その場で摂食して素嚢に納めて巣に持ち帰る場合もあるが、まるまる、あるいは刻んで運ぶ行動がよく知られている。中には、砂粒に蜜をまぶして持ち帰るような、道具を使うアリもいる。その際、アリ達が列をなして行き来するのが見られるが、これは同じ家族の働き蟻によって通り道に残された足跡フェロモンをたどって行くことによるもの。古くはアリは道を覚えて歩くと考えられており、ファーブルの存命時にはこれが解明されていなかった。ちなみにアリ達がなんらかの原因で円を描くように列をなすと、足跡フェロモンをたどる習性があだとなり、延々と渦をまくように力尽きるまで回り続けることがある。[2]

[編集] 社会

アリは - 幼虫 - - 成虫という完全変態を行う。卵から蛹までを保護しながら家族単位で生活することがよく知られている。なお、蛹では繭を作る種類と作らない種類がある。いわゆる社会性昆虫の代表格であり、真社会性を持つが、実際にはかなりの多様性を含んでいる。

成虫は性別や役割に応じて「女王アリ」、「働きアリ」、「兵隊アリ」、「雄アリ」、「処女女王アリ」と分化していることが一般的によく知られている。一般的には、雄アリと女王が交尾し、その後、女王が単独で営巣、産卵する。ふ化した子が成長すると働き蟻となり、その後は女王が働き蟻を産み続けることで、群れは大きくなる。しかし中にはアミメアリのように「働きアリ」だけで卵を産んで増えるものや、クロオオアリのように大型の「働きアリ」は居ても「兵隊アリ」として区別できないものなど、様々な種類が存在する。また、女王が複数存在する例も少なくない。

[編集] 社会寄生

他種の働き蟻の労働に依存して生活するものを、社会寄生という。これを行うアリは少なくない。これにはいくつかの形がある。

サムライアリは奴隷狩りをするのでよく知られる。このありは、クロヤマアリなど、他種のアリの巣に集団で侵入し、繭を持ち帰る。そこから生まれた成虫は、サムライアリの巣の中で、働き蟻として働く。往々にして、巣内の八割が奴隷であるという。似た方法をとるものに、アカヤマアリなどもある。

これに対して、トゲアリの場合、新女王はクロオオアリなどの巣に侵入し、女王を殺して、その後に居座る。そこで産卵をして、その巣のアリに世話をさせる。やがて自分の子が増えて、元の巣のアリが死亡してゆくことで、単独の巣になる。それ以降は他種の世話にはならない。このようなものを、一時的社会寄生という。

[編集] 繁殖

年に一度(一定の期間)、成熟した巣から羽を持つ処女女王アリと雄アリが多数飛び立ち、結婚飛行を行い空中で交尾をする。結婚飛行の時期は種類や地域によって大きく異なり、春から秋にかけて行われる。空中で交尾した雄アリは力尽きて死ぬが、処女女王アリは貯精嚢に交尾した雄アリから得た一生分の精子を貯蔵し、地上に降り立った後に自ら羽を落とし、巣穴を掘るか木の皮の隙間などに潜むなどして女王アリとしての最初の産卵行動に入る。

アリはハチと同様に、受精卵からは2倍体の雌が、未受精卵からは半数体の雄が生まれる。ただし、アミメアリのように女王アリが存在しない種類では、働き蟻が産卵する卵であっても2倍体の働きアリが生まれる。女王アリは産卵時に有精卵と無精卵を生み分けることができるといわれ、通常、初期のコロニーでは雄アリが生じることは少ない。有精卵はすべて雌性となり、与えられるえさやフェロモンなどによって働きアリになるか処女女王アリになるかが左右される。働きアリは通常、女王アリからのフェロモンによって、不妊の状態に制御されているが、女王アリが欠けた場合には卵巣が発達して産卵を開始することがある。この場合、残ったアリは働くことをやめるなどして不活性化していき、やがてその家族は滅んでしまう。

働きアリは女王の世話、卵と幼虫の世話、餌の運搬などの仕事を分担する。外で餌を探しているアリは大抵老齢のアリである。多くの働きアリは巣の中にとどまり、その中に食料を蓄えるなどの役目を果たす。

[編集] 他の生物との関係

アリは人間になじみのある昆虫の中では小さいことから、人間から見ればか弱い存在と思われがちだが、肉食のものが多く活発で攻撃力があって集団をなすことから、他の昆虫にとっては恐ろしい存在である。さまざまな生態系でアリは最も重要な小動物の捕食者である。熱帯雨林では植食性動物ではシロアリ、肉食性動物ではアリが人間のバイオマスに匹敵するほどの大きなバイオマスを誇っているほどである。

蟻に擬態したアリグモ

またアリグモという、アリに擬態しているクモがおり、かつては仲間と思って近づいてくるアリを襲うと信じられていたが、現在ではむしろアリの姿でいることで他の動物からの攻撃を避けているとされる。他にもアリそっくりの姿をしたハエカマキリツノゼミなどが世界各地で報告されている。

さまざまな植物で、花外蜜腺といって以外の器官に蜜腺を持つ形質が進化しているが、これは蜜でアリを誘引し、その付近にアリを常駐させ、彼らに植食性の昆虫を襲わせることで体を守る適応的意義があるとされている。また植物の中には、アリに住まいを提供し、それらによって害虫の影響を排除しているアリ植物も知られている。アブラムシカイガラムシの一部が蜜を出すのも同様な理由と考えられる。ほかに、アリに種子を運ばせるように適応したと思われる植物が多数ある。それらは種子にエライオソームと呼ばれる柔らかな付属物を持ち、これがアリの餌となるとされる。しかし、これはアリの卵に擬態しているのではないかとの説もある。

他方で、その量が多いことから、これを専食する動物も知られる。ツノトカゲ属モロクトカゲが有名で、この両者は形態や行動にも似たところが多く、収斂進化の良い例である。日本ではアリスイ、アオオビハエトリやハリサシガメがある。名前の上ではオオアリクイというのがあるが、これはむしろシロアリ食である。

その他、アリの巣には特有の昆虫などが同居していることが知られている。それらの多くはアリの巣のみから発見されるが、アリとの関係は様々である。たとえばクロシジミは若齢幼虫がアリによって巣内に運び込まれ、アリに餌を与えられて育つ。その他にアリスアブアリヅカコオロギアリシミなどが有名で、それらをまとめて好蟻性動物あるいは大抵は昆虫なので好蟻性昆虫と呼ぶ。

また、カラスカケスなどの鳥類の中には体にアリをたからせるものがおり、蟻浴(ぎよく)と呼ばれる。これには、蟻酸により寄生虫を退治する効果があるといわれているが、詳しいことは分かっていない。籠で飼われているメジロソウシチョウなどの鳥でも、籠の中に生きたアリを入れてやると、素早く捕獲してくちばしに挟んだまま全身に擦りつける動作が観察できることがある。

[編集] 進化史

アリのような小型の昆虫は潰れやすいために化石になりにくく、もしあったとしてもその小ささから発見もしづらい。そのため進化の過程を解き明かす証拠は少なく、まだ不明な部分も多い。

だが幸運な事に、コハクに内包され化石化したものが存在する。これは形を維持したまま固化し、光を通すので形状の観察も容易である。

また、分子系統学により遺伝子型の比較でも現存種間の分化が調査、整理されつつある。

1億2500万年前、スズメバチ(Vespidae)の祖先から分化した。これはハチの化石との比較で推定された。

1億1200万年~1億年前、Cariridris bipetiolataレイメイアリ)の化石がブラジルで発見された。この種はアケボノアリではなく、原始的なキバハリアリに似ている。 9000万年前では、コハク中の化石からアケボノアリやヤマアリ亜科、ハリアリ亜科が見つかっている。この時代では、コハクに含まれるアリは含有される昆虫中0.001~0.05%と比較的少数である。アケボノアリは腹柄や後胸腺があるが触覚柄節が短く、現在のアリよりも古くに分化したアリである。

6000万年前、白亜紀末期の全生物の大規模絶滅後では、コハク中のアリの含有割合が1.2%と増加した。

4500万年~3800万年前のコハクでは含有割合が20~40%を占め、現存の亜科もほぼ出揃った。また4500万年前の化石でメッセルオオアリが発見された。これはアリの中では最大の種で、雌アリは羽を広げると15cmにもなる。

日本では熱帯性と冷寒帯性の境目のようなアリ相だが、これは1万年前、最近の氷河期が過ぎ去ったあとに成立した。

[編集] 分類

[3][4]

現生アリ科は18~23の亜科に分かれる。†は化石群。属は主要なもののみ。

その他未分類のものもある。区分は研究者によって異なることがある。

[編集] おもな種類

[編集] 日本産

クロオオアリ
クロヤマアリ
アミメアリ
クロオオアリ
全国に生息。働きアリの体長は12mmにもなる。開けた場所の地中に営巣し、5-6月に結婚飛行を行う。
ムネアカオオアリ
クロオオアリに似ているが、胸部と腹柄節にかけて赤褐色をしている。朽ちた木に営巣し、5-6月に結婚飛行を行う。
ミカドオオアリ
体長8-11mm。朽ちたに営巣するアリで、コロニー規模が大きくなってくると巣別れする。
トゲアリ
体長は8mmほど。背部に、6本のトゲを持つ。一時寄生をする種で、クロオオアリ、ミカドオオアリ、ムネアカオオアリなどの大型種に寄生する。この寄生の際、トゲアリの女王は単独で相手のコロニー内に進入し、その女王を組み敷いて殺すのだが、トゲアリの女王はその時相手の体から体液を吸っていることが認められている。
アカヤマアリ
体長6-8mm。奴隷狩りという行動を取ることで知られる。クロヤマアリなどの幼虫などをさらってきて混生する。
クロヤマアリ
草原など日当たりの良い土の露出したところに、深さ1mほどになる巣を作る。主にアリマキの出す甘露や花の蜜、昆虫の死骸などを食べるが、花びらや土筆の穂を食べる姿も見られている。関東型と関西型に大別され、関東型は一つの巣に一匹の女王が居るが、関西型は複数の女王が同じ巣で暮らしている。
クロナガアリ
草原に生息。地下4mにも達する細長い巣を作る。秋に地上に現れ、イネ科植物の実を採集して主食にする。
アシナガアリ
全国に生息。主に東日本では平地、西日本では平地から山地までの林縁、林内の土中や石下に営巣する。腹曲げ行動を行わない。日本全国に15種類ほどが知られる。
サムライアリ
クロヤマアリの巣を襲って幼虫やさなぎをさらい、奴隷として働かせる習性がある。これを奴隷狩りという。
イエヒメアリ
体長2-3mm。体色は頭部と胸部が淡黄褐色から褐色。屋内に巣を作り大量発生することがあり、防除が難しい害虫として問題になる。(実際に屋内で甘いものをこぼすとイエヒメアリが集ることもある)
オオズアリ
働きアリは体長2.5mmほどだが、一部は体長5mmほどの兵隊アリとなる。兵隊アリは頭が大きいのでこの和名がある。日本では西日本に多く、東日本には近縁のアズマオオズアリが多い。
ルリアリ
キイロシリアゲアリ
腹部が上向きに吊り上るのでこの和名がある。小型で琥珀色をしている。
オオハリアリ
湿気のある場所に多い。腹部先端に発達した毒針を持ち、刺される事故がよく発生する。
トゲズネハリアリ
ニセハリアリ
アミメアリ
体長2.5mm。頭部、胸部に網目状の模様がある。雌アリを持たず、働きアリが産卵してコロニーを維持する。雄アリはまれにみられる。巣穴は作らず、石の隙間や倒木に集団を形成し、頻繁に移住する。大きなコロニーでは数十万匹にも達する。殺虫剤に抵抗性を持つコロニーがある。
クシケアリ
ムネボソアリ
トビイロシワアリ
体長2.5mm。頭部、胸部に縦にしわ状の模様がある。平地の石下などに営巣する。ほぼ日本全国に分布する。西日本で最も普通に見られるアリ。
トビイロケアリ
ハリブトシリアゲアリ
獲物や外敵を攻撃する際に腹部を頭上までそりかえらせて毒針の先端から刺激臭のある毒液(蟻酸ではない)を出す。テラニシシリアゲアリに対して褐色がかっていて、一回り大きい。後胸部の前伸腹節刺が太く短い。
テラニシシリアゲアリ
獲物や外敵を攻撃する際に腹部を頭上までそりかえらせて毒針の先端から刺激臭のある毒液(蟻酸ではない)を出す。黒く、ハリブトシリアゲアリよりも一回り小さい。後胸部の前伸腹節刺が細く鋭い。
アメイロアリ
腹部が水飴のような透明な褐色をしている。蟻の中では小型。
竹林の空中に作られたアリの巣
コツノアリ

[編集] その他の地域

パラポネラ(サシハリアリ属)
原始的なアリ。集団生活はするが、体が大きいので狩りは単独で行う。狩りをする際は口で相手を押さえつけ、尻尾の毒針を刺して殺す。この毒は人間を殺害する能力はないが、焼けるような激痛が全身に走る。
テトラポネラ(ナガフシアリ属)
ミツアリ
ミツツボアリともいう。オーストラリアに分布。名の通り花の蜜を採集し、巣の中に待機する働きアリをタンクにして蓄える。タンク役のアリは腹を大きく膨らませて巣の天井にぶらさがり、仲間のために蜜を貯め続ける。蜜を貯めたものはアボリジニの間食用にされる。
ハキリアリ
主に中南米熱帯雨林に生息。集団で行列を組んで様々な種類の木の葉を円く切り取って巣の中へ運び、その葉で培養した菌類を主食にし、培養に使った葉の残りカス等も決まった場所に投棄する。人間以外で農業を行うという珍しい蟻だが、近年では農作物を荒らす害虫として現地では駆除の対象になっている。
ツムギアリ
東南アジアからオーストラリアに分布する。幼虫の吐く糸で木の葉をつなぎとめ、木の上にボールのような巣を作る。攻撃性の高さでも知られている。食べるとレモンのような酸っぱい味がし、タイ北部や中国雲南省などではと共に食用にされる。またそれらの国では、レモンティーの材料の代用品として入れられる事もある模様。
クロトゲアリ
中国で養殖され、「黒螞蟻」などの名で薬膳材料や、健康食品原料に利用されている。
グンタイアリ
中南米熱帯雨林に分布。1匹の女王アリに約100万匹のグンタイアリがつき従っている。最近ドキュメンタリー番組などで紹介されるようになり、日本でも知名度が大幅に上がった。アリ自らが集団になって固まり移動式の巣を形成する。集団のアリ1匹1匹がしっかり組み合わさることによって即席の筏を作り、水上を移動することもできる。獲物を求めてジャングル内を放浪し、通りがかった動物・昆虫など全てを集団で襲い、文字通り食べ尽くす。人間やライオン等にも襲いかかった例がある。害虫を食べ尽くしてくれる益虫として、グンタイアリが生息する地域に住む人間らは重宝している。アリジゴクの巣だけは避けて通るようだ。
サスライアリ
アフリカとアジアの熱帯域に分布。グンタイアリと同じく放浪する。
アルゼンチンアリ
和名どおり南アメリカ原産のアリだが、日本にも侵入し分布を広げている外来種である。攻撃性と繁殖力が強い。広島県廿日市市などでは、人家に大量のアリが侵入し食料を荒らすなど、日常生活に支障が出る家庭も増えている。同市ウェブサイトにはアルゼンチンアリの駆逐方などが記載されている(外部リンク参照)。
ブルアント
オーストラリアなどに生息する。世界一攻撃的なアリといわれ、ジャンプによる体当たりと毒針を武器にする。
スナップジョーアント
オーストラリアなどに生息する。180度近く開いた巨大な顎を凄い速度で動かし、獲物や敵を攻撃する。
ファイアーアント
殺人アリの一種。和名はアカヒアリ。アルカロイド系の毒を持っており、刺されると急性のアレルギー症状を起こし、死亡することもある。近年、生息圏を拡大しつつあり、アメリカではアナフィラキシーによる2件の死亡例が報告され社会問題となっている。
ナンベイオオアリ
ハリアリの一種。体長は25~35mmでハリアリの中では世界最大。強い神経毒を持ち、毒の威力はスズメバチ並とも。肉食。パラポネラとも呼ばれる。
ウミトゲアリ
トゲアリの一種。1992年にオーストラリアのマングローブ林で発見された。マングローブ林に住処があり、海に巣をつくる唯一のアリである。泳ぐのが得意で、水に浮くことも可能。
オソレアリ
ハダカアリ
ミストリウムアリ
アカカミアリ
Martialis heureka (Rabeling & Verhaagh2008)
ブラジルの熱帯雨林で発見された種。現存するアリのうち最も古くに分化した。

[編集] 人間との関係

アリと人間の関係は多彩である。利害関係の上でも入り組んでいる。

[編集] 利用

アリが利益を与える例として、小昆虫を獲物とするものが多いことから、様々な害虫天敵として働いていることがあげられる。直接の利用としては、食用とされる例がある。アリ入りのチョコレートがはやった時代があり、日本からもアカヤマアリを1箱に20匹ほど入れたチョコレート(商品名・チョコアンリ)が1950年代にアメリカ向けへ多量に輸出されていた事がある。また、特殊な例としては、蜜をため込むミツアリの例もある。

かつて野外で傷口を縫い合わせるためにアリに噛ませたことがあるという。まず傷口を押さえておき、アリの胴を捕まえて傷に近づけ、かみつかせると同時に指先で頭と胴を切り離す。すると頭は傷にかみついたまま固まってしまう。これを繰り返すことで傷口を縫い合わせる。

[編集] 害虫

害を与える例としては、まず、噛みついたり刺したりすることがあげられる。個体は小さいが、集団で活動するため、攻撃を受けると大変にうるさい。単にそれだけでなく、特に強い毒を持つものや攻撃性の強いものもあり、危険でさえある。

農業面では、アブラムシを保護する行動をとるものは間接的に農業害虫である。南アメリカでは、ハキリアリの被害が大きい。

また、人間の生活環境に住み込むものは、人間の食物やその他を食うことがあり、嫌われる。

このように、全体ではアリは害をなす場合が多く、駆除のために専用の薬品も用意される。

[編集] 文化

アリは身近な昆虫であり、集団活動したりと目を引くことから、取り上げられる場合が多い。印象としては、ごく小さい虫、たくさん集まる虫、よく働く虫、といったところである。

小さい、という印象では「アリの這い出る隙もない」「アリの一穴」などがある。アリドオシの棘はアリを突き通すほど鋭いという。

「アリの熊野詣で」は行列を作る様からの表現である。

[編集] アリを主人公にした物語

[編集] アリを主題とした作品

[編集] 関連項目

[編集] 脚注・参考文献

  1. ^ Brothers DJ (1999). “Phylogeny and evolution of wasps, ants and bees (Hymenoptera, Chrysisoidea, Vespoidea, and Apoidea)”. Zoologica Scripta 28: 233–249. doi:10.1046/j.1463-6409.1999.00003.x. 
  2. ^ 誰も止められない死のスパイラル…死ぬまで回り続ける蟻の大群(動画)
  3. ^ アリ類データベースグループ著 『日本産アリ類全種図鑑』 学習研究社2003年ISBN 978-4-05-401792-4
  4. ^ バート・ヘルドブラー,エドワード・O.ウィルソン著 『蟻の自然誌』 辻和希松本忠夫訳、朝日新聞社1997年ISBN 978-4-02-257158-8
  • 寺山守・久保田敏、『アリハンドブック』、(2009)、文一総合出版

[編集] 外部リンク

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