残飯

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残飯(ざんぱん)は、食事の食べ残しである。そのままでは生ごみになるものだが、家畜の餌、肥料、人間の食事など、様々に利用される。

人間の食事としての提供[編集]

19世紀までのフランス[編集]

19世紀までのフランスには、雑多な色合いを成す外観から「アルルカン」(道化役者)と呼ばれる残飯料理があり、上層階級の人々の食べ残しがその名で下層階級の客に提供されていた[1]。フランス料理の祖といわれるオーギュスト・エスコフィエなどは、ホテルの裏口で売られる残り物にも心を砕いていたといわれる[1]

明治時代の日本[編集]

日本では明治時代に、軍隊から出る残飯を安く買い、都市の貧民に販売する残飯屋という業者が登場した[2]

残飯はそのまま売る店もあったが、醤油や汁がしみこんだ米飯を水で洗い、笊にあげて水を切るところもあった[3]。残飯屋では味噌汁の残りを残汁、その他のおかずの残りを残菜と呼び、それぞれ適当に値を付けた。量的に少ないが工場、料理屋からの残飯、監獄のまずい麦飯の残りも出て売られた[4]。残飯屋でも引き取らないような腐りかけの残飯は、豚の餌や肥料として引き取られた[5]。購買者は都市の貧民だが、彼らにとっても下等の食事である。安価であったが需要を満たすには量が足りず[6]、たちまち売り切れるのを常とした。1895年、1896年頃の東京で、上等の残飯が1銭で4椀、焦飯が1銭で5椀買えた[7]

以上は東京の例だが、仙台や金沢など他都市にも残飯業者があった[8]

現代の韓国[編集]

現代の韓国では、飲食店で前の客の食べ残しを使い回すケースが広く存在している[9]

その他の残飯利用[編集]

一般家庭では、ペットなどを飼っているところでは、ペットの犬や猫に食べさせたり、あるいはガーデンニングのための生ごみ堆肥コンポスト)を作るのに利用されることもある。さもなければ、ただの生ごみとして捨てられる。

学校病院などの大規模事業所から出る大量の生ごみは、養豚養鶏などの畜産業者が引き取って、家畜の飼料にしているところもある。またカリフォルニア大学デービス校では、生物農業工学部のルイホン・ツァン教授が残飯や廃棄物を利用した発電プロジェクトを研究している[10][11]

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  1. ^ a b 21世紀研究会編『食の世界地図』文藝春秋・P176
  2. ^ 松原岩五郎『最暗黒の東京』53頁。以下この節の解説は、同書のほか、『明治東京下層生活誌』所収の諸記事・論文、横山源之助『日本の下層社会』による。
  3. ^ 「府下貧民の真況」、『明治東京下層生活誌』27-28頁。
  4. ^ 「下谷区万年町貧民窟の真況」、『明治東京下層生活誌』238-239頁。横山源之助『日本の下層社会』53頁。松尾章一「日清・日露戦争下の勤労大衆の生活」、203頁。
  5. ^ 松原岩五郎『最暗黒の東京』47-48頁には、そうしたものをも人間用に回したことが記される。
  6. ^ 横山源之助『日本の下層社会』53頁。
  7. ^ 横山源之助『日本の下層社会』53頁。
  8. ^ 仙台については『仙台市史』通史編6(近代1)295頁(仙台市、2009年)。難波信雄「日露戦争時の仙台」、『市史せんだい』4号、1994年6月。金沢については『日本の下層社会』74頁。
  9. ^ 雨宮処凛「「生きづらさ」を生きる 81 韓国へ解毒の旅 店の人の適当さに感動」、『新潟日報』2012年12月28日付。
  10. ^ UC Davis News & Information :: New Technology Turns Food Leftovers Into Electricity, Vehicle Fuels
  11. ^ ITmedia News:米大学、残飯や廃棄物を使った発電プロジェクトを開始

参考文献[編集]

  • 中川清編『明治東京下層生活誌』(岩波文庫)、岩波書店、1994年、ISBN 4-00-331951-6
    • 朝野新聞』1886年(明治19年)連載記事「府下貧民の真況」。中川清・編『明治東京下層生活誌』所収。
    • 報知新聞』1897年(明治30年)連載記事「昨今の貧民窟」。中川清・編『明治東京下層生活誌』所収。
    • 斎藤兼次郎「下谷区万年町貧民窟の真況」、『直言』1905年(明治38年)連載。中川清・編『明治東京下層生活誌』所収。
  • 松原岩五郎『最暗黒の東京』(岩波文庫)、岩波書店、1988年、ISBN 4-00-331741-6。初版は乾坤一布衣の筆名で民友社より1893年発行。
  • 横山源之助日本の下層社会』、1899年(明治32年)。岩波書店、1949年、ISBN 4-00-331091-8

関連項目[編集]

  • 食品廃材 - 食品の加工過程で発生する廃棄物。
  • バイオマス - 残飯をエネルギー資源(バイオ燃料)として利用する研究が進められている。
  • ドギーバッグ - アメリカなどの飲食店で行われている、残飯を持ち帰ることができるサービス。
  • ねこまんま - ご飯に鰹節や汁などをかけたもの。猫に与える残飯を連想することから。