ヒグマ

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?ヒグマ

ヒグマ arctos
保全状態評価
LOWER RISK - Least Concern
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
ファイル:Status iucn2.3 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
亜目 : イヌ亜目 Caniformia
下目 : クマ下目 Arctoidea
小目 : クマ小目 Ursida
上科 : クマ上科 Ursoide
: クマ科 Ursidae
亜科 : クマ亜科 Ursinae
: クマ属 Ursus
: ヒグマ U. arctos
学名
Ursus arctos
L, 1758
和名
ヒグマ
英名
Brown Bear

ヒグマ樋熊・学名Ursus arctos)はネコ目(食肉目)クマ科に属する哺乳類である。ホッキョクグマと並びクマ科では最大の体長を誇る。また、日本に生息する陸棲哺乳類(草食獣を含む)でも最大の種である。

目次

[編集] 分布

ヨーロッパからアジアにかけてのユーラシア大陸北アメリカ大陸の森林地帯に幅広く生息している。その生息地は温帯からツンドラ気候の地域(北極海沿岸など)にまで及ぶ。現存するクマ属の中では最も広く分布する。

北アメリカ北西部に生息するハイイログマ(グリズリー、U. a. horribilis)、アラスカに生息するコディアックヒグマKodiac Bear U. a. middendorfii)、北海道に生息するエゾヒグマ(U. a. yesoensis)など、いくつかの亜種が存在する。絶滅した亜種に、メキシコハイイログマU. a. nelsoni)とカリフォルニアハイイログマU. a. californicus)がある。また、アフリカ大陸北部の地中海沿いのアトラス山脈周辺にも、19世紀までは、アトラスヒグマU. a. crowtheri)という亜種が生息していた。

なお、日本では北海道にしかいないので亜寒帯・冷温帯など寒地に生息するイメージが強い。また実際にその生息地は針葉樹林中心の傾向がある。しかし過去には地中海沿岸やメキシコ湾岸など南方の温暖な地域にまで及んでいて、人間による開発や乱獲によって減少し、人口密度の低い北方のみに生息するようになったとされる。個体群や亜種の絶滅は過去150年間に集中し、アラスカを除く北米大陸と西欧で著しい。

ホッキョクグマはヒグマの派生種であり、生殖前隔離のみが存在する。通常北極圏ではヒグマは陸、ホッキョクグマは海と住み分けているが、地球温暖化の影響で近年両者の混血が発生しており、懸念されている。

エゾヒグマの生息地
巨大に成長したコディアックヒグマ

[編集] 生態

がっしりとした頑丈な体格を誇り、頭骨が大きく肩も盛り上がっている。ヒグマは栄養状態によって生じる個体差が非常に顕著で、内陸のヒグマが300キロを超える事はあまり多くないが、溯上するサケ・マス類を豊富に食べられる環境にいるヒグマは巨大である。中でも有名なのが、アラスカ沿岸のコディアック島と、ロシアの極東カムチャツカ半島に生息するヒグマで、共に500キロ以上の個体が記録されている。エゾヒグマでも、1980年羽幌町で射殺された体重450kgの通称「北海太郎」や、1982年古多糠の牧場で子牛3頭を襲った500kgの雄(6歳)、2007年11月にえりも町猿留川さけ・ます孵化場の箱罠にかかった推定年齢17歳・520kgのオスなど大型の個体もおり、近年大型化しているとの指摘もある。このます孵化場の箱罠では、300kgの個体も捕獲されている。三毛別羆事件を引き起こした通称「袈裟懸け」は380kgであった。

食性は雑食だが、同じクマ科のツキノワグマに比べると肉食の傾向が大きい。シカイノシシネズミなどの大小哺乳類、サケマスなどの魚類、果実などを主に食べる。またトラオオカミなど、他の肉食獣が殺した獲物を盗むことも近年の研究で明らかとなった。また自分が捕獲した獲物に対して強い執着心を示すため、ヒグマに奪われた物を取り返す行為は危険である。冬季には巣穴で冬眠をする。冬眠中には脈拍、呼吸数が大幅に減少する。この間(通常2月)に出産するが、出産したばかりの子供の体は非常に小さい。

成体のヒグマにおいては武器を所持したヒト以外に天敵がほぼ存在しないとも言えるが、シベリアでは成獣がしばしばトラに捕食される。

[編集] 人間との関わり

[編集] 日本

アイヌの人々はヒグマをキムンカムイ(山の神)として崇めた。毎秋にはイオマンテ熊送り)と呼ばれる祭を催し、丁重に飼育したヒグマの仔を殺すことで霊を天に返した。

現代ではヒグマはキタキツネとともに、北海道観光の象徴的なマスコットとされ、古くからのアイヌによる木彫り細工からキャラクター化度の強い商品まで幅広い。登別温泉などにある「クマ牧場」のように、観光用のヒグマの飼育施設まで存在する。そこではヒグマに芸を仕込んでいることもある。

しかし、北海道でのヒグマと人との接触による問題は根深い問題である。マスコットや飼育下のヒグマはともかく、地元の人々にとっては野生のヒグマには恐ろしい動物という印象が非常に強い。駆除の優先度も、エゾシカなどに比べて高い。その被害も農作物への被害(夕張メロンなど)から、畜産物、人的被害にまで及ぶ。明治時代には北海道で多数の人間が襲撃されており、苫前三毛別羆事件のように小規模な天災に匹敵する死者を出した事件すらある。また、近年になって人身事件が増加傾向にあり[1]、山菜採りなどで山に入ることをためらう人も増えてきている。

日本に限ったことではないが、ヒトが山中にごみをポイ捨てしたり、あまつさえ(攻撃性をあまり示さない)個体に餌を与えたりなどすることで、クマがヒトの食物の味を覚え、人里に出ようとする事案が後を絶たない。保護団体ではエアソフトガン等で痛めつけてヒトの恐ろしさを学習させるなどして、山に帰るよう促しているが、それでも治らない個体は、自治体がハンター団体に依頼して殺処分される。そのような個体はいずれヒトを襲うようになる恐れがあるからである。

[編集] 北米

北米先住民にとって、ヒグマをはじめとするクマは畏敬と信仰の対象であった。プエブロ・インディアンの焼き物や宝飾品、ズニ族フェティッシュと呼ばれる動物をかたどったお守りには、熊のモチーフが好んで用いられる。

北米では、絶滅危惧種保護法(Endangered Species Act)をはじめとする保護法の発効以来ヒグマの個体群数は回復の傾向にあるが、放牧業を営む畜農家との軋轢、拡大する住宅地、国立公園などでの観光客との接触、ハンターとの接触、交通事故など、人とヒグマとの共存は容易ではない[2]

ハイイログマの個体群は、アメリカ合衆国では絶滅危惧特別個体群(Threatened Distinct Population Segment)、カナダでは絶滅危機特別個体群(Endangered Distinct Population Segment)に指定され、連邦法と州法で保護されている。

[編集] 保全状態評価

  • ヨーロッパヒグマ U. a. arctos L., 1758
LOWER RISK - Least Concern(IUCN Red List Ver.2.3(1994))
画像:Status iucn2.3 LC.svg
  • メキシコヒグマ U. a. nelsoni Merriam, 1914
EXTINCTIUCN Red List Ver.2.3(1994)
ファイル:Status iucn2.3 EX.svg

[編集] ヒグマが登場する作品

[編集] 脚注

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  1. ^ 北海道では、1996年からの10年だけで、ヒグマに襲われて6人が死亡、17人が重軽傷した。「ヒグマによる人身事件の概要一覧(1970年~2000年12月)」でも同様のデータは確認可能。この資料の後も事件はおき続けており、ヒグマとの遭遇事故だけでも年々増加してきている。[1]
    人身事件の増加の理由については、ハンター全体が高齢化・引退しハンターの数が減少してしまったことや、エゾシカが増えておりそれを食べたヒグマが肉食をしたことで気性が荒くなることがあること、などが指摘されることもある(出典:2008年4月の北斗町での死亡事故を受けての地元ハンター協会長などの談話。テレビ朝日のTVニュース。かつて200名ほどいたハンターが現在は50名しかいないという。)またヒグマとまともに対決できるだけの腕を持つハンターとなると、その数が限られるという。ライフルをヒグマに一発命中させながらも、次の弾丸をこめている間に襲われたハンターもいる。ヒグマはいざとなると時速数十キロもの速さで走って襲いかかってくる、とも言われている。
    ヒグマは知力に優れ、最近人里に近い箇所に巣穴をもうけ民家の飼い犬を襲ってから、住民宅を襲う事故が発生している。またヒグマは学習能力も高く土葬された人間の遺体の味を覚えた場合、生きた人間を襲うことがありえる。ヒグマの生息地域では土葬は厳禁である。
  2. ^ 北米において拳銃の広告において、渓谷で釣りをしている個人がヒグマに遭遇する場面(すなわち拳銃を所持していれば身の安全が図れるということ)が用いられる場合がみられ、ヒグマは人にとって危険な動物の代名詞として認識されている。
ウィキメディア・コモンズ

[編集] 参考文献

  • Bear Specialist Group(1996). Ursus arctos. 2006 IUCN Red List of Threatened Species. IUCN 2006. Retrieved on 5 September 2007.
  • Servheen, C. 1989. Status of the World's Bears, 2nd International Conference of Bear Research and Management, Monograph 2.
  • ヘレロ,S. 嶋田みどり・大山卓悠訳『ベア・アタックス - クマはなぜ人を襲うか』北海道大学出版会 ISBN 4-8329-7301-0 / ISBN 4-8329-7302-9

[編集] 外部リンク