アケビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

?アケビ

アケビ(2007年3月)
分類
植物界 Plantae
被子植物門 Magnoliophyta
双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 モクレン亜綱 Magnoliidae
キンポウゲ目 Ranunculales
アケビ科 Lardizabalaceae
アケビ属 Akebia
アケビ A. quinata
学名
Akebia quinata
和名
アケビ

アケビ木通通草)はアケビ科蔓性落葉低木の一種(学名 Akebia quinata)、あるいはアケビ属(Akebia)に属する植物の総称である。

目次

[編集] 形態

アケビ属の一種の葉と花。大きく色の濃い方の花が雌花で小さな色の薄い花が雄花
アケビ属の一種の葉と花。大きく色の濃い方の花が雌花で小さな色の薄い花が雄花

茎はつるになって他物に巻き付き、古くなると木質化する。葉は5つの楕円形の小葉が掌状につく複葉で、互生する。は4~5月に咲き、木は雌雄同株であるが雌雄異花で淡紫色。花被は3枚で雄花の中央部には6本の雄しべがミカンの房状に、雌花の中央部にはバナナの果実のような6–9本の雌しべが放射状につく。雌花の柱頭(先端部)には、甘みを持った粘着性の液体が付いており、花粉がここに付着することで受粉が成立する。雌雄異花で蜜も出さないので受粉生態にはよくわかっていない点が多いが、雌花が雄花に擬態して雄花の花粉を目当てに飛来する小型のハナバチ類を騙して受粉を成功させているのではないか、とする仮説がある。ハエ類が甘みを持った粘着性を舐めに来る際に受粉していると考えられる。受粉に成功した個々の雌しべは成長して果実となり、10cm前後まで成長する。9~10月に熟して淡紫色に色づく。成熟した果実の果皮は心皮の合着線で裂開し、甘い胎座とそこに埋もれた多数の黒い種子を裸出する。この胎座の部分は様々な鳥類哺乳類に食べられて種子散布に寄与する。

[編集] 利用

アケビ属の一種の実
アケビ属の一種の実

種子を包む胎座が甘みを持つので、昔から山遊びする子供の絶好のおやつとして親しまれてきた。果皮の部分はほろ苦いので子供が野山で食べることはないが、内部にひき肉を詰めて油で揚げたり刻んで味噌炒めにするなど山菜としての調理を施すことで、通好みの山菜料理として親しまれている。果実として栽培する地域もある。また、東北地方などでは新芽(山形や新潟などでは木の芽と呼ぶ)をやはり山菜として利用している。

その他、成熟した蔓はかごを編むなどして工芸品の素材として利用される。また、秋田県では種をの原料としている。江戸時代から明治時代にかけては高級品として珍重され、明治以降生産が途絶えていたが近年復活した[1]

[編集] 生薬

アケビまたはミツバアケビのつる性の茎は木通(もくつう)という生薬である(日本薬局方に記載の定義による)。木通は利尿作用、抗炎症作用などがあり、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などの漢方方剤に使われる。

また、木通とまぎらわしいものに関木通(かんもくつう)というものがある。これはアケビ類とは別の植物であり、腎臓障害を起こすおそれのある成分が含まれている。名前が似ている上、中国などでは関木通を「木通」としていることもあるので十分な注意が必要である。「木通」を利用する場合は日本薬局方のものが無難である。

[編集] 栽培

商業用園芸栽培の場合は、人工授粉を行う。アケビは自家不結実性(同一株の花の花粉、または同一品種の花粉では実がつきにくい性質)があり、特にアケビ(5葉)とミツバアケビ(3葉)が混在する環境において、良好な結実をみる[2]。3葉種と5葉種では熟期が2~4週間程度異なる。

[編集] 分類

ミツバアケビの雌花(大)と雄花(小)
ミツバアケビの雌花(大)と雄花(小)

近縁種として、日本国内では同じアケビ属で小葉が3枚のミツバアケビ(学名 A. trifoliata)がある。往々にしてアケビと混じって生育しており、アケビとミツバアケビの雑種とされるゴヨウアケビ(学名 A. x pentaphylla)もみられる。その形態は、小葉は5枚ながら緩やかな鋸歯を持つなど、両種の特徴を受け継いでいる。

ただし、園芸植物商がアケビに対して「ゴヨウアケビ」の名を付けて販売している場合があり、混乱が生じることがある。

また、日本にはアケビ属以外のアケビ科植物として、常緑のムベが知られている。

[編集] アケビにつく昆虫

アケビを食樹として利用する昆虫としてヤガ科の大型のであるアケビコノハが知られる。幼虫がアケビ類の葉を食べて育つが、静止時や外敵の刺激を受けたときに背を丸めて胸部の眼状紋を誇示する独特の防御姿勢をとることが知られている。成虫は口吻が硬化しており、ブドウナシなどの果実にこれを突き刺して果汁を吸う、重大な果樹園害虫とされる。

他にアケビにつく昆虫で目立つのはカメムシ目ヨコバイ亜目キジラミ科の小型昆虫であるベニキジラミである。幼虫がアケビの展開前の若い葉に寄生すると、小葉が二つ折りのまま展開できずに肥厚して虫癭(ちゅうえい)となる。幼虫はこの中で吸汁して育ち、羽化して成虫になると外に出て自由生活を送る。成虫は体長2mmほどでセミを小さくしたような姿。非常に鮮やかな紅色で、アケビの植物体上にいるとよく目立つ。

[編集] ギャラリー

[編集] 参考文献

  1. ^ 地域活性化を目指したアケビ種子抽出研究会の活動。ビックあきた。
  2. ^ まちのみどりと園芸の相談Q&A千葉大学大学院園芸学研究科・園芸学部
ウィキメディア・コモンズ