ハイスコアガール

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ハイスコアガール』 (hiscore Girl) は、押切蓮介による日本漫画作品。スクウェア・エニックスの『増刊ヤングガンガン』2010年VOL.11と『増刊ヤングガンガンビッグ』の2011年VOL.1からVOL.3に連載、月刊化し誌名が『月刊ビッグガンガン』となった後も引き続き同誌で連載中。2012年ブロスコミックアワード大賞受賞。2013年版の『このマンガがすごい!』オトコ編で2位を獲得。

目次

物語 [編集]

1991年雲仙普賢岳の噴火、湾岸戦争の勃発、様々な事件が世間を騒がせたこの年、そんなこととは全く無関係にゲーセン通いをしていた当時小学6年生の矢口ハルオは、1人の強敵に出会った。クラスメイトの大野晶。下町のゲーセンには不似合いな、成績優秀で金持ちのお嬢様である彼女は、実は凄腕のゲーマーだった。ゲームしか取り柄の無いハルオは、憩いの場から晶を追いだすため、手段を選ばずハメ技を使ってまで勝とうとするが、激怒した晶に殴り倒された上、行きつけのゲーセンから出入り禁止を喰らってしまった。これが2人の因縁の始まりだった。

ゲームをプレイするために足を運ぶその先々で鉢合わせする2人は、ゲームを通じて少しずつ仲良くなってゆく。しかし、ハルオはある日突然、晶が海外へ転校すると聞かされる。ハルオはそっけない態度で平静を装うが、晶が出立する寸前に空港に駆けつけ、再会を約束した。

それから2年。中学生になったハルオは、相変わらずゲーム三昧の日々を送っていた。そんなハルオに、クラスメイトの日高小春が興味を持つ。ハルオは小春の想いに気付くこともなく、晶との再会と再戦を待ち望んでいた。

そして1994年4月、中学3年生になったハルオは、アメリカから帰国しハルオの学校に転校してきた晶と再会した。

登場人物 [編集]

メインキャラクター [編集]

矢口 春雄(やぐち はるお) / ハルオ
本作の主人公であり、無類のゲーム好きの少年。彼が小学6年生の時から物語は始まる。
ジャンルとしては横スクロールアクションや格闘ゲームを好んでいる。特に『ストII』についてはその腕前に自信を持っており、ガイル使いとして近所では敵なしの実力を誇ることから「豪指のハルオ」を自称する。
勉強も運動も苦手な劣等生で、担任教師やクラスメイトからも見下されバカにされる中、唯一ゲームの腕前こそが誇れるものであり、自分が最も輝ける場所であるゲームセンターを「聖域」と呼ぶほどであった。ある日行きつけのゲームセンターに現れた大野晶との出会いを契機に、己の居場所とプライドを脅かす存在である彼女に対抗意識を燃やすようになる。
なお、ゲームだけが唯一の取り柄というわけではなく、じいやが運転する車に轢かれようが、晶にボコボコにされようがすぐに回復する異様なまでの打たれ強さがある他、他人にはなかなか気付かれることはないものの、晶が惹かれ、じいやや宮尾が認める思いやりが出来る優しさを持っている。
ゲームへの情熱は並々ならぬものであり、ゲームのこととなれば多少の障害なぞ意に介さない。「盛り場へは行ってはいけない」等の学校の規則などはさも当然のように無視してゲームセンターへ通い、校則違反がばれたために教室に反省文提出のため居残りをさせられてもそっちのけでPCエンジンGTに没頭。好きなゲームのためならば吹雪や酷暑もものともせず筐体でもプレイし続けるほどである。家庭用ゲームハードであれば、周囲のほとんどがスーパーファミコンを選ぶ中で、アーケードゲームの移植が多いという理由からPCエンジンを選ぶなど、周囲とは一線を画すマニアックな嗜好をしている。ゲーム業界への情報に対しても敏感に反応しており先見性も高く、小学6年生ながら90年代半ばの格闘ゲームの進化を彼なりに確信・予言している。
格闘ゲームのプレイスタイルは基本的に勝つためなら手段を選ばないタイプであり、度々「卑怯」とされる戦法を採ったり、格下の相手には挑発的な戦い方で相手をいたぶったりするなど随所で底意地の悪さを垣間見せる。一方で晶とは初対戦以降、特別な存在となっており、卑怯な戦法を排し正々堂々と勝負をして勝利するためのロジックを構築すべく、日々の鍛錬は勿論、コマンドの暗記や技の研究もしっかり行なっている。また癇癪を起こし暴れるようなマナーの悪いゲーマーには諌めにかかることもあり、ゲーマーとしてそれなりの良識は持ち合わせている。
晶との初対戦で、ハルオが卑怯な戦法を採ったことに激怒した彼女に殴られて以降、ゲームをプレイするために足を運ぶその先々で鉢合わせするたびに衝突を繰り返すが、不器用ながらも晶との絆を築いていく。夏休み明けに晶が海外へ転校すると聞かされた際には、最初は自分の聖域に踏み込んでくる忌々しい存在とまで思っていたはずが、いつのまにかかけがえのない存在になっていたことに気付きショックを受ける。晶のお別れ会でもハルオはそっけない態度を取ってしまいクラスメイトの顰蹙を買うが、土壇場で自分の気持ちに正直になり、出立する寸前の空港に駆けつけ、晶と再会を約束した。
中学生になったハルオは、『餓狼伝説』シリーズ、『サムライスピリッツ』など、次々と新作が登場し、相変わらず様々なゲームに没頭する日々を送っていたが、その傍らで晶との再戦を胸にストIIシリーズの腕を磨く日々を過ごす。そして1994年4月、中学3年生になったハルオは、アメリカから帰国し、ハルオの学校に転校してきた晶と再会した。
再会に対するお互いの想いのすれ違いから、再戦の機会がなかなか訪れずにいたが、修学旅行の自由時間に『スーパーストリートファイターIIX』の関西大会に参加し、同じく参加していた晶と決勝戦で再戦が叶い、辛勝を果たす。しかし表彰式後、晶がゲームの筐体が故障していることを申し出ないままハルオとの勝負に臨んだことを知り激怒し、取っ組み合いの喧嘩になるも、一方的に殴られながらもずっと再戦を楽しみにしていたこと、ずっと晶を待っていたことを正面から打ち明けたことで晶はハルオの真意を知り、またハルオも、晶にとって自分はライバルに値しない、取るに足らない存在だと思われている、と誤解していたが、晶がハルオから貰った指輪をずっと大切に持っていたことからおぼろげに彼女の想いを感じ、互いのわだかまりが解ける。夏休みになり、小学校の頃のように教養の稽古から逃げてきた晶と遊ぶ時間を過ごす中で、晶と一緒にいたいと思っている自分の想いを自覚する。そして、ハルオの学力では到底不可能であろう「晶と同じ高校へ行く」ため、勉強に専念する決意を固め、ゲームを封印し、周囲を驚愕させた。
大野 晶(おおの あきら)
本作のヒロイン。才色兼備・文武両道のお嬢様。成績優秀で容姿も良く、学校では周囲から慕われる一方で、家庭では財閥の令嬢として多くの稽古事を強いられており、その息抜きのために放課後はこっそりゲームセンターに通っている。
生粋のお嬢様ということで常に周囲から一目置かれる立場にあり、また本人が極めて無口なために考えていることが分かりにくいこともあって、心から打ち解けられるような友達を作ることがなかなかできないでいる。
普段は物静かな美少女だが、卑怯な戦法で攻めてきたハルオを筐体ごと蹴り飛ばしたり、敗戦に癇癪を起こし突っかかってきた対戦相手をボコボコにするなど、案外喧嘩っ早い一面がある。ハルオはおろか、年上が相手であろうと容赦なく叩き潰せるほどに腕っ節が強い。
格闘ゲームやアクションゲームの腕前は並ぶものがないレベルであり、家庭環境からプレイする時間は限られるにもかかわらず、常に圧倒的な腕前を維持している点で、ハルオは自分にはない天性の素質を嫉妬混じりに感じ取っている。財閥の令嬢としてそれなりにもらっているであろうお小遣いはほぼゲームに注がれているが、家庭用ゲーム機は購入することを許してもらえないことから、ゲームセンターで接することのできない家庭用ハード等の情報には疎い。もっともゲーム業界には興味深々であり、ハルオの披露するゲーム情報に聞き耳を立てていたり、(お見舞いついでに家庭用ゲームをやらせてもらうために)ハルオの家に行く口実を作るべくハルオに風邪をひかせようと画策したりする。シューティングゲームやホラーゲーム全般は苦手としている。特にホラーは『スプラッターハウス』のプレイ画面を見ただけで1人で帰れなくなったほど。『ストII』ではザンギエフを使用キャラとするほか、格闘ゲームではコマンド入力が難しいキャラを得意とし、高威力の必殺技をいとも簡単に繰り出し相手を瞬殺していく様は「戦いの女神」と評される場面もある。
ゲームを通じて彼女と関わることになったハルオは、表情や挙動を通して彼女の感情を少しずつ理解できるようになっていく。晶も当初こそハルオに対し敵意を向けていたが、趣味として公にすることも、誰とも共有できることもなかったゲームを通じ、次々と彼女の知らない世界を見せてくれ、また不器用ながらも自分を思いやってくれるハルオに心を許し、次第に大切な存在になっていく。アメリカへ発つ直前に、空港に現れたハルオから指輪を貰い、それ以来ずっと大切に持っている。
中学3年になり日本へ戻ってくるが、ハルオの側にいる小春の存在や、晶の心境を察せないハルオの言動などから2人にすれ違いが生じてしまう。(晶に実力不足とみなされたために対戦を拒まれた、とのハルオの誤解に基づいているが)ハルオが自分のことを「目の上のたんこぶ」と評した発言を聞いた時や、修学旅行中には彼が新幹線に乗り遅れて小春と二人きりで過ごした話を聞いた時に怒りと共に複雑そうな表情を見せている等、彼のことを異性として意識している。
上述のすれ違いから、最初に晶が再戦を拒んだこともあり、再戦の機会がなかなか訪れずにいたが、修学旅行の自由時間に『スーパーストリートファイターIIX』の関西大会に参加。圧倒的実力で勝ち進み、同じく参加していたハルオと決勝戦で再戦することになる。準決勝でのアクシデントにより筐体のボタンが一部利かなくなっていたが、盛り上がる会場の空気を中断させてしまうことを躊躇い、そのままハルオとの勝負に臨んだため、正々堂々の勝負を望んでいたハルオを激怒させてしまう。しかし、一向に晶の気持ちに気付かないハルオに対して遂に晶も激昂し、取っ組み合いの喧嘩になるも、ずっと晶を待っていた、というハルオの気持ちを知り、わだかまりが解ける。
日高 小春(ひだか こはる)
本作のもうひとりのヒロイン。ハルオが通う中学校のクラスメイトで、人付き合いが苦手な女の子。並の中学生以上の巨乳を誇っている。
無趣味な自分と違い、毎日楽しそうにゲームをしているハルオに興味を抱いていた。中学2年の初冬、実家の酒店の店頭にゲームの筐体が設置されたことと時期を同じくして、日直の日に放課後居残りをさせられていたハルオと偶然に接点が出来る。校則違反にも平然している破天荒さや、ゲームとはいえ好きなことに夢我夢中になる一面、駄菓子屋のおばちゃんを気をかける意外な優しさなど、ハルオの良い点・悪い点を目にしながら徐々にハルオに惹かれていく。バレンタインの義理チョコを渡そうとハルオの家を訪れた際には、チョコもそっちのけでゲームの話題に熱くなる姿に、ハルオの眼に自分は全く映っていないこと、それでも諦められない恋心を自覚する。
ゲームに関しては完全に素人で、ハルオのネタにはほとんど着いて行けないが、ガチャプレなどの偶然が絡むようなプレイでしばしば難度の高い技を出すなどハルオは自分にはない天性のセンスを感じ取っている。ハルオと接するにつれゲーム専門誌を購入し、自身でもスーパーファミコンを購入するなどゲームに興味を持ち始めるようになる。
中学3年になり、引き続きハルオと同じクラスになったことを喜ぶが、小春が校内やゲームセンターなどでハルオと一緒にいるところを晶が見かけていたことが、意図せず晶とハルオのすれ違いを生む遠因となっている。一方で、晶とハルオが一緒にいる場面を偶然に目撃して以降、2人の関係が気になって仕方がない。
修学旅行では、新幹線の停車駅でハルオと共に取り残されるアクシデントに遭ってしまう。最初は動揺し、ハルオの緊張感のなさに憤るも、ハルオのマイペースっぷりに流されるにつれてデートのように思ってしまう一方で、晶との関係を聞けない自分や、気持ちを伝えられない自分にモヤモヤを募らせている。

サブキャラクター [編集]

ハルオの母
ハルオの母親。ゲームに夢中なハルオに頭を痛めつつも愛情を注いでいる。
小春が初対面で抱いた印象は「若くて可愛いお母さん」とのことで、流行にも敏感であり、作中の時間での世相を反映するようなトレンディドラマや映画を話題にすることが多い。ハルオも母のアクティブさには呆れたり、悪態をついたりするものの、親子仲は良好である。
ハルオの部屋に異性が訪れる度にテンションが上がり、「息子が大人になる瞬間」を見届けるべく度々覗きを試みている。覗きを敢行しようとする際に天井からぶら下がるほか、おまけマンガではハルオから取り上げたPCエンジンに謎の封印を施してみせるなど、時に人外じみた行動も取る謎多き人物。
じいや
晶に仕える執事。職務に忠実なようでいてどこか適当な面もあり、晶がアメリカに旅立つ際にはパチンコ中毒で日本から出られないと自ら語っている。
執事として晶と過ごす時間が長いこともあり、晶の良き理解者でもある。当初はハルオのことをただの汚い男児と認識しており、晶を迎えに来る度にハルオを車で轢いていたが、後にハルオを晶を支えてくれる人物として認識を改め、晶の大切な友人として接し、ハルオの受験に対しても応援するようになる。
宮尾 光太郎(みやお こうたろう)
中学校でのハルオの友人。美形で、女子にモテる。
なかなか気付かれにくいハルオの暖かい一面にきちんと気付いており、ハルオの親友を自称しているが、ハルオも宮尾に対しては忌憚なく付き合える良い関係を築いている。小春がハルオに惚れていることも見抜いており、修学旅行ではなかなか進展できないでいる小春を励ましている。
晶に対し一目惚れし、修学旅行の自由時間に告白をしようとしたが、大会から揃って帰ってきた晶とハルオから2人の関係を知り、身を引いている。その後のハルオの受験決意に対してはハルオの想いを察し、応援を買って出ている。
鬼塚(おにづか)
ハルオと晶の小学校時代のクラスメイト。下品な言動や男性器を触診したがるなど、異常なまでの性欲の持ち主。
ハルオと同じ中学校に進学し、2年時は同じなクラスのため付き合いも長い。宮尾に惚れており、バレンタインには自分の顔面を模したチョコレートを贈るなどいろいろアプローチしている。おまけマンガにて化粧技術が異常なほど巧い様が描かれている。
遠野 麗子(とおの れいこ)
ハルオの中学校2,3年の担任教師。普段から素行不良・学業劣等のハルオに対して厳しく目を光らせているが、ハルオが受験を決意した際には、厳しいと断じながらも現状を変えようとするハルオに対して協力を惜しまなかった。普段はいたってクールな物腰であるが、おまけマンガではゲームで負けると暴れ出すほどの癇癪持ちな一面が描かれている。
沼田(ぬまた)
ハルオの中学校に所属する生活指導担当の教師。ゲームセンターによく見回りに来るためハルオ達にとって天敵だが、本人は普通にゲームをプレイしに訪れることもある。外見は『バーチャファイター』のキャラクターであるラウ・チェンにそっくりで、挨拶も中国語を発するが、会話はいたって普通の日本語である。ちなみにおまけマンガで登場する娘は『バーチャファイター』のキャラクターであるパイ・チェンそっくりである。

単行本 [編集]

関連項目 [編集]

  • ガイル - 作中ではハルオにとって相棒ともいえる存在であり、本作を象徴するゲームキャラクターとして度々描かれている。
  • ストリートファイターIIシリーズ - 晶とハルオの因縁を象徴する、本作でもっとも描かれる頻度の多いゲームである。
  • ファイナルファイト - 晶とハルオが初めて協力プレイすることになったゲーム。その後も印象的な場面で登場する機会が多いゲームである。
  • 源平討魔伝 - ハルオのお気に入りゲームとして頻繁に登場。登場キャラクターである安駄婆はハルオの心の内の自問・葛藤の相手としてよく登場する。
  • THE 功夫 - ハルオのお気に入りゲームとして登場。病欠したハルオのお見舞いに来た晶にプレイを薦めた。
  • 桃太郎活劇 - ハルオのお気に入りゲームとして登場。横スクロールゲームでは「神ゲー中の神ゲー」と絶賛している。
  • 龍虎の拳シリーズ - 偶然の成り行きから、ハルオに促され小春が初めてプレイすることになったゲーム。このとき小春は才能の片鱗を垣間見せている。
  • 餓狼伝説シリーズ - 日高酒店の店頭筐体にも導入され、小春がハルオへの想いを募らせていくきっかけのひとつになる。
  • サムライスピリッツシリーズ - ゲームセンターで小春に腕前を披露するが、格下の対戦相手に底意地の悪いプレイ仕掛けたため小春は嫌悪感を抱いた。
  • ヴァンパイアシリーズ - 稼働開始したばかりのゲームセンターへ晶と共に赴いたハルオは、想像を上回るゲーム業界の進化を目の当たりにし戦慄を覚えている。

脚注 [編集]


外部リンク [編集]