警視庁強行犯係・樋口顕

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警視庁強行犯係・樋口顕』(けいしちょうきょうこうはんがかり・ひぐちあきら)は、今野敏による日本警察小説のシリーズ。1996年から2000年にかけて3作が刊行され、2014年に第4作『廉恥』が14年ぶりに刊行された。

これまでに何度かテレビドラマ化されており、鹿賀丈史緒形直人内藤剛志らが樋口顕役を演じた。

シリーズ一覧[編集]

  1. リオ
  2. 朱夏
  3. ビート
  4. 廉恥
  5. 回帰

主な登場人物[編集]

樋口 顕(ひぐち あきら)
主人公。年齢40歳→45歳(『廉恥』)。警視庁捜査一課強行犯第三係係長。階級は警部補警部(『ビート』)。捜査一課でのあだ名は「ヒグっちゃん」で、主な表記は「樋口」。「顕」の名で呼ばれることはまったくない。年齢よりも若々しく見え、キャリア(優等生)に近い雰囲気を持つ。見た目通り荒事は苦手。
常に他人の顔色を窺い波風立てないように生きてきたが、実際は「自分勝手にマイペースに生きる人間」に憧れている。周囲には「協調性がある」と見られているが、樋口に言わせれば「妥協しているだけ」とのこと。上司や部下から信頼されていることに気づいており、それに答えるために「やる気のある人間」を演じている。一方で、自分には評価されるほどの能力はないと考え、いつ馬脚を露すか内心では怯えており、そんな卑屈な自分を嫌っている。
しかし洞察力や推理力は高く、真実を追求することに掛けては妥協せず、時にはスタンドプレーも辞さない。『リオ』ではチームのほとんどを敵に回しながらも氏家と協力して事件を解決に導いた。また容疑者から「話を聞く」姿勢を自然と取っており、無理やり喋らせるのではなく相手から話をさせるというやり方で取り調べをする。
基本的に他人は信用しておらず、嫉妬深いところもある。しかし、『朱夏』では氏家のアドバイスに従い、様々な人間たちに素直に接することで信頼を得、見事に事件を解決させた。
『廉恥』では管理官候補ということで隠蔽捜査のように捜査本部に詰めることが多く、取り調べや事情聴取くらいでしか動くことはなくなった。
天童 隆一(てんどう りゅういち)
年齢47歳→51歳(『廉恥』)。警視庁捜査一課強行犯第一係係長→第二強行犯捜査の管理官(『廉恥』)。階級は警部補→警視(『廉恥』)。樋口の上司であり、彼が駆け出しの頃は二人でコンビを組んでいた。若い頃は世田谷署警ら課(今で言う地域課)に勤めており、後に公安を得て捜査一課へと移った。現在は直接捜査には当たらず、他の班の捜査の段取りをする立場にある。このポジションは、かつては「ショムタン」と呼ばれており、今でも天童はその名称を用いている。
刑事というよりは学者に近い雰囲気を醸し出しており、性格も温和。樋口には強い信頼を置いており、内心では常に彼を励ましている。
『廉恥』では出世しており階級も上がっているが、明らかに太り気味な体型になっている。また捜査本部が主な舞台になったことで出番が大幅に増えた。
田端 守雄(たばた もりお)
捜査一課課長。天童と同じく樋口を信頼している。太い首に凄みのある笑みと、野性的な人物。若い頃は、猪突猛進に捜査に当たっていたという叩き上げ。外見に反して会議中に軽い冗談を言うなど明るい性格。
『廉恥』では捜査本部が主な舞台になったことで出番が大幅に増えた。樋口には管理官候補として期待している。
池田 厚作
年齢50歳。警視庁捜査一課の理事官(一課長に次ぐ地位)。階級は警部。天童と同じく樋口を信頼している。
氏家 譲(うじいえ ゆずる)
年齢38歳(『リオ』)→「40歳になる」(『ビート』)→43歳(『廉恥』)。萩窪署生活安全課→警視庁生活安全部少年事件課少年事件第三係(『廉恥』)。階級は巡査部長。樋口とは『リオ』での一件からコンビを組んで親しくなり、『朱夏』においても相棒として最後まで協力した。『ビート』では管轄が違うこともあってあまり登場しなかったが、家庭内不和に悩む樋口にアドバイスを送っている。
大学時代は心理学を専攻していた。当人は「学生時代に学んだことなんて忘れてしまった」と述べているが、実際は教授から大学に残ってほしいと引き留められたほどの実力者。樋口が「動機がない」と断じた人物に対して「心の内に隠された動機」を見抜き、真犯人の割り出しにたびたび貢献している。
女にだらしない面を感じさせるが、ふしだらな若者たちに対して説教したり、彼らを生み出した大人たちに対しても静かな怒りを持つ。皮肉的な笑みを浮かべることが多い、これは世の中に対する不満を「自嘲」という形で表し抑えているに過ぎないという。一見するとやや粗野に見えるが、実際は周囲を気遣う気配りの利いた人物。樋口が信を置く数少ない「友人」である。
『廉恥』では電話越しの会話のみ登場。樋口とは細かく連絡を取っているので台詞は多い。樋口の娘・照美がある事件に巻き込まれたことを伝え、解決までサポートした。
樋口 恵子
樋口の妻。小柄でショートの黒髪。大学時代は英語に熱心で、英文科に通っていた。現在はそれを活かして下訳(翻訳家の資料作り)の仕事をしている。夫とは大学時代から付き合っており、結婚後17年経った今でも良き妻として樋口を支えてきた。
大学時代は男子学生たちから人気があったが、告白してきた樋口と恋仲となる。しかし、大学4年生の時にアメリカへ留学し疎遠となってしまう。半年後に帰国し、それを知った樋口から電話を受けたことで再び付き合いが始まった。常に感情を抑えている樋口がこうできたのは、「自分と恵子の絆は常に繋がっている」と考えていたことが大きい。
『朱夏』では何者かに誘拐されてしまい、わけもわからずパニックに陥る。それでも監禁生活の中で次第に落ち着きを取り戻し、夫が必ず助けに来てくれると信じ続けた。
樋口 照美
樋口家の一人娘。高校生→二十歳、大学三年生(『廉恥』)。恵子が24歳の時に生まれたため、「母娘」というよりは「友人」のような気軽さで接している。
『廉恥』では大学三年生となり、部屋に引きこもってネットサーフィンばかりやっている。そのため父とはロクにコミュニケーションがとれておらず、ある事件に巻き込まれ無実を証明しようとする樋口に対して反抗的だった。

テレビドラマ[編集]

NHK(1997年)[編集]

NHK BS-2にて、1997年6月1日から6月29日まで、「日だまり刑事 容疑者リオの涙」のタイトルでテレビドラマ化(全4話)。主演は鹿賀丈史。同年12月に全2回に編集されたものが地上波で放送された。

キャスト[編集]

  • 穴繁加奈子
  • 住若博之
  • 森松條次
  • 畑山東一郎
  • 三原有人
  • 荒井誠
  • 岩田仁吉
  • 山伏雅文
  • 国本裕樹
  • させさちこ
  • 池田武志
  • 吉田祐健
  • 鳥生麻友美
  • 岩田史郎 - 村上寿
  • 橋本淳

スタッフ[編集]

  • 原作 - 今野敏『リオ』
  • 脚本 - 坂田義和
  • 音楽 - 千住明[13]
  • プロデューサー - 近藤晋
  • 演出 - 松原信吾

テレビ東京(2003年・2004年)[編集]

警視庁・樋口警部補」のタイトルで内藤剛志主演で、2003年に『朱夏』が、2004年に『リオ』がテレビドラマ化された。

キャスト[編集]

ゲスト[編集]

第1作『朱夏』
第2作『リオ』

放送日程[編集]

# 放送日 タイトル 脚本 演出
1 2003年8月20日 警視庁・樋口警部補 朱夏
妻が消えた日 不倫か?誘拐か?
家族を狙う不気味な影と警視総監暗殺予告!
吉川次郎 松原信吾
2 2004年9月12日 警視庁・樋口警部補2 リオ 水曜日の殺人者
都会の闇に消えた黒いコートの女!
母と娘の捨てられた10年が招いた悲劇の裏側

スタッフ[編集]

  • 原作 - 今野敏『朱夏』『リオ』
  • 脚本 - 吉川次郎
  • 監督 - 松原信吾
  • 撮影 - 長沼六男、羽方義昌
  • 照明 - 吉角荘介、森谷清彦
  • VE - 古市修文、福田久二
  • 技術協力 - 東通(第1作のみ)、テクノマックス(第2作のみ)
  • 統括プロデューサー - 佐々木彰(テレビ東京、第1作のみ)
  • チーフプロデューサー - 小川治(テレビ東京、第2作のみ)
  • プロデューサー - 橋本かおり・佐々木彰(テレビ東京)、倉貫健二郎、加藤章一、斉藤守恒
  • 制作協力 - 松原プロダクション(第2作のみ)
  • 製作 - テレビ東京、BSジャパンドリマックス・テレビジョン(第1作のみ)

WOWOW(2011年)[編集]

2011年2月13日、『ビート』がWOWOWドラマW」で放送された。監督・主演は奥田瑛二

キャスト[編集]

メインキャスト
  • 島崎洋平(警視庁捜査二課主任 警部補) - 奥田瑛二
  • 樋口顕(警視庁捜査一課主任 警部補) - 緒形直人
  • 島崎丈太郎(島崎の長男) - 奥村知史
  • 島崎真次(島崎の次男) - 高良健吾
  • 島崎好子(島崎の妻) - 宮崎美子
  • 富岡和夫(日和銀行財務企画部融資審査課課長代理) - ウダタカキ
  • 根岸民雄(日和銀行財務企画部融資審査課課長) - 平田満
  • タエ - 水野絵梨奈
  • 天童隆一(警視庁捜査一課 警部) - 塩見三省
  • 児島美智代(日和銀行財務企画部融資審査課) - 佐藤めぐみ
  • 横山(警視庁捜査二課 管理官) - 諏訪太朗
  • 三浦(警視庁捜査二課 係長) - 鈴木省吾
その他キャスト
  • 黒川ゆみ
  • 橋本真子
  • 治田みずき
  • 桧垣時子
  • 平岡亜紀
  • 福西沙羅
  • 松島志歩
  • 村松茉里那
  • 柄沢晃弘

スタッフ[編集]

テレビ東京(2015年 - )[編集]

2015年、「警視庁強行犯 樋口顕」のタイトルで、11年ぶりに放送された。内藤剛志佐野史郎が同じ役で出演する。

キャスト[編集]

  • 樋口顕(警視庁強行犯係 警部) - 内藤剛志
  • 樋口恵子(樋口の妻) - 川上麻衣子
  • 樋口照美(樋口の娘) - 逢沢りな
  • 氏家譲(警視庁生活安全部少年課 警部補) - 佐野史郎
  • 天童隆一(警視庁捜査一課管理官 警視) - 榎木孝明
  • 藤本由美(警視庁捜査一課 刑事) - 片山萌美

ゲスト[編集]

第1作『廉恥』
第2作『ビート』
第3作『烈火』
第4作『回帰』

スタッフ[編集]

  • 原作 - 今野敏『廉恥』『ビート』『回帰』
  • 脚本 - 窪田信介(第1・2作)、大石哲也(第3・4作)
  • 監督 - 松原信吾(第1 - 3作)、児玉宜久(第4作)
  • テーマ音楽 - 近藤等則
  • 撮影 - 羽方義昌、川口滋久
  • 音声 - 畑幸太郎
  • 照明 - 森谷清彦
  • VE - 三坂裕之、石川友一
  • CG - マリンポスト
  • 技術協力 - アップサイド
  • 美術協力 - 京映アーツ
  • チーフプロデューサー - 橋本かおり(テレビ東京)
  • プロデューサー - 山鹿達也(テレビ東京)、元信克則、岡本慶章(第4作)
  • 製作 - テレビ東京、BSジャパン(#1 - 3)→BSテレビ東京(#4)、ユニオン映画

放送日程[編集]

# 放送日 タイトル 脚本 演出
1 2015年2月25日 廉恥 警視庁強行犯 樋口顕
完全犯罪のストーカー殺人!現場一徹主義の親父刑事が暴く!
窪田信介 松原信吾
2 2015年8月26日 ビート 警視庁強行犯 樋口顕
組織と家族の間で揺れる刑事たち
3 2016年12月21日 烈火 警視庁強行犯 樋口顕 大石哲也
4 2018年12月14日 回帰 警視庁強行犯係・樋口顕 児玉宜久
5 2019年9月2日 聖域 警視庁強行犯係・樋口顕 坂上かつえ

出典[編集]

  1. ^ リオ”. 株式会社 幻冬舎. 2015年8月18日閲覧。
  2. ^ リオ”. 株式会社 幻冬舎. 2015年8月18日閲覧。
  3. ^ 今野敏『リオ―警視庁強行犯係・樋口顕―』”. 新潮社. 2015年8月18日閲覧。
  4. ^ 朱夏”. 株式会社 幻冬舎. 2015年8月18日閲覧。
  5. ^ 今野敏『朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕―』”. 新潮社. 2015年8月18日閲覧。
  6. ^ ビート”. 株式会社 幻冬舎. 2015年8月18日閲覧。
  7. ^ ビート”. 株式会社 幻冬舎. 2015年8月18日閲覧。
  8. ^ 今野敏『ビート―警視庁強行犯係・樋口顕―』”. 新潮社. 2015年8月18日閲覧。
  9. ^ 廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕”. 株式会社 幻冬舎. 2015年8月18日閲覧。
  10. ^ 廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕”. 株式会社 幻冬舎. 2017年4月22日閲覧。
  11. ^ 回帰 警視庁強行犯係・樋口顕”. 株式会社 幻冬舎. 2017年4月22日閲覧。
  12. ^ 回帰 警視庁強行犯係・樋口顕”. 株式会社 幻冬舎. 2019年8月27日閲覧。
  13. ^ プロフィール”. AKIRA SENJU WORKS. 千住明公式ウェブサイト. 2015年8月19日閲覧。

外部リンク[編集]