コンビーフ

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コンビーフ (英語: corned beef) とは牛肉塩漬けにした食品である。日本ブラジルアルゼンチンでは缶詰にした物が多い。

コンビーフ缶詰

概説[編集]

本来は、などで保存食料として使うための粗塩で塩漬けにした(corned) 牛肉のことを言う。日本では一般に缶詰であり、塩漬けした牛肉を高温高圧で加熱してほぐしフレーク状にした後、牛脂で固めたものである。そのまま食べたり、サンドイッチ炒め物などの材料にしたりする。

コンビーフの缶は、内容物がこぼれないように側面の一部を帯状に巻き取って開缶できる。缶切りを使わずに済むため、レトルト食品が普及する以前は登山キャンプなどのアウトドアで重宝された。ただし開缶の途中で帯が千切れることもあり、その際の始末に困るという欠点もあった。このため近年ではプルトップ缶も一部のメーカーでは採用され始めている。さらに、開封後台形型の缶詰ではそのままの容器で保存が困難、ゴミ分別に手間が掛かるなどの要因から、可燃容器での販売も出ている。[1]

形を保ったまま取り出せるような配慮や密閉時に空気が入らない充填ができるなどの理由により、缶の形が台形になっているものが多い。日本に於いては、一時期は標準的な丸型の缶詰も存在していたが"コンビーフの缶詰は台形"というイメージが定着しているためか売上は芳しくなく、現在は川商フーズが販売する"ノザキのコンビーフ860g"[2]、"ノザキのニューコンミート860g"[3]や、自衛隊の副食用缶詰[4]等、流通量は多くない。

アルゼンチンブラジルなどでも缶詰にしたものが主流で、牛肉をほぐさず茹でる方法で調理される。イギリスでは第一次世界大戦の頃から同陸軍同海軍でこの缶詰が食料として用いられていた。ウルグアイでは”フライ ベントス”の名前で1873年より英国などへ輸出され始めた。

なお缶詰にしないものはフレッシュ(生)コンビーフと呼ばれ、アメリカヨーロッパなどでは一般的である。ルーベンサンドと呼ばれるサンドイッチが有名なほか、キャベツと共に調理された、コンビーフ・アンド・キャベジは、アメリカにおけるアイルランド料理の定番となっている。

ニューコンビーフ・ニューコンミート[編集]

食糧不足だった1950年昭和25年)に日東ベスト馬肉を中心とした雑肉を主原料とする缶詰を開発し、発売元の野崎産業の社名を冠して「ノザキのニューコンビーフ」という名前で発売した。1缶が100円台で入手可能なことから、B級グルメの材料などに用いられることも多い。ニューコンビーフを使った料理のレシピを紹介するウェブサイトも多数存在する。

2005年平成17年)6月に農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)が改正され、日本農林規格(JAS)における缶詰の表示を定めた「畜産物缶詰及び畜産物瓶詰品質表示基準」も改正された。これによってコンビーフの名称は牛肉100%の物のみに使用できることとなり、馬肉など他の肉が使われている物はコーンドミートと表記するように定められた。またコーンドミートの内、馬肉と牛肉が使われており、そのうちの牛肉重量が20%以上の物はニューコーンドミートもしくはニューコンミートと表記することが許可された。2006年平成18年)3月の法律施行にあわせ、「ノザキのニューコンビーフ」は「ノザキのニューコンミート」と商品名が変更された。

なお、前記の野崎産業は合併・分社化などの再編を経て現在はJFEグループ川商フーズとなっているが、「ノザキの~」のブランド名は変わらず使用されている。

コンビーフハッシュ[編集]

ほぐしたコンビーフと茹でて細かく賽の目に切ったジャガイモを混ぜ合わせた食材である。缶詰の他、1食分のレトルトパウチなどで販売されているアメリカ合衆国ではポピュラーな食材であるが、日本では沖縄県においてのみ非常に普及しており、県産品も製造されている。朝食料理の付け合せに使用されるほか、野菜炒めチャンポン焼きそばなどの具材として、また、マヨネーズと混ぜてパンに塗るなどの方法でも利用されている。小判状にまとめて焼いたり、コロッケとして調理する食べ方もある。

ジャガイモが入っているため畜産物缶詰及び畜産物瓶詰品質表示基準では「コンビーフ」に該当せず、「牛肉野菜」と表示されている。

備考[編集]

会田雄次の著書「アーロン収容所」によれば、イギリス軍の日本兵捕虜収容所内における給食の中でも、飯盒で炊いたごはんにコンビーフを混ぜたものがご馳走として日本兵に喜ばれたという(ただし中には戦場で目にしたウジの湧いた死体を連想して食欲を失った者も多かったという)。また、大岡昇平の著書「俘虜記」においても、レイテ島の捕虜収容所の給食としてコンビーフを混ぜた粥が提供されている。国産コンビーフの登場は、終戦後の1948年昭和23年)であった。

脚注[編集]

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  1. ^ 明治屋ニュース 2012/6/29
  2. ^ ノザキのコンビーフ-製品のご案内 コンビーフ860g
  3. ^ ノザキのコンビーフ-製品のご案内 ニューコンミート860g
  4. ^ 防衛省仕様書 DSP N 5106D及びDSP N 5123B

関連項目[編集]