乾燥熟成肉

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乾燥熟成させた牛肉
乾燥熟成中の牛肉

乾燥熟成肉(かんそうじゅくせいにく)とは、牛肉羊肉ジビエ(野生の鹿肉など)に対し保存をしつつ熟成させて更に柔らかく美味しく食べられる様にした肉のことである。昔、冷蔵庫がなかった時代に、欧州で食肉を冷涼な洞窟や地下倉庫などに吊るして保存した事が起源である。ドライエイジド(Dry Aged)、又はドライエイジング(Dry Aging)と呼ばれる。

概要[編集]

アメリカの場合、牛肉にはアメリカ農務省(USDA)が8種類のグレードを付けていて、上からプライム、チョイス、セレクト、スタンダードとなり、更にその下に4種のグレードがある。我々が通常食品店や飲食店で目にするのはこのうち上位3種および格付けをしないUngraded(通称:ノーロール No roll)である。最高位であるプライムやチョイスグレードを乾燥熟成のプロセスを使い、更に柔らかく風味豊かなステーキやローストビーフを提供するレストランがある。

日本では、日本エイジングビーフ普及協会が普及活動を行っている。

熟成の過程[編集]

乾燥熟成のプロセスとして、牛肉のブロック又は枝肉(半身)などを乾燥熟成庫内に一定期間貯蔵する。庫内の温度を0~4℃、湿度は80%前後に保ち、常に肉の廻りの空気が動く状態を作り、その中で14~35日間熟成させる[1]帯広畜産大学の島田謙一郎准教授の研究によれば、35日以上の熟成が望ましいという[2]

温度が高ければ肉は熟成ではなく腐ってしまい、低ければ凍ってしまい熟成にならないのでその温度と環境等のメインテナンスにも相当の手間が掛かる。熟成期間中に、肉の中にある酵素等の働きで肉の繊維(タンパク質)がゆっくりと壊れてペプチドアミノ酸に変化し旨味が増すとともに肉が柔らかくなっていく。

乾燥させることで21日後には重量が20%程度減少し、減少した分そのフレーバー(味覚・香り)も濃厚なものに変わっていく。乾燥熟成が進んだ状態では、肉の外観は赤黒く変色し、薄く白カビなどが発生する場合もあるが、それが乾燥熟成で最高の状態とも言われる。乾燥による重量のロスの上に外側の乾燥した部分をトリミングしてステーキとするため、最終的に残るのはプロセス前の60%以下と言われる。従い、歩留りロス、保管冷蔵庫(熟成庫)などの設備費・電気代などの経費がかかり、また保管スペースが必要となる上、熟成期間のキャッシュフローも悪くなるため、大きなコストアップになる。

乾燥熟成はごく一部の高品質な牛肉に対してのみ行なわれ、鮮度落ちが早い鳥肉や豚肉などでは行わない。その他の肉では羊肉やジビエ(鹿肉など)で行われる場合がある。羊肉の場合は、臭みが抜けて味が上品になるという[3]

又、ドライエイジング(乾燥熟成)に対してウエットエイジング(またはバキュームエイジング)という熟成方法がある。大部分の牛肉がこの方法により熟成されるため、単純にエイジングというとウェットエイジングの事を指す。乾燥させずにバキュームパック(真空包装)内で熟成をさせるもので、簡単で歩留りも良いため、コストが低く一般的になっている。北米やオセアニアから輸入されるチルドビーフは、輸送・流通にかかる時間が3~5週間程度とちょうどエイジングに適しており、日本に到着して店頭にならぶ頃には熟成され食べ頃になっている。

なお全米各都市で有名なステーキハウスなどでは、ドライエイジドビーフ(乾燥熟成肉)を使っていることを大きな謳い文句にし、店内に乾燥熟成庫を備えている店もある。

脚注[編集]

  1. ^ Dry Aging of Beef, National Cattlemen's Association
  2. ^ 肉のドライエイジング研究進む」、十勝毎日新聞2012年11月24日2013年9月29日閲覧
  3. ^ ドライエイジングビーフ(熟成肉)について、肉匠もりやす

外部リンク[編集]

http://www.showasys.com/ 株式会社昭和システムサービス(ELLER社)